「意識高いのに、なぜか不安」── “自己肯定感が下がる習慣” とは?

階段でうつむく男性ビジネスパーソン

午前5時。アラームが鳴る前に目を覚まし、静かな部屋でストレッチをして頭を切り替える。英語アプリで学び、話題のビジネス書をめくる。出勤すれば誰よりも早く資料を整え、会議でも抜かりなく準備をこなす。休日は自己投資にあて、友人からは「本当に意識高いよね」と言われる。

……それでも、心の奥にふっと広がる “足りない感覚” 。

どれだけ努力しても、なぜか不安が募る。人にほめられるほど、むしろ胸のなかがざわつく。「本当の自分は、こんなに立派じゃない」と。

じつは、こうした感覚は珍しくありません。むしろ「意識が高い人」ほど、無意識のうちに自己肯定感を下げる習慣に陥ってしまうのです。

本記事では、その理由をひもとき、自己肯定感を保ちながら成長を楽しむためのヒントをご紹介します。

なぜ “意識が高い人” ほど不安になるのか?

 
 

自己肯定感

成果の有無や他者評価に左右されず「自分には価値がある」と感じられる土台の安心感のこと。能力への自信(自己効力感)とは別物で、存在そのものを受けとめる感覚を指します。

じつは、どれだけ成長しても「自分を認める力」が育たなければ、自己肯定感はついてきません。

なぜ、努力を続けている人ほど、焦燥感や不安に陥りやすいのでしょうか?

自己改善が止まらない、満たされない違和感

英語を習得したら次はプログラミング、さらに投資に挑戦……。
次から次へと学び続ける姿勢は立派に見えますが、その原動力が「いまの自分では価値が足りない」という欠乏感だったとしたら、話は別です。

つまり、常に「まだ足りない」と感じていると、どれだけ成果を上げても「いまの自分」に満足できず、心が休まることはありません。

なぜ、成果が積み上がっているのに “違和感” が残るのでしょうか?

違和感の正体とはなにか

満たされない違和感の正体は、自己評価の “基準“ が自分の外側の結果や承認に偏っているからです。

「努力すれば必ず報われる」という前提に縛られると、達成しても満足感はなくなり、すぐに次の目標を追い続けます。

心理学では、外からの評価を得る “外発的動機づけ“ は達成後の満足が短く、モチベーションが消耗しやすいと示されています。*1

 
 

外発的動機づけ

賞賛・評価・報酬といった外部の刺激を得るために行動が促されている心理状態のことです。

では、日常のどんな場面で自己肯定感を落としているのでしょうか?

くしゃくしゃの活字入り紙が頭上に散らばる、下を向く人のシルエット。

自己肯定感を下げる「3つの習慣」とは?

「もっと成長したい」「もっと上を目指したい」

その気持ち自体はとても自然なものです。しかし、判断のものさしが自分の外側にある習慣だとしたら、知らないうちに自己肯定感が低下していきます。

自己肯定感を下げる3つの習慣

1.   比較ループ(SNS)
他人の “ハイライト” と自分の “日常” を並べてしまい、未達感・劣等感が積み重なる。努力家ほど「他人の成功=自分の未熟さ」に変換しやすい。

2.  成果主義的な自己評価
「結果=自分の価値」と考えており、失敗時は存在まで否定しがち。外からの評価に頼る外発的動機づけは、達成後の満足が短命で動機が消耗しやすい。

3.  完璧主義
「少しのミス=全否定」と考えてしまい、プロセスの価値を切り捨て、慢性的な不安と自己批判を招く。

共通項
結果・他者承認への依存。

この習慣に陥るとき、私たちの内面でなにが起きているのでしょうか?

