
複雑なタスクや、世のなかのあふれかえる情報に圧倒され、「何から手をつけていいのかわからない」「全然考えがまとまらない」「一向に課題を解決できない」などと感じている方は多いのではないでしょうか?
そんなときは、イギリスの著述家・教育者のトニー・ブザン氏によって考案された「マインドマップ」というノート法の実践が役立つはずです。情報を視覚的に整理し、頭のなかをスッキリとさせるだけでなく、新しい発想を引き出す強力なツールとして多くの場で活用されています。
しかしながら、「マインドマップって書くのが大変そう」という印象をもつ方が大半でしょう。筆者もマインドマップの実例を見ると、つい怯んでしまいます。
そこで今回は、マインドマップの基本を守りながら、できるだけやりやすい方法をご提案します。実践の際に気がついたメリットやデメリットもお伝えしますので、ぜひご覧ください。
考えをカタチに! マインドマップの仕組み
マインドマップは、頭のなかにある考えや情報を視覚的に表現する方法です。脳を広範囲に働かせる「思考整理、記憶、アイデア発想」のためのツールとしても知られています。*1 詳細は以下のとおりです。*2
基本構造と書き方・効果
- 中央にテーマや主題を配置
中央にメインとなるテーマを置く。そこから連想されることを枝状の曲線に沿って書き(アンダーラインのように)、放射状に広げていく。 - 枝ごとに関連情報を整理
中央のテーマから伸びる太い枝には、最初に連想した言葉を書き、さらに、そこから連想する言葉を、細い枝に書いて広げていく(一枝一語)。この構造により、情報同士の関係性が視覚的にわかりやすくなる。 - 図や色を活用
黒文字だけでなく絵や色を用いることで、脳が刺激され創造性が発揮される。記憶にも残りやすくなる。メインテーマは絵の表現が必須。つながりは色でまとめる。 - 最後は俯瞰する
俯瞰することで新たなつながりや要点を見つける。つながりは矢印で、大事な箇所は雲状の枠で囲む。
マインドマップの実力を示した研究
株式会社ヒューマン・リスペクトが運営する「マインドマップの学校」によれば、「あらゆる学習の理解や記憶の方法として、マインドマップを活用する」こともできるといいます。*1
事実、その効果はさまざまな研究でも明らかにされています。その一部を紹介しましょう。
たとえば武庫川女子大学の研究『大学授業における予習としてのマインドマップの活用』では、マインドマップの課題が学生の学習意欲と深い学びを促進することが示されました。*3
また、尚絅大学の研究『マインドマップを用いた教育改善の試み』では、マインドマップの活用により、学習内容の理解を促進する可能性が示唆されました。*4
つまり、マインドマップは頭のなかの整理やアイデアの発想だけでなく、学ぶ意欲を高め、学習効果を高めてくれるツールでもあるのです。
マインドマップを簡単にするアイデア創出
ただ、そのすばらしい効果を知ったとしても、やはりマインドマップの作成はハードルが高いと感じます。
そこで筆者は、マインドマップを用いて「マインドマップを簡単にするためのアイデア創出」という、ちょっとおもしろい実験をしてみることにしました。
さっそく始めてみましょう。
1. メインテーマ
マインドマップは無地の紙を横長に置いて、文字も横書きで書くことが推奨されています。*2
筆者の場合は、A4の無地のノートを横にして使いました。

まずは中央に、メインテーマのイメージを描きます。一枚の紙の上に浮かんだ雲のなかに「簡単」という文字を入れ、その周辺にカラーペンや、電球を描いたイラストです。つまり、簡単なマインドマップのイメージです。

次に、ブザン氏が「メイン・ブランチ」と呼ぶ第1階層目の太い枝を描いていきます。
6~7本までが記憶しやすいといいますが、特に決まりはないらしいので *2、ハードルを下げるべく、まずは4つにして以下を書きました。
- 時短
- 気楽
- スムーズ
- 自動化

次に、第2階層目以降の「サブ・ブランチ」と呼ばれる細い枝で展開していきます。たとえば「時短」の第2階層には、そこから連想した「シンプル」「効率化」「テンプレート」などを書き、第3階層へとつなげていきます。

第3階層目では、「時間制限⇒タイマー」「ルーチン化」「決める⇒階層」などの言葉を連想しました。

このようなかたちで、それぞれ展開してみます。その結果がこちら。

これを俯瞰して、関連性や大事なポイントを見つけて矢印や印をつけます。

大事なポイントというより、引っかかったというほうが正しい気がします。
筆者が展開を終えたマインドマップから拾ったのは、テンプレート化、パターン化、減らす、階層を決める、ひらがな、それでOK、べんり、まとまる、といった言葉。
それを「マインドマップを簡単にする方法」としてまとめてみたら、こうなりました。
- 階層を減らす
┗3階層まででOK(自然と広がるのはOK) - メイン・ブランチを減らす
┗4つでOK(増やしたい場合はそれでOK) - 漢字を減らす
┗ひらがなでOK(負担でなければ漢字でOK) - 決定の負担を減らす
┗とりあえず決まった色でOK(色を変えたければそれでOK) - 作成の負担を減らす
┗テンプレートに当てはめてもOK(無理に当てはめなくてもOK)
端的に言えば、マインドマップを簡単にするために、できるかぎり基本から逸れない範囲で「減らす」「それでOK」をキーワードに、独自の柔軟なルールをつくった感じです。
もちろん、永続的ではなくマインドマップに慣れるまでのものとして考えます。
ちなみに5番目の、作成の負担を減らすためのテンプレートは、1から4までをふまえ、こんな感じになりました。

これで、一気にマインドマップをつくるハードルが下がった気がします。
マインドマップは大変だが効果は大きい
今回マインドマップを実践してみてわかったのは、目的がハッキリしていれば、簡単なマインドマップでも課題を解決できるということでした。ですから、「大変そう」と感じて取り入れないのはもったいないことかもしれません。
まずは簡単な方法でその効果を体感するべきです。より正式なマインドマップにしていくのは、慣れてからでいいのではないでしょうか。
ただ、どんなに簡単にしても、マインドマップは手早くできるような手法ではありません。連想するのも意外と頭の体力を使いますし、作業自体もなかなか大変です。そうしたことを留意したうえで、取り入れていく必要があるでしょう。
なお、少々ストレスだったのはペンの太さでした。0.3ミリの超極細芯と0.8ミリの太芯が備わったペンを使用しましたが、前者だと細すぎて見えないし、後者だと太すぎて文字がつぶれてしまうのです。
なおかつ、細字と太字を切り替える際に、思考が途切れる感じがしたので、今後は丁度いいペンを見つけるか、もっと大きな紙に書き、ずっと太字だけで書き続けたほうがよさそうです。
いずれにせよ、今回の実践で、グッとマインドマップが身近になったのは確かです。
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今回は、マインドマップの基本を守りながら、できるだけやりやすい方法をご提案しました。筆者自身も自分でつくったテンプレートを見て、「これならいつでも取り入れられそう」だと感じます。みなさまも、よろしければお使いください! ちなみに修正テープは必須です。
*1: マインドマップの学校 | Mindmap School|マインドマップとは?
*2: マインドマップの学校 | Mindmap School|マインドマップの書き方・描き方「6つの法則」
*3: CiNii Research|大学授業における予習としてのマインドマップの活用
*4: J-STAGE|マインドマップを用いた教育改善の試み
STUDY HACKER 編集部
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