なにか新しいこと日記

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私のBOOK OF THE YEAR 2025

2025年は仕事がヒマだったのでしょっちゅう図書館に行き、とっかえひっかえ借りて読んだ。洋裁や編み物はひかえめで、よく本を読んだ年だったと言える。

例年、12月はあっという間に過ぎるので、ここで1〜11月までの実績をまとめておきたい。

  • 活字の本 101冊読了
  • そのうちKindle Unlimitedで読んだ怪談本が12冊
  • マンガ およそ222冊

※下記は読んだ本のうち活字の本だけを抽出したリスト。
(大体11月末まで。アンリミは数が多いので除外。Lが図書館で借りた本、KがKindle購入本。再読は赤字で「再」とした)

この中でどれが良かったかなんて、序列をつけるのは難しいが「もう一度読みたい」「今読む価値がある本として、人にすすめられる」という観点で10点選んだ。順不同で紹介する。大体読んだ順に1〜7までが活字の本、8〜10までがマンガとなっている。

1. 存在しない女たち

 

2020年翻訳、出版。

私が今年読んでよかったナンバーワン。

いかに社会が男性中心に回っていて、様々な男女差が考慮されずに重大な人権侵害が起きているか。女性の体の問題、女性が担う無償労働(ケア労働)、男性から女性への暴力。この3つの問題を中心に、大量の論文、資料からデータを引用して述べられている。

女性の体の問題や、DV、性暴力についてはSNSやニュースでしょっちゅう話題になるので比較的関心を持っていたが、無償労働についてはほとんど考えたことがなかったので、フライパンでゴーンと殴られたぐらいのインパクトを感じた。

また、女性の政治参加について。14章に「女性政治家の割合が増えるにしたがって、女性への攻撃は苛烈になる」という指摘がある。女性政治家は、男性政治家の何倍も多くの誹謗中傷のメッセージや脅迫電話を受けており、結果として、SNSの投稿をひかえたり、次回の立候補を見送るといった悪い影響が出ているそうだ。

この本を読んで「女性の政治家をもっと応援しなきゃいけないんだ」と意識するようになった。

2. ナショナル・ストーリー・プロジェクト 全2巻

1999年、作家のポール・オースターがラジオ番組に出演したときに「なにか物語をよんでほしい」と求められ、読者から募集した短い実話のストーリーの中からおもしろいものを選んで朗読することになった。1年でアメリカ全土から4000もの投稿が集まり、その中から179の物語が選ばれ、日本語版の文庫としては2冊の中におさめられている。ちなみに朗読版のCD対訳本も出版され、そちらには130の物語が収録されたそうだ。

2005年に文庫が出たときに、はてなブログでどなたかが紹介していたはずなのだが、今、その記事を探そうとしても見当たらなかった。

今年の夏、再び、読んでみたら、おもしろかった。これを読んで思うのは、だれもが人生に一編ぐらいはおもしろい短編を書けるんだということ。そして、もしかしたら、オースターが部分的に手を入れることで、いっそう優れた読みものになっているのかもしれない。

今回、読み返して、私のブログの原点は『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』だったんだと自覚した。めざしているのは、ここ。ときどきは、このような優れたエッセイが書けているといいんだけど……。

3. ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆

2009年文庫出版。映画監督のジェームズ・キャメロンが、広島・長崎で二重被曝した山口彊(つとむ)氏の手記をもとに新作を撮影しようとしていると聞いて、「そんな人がいたのか」と驚いて読んだ。(広島市の平和記念館によれば、山口さんのような二重被曝者はのべ164人いるそうだ)

広島に新型爆弾が落とされたとき、日本中が正体を知らぬまま「次は自分のところに来るかもしれない」と恐怖し、なんとかして備えようとしたらしい。

山口さんは広島への赴任中に被爆し、包帯だらけの体を引きずるようにして、なんとか自宅のある長崎に帰った。その足ですぐ出社して、上司に「どんな爆弾であったのか、やられたらどのように待避姿勢を取ったらいいのか」報告していたまさにその最中、二度目の原子爆弾が落ちてきたと語っている。凄絶な体験だ。

手記を読んだ後、マンガ『はだしのゲン』を読んだら、二つの体験が一致するところが多く、いかに正確に描かれているのかがわかった。(山口さんが社会人であったのに対し、『はだしのゲン』の作者は当時小学生である)

4. 介護未満の父に起きたこと

2025年出版。ラジオパーソナリティで、エッセイストでもあるジェーン・スー(日本人)の体験談。現在ジェーンさんの父親は80代。家賃や生活の援助をする代わりに「全部本に書いて、換金させてもらう」約束になっているそうだ。

出版予告を見て、おもしろそうだなと思い、発売するなり買って読んだ。

すごく勉強になった。だれだって、身の回りの細かなことがいつまでも全部自分でできるわけではない。家事でも、なんでも、少しずつ人に手伝ってもらわないとできなくなる。そうしたときに、どのような援助ができるのか。公的サービス、民間サービスにはどのようなものがあるのか。詳細に書かれていた。

10年後には、私の父も80になる。やがてくるリアルな「親の老後の話」と受け止め、真剣に読んだ。

5. フィフティ・ピープル

2018年翻訳、出版。2024年に加筆修正版。

2024年、ハン・ガンがノーベル文学賞を受賞し、話題となった。それから1年経って、韓国文学の話題が再びSNSに流れてきたときに、おもしろそうだなと直感し、手にとった。

