※「方向幕」とは行き先表示のこと。かつては布やフイルムに印字した「幕」だったので、現場や愛好家の間では、LED化された今もそう呼ばれる。
その内容は、
その日、朝9時10分秋田駅東口発県営南ケ丘住宅行き(403系統・南ヶ丘線)の同社路線バスにおいて、方向幕を間違えたまま発車・運行。乗車できなかった客からの指摘を受け、15分遅れで代車を運行した。
原因は、運転士の誤操作であり、「今後は、全営業所に出発地での運行路線と機械の再確認を再徹底」する。
というもの。原因は、運転士の誤操作であり、「今後は、全営業所に出発地での運行路線と機械の再確認を再徹底」する。
※ホームページや以下の報道では「南“ケ”丘」と大きいケを使っているが、その由来であるニュータウンの名称は小さいヶの「南ヶ丘」が正当のようだ。「みなみがおか」という地名は存在せず「上北手百崎」「上北手猿田」の各一部。
翌10日付の秋田魁新報社会面でも「行き先誤表示 路線バス運行」とニュースになった。目立ちにくい位置だけど、それなりに大きい記事。さらに後追いで、11日付の朝日新聞秋田版でも報道。
報道で新たに分かった情報とその補足。
・誤って表示した行き先は「大平台三丁目」。
→東口発着だとすれば大平台三丁目行きは422系統・横森経由桜ガ丘線。事象が発生した時刻近辺では9時30分発がある。
・南ヶ丘にある県立聾学校の生徒2人を含む、少なくとも4人が乗車できなかった。
→聾学校の授業は始まっているであろう時間帯だし、登下校の時間帯には自前(3支援学校共通)のスクールバスが運行されているので、こんな時間の路線バスで通う人がいることが意外だった。専攻科生とか、学年末で時間割が変則的だったりして、遅い時間に学校に行く人なのだろうか。
・運転士(64)が、(行き先表示器設定器の)6桁の番号を間違って入力したのが原因。
→間違ったというのは、「押し間違えた」のではなく、見間違い・勘違いなどで「別路線(大平台行き)用の番号を入れた」ということだろうか?
・代車のバスには10人ほどが乗車。
→南ヶ丘線はこの後、夕方までない。残りの6人は他路線(9時30分発御所野行きなど)に乗るつもりで待っていたら、たまたま代車が来たから乗って、途中で降りた人だったのだろう。
以上は魁より。さらに朝日によれば、→東口発着だとすれば大平台三丁目行きは422系統・横森経由桜ガ丘線。事象が発生した時刻近辺では9時30分発がある。
・南ヶ丘にある県立聾学校の生徒2人を含む、少なくとも4人が乗車できなかった。
→聾学校の授業は始まっているであろう時間帯だし、登下校の時間帯には自前(3支援学校共通)のスクールバスが運行されているので、こんな時間の路線バスで通う人がいることが意外だった。専攻科生とか、学年末で時間割が変則的だったりして、遅い時間に学校に行く人なのだろうか。
・運転士(64)が、(行き先表示器設定器の)6桁の番号を間違って入力したのが原因。
→間違ったというのは、「押し間違えた」のではなく、見間違い・勘違いなどで「別路線(大平台行き)用の番号を入れた」ということだろうか?
・代車のバスには10人ほどが乗車。
→南ヶ丘線はこの後、夕方までない。残りの6人は他路線(9時30分発御所野行きなど)に乗るつもりで待っていたら、たまたま代車が来たから乗って、途中で降りた人だったのだろう。
・東口を「乗客が1人もいないまま出発」
・「(客が東口乗り場にある)案内所に連絡して発覚」
・「行き先表示や車内放送を制御する6桁の番号入力を誤った」 →この件は後述
・「(客が東口乗り場にある)案内所に連絡して発覚」
・「行き先表示や車内放送を制御する6桁の番号入力を誤った」 →この件は後述
東口発桜ガ丘線大平台三丁目行きの表示。当然、これでは南ヶ丘に行くとは思えないこれを知った第一の感想は「対応が早い!」。
ホームページには、発生当日の夜早い段階で掲載されていた。その日のうちにおわびと今後の対応まで外部に出すとは、この会社にしてはスピーディーすぎる。
あとは「少々仰々しい」。
このような間違いはあってはならないことだし、乗れなかった客にしてみれば不安や不愉快な気持ちにさせられ、場合によっては予定変更を余儀なくされただろうから、直接の謝罪は当然するべきだ。ただ、これほど大々的に外部に公表しなくてもいいような気もした。(その姿勢は評価するべきか)
昨年だったか、僕はこのバス会社の路線バスが誤った行き先表示で運行しているのを見かけ(見ただけで乗ってはいません。それに乗り損ねた客はいなさそうだったし、今回のように複数路線がからむ複雑な場所ではなかった)、その旨をバス会社側へ伝えたこともあったが、今回のような対応はなった。
また、この会社に限らず、この手の誤りは、全国各地で散発的に日々発生しているに違いないはず(後述)だが、ホームページや報道ではほとんど取り上げられないと思う。
今回は、車内放送が聞き取れず行き先表示に頼るしかない、耳の不自由な人が乗る路線であったから、特に大きな影響が出てしまった。
ひょっとしたら学校側などから公式な抗議があったのかもしれない。それを受けて、このような対応になったのかなと、勘ぐってみたり(あくまで推察です)。
そのほか、いろいろと詮索。 ※長ったらしいのでヒマで物好きな方だけ読んでください。
・朝日新聞によれば車内放送は?