そのヒントは心理学にあります。

書籍が並ぶ本棚の前で、セーター姿の人が両手で髪をつかみながら深くうつむいている。

心理学で読み解く “心の疲れ” の正体

意識が高い人ほど「不安と疲れ」を抱えがち。

その背景にあるのが、1954年に心理学者レオン・フェスティンガー氏が提唱した社会的比較理論(Social Comparison Theory)です。

これは、人が自分の能力や意見を確かめるとき、つい他者との比較を手がかりにしてしまうという考え方です。 *2

 
 

社会的比較理論

自己理解の深化 : 他者との比較を通じて、自分の能力・価値観・強み/弱みを把握する。

立ち位置の確認 : 集団や業界内での相対的な水準を測り、次の目標や改善点を見定める。

この理論によると、私たちは自己理解を深めたり、自分の立ち位置を確認するために、他人と自分を比べる傾向があるそうです。

現代ではSNSによってこの比較が常時オンになりがちです。タイムラインには他人の「成功の瞬間」ばかりが目に入り、その結果、努力しても「上には上がいる」という感覚が持続してしまうのです。

では、比較や完璧主義を “やめたくてもやめにくい” のはなぜでしょうか? 

じつはその原因、脳の報酬システムにあります。

ドーパミンと報酬

「やる気が出た」「達成して気持ちいい」

その背後にあるのが、ドーパミンという神経伝達物質です。 脳は報酬(たとえば目標達成や称賛)を得たときにドーパミンを分泌し、快感を与えることで再び同じ行動を促します。

しかし、その「やる気ホルモン」が、現代の情報社会では過剰に刺激されているのです。

事実、ハーバード大学の「Science in the News」によると、 スマートフォンの通知やSNSの「いいね」などの短期的報酬は、脳内でドーパミンの放出を頻繁に引き起こすと言います。*3

こうした刺激が日常的に続くことで、脳はすぐに慣れてしまい、より強い刺激を求める依存状態に陥るリスクがあるのです。

意識が高い人ほど、目標達成でドーパミンを得ようとしますが、やがてそれが「満足」ではなく「飢え」につながり、慢性的な不安と疲れを生み出すのです。

では、この悪循環を断ち切りつつ “意識の高さ” を活かすには、

具体的にどうすればよいのでしょうか?

表情アイコンが描かれた木製ブロックを並べ、最後に満面の笑顔のアイコンを手に取る。

意識は高いまま、自分を認める方法

意識の高さはあなたの強みです。しかし、それを「自分を否定するエネルギー」ではなく、「自己肯定感を高める力」に変えるには、自分をどう評価するかが大切です。

自己肯定感を高める3ステップ

1. 成果より「プロセス」をほめる
結果ではなく日々の取り組みを評価するほど、自己肯定感が育つ。
実践例
・「試験に受かった」より「毎日コツコツ続けた自分」をほめる
・「結果が出なかった」より「挑戦した自分」を認める
・  一喜一憂せず、プロセスを称える習慣をつくる

2. 「比較しない環境」を自分でつくる
他者比較の刺激を減らし、自分基準での成長に意識を向ける。
実践例
・ SNSの閲覧時間を決める/ネガティブを誘発するアカウントをミュート
・ 日記に「昨日の自分と比べて、できるようになったこと」を記録する
・ “相対評価” ではなく “絶対的な成長” を見える化する

3. 「いま」に意識を戻すマインドフルネス
不安(未来の考えすぎ)から注意を現在へ戻す。
実践例
・ 深呼吸を3回する
・ 五感(味・音・質感など)に1分だけ集中する
・ 「いまこの瞬間に集中」と心のなかで宣言して取り組む

不安とは「未来のことを過剰に考えること」で生まれます。だからこそ「いま、ここ」に意識を向けることが重要です。

「意識が高いのに、なぜか不安」
その正体は、成果に依存した評価軸、他人との比較、そして過度な完璧主義にあるのかもしれません。

***

なにかを成し遂げたから価値があるのではなく、 努力をしているあなた自身にこそ価値があるのです。いまの自分を認めながら、次のステップへ進んでいきましょう。

(参考)

*1: PHP人材開発|外発的動機付け AIE-1.pdf
*2: verywell mind|心理学における社会比較理論
*3: Science in the News|Dopamine, Smartphones & You: A battle for your time

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

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