
「成果を出すビジネスパーソンになりたい」と思う人は多いでしょう。
では、成果を出す人とはどんな人か、具体的に考えてみてください。
- 豊富な知識や理論に基づいて計画を立てる人
- あらゆる状況においてスピーディーに結果を出す人
- 先人の成功事例に学んで行動する人
こんな人を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、本当に成果を出し続けるビジネスパーソンは、こうした「技術」以前に、もっと基本的な姿勢を大切にしています。
この記事では、成果を出すビジネスパーソンが大事にしている3つの基本姿勢をご紹介します。
1. 理論より「現実」を見る
知識や理論をもとに立派な計画を立てたものの、現場の実情を知らずに机上の空論になってしまう。こんな失敗は珍しくありません。
よくある失敗
- コンサルタントが現場をよく知らないまま新しい仕組みを導入し、「現場の実態をわかっていない」と批判される。
- 他社の成功事例をそのまま真似して、自社の現場に合わず失敗する。
どんなに優れた理論も、現場で動く人たちが理解して使いこなせなければ成果にはつながりません。
また、実際の現場には「数値では測れない感情」や「状況による例外」が必ず存在します。*1
成果を出す人の姿勢
成果を出す人は、「直接人に聞く」「現場に足を運ぶ」ことを習慣にしています。
たとえば、新しい業務フローを導入するとき、現場のスタッフと会話するだけで、理論では見えなかった改善のヒントが得られるのです。
知識は「道具」にすぎません。現場という「現実」で試して初めて、成果につながる知恵になります。
7,100店舗に足を運んだスタバCEO
スターバックス創業者のハワード・シュルツ氏は、CEO復帰時に「今後数週間かけて、世界中の店舗や製造工場を訪問し、現場の声や未来のスターバックスを築くアイデアを聞いて回る」と宣言しました。*3
また、2008年の経営危機の際には、米国内の全7,100店舗を一時閉鎖してバリスタの再教育を実施するなど、現場との対話を最重視したのです。*4

2. 短期より「長期」で考える
ビジネスの世界では、スピード感をもって成果を出すことが大切だとよく言われます。
しかし、短期的な成果ばかりを追っていると、長期的な信頼や成長という、より大きな成果を犠牲にしてしまいます。*2
よくある失敗
- 「数字だけを追う」文化が強い組織では、新しいアイデアや改善提案が生まれにくくなる。
- 短期的な成功を積み重ねる一方で、組織の信頼関係や柔軟性が失われていく。
成果を出す人の姿勢
成果を出す人は、「長期目標」と「短期行動」の両方を意識しています。
たとえば、「今月の売上」だけでなく、「3年後にどんな組織でありたいか」から逆算して動く。
こうすることで、一時的な失敗も成長への通過点として意味をもつようになります。
目先の成果を追うのではなく、長期的な視点で「本当に大切なこと」に時間を使う――それが継続的な成果につながるのです。
「長期が全て」と株主に宣言したジェフ・ベゾス
Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は、1997年の株主への手紙で「長期がすべて」と宣言しました。*5
「短期利益や目先のウォール街の反応よりも、長期的に市場リーダーとしての地位を固めることを考えて、投資判断を行い続けます」と明言し、実際にクラウドコンピューティングが一般化する前からAWSに巨額投資を行い、Kindleの開発に7年をかけ、初期の10年間はほぼ無配当で利益を全て再投資に回しました。*6

3. 過去より「今」に対応する
過去にうまくいった方法があると、それに頼りたくなるのが人間の性です。
しかし、ビジネス環境は常に変化しています。過去の成功体験に固執していては、新しい成果を生み出せません。
「『このやり方でうまくいった』という記憶は安心感を与えますが、環境が変化すれば役に立たなくなる」と話すのは、『ゆるストイック』の著者である佐藤航陽氏。*7
よくある失敗
- 以前成功した方法に固執して、環境の変化に対応できない。
- 「前例がないからできない」と、新しい挑戦を避けてしまう。
過去の成功体験に固執する姿勢は、新しいやり方を身につける機会を奪ってしまいます。
新たな成果を生み出していくためには、過去の成功体験をいったん手放す必要があるのです。
成果を出す人の姿勢
成果を出す人は、ゼロベースで考える習慣をもっています。
「以前はこのやり方でうまくいったけど、今回も本当にそれでいいのか?」「前例は参考にすべきだが、別の方法もあるのでは?」と、前提を疑うのです。
「過去の経験や価値観、社会的な規範などをすべて取り除き、ゼロの状態から始める」という「ゼロベース思考」が新しい成果を生みます。
フィルム事業の成功体験を手放した富士フイルム
富士フイルムは2000年代、デジタル化の進展により写真フィルム市場が10分の1に縮小するという危機に直面しました。
しかし同社は、過去の成功に固執せず、大胆な事業構造転換を断行。デジタルカメラの推進、フィルム技術を応用した化粧品「アスタリフト」の開発、さらに医療・ヘルスケア分野への展開など、「写真フィルムメーカー」という枠を超えた成長を実現しました。
環境の変化を見据え、過去の成功体験を手放す勇気が、新たな成果を生み出したのです。
成果を出す人は、過去の成功に固執せず、「いま」の状況に柔軟に対応することを大切にしているのです。

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ここまで見てきたように、大きな成果を出すビジネスパーソンは、知識の量やスピードといった「技術」だけで勝負しているわけではありません。
理論より現実を見る。短期より長期で考える。過去より今に対応する。
こうした基本姿勢こそが、継続的に成果を生み出す土台になっているのです。
派手さはないかもしれませんが、この基本姿勢を大切にすることで、あなたも着実に成果を積み重ねていけるはずです。
※引用の太字は編集部が施した
*1 AXIS Insights|コンサルタントが「現場を知らない」と言われる理由|業界で活躍するため現場を知る重要性
*2 日経ビジネス電子版|経営者に知ってほしい、成果主義が失敗する理由
*3 Starbucks Stories Japan|「私たちにとって最高の日々は、まさに目の前にある」:ハワード・シュルツがスターバックスの展望を語る
*4 宣伝会議|10年で株価は13倍 Starbucksを復活させたハワード・シュルツの戦略を支えたパーパス・ドリブンな組織改革
*5 ダイヤモンド・オンライン|ジェフ・ベゾスの働き方「パワポ禁止、長期思考…」超合理的5大奥義
*6 note|Amazon創業者に学ぶ|ジェフ・ベゾスの5つの経営哲学と驚異の成長戦略
*7 ダイヤモンド・オンライン|「過去の経験でがんじがらめのバカ」にならない、たった1つの方法
*8 カオナビ人事用語集|ゼロベース思考とは? 具体例やメリット・デメリットを簡単に
*9 株式会社ドトールコーヒー|はじめに、お客様ありき。
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。