3時間かけた報告書。なぜ上司は30秒で流し読みするのか?【新人さんのためのマーケティング講座 Season2 vol.15】

📘 新人さんのためのマーケティング講座 Season2

Season1では、マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識までを体系的に解説しました。
Season2は、配属されてしばらく経ち、実務をこなしながらさまざまな「壁」にぶつかり始めた方に向けて、より実践的なテーマを掘り下げていきます。

まだSeason1を読んでいない方は、まずそちらからどうぞ。
新人さんのためのマーケティング講座 Season 1【全14回まとめ】 ——マーケティングの基礎知識を徹底解説!

金曜日の午後。あなたはGA4や広告の管理画面を開き、ひたすら数字をスプレッドシートにコピペしています。CTR、CVR、CPA……。3時間かけて作り上げた、色とりどりのグラフが並ぶ週次レポート。

それを月曜日の朝に上司へ提出すると、上司はわずか30秒だけ眺めて「あ、順調だね。お疲れ様」で終わり。

……虚しくないですか?

自分の貴重な時間の多くが、すでに終わった「過去の集計」に使われている。未来を作ることに、1ミリも使えていない。

もしあなたが「レポート作成=仕事」だと思っているなら、それは大きな勘違いです。その報告書は、現状では価値を発揮できていませんが、やり方次第で「埋蔵金」に変わります。

なぜ、あなたの報告書は30秒で無視されるのか

答えは簡単です。あなたの報告書が「健康診断の結果」で終わっているからです。

「先週よりPVが10%増えました」「CPAが50円下がりました」

これは単なる「事実の羅列」です。

上司が知りたいのは「事実」ではありません。「その事実は、わが社の利益(PL)にどう影響し、次に何をすべきか」という判断材料です。

事象の集計(何が起きたか)は、AIやツールが得意な領域です。人間であるあなたがやるべきことは、その数字の背後にある「顧客の心」を読み解くこと

「何が起きたか」の報告が9割を占めるレポートは、プロの仕事とは言えません。それは単なる「書記」の作業です。

数字に「体温」を宿らせる

報告書を「武器」に変えるための第一歩は、数字と「生の声」を結びつけることです。

たとえば「解約率が上がった」というデータ。これをそのまま報告しても、誰も動きません。

ここでvol.11で学んだ「ユーザーインタビュー」の知見をぶつけるのです。

✕ 数字だけの報告

「解約率が2%上昇しました」

◯ 顧客の声と結びつけた報告

「解約率が2%上昇しました。インタビューで判明した『独学で挫折した経験がある層』が、サポート不足を感じ始めた兆候だと推測されます。フォローアップの強化を提案します」

数字という冷たいデータに、顧客の「痛み」や「文脈」という体温を宿らせる。すると、報告書は単なる記録から、組織を動かすための「提案書」へと進化します。

数字は「問い」であり、その「答え」は常に顧客の中にあります。

10/90ルール——作業を捨て、戦略を練れ

今日から、レポート作成の時間配分を変えてください。

集計作業は10%(あるいは自動化)。残りの90%は「次の一手」を考えるために使う。

プロのマーケターの報告書には、必ず「だから、次はこれをやる」という戦略がセットになっています。

「CVRが下がった。原因は○○だ。だから、来週はバナーのコンセプトを作り直す」「このセグメントの反応が良い。ここに予算を倍投すれば、LTVが最大化する。だから、予算配分の変更を承認してほしい」

上司に「頑張って」と言わせるのではなく、「それで行こう」という意思決定をさせる。

報告書とは、あなたが上司の意思決定を引き出し、自分の戦略を通すための「投資依頼書」なのです。

書記を卒業し、軍師として報告せよ

「報告書を作るのが仕事」だと思っている間は、あなたは一生、数字の奴隷です。

しかし、数字の羅列から「顧客の変化」を読み解き、未来のPLを書き換えるための提案を添えた瞬間、その報告書は組織を動かす「武器」になります。

管理画面の数字をコピペするのは、もうやめましょう。あなたが語るべきは「過去の正解」ではなく、「未来の勝利」です。

顧客の心に起きた微かな変化を見逃さず、それを組織を動かす力に変える。その時、あなたのマーケティングは、真のプロフェッショナルとしての第一歩を踏み出します。

 

【本記事のまとめ】

1. 報告書が30秒で無視される理由
「何が起きたか」の事実羅列で終わっているから。上司が欲しいのは「次に何をすべきか」の判断材料。

2. 数字に「体温」を宿らせる
数字と顧客の声を結びつけることで、報告書は「提案書」に進化する。

3. 10/90ルール
集計作業は10%、残り90%は「次の一手」を考えることに使う。

4. 報告書は「投資依頼書」
上司に「それで行こう」と意思決定させるための設計をする。

5. 書記ではなく軍師として報告する
過去の集計ではなく、未来のPLを書き換える提案を語る。

よくある質問(FAQ)

数字の集計も大事な仕事では?

集計自体は必要ですが、それは「仕事の前提」であって「仕事そのもの」ではありません。集計はツールや自動化に任せ、あなたの時間は「数字から何を読み取り、次に何をするか」に使ってください。

提案を入れたら上司に否定されそうで怖いです

否定されることは悪いことではありません。「それで行こう」か「違う、こうしよう」か、どちらにせよ意思決定が生まれます。何も提案しない報告書は、意思決定すら生みません。

顧客の声をどうやって集めればいいですか?

ユーザーインタビュー、カスタマーサポートへの問い合わせ内容、SNSの反応、解約時のアンケートなど、顧客の声が集まる場所は社内に必ずあります。まずは営業やサポートチームに話を聞いてみてください。

▼ 新人さんのためのマーケティング講座 Season2

配属されてしばらく経ち、実務で壁にぶつかり始めた方へ。より実践的なテーマを掘り下げます。

Season1(全14回)はこちら|マーケティングの基礎概念からWeb広告の実務知識まで

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