はじめに
こんにちは。2025年5月よりaskenでデータサイエンティストとして働いている平です。
私はこれまでデータサイエンティストとしてSQL・R・Pythonを使った分析やプロトタイプ作成は行なっていましたが、ReactやFastAPIといったモダンなWeb開発技術を使って本番環境で動くアプリケーションを作ることは未経験でした。機械学習モデルをプロダクト化したいと思いつつも、このスキルギャップをどう埋めるかが入社以前から課題でした。
そんな私にとって、AIツール、特に「Vibe Coding」という開発スタイルは、このギャップを越える可能性を感じさせるものでした。今回は入社してからの約5ヶ月間、実際にAIツールを使って開発に挑戦した経験を振り返ります。
(こちらの記事は、「すぐに試せる!AI活用リアルLT」での発表内容を元に作成しています)
3つのAIツール導入
入社数日でCursorやDevinのアカウントをもらい、askenの業務を覚えながら、同時にAIツールの活用方法を模索する日々が始まりました。
Cursor - データサイエンス業務の効率化
元々VSCodeを使っていたため、Cursorのインターフェースには馴染みやすく、スムーズに導入できました。データサイエンティストの業務では分析用のSQLを書く機会が多いのですが、必要な情報を渡せば実用的なクエリを自動生成してくれるので作業効率が向上しました。
Devin Search - 情報検索の高速化
テーブル定義など社内のドメイン知識を検索するのに便利でした。入社したてで社内のことに詳しくない身としては非常にありがたい存在でした。
Claude Code - Vibe Codingへの挑戦
入社1ヶ月後にClaude Codeの利用も開始しました。 自然言語で指示するだけで、ReactコンポーネントやAPIエンドポイントのコードを生成してくれます。Web開発の経験がない私でも、実際に動くアプリケーションの開発に着手できるようになりました。
開発で直面した現実
上記のツールによってプロトタイプは素早く作れたのですが、α版、β版へと開発を進める過程で様々な課題に直面しました。
思考の退化
雑に指示してもそれっぽい結果が出るので、深く考えず場当たり的な指示を連発するようになりました。結果として、自分がこのプロダクトで何をしたいかよくわからなくなってしまいました。
保守性の低いコード
動くけど理解不能なコードで変更が困難になりました。新機能を追加しようとすると既存コードとの整合性が取れず、開発速度が低下する事態に陥りました。
トラブルシューティング
コードの理解不足でエラー対応もAI頼みになってしまいました。AIが解決できなければ完全に詰んでしまうという状況に陥りました。
学びと気づき:Beyond Vibe Coding
この経験を通じて、深く考え、継続的に学び、しっかり確認することの重要性を痛感しました。
思考の退化への対策:要件を明確にし、計画的に実装を進める
AIに指示する前に、まず「何を作りたいのか」をMarkdownで整理。機能要件を箇条書きにし、優先順位をつけてから実装に着手するようにしました。
保守性の低いコードへの対策:設計パターンを学び、適切に指示する
Clean Architectureなどの設計思想を学び始めました。AIへの指示も「○○を実装して」から「設計ドキュメントを元に○○を実装して」「この処理は別関数に切り出して」といった具体的な指示に変更しました
トラブルシューティングへの対策:必ずコードレビューし、理解してから使用する
AIが生成したコードは必ずレビューし、理解できない部分は調べるか、AIに説明を求めるようにしました。「なぜこの実装になったのか」を理解することで、エラー発生時も自力で対処できる場面が増えました。
これらの対策を実践する中で、『Beyond Vibe Coding』という記事に出会いました。「vibesだけでコーディングするのではなく、基礎知識を持ち、批判的にコードを評価し、深く理解することが重要」という主張は、まさに私が痛感したことでした。 AIは強力な開発支援ツールですが、開発者の基本スキルを代替するものではありません。むしろAIを効果的に使うには、より深い技術理解が必要だと実感しています。
おわりに
5ヶ月間、期待と現実のギャップを体験しました。課題に直面し苦労した経験は痛みを伴いましたが、開発プロセスの重要性を理解できた貴重な学びとなりました。 AIツールは確実に新たな領域への挑戦を後押ししてくれる存在でもあります。エンジニアリングスキルに自信がなかった私でも、AIの支援によって実際にプロダクト開発に踏み出すことができました。適切な使い方を学びながら活用すれば、これまで諦めていた分野にもチャレンジできる可能性が広がります。 この記事が、AIツール活用を検討されている方の参考になれば幸いです。
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