物語の記憶

懐かしの少年漫画の感想記事や二次小説を随時アップしていきます。「金田一少年の事件簿」と「プレイボール」「キャプテン」(ちばあきお)をメインに取り上げます。

【夏の甲子園二回戦】沖縄尚学3-0鳴門 ~沖尚の光る”ここぞの場面”での勝負強さ~(高校野球2025)

 

 

<はじめに>

 

 試合終盤。勝負所で相手バッターをことごとく三振に切って取る沖縄尚学・末吉良丞君の姿が、私にはかつての東浜巨や島袋洋奨とダブって見えた……

 

 二回戦に入り、選抜覇者の横浜が順当勝ちを収めた一方で、智弁和歌山健大高崎神村学園と有力校が続々と敗退。まるで甲子園が「誰を今大会の主役とすべきか」を見定めようとしているような流れの中、果たして沖尚と末吉は、このまま“主役の座”へと踊り出るのか!?

 

1.“ここぞの場面”で勝負強い沖尚

 

 この日は六回からのリリーフ登板となった末吉君。

 印象として、一回戦の金足農業戦に比べると、どうも本調子でないように見えた。しばしば制球がバラつき、時折変化球が高めに抜ける。試合後のインタビューを読むと、やはりリリーフの難しさがあったとのこと。展開の読めない中で準備するということは、いかに末吉君といえども簡単じゃないのだろう。

 

 また初戦で強豪・天理(奈良)を下した鳴門(徳島)打線もしぶとい。六~八回まで毎回安打を放ち、末吉君を苦しめる。どこかで“あと一本”が出ていれば、勝負は分からなかった。

 

 しかし、その“あと一本”を許さないのが、末吉君と沖尚の強さだ。

 

 六回裏の二死一・二塁の場面では強い当たりながらもファーストゴロ、七回裏の二死一塁では空振り三振。そして八回裏には先頭打者にヒットでの出塁を許しながら、相手の四~六番をセンターフライ、ファーストファールフライ、ファーストゴロと打ち取り、ことごとくピンチの芽を摘み取る。

 

 ここぞの場面で勝負強さが光ったのは、末吉君だけではない。

 

 先発の新垣有紘君も、初回に二塁打と四球などで一死二・三塁といきなり大ピンチを迎えたが、続く四、五番を連続三振。

 そして四回裏には、圧巻の好守備も飛び出す。先頭に四球を与えるも、次打者のピッチャー正面へのバントに新垣君が素早く反応。なんとダブルプレーに仕留めたのである。その後二死一・二塁と再びピンチを招くも、最後は空振り三振。

 初回そして四回の攻防で、試合の流れは沖尚に傾いた。

 

 末吉君に話を戻すと、回を追うごとにコントロールが冴えてくる。

 鳴門もけっして無抵抗だったわけではなく、八回裏一死一塁の場面では、五番橋本朋来君に変化球を見極められ、スリーボール。四球を与えてもおかしくない流れだったが、ここを凡打に仕留めると、この辺りから内外角低めにコントロールされた速球が面白いように決まり出す。

 

 ここはアウトに取りたい、ここはストライクが欲しい――そういう状況でことごとくアウトを奪い、あっさりストライクを取った。試合中に「ここでやられたら嫌だな……」と感じた場面の攻防を、沖尚はほぼすべて制したのである。

 

 そして九回表。沖尚は正捕手であり個人的にキーになると目していた宜野座恵夢君が二回の先制打に続くタイムリーを放ち、決定的な2点を追加。またも“ここぞの場面”での勝負強さを見せつけたのである。

 

 さすがに全国大会ともなると、単に良い球を放る投手や、随所に好プレーを見せるチームは少なくない。だからこそ地方大会を勝ち抜いてきたのである。しかし、それを“ここぞの場面”でやってのけるチームとなると一握りだ。

 

 初戦そしてこの二回戦の戦いぶりを見て、率直に思った――今年の沖尚は「全国優勝する力がある」と。

 

 

2.チームがさらに化けるために必要な「自信」

 

 もちろん頂点を狙うには、チームとしてもう一つ二つ階段を上らなければならない。

それには何といっても自信。もっと選手一人ひとりが、「自分はやれる」という手応えをつかむことが必要である。

 

 現時点で、末吉君は「自分はやれる」という自信を得た印象がある。打者を圧倒する投球、完全に甲子園のマウンドを自分の物にしたような躍動感。彼は今、本来の投球さえできればどこが相手でもそうそう打たれない、そんな手応えを感じ始めているのではないだろうか。

 

 次は野手陣の番だ。

 

 ここまでの二戦、得点こそ1点、3点と抑えられているが、バッティングの内容はそこまで悪くない。どの打者も打つべき球、捨てるべき球の見極めはできており、ツーストライク後もファールで粘り甘い球を待つようなしぶとさも見られる。

 凡打に倒れた場面でも、ほんの少し芯から外れてしまったり、捉えた当たりが野手の正面に飛んでしまったりという打球が多かった。

 そしてタイミングが合ってきた終盤、初戦に続き連打を浴びせ得点を奪っている。二戦とも“ここぞの場面”で得点できたのは、けっして偶然ではない。数字以上に、相手バッテリーはプレッシャーを感じていたはずだ。

 

 強いて改善点を挙げるとすれば、少し「しっかり見ていこう」とする意識が強すぎるかもしれない。

 

 甲子園では、やはり投手のレベルが格段に上がる。だから闇雲に打ちにいくのではなく、ボールをよく見て合わせにいくのは、戦法として正しい。ただ、そうした意識が強すぎると、相手バッテリーのペースに乗っかることになる。

 

 もちろん今のバッティングが悪いわけではないが、今後さらに意識を高めて「こちらのペースに相手バッテリーを引き込む」ことができるようになれば、打力でも圧倒できるようになるはずだ。

 

 そのためには、繰り返すが選手一人ひとりの「自信」である。自分のバッティングをしさえすれば、そうそう抑え込まれることはない――彼らが本気でそう思えるようになれば、このチームはさらに化けるだろう。

 

 

<終わりに>

 

 さて、次戦の相手は仙台育英となった。言うまでもなく三年前(2022年)に東北勢初の全国制覇を達成し、翌年も準優勝。昨年こそ甲子園出場を逃したものの、令和の高校野球界を引っ張ってきた強豪校の一つである。

 

 今年のチームも強い。二試合連続でホームランを放つなど投打に力を見せつけ、一・二回戦とも危なげなく突破してきている。

 間違いなく強敵だ。しかし、沖尚ナインがさらなる成長を示すには、これ以上ない相手である。

 

 この仙台育英をも下し、沖尚と末吉君は今大会の主役に名乗りを上げるのか。果たして……

 

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