すやりな時間

夜唄すやり(声優、シナリオ、イラスト)の日々のあれこれや映画の感想。

2025年に見た映画の中から個人的に好きな10作品。

 

新年あけましておめでとうございます。

ここ数年の私の趣味は映画鑑賞となっておりまして、

2025年は約100本の映画を見ることができました。

 

今日は2025年に見た約100本の映画の中から、

個人的に好みだった作品を10本ご紹介してみようと思います。

 

2025年に公開した作品というわけではなく、年代は様々です。

また、ランキング形式ではありません。

 

01『タイピスト!』

 

 

特技はタイプライターの早打ち!!な女性が、

ひょんなことからタイピングの大会に出ることに!?

レトロな雰囲気がとにかく可愛い。そしてタイピング音が気持ちいい。

大会へ向けた訓練や大会当日の様子はもうスポ根モノのそれです。

恋愛模様も面白くて、凸凹コンビ感に何度も笑ったり和んだりした作品です。

 

02『オデッセイ』

 

 

火星にひとり取り残された宇宙飛行士の生き残りサバイバル。

いろいろ宇宙モノを見てきたけれど、個人的にかなり好きな作品のひとつです。

火星という未知の場所にたったひとり取り残されているのに、

まったく暗さがなくいつでも前向きで明るくいる精神の強さがかっこいい!

じゃがいも作るシーンが好き。

 

03『ブルー・マインド

 

 

思春期を迎えて心も体も変化していく少女のお話。

だんだんと人外になっていく様子と、揺れる心の描写に惹きこまれました。

私が元々人外好きということもあって、この映画はかなり好みです。

ラストにかけての展開がとても美しくて、どこか悲しくて、

現代のおとぎ話という雰囲気がたまりません。

 

04『CLOSE/クロース』

 

 

あまりにも儚くてあまりにも悲しいお話。

仲良しだった男の子たちの変わっていく関係性と、もう戻れない時間。

とても静かに紡がれる物語だけれど、どうしようもないほど想いが伝わってくる。

大人になった彼は、今も花畑を振り返ったりするのだろうか。

と、ふと考えてしまう作品。

 

05『ファースト・マン

 

 

アームストロング船長が人類初月面着陸をするまでを描いた物語。

月に行く。とてもロマンがあるお話ですよね。

ただこの映画ものすごく怖いです。(個人的な感想ですが)

あの時代の宇宙事情、宇宙船も怖いし、宇宙も怖いし、音も怖いです。

夢があるお話なのに全体的に暗い雰囲気が漂っていて、

個人的には二度目は見たくない映画となっております。

だけれどとても印象的で、心に深く残る作品だな、と思いました。

 

06『メタモルフォーゼの縁側』

 

 

年の差約60歳、BLで繋がる友情物語です。

とにかく明るく楽しい気分になれる映画で大好きです。

BL漫画という共通の趣味をきっかけにどんどん仲良くなるふたりが可愛い。

人生に趣味があるって大切なことなんだなぁ、と思いました。

年を取っていつかお婆ちゃんと呼ばれる年齢になったとき、

この作品に出てくる雪さんのように明るく可愛い人になっていたいなぁ。

 

07『トムボーイ

 

 

引っ越した先で男の子のフリをする子どものお話。

自分は何者なのか、アイデンティとは。

少ない台詞の中、様々な描写によってその心の内側が伝わってきます。

幼い妹とのやりとり、懐かしさを感じる遊びの数々、子どもたちの輪。

そこかしこに散らばるノスタルジックな雰囲気も好き。

 

08『ブラック・スワン

 

 

白鳥の湖』のプリマに選ばれたバレリーナの苦悩を描いた作品。

プレッシャーによるストレスや様々な要因が重なって、

だんだんと精神的に追い詰められ、狂っていく様子が恐ろしい。

ラストの『白鳥の湖』のシーンは圧巻。見入ってしまいます。

こういう精神的に追い詰められていくホラー作品大好きです。

 

09『海底47m

 

 

