
「セミナーで学んだ重要なポイントをメモしたのに、1週間後には内容がぼんやりして活用できない」
「スキルアップのために学んだ本の要点が、次の日には記憶から抜け落ちてしまう」
こうした勉強でありがちな記憶の悩みを解決するには、繰り返し復習するのが最適。
脳は一度で覚えられない仕組みになっており、東大生も「3回は復習している」と言います。そこで今回は、勉強のスペシャリストや脳科学者が推奨する学習法を組み合わせた「3回復習法」を、筆者の実践例とともにご紹介します。

3回で定着させる「ブレインダンプ×マッピング」復習法
今回、筆者は復習の効果を確かめるにあたり、「ブレインダンプ」と「マッピング」という2つの手法をかけ合わせ、同じ内容を合計3回復習してみました。
ブレインダンプ : 覚えていることをすべて出す学習法(スタンフォード・オンライン・ハイスクール校長・星友啓氏推奨)。書きながら整理でき、記憶の定着に役立ちます。アウトプットは「話す」「書く」のセットが有効。
マッピング : 情報をマインドマップのように階層化して可視化する学習法。今回は復習の2回目以降に活用。
世界記憶力グランドマスターの青木健氏いわく、2回目の復習で覚えていないものは特に苦手なところなので、体系づけて覚えることができるマッピングで意識的に覚え直す工夫が必要とのこと。
青木氏が提案する復習タイミングの目安を参考に、次のような流れで学習を進めました。
復習1回目
タイミング:最初の勉強から24時間以内
学習法:ブレインダンプ
備考:覚えていないものは内容を確認し、参考書や単語帳に印をつけておく。
復習2回目
タイミング:最初の勉強から2~3日後
学習法:ブレインダンプ、それでも覚えられていないものはマッピング
備考:1回目の復習で覚えていなかった箇所を中心に復習する。
復習3回目
タイミング:最初の勉強から約7日後
学習法:ブレインダンプ、それでも覚えられていないものはマッピング
備考:全体を通して復習する。8~9割覚えられている状態が理想的。
次の章では、実際に筆者が勉強した様子をご紹介します。

3回復習法を実際にやってみた
今回、筆者は『化粧品成分ガイド 第7版』を使って、化粧品の成分を覚えるのに3回復習法を取り入れました。一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格したので、さらに知識の幅を広げるための勉強です。
ノートは、B5サイズ(罫線7mm、30行)を使用。1回あたり5~10の成分について学習します。
こちらは復習1回目のブレインダンプを実践したノートです。

復習1回目(学習から24時間以内)— ブレインダンプ
・ ノートを左右2分割(左:成分名 / 右:意味・役割)を覚えている範囲で書く
・ テキストで答え合わせ → 覚えていない / 誤りは赤ペンで修正
・ 苦手な項目には × 印を付ける(次回の重点箇所)
次に復習2回目のブレインダンプで左ページの「化粧品の構成成分の分類」を書いたとき、「効能・効果成分」の項目をあまり覚えていないことがわかりました。そこで、該当部分のマッピングを実施してみました。

復習2回目(最初の学習から2〜3日後)— ブレインダンプ + マッピング
・ 1回目で×印が付いた箇所を優先して復習すると、「化粧品の構成成分の分類」で効能・効果成分が弱いことがわかる → その項目だけに絞ってマッピングを実施
・ マッピングは中央にテーマ → 外側へ枝(分類・具体例)を伸ばす
・ 声に出しながら書く(「話す×書く」は記憶に残りやすい)
このマッピングは何度も繰り返すことが重要です。そこで、2回目のあとも残った弱点は、3回目の復習で同じ項目に絞って再度マッピングし、定着を図りました。
復習3回目(最初の学習から約7日後)— 知識を「使える形」に仕上げる
・ 1〜2回目で補強した内容を、もう一度全体を通してブレインダンプ
・ 答えが出てこなかった部分はマッピングで整理し直す
・ 暗記の確認だけでなく、知識を実務や試験で使えるレベルにまで引き上げる

3回復習法を実践してみたら、勉強がはかどって記憶できた!
筆者が「ブレインダンプ」と「マッピング」を利用した3回復習法を実践して感じたことを、以下にまとめます。
ブレインダンプ × マッピングのポイント
1. ブレインダンプで「覚えたい」が湧いてくる
起こること : ノートに空白が目立ち、「単語は書けるけど、意味や役割が書けない」など、自分の “抜け” がはっきり見える。
なぜ効くか : 空白の “気持ち悪さ” が「今すぐ確認したい」「次は全部埋めたい」という学習意欲を引き出す。
やり方のコツ : 初回復習は空白が多く出やすいベストタイミング。焦らず、弱点=チャンスと思って、じっくり勉強していく。
2. マッピングで「理解が深まり、やる気も続く」
起こること : 学習の全体像が一目でわかり、理解がつながる。回を重ねるほど「途中までスラスラ書ける」「枝分かれが細かく描ける」など、成長の実感が得られる。
なぜ効くか : 知識が構造で整理され、点と点が線になる。できることが増える実感がモチベーション維持に直結。
やり方のコツ : ノートは見開き1ページを大胆に使用。中央にテーマ、外側に枝を伸ばし、細かい分岐まで書きやすくする。
実践してみると、3回復習法で「覚える→つながる→定着する」のサイクルが回り、回答スピードと正答率がぐんぐん上がりました。
なぜ「1回覚えた」記憶はすぐに消えるのでしょうか? その疑問の答えは脳科学にあります。

脳科学が示す「一度では覚えられない」の正体
じつは、脳にはとても賢い特徴があります。それは、物事をわざと「ざっくり」覚えるようにできていることです。 でもなぜそんな仕組みが必要なのでしょうか?
その理由は、変化に柔軟に対応するためです。
たとえば、初めて取引先の人に会ったとき、脳は「A社の営業の男性」くらいのレベルで記憶します。「紺色のネクタイをしている」「髪型は〇〇」などの細かい情報は、あえて固定しません。こうすることで、次に会ったときに見た目が変わっていても、「あ、この前の人だ!」と認識できるのです。
この仕組みがあるため、記憶を定着させたいなら、繰り返し復習することが重要なことがわかります。一度で完璧に覚えようとするより、「何度も触れて徐々に鮮明にしていく」ことが、じつは効率的な学習法なのです。
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ブレインダンプとマッピング、2つの学習法を組み合わせて復習すると、単なる暗記ではなく、関連性や体系的な理解も含めて実務で使える知識になります。「また忘れた」を「ちゃんと記憶に残る」に変える一歩として、この3回復習法に挑戦してみましょう。
関連記事:効率よく暗記できる人が押さえている4つの基本。たった10分の○○で記憶力が上がる!
*1 宇都出雅巳(2012), 『「1分スピード記憶」勉強法』, 三笠書房
*2 清水章弘(2013), 『ビジネスでも、資格取得でもすごい効果! 現役東大生がこっそりやっている、頭がよくなる勉強法』, PHP研究所
*3 青木健(2020), 『記憶力日本チャンピオンの 超効率 すごい記憶術』, 総合法令出版
*4 星友啓(2021), 『脳科学が明かした! 結果が出る最強の勉強法 スタンフォード大学OHS校長が教える「超効果的頭の使い方」』, 光文社
*5 宇山侊男(2020), 『化粧品成分ガイド 第7版』, フレグランスジャーナル社
*6 樺沢紫苑(2018), 『学びを結果に変えるアウトプット大全』, サンクチュアリ出版
*7 日経xwoman|自分を変える技術「できたことノート」を始めよう
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。