中央交通の発表と魁の記事では辻褄が合っていたのだが、朝日新聞を見ると引っかかる表記があった。
朝日では「行き先表示や車内放送を制御する6桁の番号入力を誤った」としている。これは、「行き先表示」に加えて「車内放送」も「入力を誤った」と読み取れる。
それならば、車内放送も大平台三丁目行きが流れて間違わないと辻褄が合わない。
そうだとすれば、「行き先表示を誤った」という表現では不足で、「行き先表示と車内放送を誤った」としないとおかしい。
さらに、車内からは確認しづらい行き先表示だけを間違ったまま運行するのならともかく、運転士がバス停通過に合わせて進めていく車内放送を間違ったまま、正しい経路で運行するというのは考えにくい。
南ヶ丘線と桜ガ丘線は、東口を出てすぐ次のバス停からまったく別の経路を走るので、いくらなんでも延々と違うバス停名を流しながら運行できるだろうか。
とすれば、路線自体を間違った。つまり、南ヶ丘線を運行するという自覚がまったくなく、桜ガ丘線を運転するのだと思い込んで、行き先表示も車内放送も運転経路も全部桜ガ丘線でやってしまったというのなら、まだ話は分かる。でも、それだと「行き先表示を誤った」では済まされず、「行き先表示も放送も経路も誤った」言い換えれば「南ヶ丘線を勝手に運休した(そして桜ガ丘を勝手に増便した)」ということになってしまう。
中央交通と魁が過小に伝えているのか、朝日が事実と異なる余計なことを書いてしまったか、どちらかになる。
ただ、朝日のほうが正しいとすれば、その朝日自身が「行き先表示しか間違っていない」と受け取れる表現を見出しや他の文でしているから、朝日自身の記事の中で矛盾してしまっている。ということで、朝日が間違っているように感じられる。
以下、中央交通の発表と魁の記事に従い、「行き先表示のみを間違えた」ということで話を進めます。
・乗り場は?
ホームページや報道では取り上げていないが、東口の乗り場は、南ヶ丘線は2番、桜ガ丘線は1番と隣同士だけど別。
運転士がどのように勘違いして、どちらの乗り場でドアを開けたのかにもよるが、どうだったのだろう。
行き先表示が「大平台(桜ガ丘)」で2番に入ったのなら、その時点で客から指摘があっても良さそう。
1番に入ったのなら、行き先表示だけでなく、全部(車内放送や走行経路も)間違わないと、これまた辻褄が合わなくなる。
・桁数が多い!
行き先表示は、運転席の設定器に路線・行き先ごとに決まった番号を入力すれば、前・側面・後ろとも切り替わる。
報道によれば、その桁数は6桁だそうで、思っていたより多い。これでは、入力を間違えたり、よく確認せずに思い込みで打ち込んだりする運転士が出てしまいそう。
昔は、ビデオ録画予約の「Gコード」というのがあった。最大8桁で、間違うととんでもないチャンネル・時間で予約されることもあった(エラーになることのほうが多かったはず)。ほかには通信カラオケの曲番号は6桁くらい。録画予約やカラオケは、画面でその結果が表示されるが、バスの行き先表示では、その場ではどう表示されるか(車外で見ない限り)確認できない。
かつての秋田市営バスのフイルム式の行き先表示では、数字は3桁だったはず。行き先表示の種類(コマ数)は200弱ほどだったと思う。
中央交通のLED行き先表示では、秋田市内のほか、男鹿、五城目のローカル路線や、受託しているコミュニティ路線の表示も全車両共通で表示できるようだが、それだって1000コマには満たないだろう。
機器の仕様上6桁にしかできないのかもしれないが、3~4桁に減らしてやれないものだろうか。
・自動化は?
