
「今日こそ昇進試験の勉強をしよう」……と思いながらも、気づけば数時間が過ぎ、結局SNSやネットサーフィンで終わってしまう。「このままでは目標達成できない」と焦る気持ちはあるのに、行動に移せない。
「目標を立てても、やる気が持続しない」
「成功したいのに、自分の理想の姿が具体的にイメージできない」
このような悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。じつは、目標達成率を上げるために重要なのはToDoリストのような「やるべきこと」を羅列する前に、「理想の姿を可視化する」ことです。
本記事では、目標達成率を上げる方法「ToBeリスト」を筆者の実践例を交えながら紹介します。単なるToDoリストとは違う方法で、キャリアアップの実現を目指していきましょう。
- 「目標を書く」と目標達成率は1.5倍上がる
- 成功者が活用するのは「ToDo」よりも「ToBe」
- ToBeリストをつくってみた
- 長期的な単位で「ToBe」を書く
- 達成されたことを「過去形+会話形式」で書く
- 「ToBeリスト」の効果・注意点まとめ
「目標を書く」と目標達成率は1.5倍上がる
将来の夢を想像することは学びや仕事の意欲をかきたてる大切なモチベーションとなります。さらに目標を実現させるためには、単に頭の中で考えるだけでなく、実際に「紙に書く」ことが効果的です。
ドミニカン大学の心理学者、ゲイル・マシューズ氏の研究報告では、被験者の1ヶ月間の目標と成果について調査を実施。目標達成に対する行動を5つのグループに分け、検証しました。それぞれとってもらった行動は、
- 目標について考えるだけ
- アンケートに目標を入力する
- アンケートに目標を書き、行動を約束する(コミットメント)
- アンケートに目標を書き、コミットメントを友人に送信する
- アンケートに目標を書き、コミットメントを友人に送信して経過報告をする
上記の5通り。
結果は言うまでもなく、2~5のグループが目標達成率が高いと判明しています。しかし、特筆すべきは「目標を書く」影響力の大きさです。グループ1の平均目標達成度は4.28点、目標を書いたグループ(2~5)は6.44点——およそ、「1.5倍の差」があったのです。*1
「将来のキャリアを頭の中で夢見る」だけでは実現力が弱く、「紙に書き出して目標達成を約束する」ことで意識上に明確に浮かび、日々の行動に具体的な影響を及ぼします。成功への近道は、漠然とした思いをアウトプットして具体化し、マインドセットを変えることから始まるのです。

成功者が活用するのは「ToDo」よりも「ToBe」
前項では、目標を書き出すことが達成率を大幅に高めることを科学的研究から確認しました。しかし、真の成功を目指すならば、単に「やるべきこと(=ToDo)」を列挙するだけでなく、「こうなりたい自分(=ToBe)」を明確に描き出すことが重要です。
経営コンサルタントの午堂登紀雄氏は、ToDoリストのみならず「成功を目指すなら加えて『TO BEリスト』も活用」することも推奨しています。*2
多くのビジネスパーソンは日常的に「ToDoリスト」を作成し、「やるべきこと」をはっきりさせます。しかし、時間が経つにつれて、これらのタスクは「やらなければならない義務」や「達成すべきノルマ」と感じられるようになり、モチベーションが低下しがちです。
一方、ToBeリストは「自分を軸に置いた能動的なタスク」だと、午堂氏。*2
「英語力を高めて海外支店で活躍したい」「仕事の効率化を学んでスピーディーな人材になりたい」など、「ToBeリスト」はToDoを達成するための「強い動機」となりえるのです。
【ToDoリストの限界】
- 時間が経つと義務感やノルマ感が強くなる
- やる気が低下しやすい
- タスク完了が目的化してしまう
【ToBeリストの強み】
- 自分を中心に据えた能動的な目標設定
- 内発的な動機づけが生まれる
- 目標達成への持続的なやる気を維持できる
加えて、「やるべき仕事(=ToDo)」より「こうありたい(=ToBe)」を重視するのは、成功者の考え方にも通じます。
英国・ヴァージン・グループの創業者、リチャード・ブランソン氏は、仕事をするとき「やらなければ」とは考えないと述べています。
“My general attitude to life is to enjoy every minute of every day. I never do anything with a feeling of “Oh, God, I’ve got to do this today.”
(私の人生に対する基本的な姿勢は、「毎日を、そしてそのすべての瞬間を楽しむこと」です。何かをするたびに、『ああ、今日はこれをやらなきゃ』なんて思うことはありません)*3 ※和訳は筆者が補った
成功者が大切にするのは「やらなければ」より「毎日のすべての瞬間を楽しむ」こと。ToDoより「理想の自分」や「理想の働き方」に焦点を向けて日々ワクワクすることが、目標達成へのモチベーションになるのです。
📌 ここまでのまとめ
- 目標を書くと目標達成率が上がる
- ToDoリストだけでなく「ToBeリスト」を活用することで目標達成率が向上する
- 「やらなければならない」という義務感よりも「なりたい自分」に焦点を当てることが重要

