
ボード・ガシュ・エナジー劇場で『屋根の上のバイオリン弾き』を観てきました。『屋根の上のバイオリン弾き』というと、森繁久彌さんが屋根の上でバイオリンを弾いている姿を思い浮かべていたのですが、主人公はバイオリンを弾かないんですよ。びっくりしました。バイオリンを弾くのは別の人で、台詞はまったくしゃべらないのですが、折に触れて登場してその音楽と存在感で物語に厚みを加えます。
20世紀はじめごろの帝政ロシア。ウクライナに住むユダヤ人コミュニティの物語。主人公のテヴィエは貧しいミルク売り。口うるさい妻のゴールデには頭があがらない。子供は娘が5人。伝統に従って娘たちの結婚を取り仕切ろうとするテヴィエ。しかし、娘たちはそれぞれが選んだ男性との結婚を望み、テヴィエも葛藤の末にそれを許す。ロシアによる集団的な迫害により村を去ることを余儀なくされるユダヤ人たち。あるものはアメリカへ、あるものはポーランドへ、あるものはイスラエルへと向かう。
強烈な政治的な要素の入ったミュージカルだというのも知りませんでした。
民族衣装を着たミュージシャンが舞台の後方に控えていて生で演奏しています。曲の多くは東欧系ユダヤ人の民謡であるクレズマー (Klezmer) がベースになっているようです。クレズマーはバイオリンやクラリネットをフィーチャーした物悲しい曲調が特徴。一番有名なのはたぶん「ドナドナ」ですね。
私は学生時代にいろいろ民族音楽が好きで聞いていたのですが、たまたま中古レコード屋で買った Klezmer Conservatory Band というのがお気に入りでした。ジャケット写真ではレトロな服を着ていますが、1980年結成のバンド。私は以前は400枚ぐらいLPレコードを持ってて、アイルランドに来るときに9割方売ったんですが、持ってきた40枚ほどの中にこの1枚は入っています。

ダブリン公演は18日まで。