鈴なり星

平安古典文学の現代語訳&枕草子Web小説のサイト

狭衣物語56・斎院と弘徽殿、榊と桜を和歌に託して

さて、今上に入内してめでたく懐妊した弘徽殿女御(女一の宮)は、11月に行われる新嘗祭の神事のため、宮中を退出することとなった。里邸は親代わりの堀川邸である。斎院の任を賜り邸を去った源氏の宮が暮らしていた部屋に移ったが、大殿が心を込めて女御に…

新種生物電気ネズミとの遭遇 その2

「…頭中将どの。何か視線を感じませぬか」「え?」急に話を振られてトリップから現実に引き戻される斉信。「何かって…い、いやだなあ綱どの!カンベンしてください、私で遊ぶのはナシですよ」「シッ騒ぎ立ててはいけません。何かがこちらの様子を伺っている…

新種生物電気ネズミとの遭遇 その1

鞍馬の森は、いつも不気味な霊気に満ちている。どこの深山もそうであるが、特にこの鞍馬山は、たとえ陽の照りつける夏の昼下がりであっても、一歩足を踏み入れれば、うっそうたる樹木に空は見えなくなるほどの薄暗さだ。ましてや今は晩秋。ひんやりと神秘的…

小夜衣49・今上、恋の葛藤の果てに

さて、兵部卿宮に姫君を連れさられてしまった山里の家では、気の毒な尼君が按察使大納言に怒りを訴えていました。「数ヶ月も行方不明だったのがようやく戻ってきてくれたと安堵しておりましたのに、宰相の君が『山里の姫はたいそうお美しくて』と噂していた…

山路の露10 逢瀬が終わり…二人をつなぐ手紙は

短い逢瀬も終わりです。夜が明けぬうちに戻らねばなりません。「浮舟。一晩語ってみたところで、納得できたことは何一つなかったよ。わだかまりも何一つ解けていない。それがつたない我が身への咎だとしても、やはりつらくてやりきれない。仏の道を求める心…

狭衣物語55・出家の夢やぶれて…

一人息子の出家を引き留めさせてくれた賀茂大明神へのお礼の参詣が近づいたある日、大殿が見た夢のお告げの内容を、母堀川の上は狭衣に詳しく伝えた。「そうだったのか…賀茂の明神は、斎院への抑え切れない私の恋慕をお咎めにもならないで、お引止めくださっ…