
せっかくの休日なのに、だらだら過ごしているうちに時間が過ぎ、気がつけば夕方になっている。週末たっぷりと寝ているのに、月曜の朝からパフォーマンスが上がらない。
そんな "休み下手" なビジネスパーソンが押さえるべきなのは、戦略的な休息の指針となる3つの黄金比です。あなたの週末を、翌週の成果につながるものに変えませんか?
休日の時間価値は平日の約2倍「1:1.88」の法則
ここで質問です。あなたは、ご自分の仕事中の1時間と休日の1時間を、それぞれ何円で買うことができると考えていますか?
時計メーカーのセイコーが実施した「セイコー時間白書2020」によると、回答者たちに自分の1時間の価値を値づけしてもらった結果、興味深いデータが得られました。1時間の価値の平均は、仕事・家事・勉強の時間であるオンタイムが4,443円、プライベートなオフタイムが8,346円。その比はおよそ「1:1.88」です。
つまり、休日の1時間は8,000円超の価値があるということ。ROI(投資対効果)の観点から考えれば、この貴重な時間を漫然と過ごすのは、ビジネスパーソンとして大きな機会損失ではないでしょうか。
とはいえ、休日は疲れをとりたいし、ゴロゴロする時間も欲しい……という方も多いはず。そこで参考になるのが、精神科医の西多昌規氏がすすめる休み方のポイントです。
動的な休み方と静的な休み方を使い分ける
ゆっくり寝たり家でのんびり過ごしたりするのが「静的な休み方」。一方、外出したり外で体を動かしたりするのが「動的な休み方」です。
西多氏によれば、どちらかが優れているわけではなく、そのときの自分に合った休み方を見つけることが大切なのだそう。
休日の一日を2分割もしくは3分割にして過ごす
ただし、いくら疲れている日でもゴロゴロしてばかりいるのは、精神医学的によくないと西多氏は指摘します。家のなかにこもっていると気持ちがネガティブになりやすく、疲れをとるどころか増やしかねないからです。
西多氏が有効だと語るのは、休日を2分割もしくは3分割にし、計画的に一日を過ごすこと。午前/午後、もしくは午前/午後/夜のように一日を分割して、それぞれの時間で行動を変えるのです。
たとえば、午前中は体を休ませるためにベッドの上でゴロゴロし、午後は精神をリフレッシュするために外出して体を動かす、といった具合です。
静的な休みと動的な休み、どちらに偏っても充分な休息を得ることはできません。平日の1.88倍もの価値をもつ休日を戦略的にマネジメントし、心身をしっかりとリフレッシュさせましょう。

休日の睡眠時間は「平日+2時間以内」に抑える
月曜の朝、重要な会議やプレゼンがあるのに頭がボーッとして集中できない。その原因は、週末の過ごし方にあるかもしれません。
企業向け睡眠改善プログラムを提供するニューロスペースがビジネスパーソンに対して行なった調査(2018年)によると、自身の睡眠に不満がある人は74%。休日に寝だめをする習慣がある人の割合は65%に上りました。
ただ、産業医で睡眠に関する著書ももつ穂積桜氏は、そうした寝だめの習慣に警鐘を鳴らしています。理由は、休日の睡眠時間を平日より大幅に増やすと、そのぶん体内時計も後ろ倒しになってしまうから。
たとえば週末に3時間寝だめをしたら、体の働きも3時間遅れます。その結果、休み明けの仕事中に、本来眠くないはずの時間に眠くなる、食欲が落ちる、集中力が低下するといった心身の不調が発生。さらに、この不調から回復するには3~4日もかかってしまうのだそうです。
また、秋田大学大学院教授で睡眠研究が専門の三島和夫氏によれば、特に夜型の人は注意が必要とのこと。夜型の人は週末に夜更かしをしがちで、休日になると大胆に寝坊するケースが多いもの。週末の寝だめがさらなる夜型化を引き起こし、体内時計を大幅に狂わせることで、休み明けの不調をいっそう深刻なものにしてしまうのです。
穂積氏によれば、こうした負のサイクルを招かないためには、週末の寝だめを極力減らすことが肝心。とはいえ、寝だめには疲労解消のメリットがあることもたしかなので、寝だめはせめて2時間以内にするべきだと穂積氏は提唱しています。
つまり、睡眠時間は「平日:休日=n:n+2」の比率におさめるべきだということ。
なお穂積氏によると、睡眠時間は日頃から最低でも6時間は確保すべきだそう。5時間を切ってくると心身に不調が出やすくなります。平日は最低でも6時間眠り、休日はそれより少しだけ長く睡眠をとる——寝だめは計画的に行ないましょう。
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休日の勉強をはかどらせる「20:8:2」のルール