都市部にある大病院を中心として、医療従事者やその家族、患者や、病院周辺で働く人など、少しずつつながりがある人の話を連作形式で描く。全部で51の短い話がおさめられ、心あたたまる話、悲しい話、やりきれない話、元気がでる話など。普通の人の人生の「ある瞬間」を切り取っている。(フィクションだが「韓国版・ナショナル・ストーリー」といったおもむきがある)一度読み始めたら止まらなくなり、読み終わるまで、四六時中抱えて読んでいた。

これをきっかけに小説もおもしろいな、もっと読みたいな、と思うようになった。

チョン・セランは1984年生まれ。私と同年代の作家だ。アンソロジーなど、いくつか読んだ中では、今のところ、この人がダントツにおもしろい。(同年代というのも、大きいだろう)愛とユーモアがあって、人を励ますために小説を書いている感じがする。そういう作家だ。

6. 向田邦子ベスト・エッセイ

1978年〜1981年没するまでに出版された中から選ばれたベストエッセイ集。2020年出版。

向田邦子はいつかまとめて読みたいと思っていた作家の一人だ。

戦争中、空襲で焼け出された体験。いばっていた父が見せたこどもへの愛情の片鱗。一番仲が良かった末の妹・和子の話。父の転勤で短い間住んだ鹿児島の思い出。母を香港旅行に送り出した日のエピソード。

心に残る名エッセイ揃いだが、私が一番印象に残ったのは、向田が会社勤めをしていた頃、高円寺から吉祥寺まで中央線の電車に揺られて帰る途中、ごく普通のアパートのベランダで若い男性とライオンが並んで夕涼みしているのを見かけたエピソードだ。
まさか、中央線沿線でライオンを飼っている人がいるとは……。だれにも信じてもらえないと思い、長く心に秘めていたそうだが、十数年経ち、作家として成功した後にエッセイに書いたら「私が飼っていました」という男性が名乗り出たという。

一連のエピソードがおもしろかった。中央線沿線の景色は私にとって身近なところであり、数十年の時を超えて、昭和の大作家を身近に感じるエピソードだった。

7. 無限の網 草間彌生自伝

 

2002年出版、2012年文庫化。

『夕食後の読書タイムに読んだ本』として紹介したが、ここにも再度挙げておく。

アーティスト・草間彌生の強烈な個性と、冴えわたる知性を感じられる手記だ。

実家で不遇の扱いを受け、支配的な母親に苛まれ、精神疾患かつ、セックス嫌悪症になったこと。恐怖を乗り越えるためにあえてセックスに迫っていった過激なライブ・ペインティングのパフォーマンスのこと。

孤独なアーティスト・ジョゼフ・コーネルとの魂の交流。(コーネルは草間にご執心だったが、草間にとっては大勢いるボーイフレンドの1人といった感じで、熱量に差があるのがおかしい。だいぶ年齢差もあっただろうし、恋愛らしい恋愛にはなりようがない2人だが、この複雑な関係をユーモアを持ちつつ、客観的に書いているのがおもしろかった)

近いうちに草間彌生美術館に行ってみなくては……。

8. 路傍のフジイ(マンガ) 1〜5巻以下続刊

えむさんにすすめられ「フジイと似ている」と言われて読んだ。たしかにそうかも。

他人の評価を気にせず、自分の軸で気になったものだけに集中して、周りは目に入らない。マイペースな中年・フジイの精神性には共感できる。

そんなフジイを中心として、周りの人がフジイに影響されてどう変わるか、もしくは変わらないかを描く群像劇スタイルのマンガだ。

これも、普通の人の普通の人生が描かれているところが楽しい。

「人と比べずにはいられない」現代人の病を浮き彫りにする作品と言えるんじゃないかな。毎回新刊が出るのを楽しみにして読んでいる作品の一つだ。

9. みいちゃんと山田さん(マンガ) 1〜5巻以下続刊

Togetterでまとめられていたのを見て、読んだ。

知的障害・発達障害のうち、いくつかが組み合わさっているように見えるのに、療育や福祉につながる機会がないまま、大人になり、性産業に流れて男たちに食い物にされ、死んでしまった(そのことは第1話で早々に明かされている)みいちゃんの物語。

みいちゃんの両親も、同じように困難を抱えているのに福祉につながらないまま大人になった人たちだ。

結局、親が拒否したら福祉は介入できない。親が全権を握っているのが問題だ。

公的支援が届かない社会の暗部を見せられている。そこが読んでいて苦しい作品だ。

10. チ。ー地球の運動についてー(マンガ)全8巻

地動説を題材にした歴史フィクション……ということだけは知っていて、1巻の表紙の少年が主人公だと勘違いをしていたが、全然そういう話じゃなかった!

世代交代と共に、主人公が入れ替わる群像劇形式のマンガだ。

歴史的に、地動説を研究する者は、発覚すれば宗教上の「異端者」として拷問を受け、最期は生きたまま火刑になる。想像より、ずっとずっと血なまぐさい話だった。

思想の弾圧と、その目をかいくぐって真理を求める人のドラマを延々と描いているが、最終的に作者が描きたいのは、人間ドラマではなく、もっと倫理や哲学、人類の思想の根幹に近いところではないかと思った。

物語に圧倒され、一気に読んだ感想は「こうまでしないと、宇宙の仕組みって解き明かせないものだったのか。西洋的な宗教の弾圧から離れて、中東や、アジア、ほかの地域で研究する人はいなかったのか」ということだ。世界史に興味がわいた。

この作品、アニメにもなっているそうだが、西洋の人、特にキリスト教の信者が読んだらどう感じるのか知りたい。

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