大事なことが、いつも後回しになる人へ|心理学的時間管理術「POSECメソッド」

モヤモヤしたまま1日を終えていたビジネスパーソンがPOSECという光を見つける

「今日やること」が山積みなのに、なぜか手につかない。仕事の優先順位が曖昧なまま、ただ時間だけが過ぎていく——そんな日々に、心当たりはありませんか?

たとえば、朝イチで「本当に大事な仕事」を始めるつもりだったのに、気づけばメール対応や雑務に追われ、結局まとまった時間が取れなかった……。

そして、モヤモヤしたまま一日が終わる。

こうした時間の迷子状態に陥らないためには、ただ「タスクをこなす」以上に、「なぜその行動をするのか」を意識できる時間設計が必要です。

この記事では、心理学者マズローの理論をベースにした「POSECメソッド」という時間管理のフレームワークをご紹介します。

さらに、実践例とともに、

  • なぜこの手法がモチベーションの維持に役立つのか?
  • どうすれば今日から自分の時間に活かせるのか?

を、具体的にお伝えします。

「やるべきこと」と「やりたいこと」がバラバラになる状況が多いなら、自分らしく、前向きに、時間を整える方法を一緒に探りましょう。

POSECメソッドとは?

POSECとは、次の5つのステップの頭文字から名づけられた時間管理戦略のことです。*1

  • P:Prioritize(優先順位づけ)
  • O:Organize(整理)
  • S:Streamline(効率化)
  • E:Economize(節約)
  • C:Contribute(貢献)

このメソッドは、人間の欲求の階層構造を示すマズローの欲求段階説に基づいています。*2

マズローの欲求段階説とは、「アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した、人間の欲求が生じるメカニズムを階層化した理論」のこと。*3

低次の欲求(生理的要求や安全欲求など)が満たされることにより、より高次の要求(自己実現欲求など)が生じるとされています。*3

そのため、スケジュール管理と時間管理アプリ「Calendar」の共同創設者 John Hall 氏は、POSECメソッドの目的を、「私生活を犠牲にすることなく目標を達成できるように導くこと」と伝えています。*2

つまり、POSECは、決まった手順に従う方法論ではなく、何が大切で、何に時間を割くべきかを考えるための、柔軟なフレームワークなのです。

マズローの欲求段階説とPOSEC

なぜPOSECでモチベーションの維持が可能?

「PlanArty」などで時間管理術を発信しているエコノミストの Mariana Holostenco 氏は、POSECを適切に導入することで、私生活と仕事のバランスを良好に保ち、維持することが可能だと述べています。*1

マズロー理論では「基本的欲求を満たすことが、自己実現への第一歩」とされていますが――

POSECもまた、以下の段階を通じて、よりよく生きる時間の使い方を支援してくれます。

  1. 目標と向き合い(Prioritize)
  2. 生活と仕事を整え(Organize)
  3. 日常を効率化し(Streamline)
  4. 無駄な浪費を減らし(Economize)
  5. 他者や社会への貢献へつなげる(Contribute)

こうした、マズローの欲求段階説と親和性のある目的志向のステップ構造が、モチベーションを保ち、仕事効率を高めてくれるのです。

さらに具体的に言えば、POSECメソッドがモチベーション維持に効果的な理由は、次のような点にあります。

  • タスクが「目的」や「価値観」と直結しているため、やるべき理由が明確になる
  • 成果に直結するタスクから取り組むので、達成感と自己効力感が得られやすい
  • 他者貢献まで含めた構成が、承認欲求や社会的充足感にもつながる

ただ「やること」をこなすだけでなく、「なぜそれをやるのか」を意識することで、内発的モチベーションが高まりやすくなるのです。

モチベーションが高まっているビジネスパーソン

実践:POSECの5ステップを試してみた

ここからは、筆者の実践をご紹介しましょう。「POSECメソッドを使って仕事をどう整理・改善するのか」が見えてくると思います。

仕事内容は「記事の執筆」に絞り込み、前出の John Hall 氏による、POSECの手順を参考にしました。*2

1. 優先順位づけ(Prioritize)

まず、価値観と目標を明確化し、それに沿ったタスクを洗い出します。以下の内容をノートに書き出してみました。(以下抜粋)

  • 【最も重要な価値観】:読者が「やってみよう!」と行動に移せること  
  • 【目標】:読者の仕事や勉強の効率化という「小さな変化」を促すこと 
  • 【タスク】:
    ┗リアルな声(悩みなど)を拾う
    ┗メソッドの検索・解釈・分析
    ┗価値あるメソッドを、実践しやすいかたちに分解してテンプレート化

2. 整理(Organize)

次に、やらなければならないことをリストアップして、分類します。

  • 【仕事関連】:
    リサーチ(仕事術・勉強法・ターゲット・専門家)
    記事制作(構成・執筆・修正)

  • 【用事】(筆者の場合は編集調整・進行管理・対外連絡ほか):
    フレームワークのテンプレ作成・進捗報告・デスクまわりの掃除

  • 【自己啓発】:フィードバック内容の整理・WEB記事研究・ビジネス書研究

そして、それらをスケジュール化。

POSECメソッドのカレンダー

3. 効率化(Streamline)

ポモドーロ・テクニックを導入し、集中力と休憩のバランスを調整しました。

4. 節約(Economize)

最も集中できる10時〜12時の時間帯に重要タスクを配置して、限られた時間を最大限に活用します。

5. 貢献(Contribute)

最後に、自分のスキルや時間をどう他者に還元できるか、メモをとりながら思案。

POSEC最後のステップ「「貢献」」

(以下抜粋)

  • 行動のきっかけを読者に与える
  • 読者の迷いや悩みを解消する
  • 読者の悩みを言語化してモヤモヤを解消
  • 自分をよりよく変えていこうと前向きになってもらう

こうしてまとめたPOSECメソッドのメモをもとに、実際に仕事をしてみました。

実践の感想とアドバイス

では、最後に実践で感じた「メリット・デメリット・ちょっとした気づき」をご紹介しましょう!

メリット

  • タスクの「意味」を考えることで、無理なく優先順位をつけられるようになった
  • 日々の積み重ねが目標につながっていると実感でき、やる気が継続した

デメリット

  • 初期の洗い出しに少し時間がかかる
  • 「貢献」のステップはやや抽象的で、慣れるまで戸惑うかもしれない

気づき

  • このメソッドに慣れないうちは、「今日のToDoを3つに分けて考える」だけでもOKかも?
  • 自分にとって大切なことが何か、言葉にしてみることが第一歩だと感じた

***
POSECメソッドは、ただ効率を追い求めるのではなく、「目的に沿って時間を整える」ためのフレームワークです。

1日のなかに「自分らしさ」と「他者とのつながり」を取り戻したいあなたにこそ、このメソッドはきっと役立ちます。

今日という時間を、少しだけ未来の自分のために整えてみませんか?

(参考)

*1: Productivity solution|The POSEC Method
*2: Calendar|Take Control of Your Time: The POSEC Method to Enhanced Productivity
*3: 一般社団法人日本経営心理士協会|マズローの欲求段階説

【ライタープロフィール】
上川万葉

法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。

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