以前述べたように、中央交通などの路線バスの運転士は、始発点で行き先表示、車内放送、運賃表示器の3つを、その路線・系統用のものにそれぞれ設定しなければならない。3つのうちどれかを間違って設定しても、今回のように気づかずに運行が続く危険性がある。
進んだバス会社では、始発点で1つの装置(放送用設定器)にだけ設定すれば、他の装置も連動して切り替わるシステムを採用している。運転士自身が耳にする車内放送を間違えたまま運行を続ける可能性は低いから、間違いは減るだろうし、運転士の労力軽減にもなる。
追加投資は必要だし、機器どうしの相性があって場合によっては取引メーカーを変えないといけないのだろうが、中央交通においても、その検討が必要ではないだろうか。
「再確認を再徹底し、再発防止に努め」るのももちろんだが、現場の運転士の負担と間違いを根本から減らして再発防止につなげることも、会社として考えるべきだと思う。
・電車のように
とは言っても、基本は目での確認だろう。
行き先表示は、車内で運転席に座ったままで設定ができてしまう。昔の幕式の時は、車内側から確認できる覗き窓があったが、LED式では物理的に不可能。
だから、車内にいては外でどう表示されているか、お客にどう見えているかは分からない。設定は正しくても機器が故障している場合も考えられるから、最終的には車外に降りて自分の目で確認するのが確実ということになる。
鉄道会社では、運転士や車掌がホームに降りて、行き先表示器を指さして確認するのを見かける。
路線バスでは、行き先表示の切り替えが頻繁で、折り返し時間がなくて難しいところもあるとは思うが、同じような気持ちを持ってほしい。
・他のバス会社では?
ここで、中央交通以外のバス会社のこと。
個人的には、弘南バスで行き先表示が違っているのを、わりと見かけている。これには理由がある。
弘南バスの幕式の行き先表示は自動停止ではなく、運転士が覗き窓から見ながら巻取り機のスイッチを操作して変える方式。だから、表示を変えるのに時間と手間がかかってしまうのだ。(もちろんLED式では、番号を入力する他社と同じやり方)
折り返しに時間がない場合などは、忘れて(中にはわざとやらなかったり?)しまう場合があるのだろう。
ところで、ポータルサイトのニューストピックスのようなところに、路線バス運行に関する不祥事が掲載されることがたまにある。
どう見てもひどい行為(法律違反・犯罪行為とか、客に暴言を吐いたとか)は別として、道を間違えたとか。
この手のニュースで、よく目にするバス事業者に、「名古屋市交通局(名古屋市営バス)」があるような気がしていた。※名古屋市営バスの先日の乗車記
そんなに名古屋の市営バスは問題を抱えているのかと思いがちだが、そうではないと考える。
名古屋市交通局が積極的に問題事案を公表していて、それにマスコミが飛びついているのが実情なのではないだろうか。
交通局ホームページで「市バス・地下鉄の事故・トラブル件数」として、毎月の件数が公表されている。
「情報開示のスピードを速め事業運営の透明性を高めること、また、職員の安全輸送に関する意識を一層向上させることにより、市営交通の輸送の安全に対する信頼構築を図るため」だそう。
事故のほかに「トラブル」として、道を間違えた「路線誤認」、時刻表より早発もしくは遅発した「ダイヤ誤認」、「バス停通過」そして「方向幕誤掲出」などの事案別に集計されている。
名古屋市バスの一部は民間会社に業務委託しているので、そこで起こった分もカウントしているのだろうか。だとすれば、「職員の~」というのは不適切になる。
「方向幕誤掲出」の場合、どの程度まで対象となるのか(始発点で発車間際に気づいて修正したような場合はカウントするのかとか)などは分からないが、今回の秋田の事案のようなものは明らかに含まれてしまうだろう。
名古屋市営バスの方向幕誤掲出は2013年度は88件、今年度は1月までに72件起きている。
それに比べれば、中央交通はわずか1件。立派じゃないか! というわけではないでしょう。もっと発生しているはず。
※バスの台数で比較すれば、名古屋市営バスは中央交通の3.5倍ほど。
ちなみに、名古屋市では2013年度に路線誤認が218件、バス停通過は131件発生している。
個人的には、秋田では(市営バス時代も含めて)、バス停通過事案のほうが多そうな気がしますが…
ほかには、前払い均一運賃の名古屋市営バスでは発生し得ないトラブルだが、「整理券番号の間違い」「運賃表示器の表示ミス」も考えられる。場合によっては、本来より高い運賃を知らずに支払わされることになってしまう。
僕は、秋田市営バス、中央交通、弘南バスいずれでも、複数回遭遇している。(運転士が気づいて訂正してくれた場合も複数あり)
中央交通でも、名古屋市のように公表しろとは思わない(社内で集計はしたほうがいいかも)し、名古屋市もやり過ぎなようにさえ思えるのですが…
とにかく、路線バスはいろいろな人が乗るものである。
南ヶ丘線だから問題になったような報道をしているが、南ヶ丘以外でだって同様の問題になる。高齢者とか旅行客とかが類似の問題に巻き込まれる可能性もある。今回のことのみを取り立てて騒ぐのではなく、広い視野で、現状の課題の把握と改善に努めてほしい。
客に接する運転士はもちろん、現場任せにせずに経営者を含めて全社一丸となって、誰もが迷わず困らず乗車できるように努力をお願いしたいものである。