シンプルに怖いです。

檻に入って海に潜りサメを鑑賞するアクティビティに参加した姉妹。

しかし途中で事故が起き、姉妹の乗った檻は海底へ…。

酸素問題や水中に長くいることによる弊害、襲い来るサメ、とずっと怖いです。

ちゃんとサメが怖い映画です。

ラストにかけての展開もすごくて私はかなりびっくりしました。

 

10『ベニー・ラブズ・ユー』

 

※予告動画が見当たりませんでした。

 

ホラーでスプラッタだけど、愛くるしい。そんな映画です。

主人公のことが好きすぎるあまり、殺人ぬいぐるみになってしまったベニーに

襲われたり逃げたり、ときには可愛がったりする作品となっています。

ベニーは怖い。だけれど、とても可愛いです。

寂しがり屋で甘えん坊なベニーの魅力がすごい。

見た後は、きっとぬいぐるみを大切にしたくなる。

 

以上、私的2025年に見た映画からお気に入り10作品の紹介でした。

どれも面白い作品なので、興味があったらぜひ見てみてくださいね。

 

映画感想04『LAMB/ラム』羊から産まれたのは何か…。

 

『LAMB/ラム』感想

 

◇だいたいのあらすじ

 

アイスランドの山奥で羊飼いをしている夫婦は、

ある日、一匹の羊から産まれた『何か』を大切に育て始める。

 

◇感想(ネタバレ注意)

 

とても静かで淡々と物語が進んでいくホラー映画です。

ホラーだけれど、どこか穏やかな面もあって不思議な作品だと思いました。

 

山奥で羊飼いをしている夫婦は、ある日『羊から産まれた何か』を見つけます。

その『何か』を羊小屋から連れて帰り、大切に大切に育てていく。

序盤はその『何か』の正体を視聴者は知ることができません。

おくるみに包まれた羊の赤ちゃんの顔だけが見える状態です。

だけれど、どこか変だ、なにかがおかしい、と不気味な空気が漂っていて、

いったいこれからどんなドラマが起きるのだろう、と想像を掻き立てられる作りになっています。

 

ネタバレになってしまいますが、

その『何か』は頭は羊、体は人間の羊人間だったのですが…。

アダと名付けられたその羊人間を本当の家族のように迎え入れる夫婦。

なぜかベビーベッドのある家。子供部屋らしき部屋の存在。

物語が進んでいくにつれ、だんだんとこの夫婦の過去がわかってきます。

この作品はとにかく台詞が少なく、

視聴者が目で見て、情報を整理していく必要があります。

ぼーっと見ていると見逃してしまう点もあるかと思いますが、

私個人としては、この独特な静けさがとてもお気に入りです。

 

ここまで読んでくださった方はこう思うかもしれません。

「どこにホラー要素があるの?」と。

羊人間のアダちゃんには一切クリーチャー的な要素はなく、

むしろめちゃくちゃ可愛い癒しの存在です。

ホラーはそこではなく、人間の心の部分だったと私は思いました。

人間のエゴで母羊から子羊であるアダちゃんを取り上げる行為。

わが子を探す母羊を疎ましく思ってしまう妻の心の闇。

そうしたことが続いた結果とった妻のおそろしい行動。

アダちゃんを大切に大切にする一方で、だんだんと狂っていく心の動きがホラーでした。

ほかにもホラー要素はあるのですが、やっぱり一番は人の心が怖かったかな。

 

さて。私はこの作品を見るのは2回目になるのですが、

アダちゃんが本当に可愛くて、2回目の視聴でも癒しをもらっていました。

お花の冠をかぶっているアダちゃんの可愛さといったら…!!

アダちゃんは作品内での良心だと思います。

朝食の準備とかまでしてくれちゃうんですよ!?

