
はじめに
こんにちは、支払い.comでエンジニアリングマネージャーをしている 大聖寺谷 です。
支払い.comとは請求書の支払いをクレジットカードで支払うことができ、 中小企業や個人事業主の資金繰りの改善を行うことができるサービスです。
このサービスの性質上、月末は売上・処理件数ともにピークを迎える繁忙期となるため、私たちのチームでは月の最終週にリリースを停止する運用を行っています。そんな“静かな週”を活用して、普段はなかなか手をつけられない技術的負債の解消や新しい試みを行う「優先度低いことやるウィーク」を実施してきました。
今回ご紹介するのは、その一環として初めて実施した Vibe Coding Only Week(通称VCOW) という取り組みです。
Vibe Coding Only Week(VCOW)とは
きっかけは「他社でもAIのみでコードを書いている事例が増えてきている中で、うちも1回“AI縛り”でやってみたら面白いのでは?」というカジュアルな会話からでした。
そこで実験的に、 「Vibe Coding だけで開発する1週間」 を設けることにしました。
前述の通り、月末はリリース停止期間であり「優先度低いことやるウィーク」としているので、AI縛りによって生産性やコードの品質に影響があっても問題なさそうということで月末に開催することになりました。 もちろんVCOWやることはBizチームなどにも相談しており快諾をいただいています。
VCOWの実施概要
基本ルールと制限事項
VCOWのルールはとてもシンプルで、1文字1行たりとも人間はコードを書いてはいけない というものです
- 期間は 6/24(火) ~ 7/1(月)
- 人間による手動コーディングを原則禁止
- AI(LLM)によるコーディングのみで開発を行う
- Claude Code, GitHub Copilot, Copilot Chat, Cursor, Windsurf 等のツールを使用
- コードだけでなくコメント・テスト・PR文も含めてAIで生成
- 緊急時(インシデントや障害対応)はこの限りではない
ちなみに私はVCOW初日の朝、デバッグのためについ癖でいきなり1行コードを書いてしまいましたw

AIツールの利用について
支払いcomチームではAIツールについて現在は月額1万円までなら 好きなAIツールを使っていいことになっています。
VCOWでは特にAIツールを指定せずに各自で好きなものを使ってもらいました。
この期間は特にClaude Code が話題だったこともあり、Claude Code Proを使っているメンバーが多かったようです。
また月額1万円の枠ではClaude Code Maxプランなどは使えないため、この期間はClaude Code Maxも希望者に配布するように 事業CTO 赤沼 が取り計らってくれました。
今後はClaude Code Maxの常用も視野に入れて現在諸々整備中です💪
VCOWの狙い
今回支払いcom開発チームでVCOWを開催した狙いは以下の通りになります。
🔍 短期的な目的
- ClaudeやCopilotを使って現場でどこまでAI開発が可能か検証する
- LLMの得意・不得意を見極めてツールの選定や運用方針に活かす
- 各メンバーのプロンプトや工夫を通じて知見を共有・言語化する
🚀 中長期的な目的
- タスク処理の自動化率を上げて、より少人数でも開発力を出せる体制へ
- 要件定義〜実装〜テストまでをLLMに組み込むAI-Nativeな開発体験の構築
やってみてどうだったか
VCOW終了後、チーム全体でKPT(Keep・Problem・Try)による振り返りを行い、併せてメンバーにアンケートを実施しました。
振り返りとアンケート結果
アンケート内容
- 使っていた AI ツールは?
- VCOW 楽しかった?(1~5点、5が楽しかった、1が辛かった)
- 次回 VCOW またやりたい?