ToBeリストをつくってみた
実際に筆者もToBeリストを作成することにしました。作成するにあたり、参考にしたものが、株式会社アイズプラス代表取締役、EQトレーナーの池照佳代氏が実際に活用している方法です。
池照氏は自身のブログで「毎日のToDo(予定)の他に」、「年単位→長期的な単位で ToBe(どうありたいか+感情)」を書くと紹介しています。*4
池照氏が実践する、ToBeリストの具体的な書き方は以下のとおり。
- 目標・目的が達成した「ありたい姿」を詳細にイメージする
- その目標・目的が達成されたことを過去形にして書く
- しかもそれを会話形式で書く *4
特徴的なのが会話形式であること。池照氏いわく、会話形式をとるのは「脳内イメージで周囲を巻き込」むためだそうです。*4
誰かに目標を公約せずとも、自分自身で周囲に約束するイメージを描くのですね。

長期的な単位で「ToBe」を書く
今回筆者は「勉強」「仕事」「プライベート」の3つに分けて、ToBeリストと目標を紙に書き出してみました。

目標は具体的なのに対し、「ToBe」はありたい自分の姿——筆者は、やや高めの理想像を描きました。

「ありたい自分の姿」を普段想像しない筆者でしたが、たとえば「憧れの作家のようにスラスラと外国語が話せたら、活躍する幅も広がるだろうなぁ」と考えながら作成。憧れの人、あるいはロールモデルを参考にすると、ToBeリストも書きやすいですよ。
達成されたことを「過去形+会話形式」で書く
次は「ToBe」と「目標」を参考に、「達成した自分」を想像しながら「過去形+会話形式」で書きます。少々恥ずかしさも感じつつ……書き上げたのがこちら。

勉強について書き出した内容は以下です。
体調不良で何度も挫折したけど、習慣化できたのはすごい!
両方とも目標は高かったけど、計画的に勉強できたおかげだね。
STUDY HACKERの勉強術・記憶術を試したんだ。
習得できたけど、今度はそれをどう活用するの?
サークルに入って海外の人と交流を持ちたいんだね。また頑張ろう!
会話形式であるため、まるで自分で自分を励ましているようです。また、書き出しながら「ありたい姿」のイメージのみならず、「どうすれば理想に届くのだろう?」と達成までのプロセスの想像も膨らみました。

「ToBeリスト」の効果・注意点まとめ
📌 「ToBeリスト」の効果・注意点まとめ
<効果>
- ToDoより、ToBeのほうが理想的な姿のイメージがしやすく、やる気を維持できる
- 達成したあとの状況を会話形式で書くと、「どうやって達成したのか?」のプロセスを想像できる
(例)仕事:「ツールを活用して効率的なやり方を掴めるようになった」
- ToBeリストは「ありたい姿」であるため、「現実的にできないだろう」と消極的に書くと効果(意欲の向上)が発揮されない
- 「過去形+会話形式」で書くときは、漠然と「目標を達成できた!」だけでなく、達成までの方法、達成後の感情を書くと◯
(例)仕事:「作業が進むようになったら、仕事するのが楽しいよね」
上記の筆者の例を参考に、ぜひご自身でToBeリストをアレンジしてみてくださいね。
***
目標を達成させるには、現実的な目標と具体的な行動計画が必要です。でも、大きく飛躍して成長するためには、「なりたい姿」をイメージし視野を広げてみましょう。
*1 Dominican University of California|Goals Resarch Summary
*2 All About マネー|成功者は「TO DOリスト」より「TO BEリスト」を重視する
*3 Inc.|11 Richard Branson Quotes to Inspire Fulfillment at Work
*4 日々是Is'+ (アイズプラス代表 池照ブログ)|ToBeリストで目標を達成する方法
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。