可愛いので、ぜひ見てみてほしいです。

 

また、こちらの作品は映像がとても美しいです。

広大な土地。雄大な山々。羊たちの群れ。

たしかにホラー映画なんだけれども、同時に癒しも感じることができます。

私は動物が好きなので、羊がいっぱい見られて嬉しかったなぁ。

 

ラスト。アダちゃんがいったい何を思っていたのか。

あの後どうなったのか。

アダちゃんは夫婦と過ごした時間、幸せだったのか。

人だったのか、羊だったのか。

いろいろ考えることがたくさんあって、余韻がすごい作品でした。

 

 

映画感想03『バース/リバース』生き返らせるためならば。

 

『バース/リバース』感想

 

◇だいたいのあらすじ

 

死者を生き返らせる研究に没頭する日々を送る病理医のローズは、

研究対象として助産師であるセリアの娘リラの遺体を選ぶ。

やがてローズとセリアは出会い、死者であるリラを生き返らせようとするのだった。

 

◇感想(ネタバレ注意)

 

失ったものの大切さ、命の尊さ、問われる倫理観、

後悔と執着、人が狂っていく様子…、

様々なものが1時間半という短い時間の中に詰め込まれている作品でした。

 

幼い頃から「死」を研究し、死者を生き返らせる研究一筋の病理医のローズ。

幼い娘リラを突然失ってしまった助産師であるセリア。

2人が出会ってしまったから生まれた奇跡と悲劇がノンストップで描かれていきます。

 

もし大事な人を(もしくはペットでも)生き返らせることができるのなら。

多くの小説や漫画などの創作物で取り上げられ禁忌とされているテーマ。

助産師であるセリアはある日、体調不良の娘リラを残してひとり仕事へ。

そのあいだに容体が急変してしまったリラは亡くなってしまいます。

そんな中、なぜか遺体がローズの部屋にあり、

さらには死んでしまったはずの娘が呼吸をしていたら…。

大切な娘にもう一度会いたい。

その一心でセリアは、ローズと手を組むことになっていきます。

 

誰にも言ってはいけないローズとセリアの秘密の研究。

それらを追っていく物語となるわけですが、キャラクターが濃いです。

特にローズ。

研究一筋のローズは倫理観に欠けていて、どこかマッドサイエンティストのよう。

死体を解剖し、使えるものは使い、自分の体すらも研究の一部で。

正直まったく理解ができず感情移入することも難しいです。

一方セリアはとても常識人で、自分が担当する妊婦さんもしっかり名前で呼んだり、

明るく優しく人当たりの良い人間です。

 

そのはずなのですが…。

物語が進むにつれて、なかなか見えてこなかったローズの感情が見え隠れしたり、

娘を助けるためにだんだんとセリアが狂い暴走したり、

立場が逆転するような現象が起きているのがとても印象に残りました。

 

物語の核となるのは、やはり一度死んで生き返ったリラの存在。

意識はあるものの母を認識できなかったり、

かと思えばほんの少し手遊びをしてみたり。

リラのひとつひとつのなにげない行動にセリアは振り回され、

もっともっと、とリラを求めます。

 

ローズは研究を成功させたい。

セリアは娘を取り戻したい。

じゃあ、娘は?リラの意思はどうなっているのか。

そこが一切わからない、という点がおそろしいところですね。

 

娘を取り戻したくて、自分の手を汚すことも厭わなくなった母セリア。

それはきっと愛で。ものすごく歪んでしまった執着心という愛で。

その行為を一度許してしまったら、もう戻れないんだろうな、と思いました。

たった一度、娘視点で見た母親の顔は、

ちゃんと見知った大好きなお母さんの顔だったのだろうか。

考えただけでぞっとします。

 

私がとても印象に残っているシーンがあります。

それは序盤のバスで帰宅するシーン。

セリアはスマホに夢中で、リラは「もっとかまって」とおねだり。

作中、生き返ってからほとんど反応を示さない様子に、

とても甘えん坊で寂しがり屋さんなリラちゃんが恋しくなりました。

セリアの瞳には、生き返ったリラちゃんはどう映ったのだろう。

 

誰か幸せになれたのだろうか。

研究が成功したローズと、娘を取り戻したセリアは幸せになれたのだろうか。

私にはわからない。

ただ、どうしようもない悲しみがあったと思う。

 

 

映画館のあの独特な空気が、好き。

 

