知らぬ間に味方がいなくなる。「誤解されやすい人」の言動

屋外で話すビジネスパーソンたち

同僚に気を遣ったつもりの言動が、誤解されて距離を置かれてしまった。

状況を説明しただけなのに、「言い訳している」と受け取られてしまった。

——このように、自分の発言が意図しないとらえ方をされてしまい、人間関係に影響を及ぼした経験はないでしょうか。

もちろん、聞き手が必要以上に歪んだ解釈をしている場合もあるでしょう。それは聞き手側の問題です。しかし、話し手がちょっとした配慮の姿勢を意識できれば、誤解されないように備えることができます。

そのかなめとなるのが「メタ認知」です。本記事では、メタ認知をもってどのように発言すれば誤解を防げるのか、3つのパターンを紹介していきます。

誤解されやすい人の特徴的な言動パターン1. 相手の受け取り方を想定しない

自分の発言が思いも寄らない受け取られ方をして焦った経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。筆者は「自分の発言がどのように受け止められるか」ということにまで考えが及ばなかったときに誤解されることが多かったように思います。

たとえば、学生のころの筆者がカフェでアルバイトをしていたときのこと。一緒にシフトに入っていた先輩に「腰を痛めてしまったんです」と、深い意味もなく伝えたことがあります。

筆者としては出来事をただ共有しただけなのですが、先輩は「腰が痛いから作業があまりできないということを暗に伝えたいのだ」と解釈したようでした。その日は重いものを運ぶ作業はすべて先輩が代わってくれて、配慮が足りない発言だったと反省したものです。

「日常会話は多くの場合、省略表現を含み、あいまいだったり多義的だったりするため、その解釈は聞き手の感情、思い込み、知識などに左右されることが多い」と話すのは、認知心理学者で大阪大学名誉教授の三宮真智子氏。*1

聞き手によって解釈が異なる場合があることを意識せずに思いつくままに話してしまっては、あらぬ誤解を招きかねないのです。

そこで三宮氏は、「メタ認知の手法で、自分の発言が相手にどう受け止められるかを考え、相手の発言を第三者の視点で解釈し直す心掛けを持つことが大切だ」と話します。

メタ認知とは、自らの思考や行動を俯瞰してとらえること。

たとえば次のように、これから発言しようとしている内容を俯瞰してとらえ直してみるのはいかがでしょうか。

  • これから発言しようとしている内容は、自分が思っている以外のとらえ方ができるか?
    →できるのなら発言を控えたり、表現を変えたりする
  • 自分の発言に対してどのような反応を期待するのか?
    →期待する反応のイメージが湧かないのなら、その発言の影響を把握しきれないということなので、発言を控える
  • 自分が相手の立場だったら、これからしようとしている発言をどのように受け止めるか?
    →相手が置かれている状況を想像できないのなら、発言に慎重になる

企業やトップリーダーのコーチングなどを手がけるレミー・ブルーメンフェルド氏は、「人は誰もが自分自身のニーズという強力なフィルターを通して他人の声を聞いており、そのフィルターによって聞く内容が変化してしまう」と言います。*2

人は話を聞くとき、「自分」というフィルターを通して聞いているもの。そのため、発言が思ったとおりの受け止め方をしてもらえると過信してはいけません。

常に相手の立場に立って考えながら話す心がけが大切なのです。

 
 

【改善のための視点】

  • 発言前に、別の解釈がされる可能性がないか想像する
  • 期待する反応が思い浮かばない場合は、発言を控えるか表現を変える
  • 自分が相手の立場ならどう感じるかを短時間でシミュレーションする

部下の話を聞く上司

誤解されやすい人の特徴的な言動パターン2. 言葉足らずで必要な情報を伝えきれない

背景や真意を省きすぎると、言葉の穴を相手が埋めてしまい、誤解が生じます。

たとえば次のような状況を考えてみましょう。

Aさん:「Bさん忙しそうですね。なにか手伝えることがあれば言ってくださいね」
Bさん:「(いつもAさんに負担をかけてしまって申し訳ないから)いえ、大丈夫です」
Aさん:「(余計なお世話ということ? もう声かけるのをやめよう)……わかりました」

