2025年10月22日、イギリス BBC の日本語サイトに「【解説】 初の女性首相誕生という歴史的瞬間、ただし高市氏の理念に懸念も」という記事が掲載された。(魚拓)(英語版)(英語版魚拓)
記事は、高市首相の姿が「多くの若い少女たちにとって(中略)力強く、象徴的だ」とした上で、「一部の女性たちは、高市氏を変革の擁護者とは見なしていない」と続けている。この記事はその批判的な見方を紹介するという趣旨である。
記事中でコメントが紹介されている女性は4人いるのだが、どうやらそのうちの3人が同じ大学の同じ学部に通う学生らしい。ゼミまたはクラスも同じかもしれない。この3人については名前と年齢のみが示されているだけで、その他のバックグラウンド情報は明かされていない。
それにもかかわらず、どうしてこの3人が同じ大学の学生であると推測できるのか。まず、3人のうちの1人と同姓同名の人が岡山の東進衛星予備校の合格体験記に掲載されている。合格した大学は上智大学の国際教養学部である。この人は2018年に岡山の中学の2年生だったことも分かっており、BBCの記事に登場した人と年齢も一致する。
あとの2人はBBCの記事に写真が掲載されており、背景の建物から同じ場所で撮影されたことがわかる。3人が同じ大学の学生であるらしいことに最初に気づいた Domi_Domi3 氏の X 投稿によれば、この場所は上智大学四谷キャンパスの3号館前広場である。グーグル・マップのストリート・ビューでも、上智大学構内にそれと思われる建物が確認できる。
背景が四谷キャンパスの3号館前広場っぽい気がして確認したところビンゴのようでした😉 pic.twitter.com/CD3nwpERfP
— Domi_Domi3 (@Domi_Domi333) 2025年10月22日
(魚拓)
上智大学国際教養学部といえばすぐに頭に浮かぶのが中野晃一教授である。この政治学者は、熱心な野党共闘推進派であり、しんぶん赤旗にも多数寄稿する左派である。安倍元首相などに代表される保守的政策を強く批判することで知られている。それがオリエンタリズムを内面化したリベラル自認の西洋人の耳にも心地よく響くらしく、欧米メディアに重宝されている (BBC中国版でもコメントがよく引用されているという話も聞いたが未確認)。以前はデイビッド・マクニールもさかんに彼の言葉を記事の中で用いていた。BBCの記事に登場した3人が中野の教え子かどうかはわからないが、3人のコメントを見てみると、中野と同様の思想傾向のある講師に教えを受けているようだ。
こうした左派系の大学/学部/クラスでどのような教育がなされているのかを垣間見ることができるので、3人の女子学生のコメントを以下に書き出してみる。名前はここではイニシャルにするが、BBCの記事内では実名。
AO (21歳): 外国の反応を見ることが「興味深かった」「みんな『おお、日本の歴史上初めての女性首相だ、女性の権利強化やジェンダー平等にとって素晴らしい機会だ』と言っている」「でも、それはこの状況全体をとても単純に解釈していると思う」「彼女は家父長制的を維持している」
AHU (20)「高市さんは本当に流れに逆らっているわけではない。男性たちと同じことを言っている」。単に女性であるという理由だけで高市氏を特別視すべきではない。「彼女の政策について語ることが大事だ。彼女を他の人と同じように批判できることが大事だ」
MK (21)「高市さんの成功に、女性たちが共感するのは難しいと思う。なぜならそれは、現状に従うべきだという考えを助長するからだ」「私たちにも同じことが求められるようになる」「世間は私たちに従順さを期待するし、理想に逆らわないことを求めてくるだろう。そういうことが、私たちの仕事をもっと難しくするかもしれない」
公正を期すためにBBCの記事内に登場したもう1人の女性も紹介しておこう。この人は、元大津市長で弁護士の越直美 (50歳)。2012年に大津市長に当選したときは、当時史上最年少で当選した女性市長だった。記事は、「それでもなお、一部の人々は、高市首相の誕生を、女性たちが自分たちの将来に対する見方を変える可能性を秘めた転機だと見なしている」として上で、次のような越の言葉を引用する。
越 「高市氏が首相に就任したことには大きな意義があり、社会全体に広範な影響を与える」。日本に女性首相が誕生したことにより、「心理的な障壁が下がる」。ジェンダーに基づく固定観念や期待が依然として残る中でも、女性が企業や社会の中でリーダーとして「目立つ」のは当たり前のことだと、子供を含む女性たちが感じる助けになる
ちなみに越のコメントは共同通信記事からの引用であることが明かされている。
この記事を書いたのはBBCのシャイマ・ハリル東京特派員。知り合いの大学教授か誰かに頼んで教え子を紹介してもらったのだろうか。3人のバックグラウンド情報を記事内で明かさなかったのは、同質的な小集団から取材相手4人のうち3人を選ぶという怠慢を読者に知られたくなかったからかもしれない。結果として、この記事は教条的なフェミニズム的視点からのみ高市を批判するという一面的なものになってしまった。
高市を批判するにしても社会文化的な批判だけでなく経済政策の観点から批判することもできだだろう。若い女性が何を考えているのか幅広く伝えたいのなら、なぜ経済や政治を学ぶ女子学生にも話を聞きにいかないのか。政治や経済をゴリゴリ勉強した高市だから首相になれた。そんな高市は経済・政治を学ぶ女子学生にとってロールモデルでもあり反面教師でもあるはず。彼女たちの話も聞けばこんな薄っぺらい記事にはならなかったはずだ。
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ここから先は余談だが、2024年に英国ガーディアン紙がさまざまな国の24歳の若者にインタビューするというシリーズ企画を行った。このとき日本代表として登場したのが Miho Suzuki という女性である (記事)。この人は聖心女子大学の大学院生であり、デイビッド・マクニールの教え子である (マクニール自身がそうツイートしている)。
インタビューの内容は日常生活の話題が中心だが、その中に「社会不正義」「家父長制」「同性婚」「夫婦別姓」などの左翼の定番用語が散りばめられている。この記事を書いたのはジャスティン・マカリー。マカリーとマクニールの2人は、朝日新聞が2014年に吉田清治の捏造を認めたとき、その年のはじめまで吉田の名は知らなかったと嘯く記事を共同で執筆している。
左翼教授と左翼ジャーナリストが結託し、左翼の教義を学ぶ若者にメディア登場などのプラットフォームを与えてグルーミングしていく。そういったサイクルが存在しているようだ。こうして卒業していく学生は、大学で刷り込まれた道徳的資本を頼みの綱に、大卒のプライドを満たす地位と給料を求めてNPO、企業の人事部、マスコミ、大学などに散らばり、生産性は低いが高給取りのルンペンブルジョワジー階級を構成していくのである。


































