
「ああしなければよかったのに」
「あんなことを言わなければよかったのに」
このように自分の失敗を悔やみ、考え続けることを「反芻」といいます。専門家は、この繰り返しが問題解決力の低下につながる危険性があると指摘。*1
そのうえ「もう仕事に自信がもてない」「すべてダメになってしまいそう」などと考え始めたら、仕事に集中することなどできません。
その思考は、あなたのキャリアを停滞させるだけです。
そこで今回、そんなあなたにご提案したいのは、日々の小さな成功体験に意識を向けることです。方眼ノートで「できたこと日記」をつけ始めることで、いい方向に思考を切り替えられるはず。筆者が実際にやってみました。
「できたこと」ノートとは
学校や企業にITを活用した教育サービスを提供するパイオニア永谷研一氏(株式会社ネットマン代表取締役社長・CEO)は、脳の特性上、私たち人間は欠けているところに目が行きやすいと話します。*2
それは、人間の心理現象「ネガティビティバイアス」でも説明されていること。ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事に注意を向けやすく、記憶にも残りやすいのです。*3

つまり、私たちは普通にしていても「できないこと」に目が行きやすい生き物。
だからこそ大切なのは、日々のなかに何かしらある小さな成功体験に気づくことです。その際には永谷氏の「できたことノート」が役立つはずです。
永谷式「できたことノート」には、初めてできたことや、普段の行動でも、よりよくできたことを書きます。たとえばいつもの隣人への挨拶を、いつもより元気に挨拶できたらそれが「できたこと」。ほんの小さなことでいいのです。*2
手順もこれだけ。*2
- まず6日間(たとえば月~土曜日)で日々の小さな「できたこと」を書き出す。
- そのあと週に1回(たとえば日曜日に)振り返る。
ただし、「きっと〇〇のはず」といった想像はNGです。どんなに些細でも実際の成功体験に目を向けることが大事なのですね。
「できたこと日記」を書いてみた
今回筆者は方眼ノートを使って書くことにしました。マス目のおかげで文字が整って見えるからです。
それに、方眼の均一なグリッドは紙面に秩序と構造をもたらします。仕事に対して不安を抱える書き手ならなおさら、混沌とした思考が落ち着く感覚を得られるのではないでしょうか。
縦にも横にも線を引きやすいので、その特性を活かしてブロック状のフォーマットにすれば、ゲーム感覚で楽しく習慣化できるかもしれない――。
そんなふうに考え、このようなフォーマットにしました。

具体的には縦3分割、横6分割で、片ページに18マスつくります。横一列を1日ぶんとし、そのなかに「できたこと」を書いていきます。
もう片ページには線を引かず、振り返りを書いていくことにしました(上写真の方眼ノートは5mm方眼罫 6号サイズ)。
ノートというより日記のような感覚で、「できたこと日記」として書いてみましょう。
◎STEP1:「できたこと」を毎日3つ書き出す
1週間のうち6日間は、毎日寝る前の3分間で、今日の「できたこと」を3つ書き出します。たとえば――
- 「誰かに感謝された」など人からの反応
- 「30分早く起きられた」など数字で表せる行動
- 「今日はゆったりと休日を過ごせた」などハッピーな体験
などから、「できたこと」を見つけます。*2

筆者が実際に書いた、いくつかの「できたこと」を挙げてみましょう。
- 横断歩道で老夫婦の手を引いて歩いたら感謝された
- 換気扇フィルターをすべて貼りかえた
- 海外ドラマで語彙を勉強できた
- 仕事の方向性が決まった
- ものすごくヘルシーな夕食になった
- 10分早く起きられた
こうして見ると、些細なことながら意外とあるな――そんな印象です。
◎STEP2:「できたこと」を振り返る
週に1回、10分ほどは、6日間で書き出した「できたこと」を次のように振り返ります。
特に気になった「できたこと」を掘り下げ、自分が何を大切にしているのか、自分のありたい姿とは何なのかを探ってみました。*2
- 今週のベストは?
- 具体的には?(詳細)
- なぜそうなった? 隠れた目的は?(分析)
- どう感じている?(感情)
- 明日からどう工夫する?(次につなげる行動)

たとえば、このときちょうど、横断歩道や踏切で高齢者を助けた日が3回もありました。これはどう考えても偶然ではなく、そこに自分が向かっていったことが見えてきます。
その気づきから、「地域で協力し合える福祉を考え実行したい」などと次の行動につなげていこうと思えたのは、自信がもてたせいかもしれません。
「できたこと」を書き続けたせいですね。
永谷氏は「新しい習慣が3カ月以上続いたら、目標達成度が約2.5倍上がった」という調査結果を挙げ、まずは3週間、それから3か月を目指して続けてみるようすすめています。
筆者の体験としても、6日間書いて1日振り返るという週単位のリズムが心地よく、続けやすいと感じました。
できたことに目を向ける習慣は、自己肯定感を高め、次の行動への意欲を引き出してくれます。小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな自信となり、仕事でのパフォーマンス向上にもつながっていくでしょう。
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失敗を反芻し、自信を失いかけているなら、視点を変えてみませんか?
毎日の小さな「できたこと」に目を向け、ノートに書き留めていく。そのシンプルな習慣が、ネガティブな思考のループから抜け出すきっかけになります。
方眼ノートを開き、今日の「できたこと」を3つ書き出すところから始めてみてください。あなたの思考が少しずつ前向きに変わっていくはずです。
*1: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|過去の失敗で自分を責め続けるのをやめる方法
*2: 日経xwoman|「できたことノート」を始めよう【日経WOMAN18年6月号】
*3: 錯思コレクション100|ネガティビティ・バイアス
STUDY HACKER 編集部
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