節目 × WOOP(ウープ)で作る新習慣。——習慣定着を成功させる ”科学的方法”

パソコン作業の途中で何かを考えているビジネスパーソン

忙しい毎日のなかで、気づけば理想の自分から少し離れていたり、以前は続いていた習慣が途切れていたりする――。

そうして「なんとか習慣を立て直したい」と思うとき、私たちはしばしば「気合」や「根性」で取り戻そうとする傾向があります。

でも、じつはもっとシンプルな方法があるのです。

それは、「節目の力」を使うこと。

新しい週、月、年――こうした "区切り" のタイミングは、心理的にも行動を変える絶好のチャンスです。

この記事では、「時間的節目」が習慣リセットに最適な理由を解説。そのうえでビジネスパーソンに向けて習慣を立て直す実践例と、それを無理なく続ける工夫をご紹介します。

節目が「心理的リセット」の好機になるワケ

誕生日、元旦、週の始まり、そして新しい季節の始まりなど――。こういった特別な節目には、心機一転して積極的に取り組めるような気分になりませんか?

これは心理学でも実証されている「区切り(temporal landmark)」の効果によるものです。

そして、この区切りの直後に「新しい自分になる」「いままでの自分を変えよう」といったモチベーションが高まりやすいことを「フレッシュスタート効果(Fresh Start Effect)」と呼びます。

ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの研究では、時間的節目(新しい週、月、年、または学期の始まり、誕生日、休日など)のあとに、ジムの利用者が増えたり、目標達成に関する情報検索が増加したりすることが示されました。*1

そのため研究者らは、以下のようにまとめています。

これらの節目は過去の失敗や挫折を「以前の自分のこと」として切り離す。これにより、人は自分の人生を大局的に見るようになり、理想に向かって行動を起こしやすくなる。*1

つまり節目は心理的リセット(ネガティブな感情や思考をいったん手放し、気持ちを切り替えること)の好機。そして、習慣をリセットするチャンスなのです。

遠くを見ているビジネスパーソン

習慣を立て直す「WOOP」の実践

時間的節目が行動を変える絶好のチャンスだとわかりました。そこで、ここからはその効果を活用しながら、新しい習慣を定着させる科学的な実践方法をご紹介します。

ただし、ここで注意が必要です。

「理想の未来」を想像するだけでは、じつは逆効果になる可能性があるのです。

ニューヨーク大学のガブリエル・エッティンゲン教授の研究によれば、望ましい未来についてポジティブな空想に浸ることは、実際に行動するエネルギーや成果を低下させることが示されています。*2

では、どうすればいいのか?

エッティンゲン教授が開発した「WOOP(ウープ)」というシンプルな方法が効果的です。これは、理想の未来と現実の障害を対比させる「メンタルコントラスティング」という技法を取り入れたもので、ただ夢見るだけでなく、障害も見据えることで行動を促進。体重減少、運動習慣、学業成績など、さまざまな分野での効果が実証されています。*3

WOOPは4つのステップから成り立っています。

W (Wish / 願い)
達成したい目標を明確にする

O (Outcome / 結果)
目標を達成した最良の状態を具体的に想像する

O (Obstacle / 障害)
目標達成を妨げる内的な障害を特定する

P (Plan / 計画)
「もし障害が現れたら、こうする」というif-thenプランを作る

時間的節目にこのWOOPを実践すれば、過去のネガティブな感情をいったん手放しながら、現実的で実行可能な習慣づくりができます。週の始まり、月の始まり、年の始まり、誕生日――。どんな節目でも活用できる汎用性の高い方法です。

WOOPの具体例

時間的節目に、立て直したい習慣についてWOOPを実践してみましょう。

 
 
 

W(願い): 毎朝30分早く起きて集中時間を確保したい

O(結果): 重要なタスクを落ち着いて終えられ、スッキリした気持ちで1日を過ごせている。心に余裕があり、充実感を感じている

O(障害): 朝、ベッドから出るのがつらい。前夜についスマホを見て夜更かししてしまう

P(計画): もし夜にスマホを手に取りそうになったら、寝室の外に置いてから寝る。もし朝起きるのがつらかったら、前夜に準備した服をすぐ着て、顔を洗いに行く

WOOPの鍵は、障害を「外的なもの」ではなく「内的なもの」としてとらえることです。「時間がない」ではなく「先延ばしにしてしまう」、「環境が悪い」ではなく「誘惑に負けてしまう」といった、自分の内面に目を向けます。

そして、if-thenプランを立てることで、障害が現れたときに自動的に対処できるようになります。多くの研究で示されているように、こうした具体的な計画は行動の実行率を大きく高めてくれるのです。*4

立て直した習慣を続けるための工夫

なお、せっかく整えた習慣を継続するコツは、見直すタイミングをあらかじめ決めておくことです。たとえば、3か月ごとに「習慣リセットデー」を設けるのもおすすめ。

スケジュール帳にその予定を入れ、リマインダー機能を活用すれば、忘れずに見直すことができるはずです。

気合や根性ではなく、「しくみ」と「仕掛け」で "理想の自分になる習慣" を身につけましょう。

***
新しい週や月、季節の始まり。こうした節目は、私たちに「まだやり直せる」「今日からまた始められる」という希望をくれます。節目 × WOOP(ウープ)で新習慣を成功させましょう。

次の節目から、さっそく始めてみませんか?

【ライタープロフィール】
上川万葉

法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。

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