
気づけば、年初に立てた目標がどこかにいってしまった。えーと、私、どこに向かっていたんだっけ……?
そんな経験、ありませんか?
筆者がまさにそうです。
そこで、未来を起点とした「リバースノート術」を取り入れることにしました。現在を起点にすると「どこに向かっているのか」を見失い、目的と行動がズレてしまうからです。
その失敗をふまえ、1冊のノートで「目的と行動の接点」を可視化することに――。すると、じつはこの方法は関連する研究知見とも一致していたのです。
いまこの年末から始めれば、軸がしっかりした状態で新たな年をスタートできるはずです。実践を交えて詳しく説明しましょう。
未来から始める「リバースノート」
「どこに向かっているのか」を見失ってしまうなら、向かう先を起点にしてしまえばもうブレない。そう考えたのが始まりです。
したがって「リバースノート」とは、未来→現在→過去の順番で書く1年ノートです。
「未来」の部分には “特定の物事を達成した状態” を書き入れます。そこからスタートして「いますべきこと」を組み立て、なおかつ進捗(過去)を確認して軌道修正しながら、行動が目的から離れないようにするのです。
進め方は次のとおり。
STEP1.【未来】1年後の状態を書く
まずは1年後の状態を書き出します。仕事でも、スキルでも、体型でも、交友関係でもなんでもOK。
- リーダーとしてプロジェクトを回せるようになる
- 語学が堪能になっている
- 体重○○キロになりスリムになっている
- ○○な職業の人と友達になっている
筆者の場合はこんな「未来」を書きました。
- 部屋のものが半分になっている(断捨離すべて実行済)
- ナレッジクリエイター(SF映画×科学解説)としての副業が軌道に乗っている

今後書き足せるように、余白たっぷりで使います。
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STEP2.【現在】いまできることを書く
STEP1で「1年後の状態」を書いたら、それを起点に「現在」の行動を考えます。その未来をつくるために "いまできること" を洗い出す作業です。
- プロジェクト管理の本を読み始める
- 語学レッスンの計画を立てる
- 運動時間を固定枠としてカレンダーに登録
- ○○系ワークショップに積極的に参加するべくリサーチ
これで未来と現在が線でつながりました。
筆者が書いた「現在」はこちらです。
- 家のどの箇所を何月に断捨離するのか決める(ノート・該当の場所に明示)
- 活動の場となるプラットフォーム(note、Brain、Udemyなど)を選択して登録
これらは "いまできること" なので年内から実施可能。済んだものにはチェックと日付をつけていきます。

続けて "いま見通しが立つこと" も書き出します。こちらも済んだものにはチェックと日付を入れておきます。筆者はこのようにしました。
- 断捨離に関して
→クローゼット左から―1月、2月、3月、4月
→エアコン下のスーツケース数個―5月、段ボール―6月
→キッチンうしろの雑貨―7月
→食卓横の棚―8月
※以降はのちに計画 - ナレッジクリエイター活動に関して
→ターゲット分野とテーマをひとつに絞る(SF×科学解説)―12月1日 済
→コンテンツの型を決める(深掘り記事×まとめ)―12月1日 済
→テーマをざっくり決める(1月は多世界解釈、2月はインフレーション理論、3月は弦理論など)―12月1日 済
→試作コンテンツを3本つくって反応をテスト(書き方やテンポをつかむ)―1月
→継続ルールを設定(最低週1本など)―1月
→SNSやコミュニティで試験的に発信―2月
※以降はのちに計画
こちらもあとで書き足したり、修正したりした際に困らないよう、見開きでたっぷり余裕をもってノートを使います。

STEP3.【振り返り】進捗を確認して軌道修正
ここからは、新年をスタートさせたあとの活動になります。
振り返りながら「どれだけ進んだか」「継続しているか」「方向性は間違っていないか」を確認し、必要に応じて軌道修正を行なうのです。週1・月1など無理のない頻度で進めるのがいいのではないでしょうか。
継続することが大事なので、日々の詳細な記録までは不要とします。例を示しましょう。
- 語学学校は今月1回しか行けなかった → 来月は朝の時間に変更
- 運動は続いている → この調子でいく!
つまり、このノート1冊のなかには「目的・行動・振り返り」が一本の軸として通ることになります。

画像の引用元:【2025年度版】STUDY HACKER編集部がおすすめの "生産性アップノート" 5選
毎回ノートを開くたびに、「そもそも何のためにやるのか」が自然と目に入るため、ズレが起きにくくなるはずです。
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なぜ「リバースノート術」が効果的なのか?
この年末から「リバースノート術」を始めたことで、筆者が実際に感じた効果をお伝えします。
- 目的意識が明確になる
- 行動の優先順位が整理される
- 進んでいる感が見えモチベーションが保たれる
- まだ「実行していないこと」が明示され行動を後押しする
- ノートが「目標・行動・振り返り」をつなぐ軸になるため「まずこれを見ればいい」と感じる(注意を向ける先が分散せず負荷が少ない)
また、実際に「リバースノート術」の効果には裏づけがあります。
心理学者のエドウィン・ロック氏と、ゲイリー・P・ラッサム氏は、漠然とした目標よりも、明確に定義された目標のほうが、高いパフォーマンスをもたらすと明らかにしました。*1
元ユナイテッドアローズ Chief Digital Officer(最高デジタル責任者)藤原義昭氏は、変化の激しい現代において本来の目標が思うように進まない場合、「目標からの逆算、すなわちゴールを起点とした思考法」が必要だと語ります。*2
加えて、行動変容の維持に関する行動理論では、自己調整(Self-Regulation)プロセスにおける「行動→フィードバック→修正(調整)」のサイクルが、習慣の定着(行動の維持)に不可欠であると説明されています。*3
それに、目的と行動をノート1冊で管理して、複数のツールに情報が散らばらないようにすることは、脳の負荷を減らすことにもつながるはず。
ちなみに、「紙ノートへの書く行為の方がタブレット端末に比べ脳への負荷が低いことを示唆」した研究も発表されています。*4
これらはすべて、「リバースノート術」に当てはまること。つまり、このシンプルな「リバースノート術」は、目的から遡って行動を整える、非常に有用なノート術なのです。
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この手法は年末のいまこそ始めどき。「未来」と「現在」の部分をちょっと書き出すだけでも、目標に近づいていく感覚が得られるはずです。
未来を起点に設計するというシンプルな構造は、想像するよりもずっと「自分を迷わせない強い軸」となります。
新しい1年をより主体的に歩むための1歩にしてください。
*1: ResearchGate|(PDF) A Theory of Goal Setting & Task Performance
*2: 日経クロストレンド|「逆算の戦略」が必要な3つの理由 マーケターのための"最強"戦略論
*3: PMC|Theoretical explanations for maintenance of behaviour change: a systematic review of behaviour theories
*4: コクヨ|コクヨS&T、ノートへの手書きの良さを脳波で研究
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。