ステージおきたま

劇団と農業と韓ドラと、そして、世の中に一言

お勧め太鼓判!NHK『スローな武士にしてくれ』

 いや、マジ、面白いから。

 京都の時代劇撮影所に舞い込んだNHKのオファー!?NHKのドラマをNHKが依頼って、もう、ここからおふざけ精神大盛で、いいよなぁ。その内容は、NHKが提供する最新撮影技術を駆使して時代劇を作っれってもの。しかも、大量の機材とともに乗り込んできたのは、たった一人のDTP、デジタルテクノロジープロデューサーだったかな?。MIT、マサチューセッツ工科大学卒の帰国子女。このDTPとMITを並べるとか、タイトルだってそうだろ、片岡義男の「スローなブギにしてくれ」のもじりだし、他にもそんな駄洒落や軽口がたっぷり詰め込まれてる。で、この技術者がなんと、とこんと付きの時代劇オタク。これに対するは、時代劇全盛なりし頃の巨匠たち。要するに、時代に取り残されたジジイ達だ。

 ほとんど第一線から押しやられ、撮影所のお荷物になってる監督が選んだ主役が、殺陣は抜群だが、セリフがからっきしな大部屋切られ役者。しゃべらせるわけにいかんから、ただただ立ち回りを中心の映画作りを目指す。その作るシーンが、竹林での大立ち回りの空撮たったり、持ち運び型超高性能カメラを使っての22秒間13人切りのノンストップワンカット撮影だったり、ワイヤーアクション駆使の寺田屋階段の場だったりするんだ。

 だから、このドラマの見物の第一は最新撮影機材だ。ドローンカメラや遠隔操縦撮影機、どんな角度に傾けてもレンズは水平を保つという新鋭カメラなど、最近の特撮を牛耳る機器たちが役者顔負けにしゃしゃり出ている。次が撮影所の内幕紹介。大部屋の役者たちや衣装、美装のスタッフたちの仕事ぶりが興味深い。

 そして、もちろん、主役は立ち回りだ。これが見事だ。内野聖陽中村獅童水野美紀、さらには、里見浩太朗まで。さすが、名優たちだ。お見事!まっ、時代劇なんて、いかにカッコいい立ち回りを見せるかってのが勝負だから、そこに最新テクノロジーが絡むてのが一番の見どころってことになる。

 と、まあ、こう書くと、時代劇と最新テクノロジーの融合ね、で終わってしまうが、実は、この作品の妙味は、コミカルな味わいにある。ロートルの映画屋なんて、笑いの宝庫だし、大部屋の切られ役者たちにもちっょと寂し気な滑稽感が漂う。最新技術者の時代劇オタクなんて、この落差、笑いを生まないはずがない。

 で、そんな笑いの瞬間をすべることなく連射している。そして、最後は裏道歩いて来た男たちの起死回生の物語。泣かせる設定だ。大げさでどこかマンガ的な演出も好きだなぁ。音楽も良かった。ともかく、時代劇をパロディにしながら、深い尊敬の念を捧げ切った見事なドラマだ。

 こんなドラマが作れるてのが、NHKの底力なんだよな。ニュース報道は、政権忖度放送に堕しちまってるが、こんな軽妙だが分厚いドラマや鋭く今を突くドキュメンタリーがあるから、受信料だって払い続けようって気になるわけよ。

 再放送は5月12日(日)午後1時。