映画館が好きだ。

映画館でしか得られない、あの独特の空気感が、私は好きだ。

最近まで気づいていなかったのだけれど、

思い返してみると、私は映画館という場所がたしかに好きなのだ。

なんで今さら「好き」ということに気づいたのかというと、

たぶんそれは映画館が遠くの存在になってしまったからなのだと思う。

 

東京にいた頃は、映画館という場所はとてつもなく身近で、

「暇だな、映画でも見に行こうか」と思いついた次の瞬間には行動に移せていた。

東京から離れて暮らすようになって、その身近だった場所は一気に遠くの存在になってしまった。

気になる映画があっても上映していない。

そもそも映画館が遠すぎて気軽に足を運べない。

「ああ、気になっていた映画の上映期間が終わってしまった」

そんなことを何度も何度も何度も繰り返していくと同時に、

なんだか映画館への恋しさのようなものが胸に湧き上がってきたのだった。

もしかしたら、東京で暮らしていたらこの気持ちに一生気づかなかったかもしれない。

 

映画館という場所は、なんだか特別だと思う。

シアターが開くまでの入場待ちのあのそわそわ落ち着かない気持ち。

買ったもののネタバレが怖くてその場で開けないパンフレット。

時間つぶしに眺めるグッズ売り場。

入場アナウンスとともにシアターへと流れていく人の波。

全体にうっすらと漂っているポップコーンの香ばしい匂い。

シアターに入ったときの耳がつまったような独特な空気感。

ぎゅっと音を立てる重い扉。

座席を探しているときのわくわく感。

胸いっぱいに吸い込みたくなるシアター内の香り。

予告編が流れていくとともに埋まっていく座席たち。

暗くなる照明と謎の緊張感。

エンドロールを眺めているときの充足感。

映画が終わり照明がついた後にあるあのざわめき。

 

映画館でしか味わえない、あの独特な空気がとても好きだ。

ということに、東京を離れて初めて気づいたのだった。

もっと映画館が身近にあればいいのに。

 

もっぱらパソコンで映画を見る日々を送っているのだけれど、

たまに「この作品は絶対に映画館で見たかった…!!」

と思う映画に出会うことがある。

大きなスクリーンで迫力のある映像、美しい映像に浸る。

ある種の現実逃避のようなあの時間を想うとわくわくする。

 

目を閉じて、東京の街を歩く。

新宿駅を出て私はその場所に向かう。

私の好きな映画館は、バルト9だ。

そんなふうに、まぶたの裏で思い出の映画館に入る。

 

次に東京へ行く日はいつになるかわからないけれど、

そのときが来たら大好きな場所に足を運んでみようか。

一日映画を見て回る、そんな旅行も楽しそうだから。

 

映画感想02『エンド・オブ・トンネル』壁の向こうにいるのは誰…!?

 

『エンド・オブ・トンネル』感想

 

◇だいたいのあらすじ

 

交通事故で妻と娘を亡くし車椅子生活をしているホアキン

孤独に暮らす中、貸し出していた自宅の2階にとある親子が引っ越してくることに。

そんなある日のこと、地下室の壁の向こうから謎の話し声が聞こえてきて…。

 

◇感想(ネタバレ注意)

 

孤独に暮らす男性ホアキンの心境の変化、そして引っ越してきた親子の秘密、

壁の向こうから聞こえてくる謎の声と、その真相。

最初から最後まで見どころが詰まっていてとても濃厚な作品でした。

 

突然知らない親子とひとつ屋根の下で暮らすことになったホアキン

最初こそつっけんどんな態度を取っていたものの、

明るく奔放な女性ベルタと、無口でミステリアスな娘ベティに

だんだんと心を許していく様子は見てて微笑ましかったですね。

ただ、そんな親子にも「ある秘密」が隠されているわけなんですが…。

 

親子の引っ越しを機に生活ががらりと変わったホアキンですが、

変化はもうひとつありました。

それは、自宅の地下、その壁の向こうで誰かがなにかを行っているということ。

日頃から機械でいろいろな作業を行っているホアキンは、壁の向こうの調査を開始。

音声を拾ったり、小型カメラを通して様子を見たり。

向こうにいる謎の人たちにバレちゃうんじゃないか!?ともうハラハラでした。

 

調査の結果、壁の向こうでは銀行強盗が計画されていることが発覚するわけですが、

もう、そこからのホアキンと強盗側の攻防戦がすごかった…!!