アンケート結果
- 使用AIツール:Claude Code 9名(100%)、その他併用ツール:JetBrains AI Assistant、Cursor、IntelliJ IDEA
- 満足度評価(5点満点):平均点 3.78点(5点:1名、4点:5名、3点:3名)
- 継続意向:継続希望 9名(100%)
数値だけ見ると非常にポジティブな結果でした 🎉 一方でKPTとアンケートで得られたメンバーの生の声からは貴重な課題も見えてきました。
下記に実際にメンバーからKPTとアンケートで得られたものを紹介します。
やってみてわかったこと(Keep)
🚀 開発効率の向上
- 新規でGASの開発をする必要があったが、フォーマットがあまりなかったのもあり開発効率はかなり高かった
- ゼロイチに近い実装に効果があった
- 参考にするコードがある場合のコンポーネント作成はすごい早い
- コンフリクト対応やCIが落ちた時の修正などは雑にプロンプト投げても修正してくれる
- AIに任せた方が良いもの手を動かした方が早いものがわかった
- Claude Codeのコマンドを期間中調べて、少しでも効率的に扱えるようにしたりして学びがあった
🔍 コードベース理解・調査
- 既存コードの調査に役立った (入社したばっかのメンバーからの意見 👏)
- まだ自分の理解が浅いコードベースの理解なども丸っと投げて調査させられるのは良い
- AIの試行錯誤の結果をもとにして作業のとっかかりのヒントを得られるため、とりあえず雑にclaudeに投げるのは良さそう
🛠️ 開発プロセスの改善
- 大きめの作業はまずplanで計画をチェックしたり、mdに落としてもらってレビュー・修正してから作業したりするようになった
- コミットとPRの文章を考えるのが楽だった
- 何気にコミットとかPR作成に労力がかかっていたことに気づいた
💡 チーム体験・学び
- 積極的にAIを活用してコードを書いていく取り組みは新鮮で楽しかった
- バイブコーディングに慣れるという意味では強制力があり楽しかった
- 楽しかった。もっと開発効率上げれそうなのでまたやりたい
見えてきた課題(Problem)
🤖 AI/LLMツールの制約
- Claudeの文脈記憶が短くて、同じことを何回も書く必要があった
- 複雑なビジネスロジックの実装では、AIが要件の理解に時間がかかった
- CLAUDE.mdに書いていることをやってくれなかったりして困った(PRの作成ルール等)
- 効果的なプロンプトの書き方を覚えるのに時間がかかった
⚠️ 危険な操作・品質の問題
git reset --hardを実行しようとしたり、package-lock.jsonを削除して1から再生成したのはどうかと思った- 過剰にリファクタすることがちょいちょいあった
📝 「細かい修正が辛い」問題
- 細かい修正やコメントとかはしんどかった
- 「結局ちょっと触った方が早い」という誘惑が常にあった
次に向けたアクションと展望(Try)
🔧 ツール・環境の改善
- レビューコメントの対応が辛いなどについてはClaude Actionsを使ってみるのも検討したい
- チームでClaude Codeのhooksの整備をしていくと良さそう
- 今回自分がメインで使ったClaude Code以外にもRoo Code、Gemini CLI、またMCPなどもしっかり準備したい
📋 ルール・プロセスの見直し
- 次回のVCOWでは準備やルール整備などを検討したい
- linter などのガードレールを整備した後にやりたい
👥 実施形態の改善
- 全員一緒にやる必要はもしかしたらないかも?
- ペア or モブ Vibe Coding(月末 or 隔週?)
おわりに
VCOWはチームにとって“開発だけに集中する1週間”としても、AIとの共創を実践するトライアルとしても、とても価値のある体験でした。
機能開発やビジネス目標を追い求めるのはとても大事ですが、時々こういった「自分たちでルールをつくって、新たな試みを実験する」というのはとても楽しく刺激があるなと感じました!
今後エンジニアリングにおいてAIツール活用というのはとても重要になってくると思います。ただしAIツールをどのように使えば最大限のアウトカムを出せるかと言うのはまだまだ試行錯誤が必要だと感じています。
今回のVCOWのようにAIツールを最大限活用すべくチーム全体で取り組む機会を今後も増やしていきたいと思っています ✨
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