
「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションである」
アインシュタインがかつて言ったとされる言葉をご存じでしょうか。
「新しいアイデアを出したいのに、どうも型にはまった発想しかできない」
「いつも正解を出すことにとらわれて、自由に考えられない」
そんなもどかしさを感じているなら、あなたは知らず知らずのうちに「常識」という見えない壁にとらわれているのかもしれません。
ここで、ひとつだけ自問してみてください。
"いま私が絶対に正しいと信じていることは何だろう?"
その答えこそ、創造力を閉じ込める "偏見" の正体かもしれません。
実は、あえて「非常識」な発想をすることで、創造性は劇的に向上します。
私たちは学校教育を通じて「正解を出す訓練」ばかり受けてきました。しかし、新しいアイデアを生み出すには、その「正解脳」から抜け出すことが必要です。
つまり、意図的に「常識の逆」「馬鹿げた組み合わせ」「当たり前への疑問」を投げかけることで、思考の枠を広げることができるのです。
- 今すぐ試せる!「非常識な発想」を生み出す3つのワーク
- ワーク① 「正しいとされる答えの逆」を考える
- ワーク② ナンセンスを掛け合わせる
- ワーク③ 前提を揺さぶる Why? を5回続ける
- さらに効果を高める「創造性テスト」活用法
- なぜ「逆説思考」がこれほど効果的なのか?
- 「非常識なアイデア」を生み出す習慣
今すぐ試せる!「非常識な発想」を生み出す3つのワーク
「正解脳」から抜け出すために、特別な才能は必要ありません。今日から実践できる3つのワークで、あなたの思考を「非常識」に慣らしてみましょう。
常識を揺さぶる3つのワーク
① 「正解の逆」を考える
既存の「正しい答え」をひっくり返して頭をほぐす
② ナンセンスを掛け合わせる
「関係なさそう」なものを強制的にくっつける
③ Why?を5回続ける
当たり前を徹底的に疑い、前提を揺さぶる
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ワーク① 「正しいとされる答えの逆」を考える
既存の「正解」や「常識」をひっくり返し、頭をほぐすトレーニングです。手順はシンプル。
- テーマを決める
まずはあなたが取り組んでいる課題やプロジェクトをひとつピックアップします。 - 王道の解決策を書く
「最も賢いはずの答え」や「みんなが選びがちな方法」を紙に書き出してください。 - 真逆を発想する
その解決策を180度ひっくり返します。
例)「効率を上げる」⇨「わざと手間をかける」 - もし実行したら? を想像する
メリット・デメリット・思わぬ副産物をとことん列挙しましょう。
実践例
問題:「過疎地に観光客を呼び込みたい」
常識:「名所・グルメ・イベントなど『魅力』をアピールして来てもらう」
逆説:「過疎地の『不便さ・何もなさ』こそを売りにする」
発想:「過疎地ワーケーション」で、集中できる環境の価値を前面に打ち出す
ワーク② ナンセンスを掛け合わせる
「関係なさそう」をあえてくっつける。突拍子のないアイデアが "ポロッ" と落ちてくるワークです。
- テーマを決定
例:未来の学びの場をつくる - ランダムなワードを集める
辞書を開いて指を置く、街で見かけたモノを書き留めるなど方法は自由。 - 強制的に混ぜる
テーマ × ランダム名詞 = ? 意味がなくても気にしない。むしろ歓迎。 - 出たアイデアを全部リスト化
クオリティは後回し。まずは量を優先します。
実践例
テーマ:「新しい学びの場(学校や塾に代わるもの)」
- ランダムなワード:「遊園地」「探偵事務所」
- 組み合わせとアイデア:
- 遊園地型学習施設:各アトラクションが教科に対応。ジェットコースターで物理を体験、お化け屋敷で心理学を学ぶ
- 探偵事務所式アカデミー:生徒は全員「探偵見習い」。謎を解くことで論理的思考力と情報収集能力を養う
ワーク③ 前提を揺さぶる Why? を5回続ける
当たり前を疑う最もスタンダードな方法です。ルールは「Why? (なぜ?)」を5連続で問うだけ。
- 題材を決める
仕事でも日常でも「当然」と感じる慣習を選びましょう。 - Why? を5回繰り返す
答えが出るたびに、さらにその理由を問い直します。
実践例
テーマ:「なぜスーパーは客を歩かせるのか?」
Why1:なぜ客を歩かせるのか?
→ 商品を多く見せて購買点数を増やすため
Why2 : なぜ購買点数を増やす必要があるのか?
→ 客単価を上げて売上を確保するため
Why3 : なぜ客単価アップに依存するのか?
→ 来店頻度や客数の増加が限界に達しているため
Why4 : なぜ来店頻度が頭打ちなのか?
→ 人口減少とネット通販の普及で市場が縮小しているため
Why5 : なぜ従来モデルを変えられないのか?
→ インフラ投資済みで、短期的には現行オペレーションが最適化されているため
型破りなアイデア:市場縮小が根本原因なら「店舗を顧客に近づける」移動スーパーや、「購買体験の質」を重視したキュレーション型店舗へ転換する

さらに効果を高める「創造性テスト」活用法
3つのワークと合わせて試してほしいのが、創造性を測る「RATテスト」です。
「リモート・アソシエーション・テスト(RAT)」は、一見すると無関係な3つの単語から、共通の連想語を導くというもの。
RATテストの例
「塩」「深い」「青」、これらの単語から連想される答えは →「海」
このような連想を繰り返すことで、私たちは常識的なつながりから離れ、「関連のなさそうな結びつき」を見つける訓練ができます。つまり、脳を「非常識」に慣らす方法なのです。
なぜ「逆説思考」がこれほど効果的なのか?

実は、私たちの思考には2つのタイプがあります。「正解を求める思考」と「自由に発想する思考」です。
・収束的思考:既知の情報から唯一の正解を導く(テスト向き)
・拡散的思考:さまざまな視点から自由にアイデアを広げる(創造向き)
私たちは学校で「正解を出す訓練」ばかり受けてきたため、創造に必要な「拡散的思考」が弱くなっています。
先ほどの3つのワークは、この「拡散的思考」を鍛える訓練だったのです。アインシュタインも常識を疑うことで相対性理論という革命的なアイデアを生み出しました。*1
「常識は偏見だ」という彼の言葉は、創造の出発点が「当たり前を疑うこと」だと教えてくれています。
「遠隔連想テストは何を測るか」の心理学研究論文*2 によると、RATテストは「もともと創造性のテストとして開発されたが、洞察問題解決を研究するための課題としても良く用いられている」そうです。
「非常識なアイデア」を生み出す習慣
常識は、昨日の自分が置いた "安全柵" にすぎません。その柵をまたぐ勇気を持った瞬間、世界は別の姿を見せます。「正解」を守る代わりに、今日はひとつ "非常識な問い" を立ててみましょう。
アインシュタインの「常識は偏見だ」という言葉を、私の問いに変える。
あなたの思考は、過去の常識に縛られていないでしょうか?
***
今日から、「逆説演習」「ナンセンス会議」「Why? トレーニング」を、ぜひ日常に取り入れてみてください。あなたのなかに眠る「非常識なアイデア」が、そっと動き出すかもしれません。
*1 Wikipedia|アルベルト・アインシュタイン -
*2 西田 勇樹, 服部 雅史, 織田 涼,「遠隔連想テストは何を測るか」, 心理学研究2023年 第94巻 第5号 pp. 392-401|リンク
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。