攻防戦というか、もうずっとホアキンのターン!!みたいな。

ホアキンさんがなんでもできる男すぎて、ずっとかっこよかったです。

もちろん、ピンチに陥ったりするシーンもありますが。

強盗たちにバレないように、計画を阻止する。

ハラハラドキドキの連続で、思わず見ていて体に力が入ってしまいました。

すごい緊張感です。

 

私が特にすごいな、と思ったのは伏線の回収の仕方です。

さりげなく伏線が張られていって、それらを綺麗に回収する。

「こうなるのかな?」の予想がいい意味で裏切られたりもしました。

いやー、おもしろかった!!!

 

この作品を見るにあたって、

注目ポイントはやっぱり強盗の計画を阻止していく様子だと思うんですが、

個人的にはホアキンとベティちゃんの関係にも注目してほしいです。

妻子を失って心を閉ざしていたホアキンと、

複雑な環境にいて心を閉ざしているベティちゃん。

そんなふたりの距離がだんだんと少しずつ近づいていく描写が素敵です。

ホアキンのことが気になっているけれどまっすぐ目を合わせられず、

ちらちらと視線を投げるベティちゃんがとても可愛かったなぁ。

 

『エンド・オブ・トンネル』。

緊迫感と伏線回収がものすごい作品でした。

ホラー映画見ているときより緊張しちゃったかも、私。

あとあのクッキー、途中でベティちゃんが食べちゃうんじゃないかとハラハラしちゃった。

スリードだったのかな。

 

壁の向こうに誰かが潜んでいる。

想像しただけでぞっとしちゃいますよね…。怖すぎる…。

 

 

映画感想01『ナイトスイム』プールの中になにかいる…!?

 

『ナイトスイム』感想

 

◇だいたいのあらすじ◇

 

闘病中のメジャーリーガーのレイとその家族は、

ある日、プール付きの一軒家に引っ越すことに。

しかし、そのプールで次々と異変が起きはじめ…。

 

◇感想(ネタバレ注意)◇

 

知らずに事故物件に引っ越してしまった一家が、

庭のプールで様々な恐怖体験に襲われていくホラー作品です。

 

見ているこちら側は過去にそのプールでなにが起きたのか知っているけれど、

作中の家族は一切を知らないという形で物語が進んでいきます。

曰くつきということを知っているから、

家族が楽しそうにプールではしゃいでいる様子もどこか不気味に見えてしまう…。

 

さて、今作で恐怖体験をしていくことになる家族。

父母、娘息子と猫の4人と1匹で仲良く暮らしています。

父親はメジャーリーガーで現在闘病中。復帰を目標にリハビリをしています。

ずっとうまくいっていなかった治療ですが、

例のプールに入るようになってから、なぜか急速に治療が進んでいくことに。

と同時に、家族がプールで次々に怖い目にあっていきます。

 

プールでの異変は様々で、

正体はわからないけれどあきらかに誰かがそこにいたり、話しかけられたり、

恐ろしい姿をした者に襲われたり、知らない誰かの髪の毛が巻き付いてきたり。

とにかくプールに入る=なにかしらの異変が起きるという状態。

映画を見ながら何度「そのプールに近づくなー!!」と思ったことか。

なんで怖い思いしたのに、プールに行くの…。

私だったら絶対近寄りたくないよ…。

 

昼間は家族のほっこり日常シーンを見て、

夜になると(場合によっては昼でも)プールでびっくりホラーシーン、

という感じの構成になっていたように感じました。

ホラー映画ですが、個人的にはそこまで怖いシーンはなかったかな。

終盤でわかるプールの謎もけっこう新鮮な感じだったかと思います。

いったいその土地はどういった場所だったのか。

すべてが説明されていたわけではありませんが、それでもぞっとしたなぁ。

この映画を見た人は、引っ越す機会があったら、

その引っ越し先の土地のこととか調べたくなってしまいそうです。

 

