KeysightとKT SAT、静止軌道と低軌道の衛星で、通信を途切れさせずに切り替える実証に成功【宇宙ビジネスニュース】
2025年12月11日、計測機器などに強みを持つKeysightと、衛星通信事業を手がけるKT SATは、静止軌道(GEO)衛星と低軌道(LEO)を模擬した回線の間で、通信を途切れさせずに切り替える実証に成功したと発表しました。
2025年12月11日、計測機器などに強みを持つKeysight Technologies, Inc.(以下、Keysight)と、衛星通信事業を手がけるKT SATは、静止軌道(GEO)衛星と低軌道(LEO)を模擬した回線の間で、通信を切り替える実証に成功したと発表しました。
5Gの次世代となる6G時代では、災害時や遠隔地など、あらゆる場所で通信技術を活用できるように拡張していくことが、重要だとされています。よって、地上ネットワークと衛星通信を統合し、通信端末(スマホなど)の通信を途切れさせないことが求められています。
その解決策の1つとして、高度3万6千キロメートルのGEOと高度約500キロメートルのLEO、それぞれの衛星を状況に応じて適切に切り替えることが挙げられます。一方で、衛星通信には遅延やドップラー効果(衛星の移動に応じて周波数が変化すること)など特有の課題があり、異なる軌道での切り替えは技術的なハードルが高い分野でした。
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今回の実証は、KT SATが運用する通信衛星「KOREASAT-6A」を用い、韓国の実験室で実施されました。実験室では、KeysightのNetwork Emulator Solutions、およびUeSIM RAN Testing Toolset(無線通信テストの装置群)を使用しました。
実際のGEO通信と、LEO通信を模擬した回線を組み合わせ、通信状態を維持したまま、衛星通信を切り替えることに成功しています。これにより、従来の単一軌道にとどまらず、複数軌道をまたぐ連続的な通信サービスの実現性を高めました。
KT SATのCEOであるSeo Young-soo氏は、「韓国唯一の衛星通信サービス事業者として、KT SATは現在運用中の5基のGEO衛星を用いて、通信端末を衛星と直接繋げることを段階的に検証しています。今回の試験結果を基に、グローバル市場に向けた次世代GEO衛星の競争力強化と、複数の衛星を組み合わせて、通信が途切れずに自動で切り替わる新しい衛星通信サービスの実現を目指します。」とコメントしています。
Keysightの担当者であるPeng Cao氏は、「今回の実証により、将来の複数衛星を使った通信の仕組みを、実験室の中で現実的に再現できることが示されました。実際の通信衛星と、低軌道衛星を想定した環境を組み合わせることで、通信の切り替え動作を事前に確認でき、事業者やメーカーは新しい衛星通信サービスをより低コストかつ低リスクで準備できます。」とコメントしています。
宇宙と地上をシームレスにつなぐ通信基盤の実現に向け、今回の実証は重要な一歩となりそうです。今後の動きに注目です。
参考記事
ワイヤレス・ネットワーク・エミュレーター|キーサイト(Keysight)