日本能率協会の調べ(2017年)によると、休日に実際に勉強をしているビジネスパーソンは、男性5.4%、女性3.8%。休日に勉強したいと思う人は多いのに、実際にできている人は少ないのが現状です。
経営コンサルタントの小宮一慶氏も、休日に勉強することの重要性を強調しています。仕事中の勉強(オン・ザ・ジョブ)により、仕事自体はスムーズに進められるようになっても、仕事の本質までを理解するのは難しいからです。
たとえば、経理担当の人が財務諸表を見ることはできても、そこから会社の課題を見いだすことまではできない場合、その人には財務諸表そのものについての勉強が足りません。小宮氏は、こうした仕事の根幹となる基礎の部分を休日に勉強するべきだと述べています。

しかし、休日には時間がたくさんあるからといって、デスクに長時間かじりつきっぱなしで勉強するのはよくありません。休憩をとらずに勉強することは、一見集中できているようでもじつは効率の悪いやり方なのです。
まず、勉強中の休憩は「ワーキングメモリ」の機能を低下させないために重要です。ワーキングメモリとは一時的に情報を蓄える脳の機能のこと。低下すると、勉強を頑張ってもすぐに忘れてしまったり、複雑な問題が解けなくなったりします。
また、集中力の維持のためにも休憩は欠かせません。みなさんも体感的に、集中力は常に高いわけではないことを知っているでしょう。東京大学教授で脳科学者の池谷裕二氏は、勉強中の中学生の脳波を測定する実験により、適度な休憩が集中力回復に効くことを明らかにしました。
そこで、休憩しながら勉強の効率を上げるために、「20分座って勉強→8分立って勉強→2分休んで歩く」という方法を実践してみてください。これは、コーネル大学経済学部教授のアラン・ヘッジ氏が推奨する方法です。
このサイクルで定期的に立ったり歩いたりすることで、脳血流が増し、頭がよく働くようになります。「立つ・歩く」という行動は、勉強中のいい気分転換にもなりそうです。
参考書は、長時間座ったまま読むのではなく、時には立ち読みしてみる。気分転換がてらふらりと歩いてみる。そんな「20:8:2」のルールを守りながら、休日のスキルアップを最大化させましょう。
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正しい休み方の指針となる3つの黄金比に沿って、ぜひみなさんの休日をよりよいものにしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 休日も仕事のことが頭から離れません。どうすればオンオフを切り替えられますか?
A. 物理的な区切りをつくることが効果的です。たとえば、金曜の退勤後に「週末モード」に切り替えるルーティン(着替える、散歩する、好きな音楽を聴くなど)を設けましょう。また、仕事の通知をオフにする、業務用のPCやスマホを視界に入らない場所にしまうといった環境づくりも有効です。
Q. 休日にやりたいことがたくさんあって、結局どれも中途半端になってしまいます。
A. 本記事で紹介した「2〜3分割」の考え方を応用しましょう。休日の前夜に「午前はこれ、午後はこれ」と最大2〜3つに絞って予定を立てておくと、充実感を得やすくなります。すべてをこなそうとせず、優先順位をつけることがポイントです。
Q. 「20:8:2」のルールは、勉強以外にも使えますか?
A. もちろん使えます。読書、オンライン学習など、さまざまなシーンに応用可能です。座りっぱなしによる集中力低下を防ぐ方法なので、休日に限らず、在宅勤務中のパフォーマンス向上にも役立ちます。
*1 セイコーホールディングス|セイコー時間白書2020 調査結果
*2 まいにちdoda|休日にゴロゴロ…だけでは疲労は増幅!? 今日からはじめる「休み方改革」
*3 PR TIMES|【2018年度「企業の睡眠負債」実態調査】ビジネスパーソンの働き方に起因する3大睡眠課題が判明、7割以上が自身の睡眠に不満、働き盛りの女性の睡眠課題大
*4 一般社団法人日本能率協会 JMA|ビジネスパーソンの"今"をデータで読み解く 第8回「ビジネスパーソン1000人調査」【休日の過ごし方編】
*5 プレジデントオンライン|仕事の根幹となる基礎を休日に学べ ― 動乱期こそモノをいう勉強法【3】
*6 朝日新聞デジタル|集中力の維持と長期的な学習効果につながる方法(東京大学・池谷裕二教授の見解)
*7 Cornell University Ergonomics Web|Sit-Stand Working Programs
STUDY HACKER 編集部
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