私がとても好きだったシーンがあります。

それは水中に引きずり込まれた息子を母親が助けに行くシーン。

そこで母親は水中に潜むひとりの女の子に力を貸してもらうのですが、

そこのシーンがとても印象的でとてもよかったです。

なんで女の子は母と息子を助けてくれたのか…。

もしかしたら、息子にかつての自分を重ねていたのかな、と。

親子を助けることで、あの女の子の魂も救われていたらいいな。

 

ナイトスイム、じわじわ怖い作品でした。

次々に起きる異変と、だんだん変わっていってしまう家族の姿。

プールという本来だったら楽しいはずの場所、というのもぞわぞわしますね。

水の中に、その足元になにかが潜んでいたら…。

夏場に見たらもっと怖く感じたかも?

 

まったく関係ない話ですが、

庭にプールがあるってすごいですよね。

映画を見ているとたまにそういうおうちが出てきますが。

いつでも泳げるなんていいなぁ、と思いつつ、

管理とかめちゃくちゃたいへんそうだ、と現実に戻されるのでした。

 

 

 

いつかの遠い町にあった、あれは異空間への扉。

 

さいころ住んでいた町に所謂『クリスマスショップ』があった。

幼かった私から見ても、そのお店はとてもこじんまりとしていて、

店先の小さなツリーが「ここにクリスマスがありますよ」とささやかな呼びかけをしていた。

私はずっとそのお店のことが気になっていたけれど、

なんともいえない入りづらい空気が漂っていて、

お店の扉を開けることができないまま数年が経ってしまった。

 

数年経ってもそのお店は当たり前のように一年中クリスマスの装いをしていて、

冬じゃないのにクリスマスがあるなんて不思議だな、と思ったりしていた。

そんなある日のこと、私に転機が訪れた。

なにがきっかけだったか、もう遠い記憶のかなたに置いてきてしまったけれど、

ついにあの「一年中クリスマスのお店」に足を踏み入れるときがきたのだった。

たしか、友だちと一緒だったと思う。

 

小さな扉(小さいというより細長いが正しいかもしれない)を開けると、

チリンチリンとクリスマスに似合うベルの音が響く。

私はそのウェルカムなベルな音にすら身を縮こまらせて、

まるで立ち入り禁止の場所に入ってしまったときのように体を震わせた。

 

私にとって、そのお店はあまりにも未知の場所で、異空間だったのだ。

初めて入るお店へのドキドキ感とも違う、なんともいえない焦燥感。

縦に細長く狭い店内は、どことなく息苦しさも感じて、

自分がこの場所にいることが場違いのような、そんな気さえしたのだけれど、

それもほんの束の間。

私はすぐにお店の中の光景に目を奪われた。

そこには見たこともない綺麗なクリスマス雑貨が並んでいたから。

 

ほっぺが赤いサンタクロースの置物、美しい天使が描かれたクリスマスカード、

キラキラと繊細に輝くスノードームに雪だるまのお人形。

棚という棚にぎゅうぎゅうに並べられた雑貨は、

どれもこれも見たことのないものばかりで、とても新鮮だったのを覚えている。

どのくらいそれらを眺めていたのか。

なにか買った記憶があるが、それがなんだったのか。

子どもでも買えるささやかなクリスマスカードだったかもしれない。

もはやはっきりと思い出せないことが少し物悲しい。

 

お店を出ると、そこには日常が広がっていた。

見慣れた町の景色があった。

さっきまでたしかにクリスマスの中にいたというのに。

クリスマスのクの字も見当たらかった。

 

私はそれ以来季節外れのクリスマスは体験していない。

今もまだあの町のあの場所にクリスマスはあるのだろうか。

店先の小さなツリーは「ここにクリスマスがありますよ」と

ささやかな呼びかけをしているのだろうか。

 

小さかった私から見てもあのお店はこじんまりとしていたから、

大きくなった私に異空間への扉が見つかるかはわからないけれど。