もしBさんが「ありがとうございます。でも、いつもAさんに負担をかけてしまって申し訳ないので、今回はもう少し自分で頑張ってみます」と、発言の真意を言葉にしていれば避けられた誤解です。

ブルーメンフェルド氏も「あなたの行為や頼みごとの裏にある意図を聞き手に理解させることで、聞き手側の(誤った)解釈が加わる可能性は減る」と話します。*2

業務上のちょっとした誤解だとしても、それが積み重なればあなたという “人となり” までも誤解されかねません。

そのような悲しい事態を避けるためには、「相手の立場に立って考える」というメタ認知の活用したうえで、不足なく情報を伝えることが必要です

  • 言葉に不足はないか?
  • どのような言葉で補えば真意が伝わるか?

人が意図を誤解するのは、発言の背後にある動機や背景が伝わらないからです。自分の言葉を振り返りながらコミュニケーションをとれば、よりよい信頼関係を築けるでしょう。

 
 

【改善のための視点】

  • 断る際は、感謝を添えてから断る
  • 背景や理由を短く説明する(例:「今回は自分でやってみたいので……」)
  • 相手の立場をふまえ、安心できる情報を付け足す

談笑するビジネスパーソンたち

誤解されやすい人の特徴的な言動パターン3. 余計なことをしゃべりすぎる

言葉足らずは誤解を生むとお伝えしましたが、情報を盛り込みすぎても誤解を招きます。

上司から資料作成の進捗を聞かれたときを例に考えてみましょう。

上司:「明日の11時までに資料作成をお願いしていたけど、問題なく進んでいる?」

Aさん:「作業を進めようと思っていたのですが、参考にしようとしていた資料が届いたのが締め切りの直前で……。Bさんには早く資料を送るように言っておいたんですけど……」

上司:「(人のせいにして言い訳しているのか?)期限に間に合わないということ?」

Aさんとしては事情を話したいだけなのに、話せば話すほど言い訳がましく、責任を人に押しつけているような印象を与えています。

このように余計なことを喋りすぎてしまうのは、「話すべき範囲」が明確になっていないせいかもしれません。

東京成徳大学経営学部客員教授でカウンセラーの梶原しげる氏も「過不足のない発信は難しいからこそ、あらかじめ『ここまでは話す、この先は黙る』という線引きが重要」だと述べています。*3

先の例で言えば、Aさんは以下のように話すべき範囲を決めて置く必要がありました。

  • 事実と原因を簡潔に伝える
  • 具体的な背景は聞かれたら答える
  • 話す内容は、自分の責任に関わる範囲にとどめる

これらを意識すると、「締め切りを◯時間ほど過ぎてしまいそうです。△△の資料が届いたのが直前で、対応が遅れてしまいました。早めに確認を入れるべきでした」のように伝えることができます。

このように話す内容を整理できれば、必要以上に不信感を与えずに済んだはずです。

不用意なしゃべりすぎを防ぐために、さまざまな状況を想定して、事前に「話すべき範囲」を決めておくといいでしょう。

想定できる状況の例

  • 上司から進捗確認をされたとき
  • 謝罪が必要なとき
  • 信頼関係が浅い人とやりとりするとき

このように、状況に応じて「なにをどこまで話して、なにを話さないか」を事前に決めておくのです。

この場合も「それを話してしまって本当に大丈夫?」というメタ認知の視点が、誤解を防ぐカギとなります。

 
 

【改善のための視点】

  • 事実と原因は簡潔に伝える
  • 背景は聞かれたら答える
  • 自分の責任範囲に関する情報にとどめる

話し合うビジネスパーソンたち

***

ここまで見てきたように、「相手の受け取り方を想像する」「必要な情報を不足なく伝える」「話す範囲をあらかじめ決める」という3つの視点は、どれもメタ認知によって実行しやすくなります。

自分の言葉がどのように受け止められるかを一歩引いて考えることで、意図しない誤解を防ぎやすくなるでしょう。

日々の会話でメタ認知の習慣を身につければ、相手との信頼関係をより確かなものにしていけます。少しずつでも大丈夫。ぜひ取り入れてみてください。

※引用の太字は編集部が施した

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト