ひとりごと ~Music & Life-Style~

HR/HMを中心としたCD感想、足を運んだライヴの感想をメインにひとりごとをブツブツつぶやくブログです。

9mm Parabellum Bullet 『The World e.p.』

  • 初期衝動が炸裂したハードでカオスな曲展開
  • 歌謡的歌メロのキャッチーさは今よりかは控えめ
  • 9mmサウンドの基本線はこの頃から確立されてる

 

普段邦楽のニュースを見ている人ならもうご存知かと思いますが、昨年12月31日をもって、9mm Parabellum Bulletのリーダーでありドラマーのかみじょうちひろさんがバンドから脱退しました。

 

natalie.mu

 

僕がこのニュースを見たのは、もう2025年が1時間ちょっとで終わるくらいの時だったので、なんとも微妙な心境のまま年越しをするハメになったんですよ。2026年のライヴも以前より普通に決まっていただけに、元々この日に脱退する予定ではなかったと思われるし、声明文には"脱退してもらうしかない"なんて文言もあり、なんだかTOKIOの国分さんの件のような、よからぬことがあったとかなんじゃないかと、色々と思ってしまいます。

 

まあいらぬ詮索をするべきではないと思うのですが、かみじょうさんは圧倒的な手数足数を駆使したドラミングで、9mmサウンドの魅力に大きく貢献していた人だけに、非常に残念至極。せめてもうちょっと良い別れ方ができなかったものか...。

 

そんな心境で彼らの過去作を聴いていたので、せめてもの思い出を残しておこうかと、このタイミングで彼らの作品を1枚取り上げてみようと思った次第。2007年に発表されたEPで、メジャーレーベルのEMIから初めてリリースされた作品です(一応メジャーデビューは次作の『Discommunication e.p.』で、本作はプレデビューという立ち位置らしい)

 

M1「The World」とM2「Heat-Island」は新曲で、残り5曲は既発ミニアルバム収録曲のリレコーディングという7曲入りミニアルバム。20分程度の収録時間ながら、初期の9mmサウンドの本質はこの頃から確立されていたことがわかります。

 

パンク・メタル・ハードコアといった音楽から影響された、ハードで鋭利なバンドサウンドに、マイナー調で彩られたヴォーカルメロディー、"このままいけばやがて世界に終わりがくるだろう"というフレーズから始まる、卓郎さんの終末思想的な詞世界。そのどれもが今日まで続く9mmの特色と紐づいている。改めて聴き返してみて本当にこのバンドは、芯がブレないまま続けてきたんだなと思わずにはいられない。

 

現在と大きく異なっているところは、やはり「ダサい」という領域にまで入ってくるほどの、歌謡曲的な哀愁が控えめなところですかね。この要素については2ndアルバム『VAMPIRE』で完全開花するもので、本作においてはそこまでのフックはない。

 

現在の9mmに比べると、歌モノロックとしての純度が低い分(この時点で充分にキャッチーなんですけどね)、演奏のトリッキーさや不穏な空気感は今以上に濃密で、M4「Mr.Suicide」とM5「marvelous」の流れは、初期の9mmのキレ具合を端的に示しています。

 

軽快なテンポで比較的ストレートに進みゆくM3「(teenage)Disaster」、M6「Talking Machine」は9mmらしいバンドサウンドにプラスして、ライヴで映えるダイナミズムに溢れる。ラストを飾るM7「sector」はノイジーなギターが爆発し、スラッシュメタルに通じる疾走感を伴い、4人が織りなすアンサンブルが一触即発の熱量をもって、跡形もなく焼き尽くす。当時これを最初に喰らった人は相当な衝撃だっただろうな。

 

9mmのハード&カオスなサウンドに、若さ青さの熱情を詰め込んだ、衝動性抜群の1枚。音楽的な完成度は、歌謡的なセンスをドッキングさせて、より整理された近年の作品の方が高いのは言うまでもないですが、この頃にしかない刹那的爆発力もまた魅力だよなぁと思わされますね。

 

 

個人的に本作は

"活動初期だからこそ生まれ出る、純度の高い衝動を短い中に落とし込んでいる。ハードでカオティックな展開は今以上に強い"

という感じです。

 


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新年のごあいさつ - 2025年ベスト



新年明けましておめでとうございます。

 

2025年ですが、11月から12月にかけて、このブログの更新頻度がガクッと落ちてしまいました。尽未来祭の感想記事も、開催から1ヶ月以上経っての更新になっちゃいましたし。

 

ここまで更新が遅れてしまったのには理由があるのです。言い訳がましいですが、ちょっと遅れた理由を述べさせてください。ホントに大変だったの。

 

1.引越し

まず最大の理由がこれ。

11月初めあたりから、仕事の常駐先の関係で引越しをすることに決めまして。11月〜12月は物件探しや、契約関連のお話、引越し先の家具やら家電やら、物やらの準備etc...いろいろやることがあったんですよ。

 

仕事終わりに不動産屋行ったり、必要なもの取り揃えたり、内見したり、その後は家に戻って掃除と整理。もう手をつけることがたくさんありまして!引越しなんてもう十数年もやってないんだから、どう進めるのかが正解かわかんないもん。

 

2.仕事のプロジェクト

来年に僕が担当しているプロジェクトが本格的に動き出すことになっておりまして。それの準備に加え、ルーチンとなっている日常業務もプラスして行うんだから、もうたまんねえよ。

 

3.歯医者

これはもうね、完全に僕のせいなんですけど、完全にやっちまいまして、虫歯を。なんとか神経まで全部引っこ抜くことはなかったんですけど、引越しで時間と金を消費している中、さらに歯医者通いと出費が追加されたんですよ。しかもその間メシは口の中の片側でしか食えないストレスもドッキングされるから、もうツラいっす。

 

まあそんなこんなで、しっかり腰を据えてPCに向き合い、音楽をじっくり聴いて感想を書くということに時間が割けなかったんですよ。いや〜なかなかキツかったですわ。

 

とりあえず1月中には引越しと虫歯治療はだいぶ落ち着くと思うので、それ以降はしっかり音楽を聴く時間も、ブログに割く時間も作れるはず!......だといいなぁ。

 

さて、一年のスタートのお決まりとなってきている年間ベストアルバム&ベストソング、今年も選出してみました。正直去年11月以降で発表された新譜をほとんど聴けていない状態で出すのもなんだかなぁ〜という感じではあるんですが、まあとりあえず現時点での僕はこう感じているということで、いったんまとめてみましょう。結果としてはこんな感じです!

 

 

2025年ベストアルバム

第1位

LORNA SHORE 『I Feel The Everblack Festering Within Me』

現行エクストリームシーンにおいて、もはや手がつけられないほどの存在となったLORNA SHORE。あまりに荘厳で美しく、ヒロイックなシンフォサウンドを組み込む手腕は、前作の衝撃にまったく引けをとらない。史上最高のカタルシスがここにある!

 

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第2位

BRAHMAN 『viraha』

核となるハードコアパンクに向き合った、バンド結成30周年記念作。本作リリースに伴うツアーに北海道から沖縄まで行って、3日間に渡る祝祭・尽未来祭に参加した僕にしてみれば、本作をベストに選出しないという選択肢はありえないのです。

 

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第3位

KILLSWITCH ENGAGE 『This Consequence』

これぞまさにメタルコア!一片の曇りなきヘヴィサウンドに、強烈に胸を貫くエモーショナルなメロディーを注ぎ込んだ、メロディックメタルコアの見本にして完成系。真正面から良いメタルコアを叩きつけてくれるシーンの代表格、さすがです!

 

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第4位

HEAVEN SHALL BURN 『Heimat』

メタルコアバンドとして扱われていますが、本質はメロディックデスメタルのそれ。慟哭の旋律を描き出すリードギターは、それ単体でメロデスファンのハートをガッチリ掴むフックがある。ヘヴィな切れ味を備えているのもまた嬉しいところです。

 

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第5位

OBSCURA 『A Sonication』

脱退したメンバーとゴタゴタがあった曰く付きのアルバムですが、純粋に中身だけに目を向ければ、さらにメロディアスさが冴え渡るテクニカルデスメタルへと発展した力作だとわかります。次からはちゃんと現行メンバーの力で作るんだよ!(笑)

 

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第6位

View From The Soyuz 『Ubiquitous』

国産ニュースクールハードコア最大の注目株。かなりの若手バンドでありながら、LOUD PARKのステージに立ったその実力は、初のフルアルバムである本作からしっかりと感じ取れます。とにかくメロデスライクな哀愁が良いのよホント。

 

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第7位

明日の叙景 『Think of You』

J-POPにもメタルにもなれる。そんなバンドのポテンシャルが、煌めくメロディーから感じ取れる気持ちの良い一作。冬の情景を思い起こさせる旋律が、切なくて美しくて、それなのにどこかポジティヴで......ああ、なんて素敵。

 

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第8位

Primal Fear 『Domination』

エクストリームに寄った作品を多く選出してきましたが、こちらは純然たる正統派ヘヴィメタル!大幅なメンバーチェンジもなんのその、従来から変わらぬ鋼鉄の信念が貫かれた、爽快・痛快なピュアメタルサウンドが頼もしすぎるぜ。

 

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第9位

locofrank 『Resound』

メンバーチェンジを経て初のフルアルバムは、彼らのセカンドプロローグを飾るに相応しい仕上がりに。やや不完全燃焼気味だった前作から一転して、メロディー面がしっかり強化されているのが良い!ベテランらしく安定感も抜群です。

 

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第10位

TOBIAS SAMMET's AVANTASIA 『Here Be Dragons』

かつての傑作『Moonglow』超えはなかったものの、やはりトビアス・サメットのメロディックメタルクリエイト力は確かなものがあるなと感じました。濃密なメタルオペラワールドを描きながら、小難しくならずに親しみやすい。

 

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2025年ベストソング

第1位

「Unbreakable」 LORNA SHORE

メインメロディーのあまりのドラマチックさ、"We are unbreakable!"のシャウトから連なる極悪ビートダウン。完膚なきまでに叩きのめされました。

 

 

 

第2位

「Kerosene」 ALL THAT REMAINS

この曲のサビを聴いた瞬間「名曲だ!」と確信しました。僕はこういうエモーショナルな歌メロが大好物なんですよ。

 

 

 

第3位

「vampire diaries」 mgk

爽やかでポップで、それでいてちょっと切ないエモ/ポップパンクとして、本当に良いメロディーを聴かせてくれる。

 

 

 

第4位

「WONDERWaLL」 BRING ME THE HORIZON

去年日本の洋楽ファンは、oasis来日におおいに沸いたわけですが、僕はというと本家よりもこっちのカバーの方を気に入ってしまい、よく聴いてました。

 

 

 

第5位

「別れ霜」 明日の叙景

ヴォーカル以上に終始歌い続けているギターのメロディーが何よりもポイント。聴いてるだけで輝く冬景色が脳裏に浮かぶかのようです。

 

 

 

第6位

「White Flame -白炎-」 BABYMETAL

様々なメタルのサブジャンルに、手を替え品を替え独自のメタルを築いてきたわけですが、こういうストレートなメロスピもやってくれるのが嬉しいよね。

 

 

第7位

「A Whisper From Above」 HEAVEN SHALL BURN

なんて劇的なリードギターなんだ!こういう慟哭メロデスギターが乱舞する曲なんて、みんな好きになるに決まってるでしょ。

 

 

 

第8位

「Let There Be Shred」 MEGADETH

年の瀬に現れたインテレクチュアル・スラッシュメタルの名曲。最初のリフの段階から期待感MAX、研ぎ澄まされたカッコよさが光る。

 

 

 

第9位

「These Scars Wøn't Define Us」 MACHINE HEAD

メッチャクチャヘヴィだし、強烈にエクストリームなナンバー。それなのにどこかキャッチーで聴きやすく、わかりやすいカッコよさも完備してるのがすげえ。

 

 

 

第10位

「ルナティックウォーズ」 月ノ美兎

過去の配信音声サンプリングをセリフだけにとどまらず、ギターソロにまで導入し、さらに大掛かりなコール&レスポンスまで。個性と創意工夫の塊。

 

 

 

2025年を終えてみて

ベストアルバムはエクストリーム系統が多く、ベストソングは爽やかでポップな曲が多い印象だなぁ。

 

まあ、前述した通りまだ聴けてすらいない新譜もあるので、それを聴いた段階でまた変動する可能性はおおいにあるんですが、とりあえずは一旦、1月1日時点での僕のチョイスということで。とはいえ1位と2位は変わらない気もしますけど。

 

ベスト10に入らなかったアルバムの中では、ARCH ENEMY『Blood Dynasty』やALL THAT REMAINS『Antifragile』あたりがかなり良かったかな。

 

そして2025年はなんといってもライヴが非常に充実していました。BRAHMAN30周年を記念した尽未来祭は3日間通して行ったし、LOUD PARKはParkway Drive(単独も最高だった!)を筆頭に素晴らしいアクトをいくつも観られました。

 

新生LINKIN PARKや初来日のLORNA SHOREのような、最大級に注目度が高かったライヴにも行けたし、これまた初来日のCARNIFEX、生まれ変わったTwilight Force、FACTのラストステージとなったROCK-O-RAMAなどなど、いや〜本当に貴重な体験ができました。

 

しかし、残念なことも多かった年でもありましたね。

 

At The Gatesのトーマス・リンドバーグの死はかなりショックが大きかったですし、CROSSFAITHが自主企画フェスを成功させ、海外でのライヴもバリバリにやっていた最中、活動をストップさせなくてはならなくなったり、ARCH ENEMYからアリッサが脱退したり、MEGADETHが40年以上におよぶ歴史に終止符を打つ決断を下したり。

 

さらに昨日、一年の最後を締めくくる大晦日9mm Parabellum Bulletからかみじょうさんが脱退するというニュースが飛び込んできたときは、本当に悲しく、そして虚しい気持ちになりましたから。なぜ年越しのタイミングでこんな寂しさを味わうハメになってしまうんだ。彼のドラムが無い9mmなんて想像がつかんよ。

 

ただ、最大のニュースであるオジー・オズボーンの逝去については、僕はあまり悲しいという感情は沸いてきませんでした。もちろん偉大な人物が亡くなって残念ではあるけれど、死す直前に錚々たるメンバーを集めて大規模なライヴを成功させ、その後大往生するという、ミュージシャンとして堂々たる最期を遂げたわけですから。悲しみよりも「やっぱこの人はすげえんだ!」という畏敬の念の方が強かったですね。

 

今後もまた訃報や活動休止などは起こりうるのでしょうけど、少しでもポジティヴなニュースが流れるのも期待したいところです。

 

 

さて、2015年4月1日から始まったこのブログ、今年でなんと10周年になるわけですね。10年も続けられるだなんて思ってもいませんでした。

 

もちろん10周年だからって、何か特別なことをすることは考えてませんし、やることも変わらないでしょう。自分のペースで好きなことを書き散らしていきますよ。

 

それでは、読者の皆様あらためまして、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

11/24 BRAHMAN 30th Anniversary 尽未来祭 2025 Day 3 at 幕張メッセ

BRAHMAN30周年を祝う祭典・尽未来祭、とうとうこの日が最終日となります。

 

二日目の感想はこちら

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ラストとなるこの日、僕の期待値が一番高い日もこの日でした。何せメンツのカオスさが際立っていましたから。

 

初日はBRAHMANと90年台を共にした盟友が、二日目は現在のフェスシーンでメインを張る戦友たちが、それぞれ集っていました。

 

それに対してこの日のメンツはというと、自分らだけでアリーナクラスの会場を埋めることができるような大物ばかり。J-ROCKからミクスチャー、現行のJ-POPシーンを走るバンドも、パンク界隈の大物も、果てはヴィジュアル系の最右翼に至るまで、凄まじい並びとなっています。

 

当然ながらこの三日間で一番注目度が高いのは僕だけではなく、チケットが真っ先にソールドしたのもこの日でしたからね。ラストを締めくくるにふさわしいステージが整えられたと言っていいでしょう。

 

当然ながらこの日も会場は大混雑。あたりを見回すと、BRAHMANELLEGARDENのTシャツ着用率が一番高く感じられつつ、エクスタシーレコード青春ド真ん中!っていうようなバンギャの方も結構多く、同じ名前のフェスでこうも客層が異なってくるのが面白かったです。

 

三日目ということもあり、会場の動線も慣れたもんなので、軽くフードで腹ごしらえを済ませたらさっさとフロアへと移動。せっかくの機会なのでDIR EN GREYの物販整理券を予約しつつ、最初のアクトを観に右往の後方で待機しました。

 

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

通常の邦楽フェスであればトリを務めてもいいくらいのポジションですが、トップバッターとなるアジカン。何気にこのバンドのライヴは初めて観ます。

 

00年代にバンドキッズとして青春を過ごした人にとっては、BUMP OF CHICKENELLEGARDENRADWIMPSあたりと並ぶレジェンド的存在だと思いますが、僕は特段このバンドを通ってきてないので(日本のロックファンの基礎教養として、『ソルファ』くらいは聴いとくべきか...?とは思ってる)、リュックを下ろして最後方からのんびり観てました。

 

ライヴパフォーマンスは、これが本当に"THE 邦ロック"というか、今のJ-ROCKのスタンダートをまったく逸脱していない、王道中の王道。初めて観る気がしない(笑)

 

10年代以降シーンに出てきたロキノン系J-ROCKバンドは、みんなこのアジカンのDNAを受け継いでいるのかというくらいに、フェスとかで見かける国産バンドの路線を、真っ直ぐにひた走る40分。新鮮味はないけれど安定感は抜群でした。とりあえず"消してぇーーー!"の場内大合唱を聴けて嬉しかったです。

 

「BRAHMAN30周年おめでとう。バンドを30年続けるのがどれほど難しいかは、よくわかります。俺たちも来年30周年です」と、淡々とゴッチさん語りだす。そっか、このバンドはこういう王道路線のスタイルを、そんなにも長いこと続けてきたんだな...

 

 

Dragon Ash

アジカンのライヴが始まった瞬間にDIR EN GREYの物販呼び出しがあったのですが、最後まで観終わったあと行ったら、ほぼ何も在庫が残っていませんでした。なんてこったい。

 

トボトボフロアに戻っていき、気を取り直して観るのがミクスチャーロックの大御所、Dragon Ash。このバンドも色々なフェスで観られるので忘れがちですが、アルバム100万枚以上売ってるレジェンドなんですよね。

 

ライヴの流れはちょっと前にVIVA LA ROCKで観た時とほぼ同じで、「Mix It Up」でエンジンをかけた後、hideのカバーの「ROCKET DIVE」でさらにそのスピード感を上げ、定番の「Fantasista」で会場を一つにする。デジャヴ感はすごかったですが、安定して楽しめるし、パフォーマンスのキレ具合はやはりカッコいい。

 

今回特筆すべき内容とすれば、それはやはりKjさんのMC。もはやファンにとってはお馴染みのエピソードである、13年前のSky Jamboreeの打ち上げにおいて、TOSHI-LOWさんがKjさんを海に投げ飛ばした事件について、改めて詳細を語ってくれた点でしょう。BRAHMAN主催のイベントなら、絶対にこれについて触れてくれるだろうと思ってました(笑)

 

「顔面のすぐ横を椅子がすっ飛んでいった」「海にぶん投げられて、上がった先がセレブ達がやってるBBQのすぐ側だった」「それから俺は敬語という言葉を覚えた」と、普通の打ち上げじゃ絶対にまず出ないであろうエピソードを話している彼のTシャツは、彼なりのTOSHI-LOWさんへの愛が刻まれていたのでした。

 

 

 

BUCK∞TICK

Dragon Ash終わりに、すぐに隣の左往のフロアへと移動。80年代から活動する大ベテランにして、昨日のThe Birthdayと同様に、絶対的フロントマンを喪いながらも活動を続けている不屈のバンドです。

 

ライヴを観たことはもちろん、音源すらほとんど手をつけられていないだけに、どんなライヴを行うのか、期待感を持ちながら待っていましたが、いざ始まってみれば思った以上に敷居の高いものでした。

 

歌謡的なキャッチーさはほぼなく、サイケデリックで怪しげなイメージ映像が流れていて、とても日本のロックフェスの雰囲気ではない。櫻井さんが歌っていた頃の楽曲を基本的に封印している潔さもあり、ここだけ何か異世界のような空気を醸し出していました。

 

基本的には自分の立ち位置に留まってのパフォーマンスながら、曲によってはシンセやパーカッションなどの楽器を用いて、独自の世界観をずっと描き続けていく。

 

いや、これはこれで普通じゃ観られないステージを観られたと思ったのですが、この歌メロの起伏が少なく、わかりやすいモッシュパートとか、ヘッドバンギングが捗るようなサウンドもない。こんな玄人向けのバンドであるとは思いませんでした。

 

僕の後ろにいた男性二人組が、「BUCK∞TICKってこんなバンドだったの?」「いや、違う。全然違う」と話していて、櫻井さんがいた頃とは根本から質が違うのでしょうね。

 

 

この後、怒涛の後半戦へと突入していくので、ここいらで少し休憩時間。BUCK∞TICKでサイケデリックな世界を見せつけられて、ゴリっとMPを削られたので(笑)ここらで回復しないといけない。

 

そこで僕が足を運んだのが、Little Nap COFFEE STANDのブース。同じLittle Nap COFFEEでも、ROASTERSの方なら行ったことがあるんですが(OAU「帰り道」のMVの舞台)STANDは初めて。ここでちょっと並んでコーヒー牛乳を頼んでゆっくりブレイクタイム...となったのですが、ここでアクシデント発生。

 

 

 

 

下痢便だ。

まずい、僕は元々胃腸が強くない。通勤の電車内で下腹部に激痛が走り、途中下車の旅に繰り出したことも一度や二度ではない。まさかこんな時に発生しなくてもいいのに...。

 

そういえば今朝も朝早い時間帯で下痢していったん起きたんだよな...。くそ、あの時全部腸内のブツ全部出したと思ったのに...!

 

SUPER BEAVERが希望に満ちた歌詞を熱く歌い上げている中、僕は冷や汗を流しながら腹を抑えている状態。なんでせっかくの30周年のお祝いの場でこんな目に。

 

幕張メッセのトイレはさすがにこの人数だからか長蛇の列を成しており、この状態で待てるとは思えない。そこで悩んだのですが、外に用意された仮設トイレを使うことに決める。正直ションベンならまだしも、ウンコをあのクッサい空間でやるのはかな〜り抵抗があるのですが、もう背に腹はかえられぬ。

 

ここで臭さに耐えながら、なんとかウンコをひりだすことに成功。今日特に観たかったDIR EN GREYに何とか間に合うことができました。いや〜よかった...

 

 

DIR EN GREY

ここからはBRAHMANまで休みなしの後半戦になります。ヴィジュアル系の畑すらを飛び出し、世界を駆けるヘヴィロックバンドとなったDIR EN GREYが登場します。

 

彼らのライヴを観るのは、TOUR15 THE UNSTOPPABLE LIFEで今は無き新木場STUDIO COASTで観て以来2回目。10年ぶりだよ、10年ぶり。

 

なぜかカエルの戦士(?)が登場するAI作成のイメージ映像が流れて、奇抜な見た目のメンバーが登場。京さんのルックスなんか、コープスペイントのごとく真っ白な顔面に、ドレッドヘアを垂らした異様な見た目。もうこの時点で危険なオーラがプンプンしています。

 

昔は「演奏が下手」「ヴォーカルがフェイクばかりで歌えない」などと、ライヴの評判が芳しいものではなかったのですが、それも今や昔。京さんのヴォーカルは狂気の絶叫と、深みのあるグロウル、そして異様な説得力を持つクリーンと、多彩な声を使い分けて、DIR EN GREYの深淵な世界を描き出す。ヘヴィで重厚な演奏の迫力も十分ながら、Shinyaさんを筆頭にルックスの華と美しさもあって、グロテスクながら美麗というバランスをしっかりと演出していました。

 

今回は彼らにとってはアウェイ(と思われる)だからか、「人間を被る」「詩踏み」といった、比較的ストレートな疾走曲や、「空谷の跫音」のようなバラードなど、わかりやすい楽曲を並べていく。そしてパンクロックバンド主催のイベントだからか、フロアの雰囲気もヴィジュアル系の咲いた感じより、鬼気迫るモッシュのムードが高まっているので、僕もそれに当てられてメロイックサインを掲げました。

 

しかしわかりやすい曲を畳み掛けていくかと思いきや、なんと時間の限られたフェスにおいても、9分以上の超大作「VINUSHKA」をプレイしてくれたのは嬉しい誤算でしたね。DIR EN GREYの中でもトップクラスに好きな曲ながら、気軽に聴ける曲ではないだけに、フェスの場で聴けるとは思いませんでした。

 

まあ、BRAHMANのようなハードコアのバンド主催の空間ですから、戦争の痛み・悲しみを痛烈に描くこのナンバーを演奏するのは必然なのかもしれません。中盤の怒涛の疾走パートでは、一気にモッシュピットの勢いが増し、僕も含めて興奮の坩堝へと巻き込んでいく。

 

そしてラストは「朔-saku-」「羅刹国」という二大キラーチューンで圧倒する。「羅刹国」に至っては、気合の入ったお兄さん方が先導して、なんとウォールオブデスまで敢行(僕もテンション上がりすぎて混ざりました) ここにきて最多のクラウドサーファーも飛び出し、最後に血の気を数段階上げてしまう怒涛の時間帯となりました。

 

普段のワンマンではバンギャの人たちのノリがメインになるからか、終わった後に「普段からこれやれー!」と声が上がったのには笑いました。確かに僕も、10年前に行った時は、パンクやメタルのライヴとあまりにノリ方が違って戸惑ったもんなぁ...

 

 

LUNA SEA

さあ、DIR EN GREYに続いてここからも大物登場です。まさかこのバンドが、BRAHMAN主催のフェスに出てくれるとは...といった感じの大御所・LUNA SEA。自分らのワンマンで幕張メッセを埋められるくらいのバンドですが、それがトリ前ですらないとは、なかなか珍しいのではないでしょうか。

 

どうもここ最近になって、ヴォーカルのRyuichiさんが喉の不調を訴えていたらしく、直近のライヴを飛ばさざるを得ない状態に陥っていたようなのですが、今回観た限りでは、特段ヴォーカルパートに違和感は感じませんでした(普段のヴォーカルがどの程度なのかはわかりませんが)

 

いや、しかし遠目から見てもメンバーみんなカッコいい。年齢を考えれば普通おっさん呼ばわりされておかしくないはずの年代ばかりなのに、みんなスラっとして姿勢がよく、それでいて堂々と立っているから見栄えもいい。華もある。

 

特にSUGIZOさんのオーラはかなりのものがありましたね。今の邦楽フェスに出るようなバンドって、(アー写とかを見た限りでは)良くも悪くも自然体といった印象が強いですが、彼なんか特に"スターのオーラ"を振り撒いてるんですよ。

 

そんなオーラに当てられたのか、オーディエンスの気合もかなり入っており、ほとんどの曲でクラウドサーファーが出現するという盛り上がりっぷり。アウェイ感はまったくと言っていいほど感じない。最前にいたSLAVEの人たちはビックリしたんじゃないか。

 

「BRAHMAN30周年おめでとうございます!これだけのメンツを集めることができるのは、ひとえにBRAHMANの人柄でしょうね」と、Ryuichiさんが丁寧に祝辞を述べていて、こういったところは大御所らしい落ち着きを感じました。

 

ただそんな落ち着きも曲が始まったら鳴りを潜める。ラストに演奏された代表曲「ROSIER」では、ラストのサビ前に「尽未来祭...全員で...かかってこーい!」と煽り出すと、なんとフロア前方にサークルピットまで出現するほどの盛り上がりに。LUNA SEAのライヴでサークルできるなんて、たぶん初なのでは?

 

全体通して、さすが大ベテラン、さすがレジェンドと言わざるを得ない、貫禄すら感じられるようなステージでした。先ほどのDIR EN GREYによる暗黒の瘴気が漂う会場を、しっかり自分たちの色に染め上げる手腕をしっかり見届けました。

 

 

ELLEGARDEN

LUNA SEAなんて超大物の後に出てくる、準トリというポジション。ただ、それがこのバンドが務めるということなら、異論を唱える人はいないのではないでしょうか。

 

東日本大震災以降、最もTOSHI-LOWさんと強い友情を育んできた男がフロントマンを務めるバンド。最後のBRAHMANにバトンを渡すには、これ以上ないほどの適任であるのがこのELLEGARDENです。

 

もちろん僕はラストのBRAHMANを観たいため、隣の左往のフロアから観ることになるのですが、わりかし距離は近いため結構視認しやすい。以前ARABAKIで観た時と変わらぬ姿で登場しました。

 

セットリストは代表曲をズラッと並べたもので、最新曲となる「カーマイン」と、ACIDMANのトリビュートアルバムに参加した「アイソトープ」だけは未聴でした。10-FEETの時も思いましたが、まさかELLEGARDENがアニメタイアップするとは、時代は変わるもんですねえ...。

 

それ以外は耳にしたことあるナンバーばかりではありましたが、やはりBRAHMAN主催ということもあり、細美さんのMCは、これ以上ないほど本当に愛に満ち溢れていましたね。「世界で唯一の親友のために、命かけられることがどれだけ幸せかわかるか?」とか、「あいつのためだったら、いくらでも力湧いてくるわ」とか、もう聞いてるこっちが恥ずかしくなるようなノロケが全開(笑) こんな言葉を一切のためらいも照れもなく言えちゃうあたり、100%本心なんでしょうね。

 

ラストはお馴染み「Make A Wish」で、シングルカットされた曲ではないながらも、場内でここ一番の大合唱を生み出すなど、フェスのクライマックスを彩るに相応しい盛り上がりを生み出しました。そんなムードが最高潮に高まった状態でも、肩車が乱立するフロアを眺めて「ケガするヤツ出そうだから、降りていいってヤツは降りてあげて」と気遣う事を言ってあげるのも、細美さんのナイスガイなところですよね。

 

 

BRAHMAN

30周年を祝う祭典、泣いても笑ってもこれが最後。BRAHMANの登場です。

 

思えば今年は30周年記念のアルバム『viraha』を何度も繰り返して聴き、ツアーは北海道から沖縄までめぐり、そして3日連続で彼らのライヴを観る。1年通してBRAHMANづくしだったような気がする。

 

そんな最後を飾る彼らのライヴ、最もドラマチックで感動的な「霹靂」で静かに幕を開けました。

 

静と動を巧みに使い分ける曲展開、心の奥底まで食い込む切なさと叙情性、意志の強さを感じる言葉、BRAHMANの楽曲を構成する要素が、ストイックで肉体的なハードコアサウンドに乗せて体に染み入ってくる。

 

「A WHITE DEEP MORNING」のように壮大な曲も、「BASIS」のように爆発力を生み出す疾走曲も、「知らぬ存ぜぬ」のような曇りなきハードコアも、これが30周年イヤーで聴ける最後の瞬間なんだと、自分に言い聞かせながらモッシュと共に感じていく。

 

「一緒のステージにいるのが自然すぎる」という理由から、途中まで紹介されなかったSUGIZOさんのヴァイオリンが加わった「鼎の問」「満月の夕」の2曲は、これまで疾走メインのハードコアパンクを叩きつけてきた時間帯から、一転して美しい旋律に身を任せることに。そんな中でも「淳士が壊したLEDの弁償としてギャラから引いておくわ」というジョークを織り交ぜる瞬間もあり、徹底してシリアスな空気感にはなりませんでした。

 

その次はもちろんこの男、細美武士の登場。ELLEGARDENとの共演があるのならば、彼が出てこないはずがなく、「今夜」「WASTE」でツインヴォーカル体制となる。穏やかな哀愁を発散する「今夜」に、ソリッドな疾走で突き進む「WASTE」と、両極端な楽曲において、TOSHI-LOWさんと細美さんの声が重なっていく。この二人が向かい合って歌う姿、やっぱり画になりますね。

 

「真善美」を歌い上げた後に、尽未来祭最終日を総括するかのように、TOSHI-LOWさんがMCを行う。今回のあまりに豪華でカオスな出演者を改めて振り返り、「俺たちは10年先にフェスをやっちまった」「今日出てるバンドに比べれば、俺たちは世界観薄い方だ」と呆れたように笑いながら語っていく。

 

しかし笑っていたのは前半だけで、後半には少し神妙な顔つきになりながら「10年先にやるようなフェス、本当はこの場にいてほしかったヤツもいた」とも。恐らく先日亡くなられた、タクティクスレコードスタッフの菅野さんのことを想っているのでしょう。

 

「未来を見ようと思っても、結局俺たちは後ろばかり振り返っている。でも、それでいい。手漕ぎのボートと同じで、後ろを振り返りながら前に進んでいくんだ。もし何かあったら、また振り返ってこの3日間を思い出す。だから、何があっても大丈夫だ」

 

最後に演奏された「順風満帆」は、そんな彼の言葉を象徴するような楽曲として響き渡る。悲劇もあった過去を振り返りながら、"この世は乱調" "全ては順調"と歌い、順風満帆に未来へと進んでいく。このMCを経て、一層この曲の説得力が身に突き刺さってきました。

 

 

この3日間にわたる尽未来祭、出演者は全てTOSHI-LOWさんやスタッフの人たちが、「誰に出てもらうか」といったことを相談して決められた、言うなれば「誰に30周年祝いの場に出て欲しいか」という指針のみで決められたようなもの。

 

そんな不純物も余計な思惑もない、BRAHMANの、BRAHMANによる、BRAHMANのための祝祭の場。その場に居られて、これからも順風満帆に進み行くバンドの門出を見届けることができたのは、本当に喜びであり幸せだなと、シンプルにそう感じました。

 

そんな純然たる喜びと、祭りが終わってしまう寂しさを胸に、画面に映されたエンドロールを見守る。終わってみれば濃密で、長かったようなあっという間だったような。

 

2026年に入れば、すぐさまBRAHMANは新たにツアーが始まり、手漕ぎボートのオールを握って、また全国を転々とする日々となります。僕は残念ながらチケット争奪戦に敗れたので、その勇姿をライヴハウスで観て直接力をもらうことはできないのですが、彼らと同じようにこの3日間のことを思い出して、自分の未来も順風満帆と思うようにしようかな。

 

最後なりますが改めて、BRAHMAN30周年おめでとうございます。

11/23 BRAHMAN 30th Anniversary 尽未来祭 2025 Day 2 at 幕張メッセ

BRAHMANの30周年を祝う祭典・尽未来祭の2日目の感想。もう年末ですが今更書きます。すいませんね、更新が滞っちゃって...。

 

初日の感想はこちら

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

BRAHMANの盟友たちが集った初日と比べて、今日のメンツは今現在の日本のシーンにて、フェスとかのメインアクトとして扱われるようなバンドたちが締める。フェスに来る客層にとっては最も馴染み深いラインナップでしょう。

 

それすなわち、今まで何度も観た事があるバンドばかりということで、個人的にはありがたみというか、新鮮さは3日間の中で一番低い日にはなるんですが、もちろん実力派ばかりのため退屈はさせてくれないはず。期待感を胸に会場へと足を運びました。

 

初日と場所も時間も同じなので、疲れた体にムチを打ちながら、眠い目を擦りムリヤリ幕張メッセへと到着...したのですが。

 

メチャクチャ人が多い!!

肌感覚で昨日の倍くらいいるのではないかってくらい、夥しいほどの列がメッセ内に形成されていました。この日と最終日はソールドしていることは知ってましたけど、まさかここまで人数の違いがあるとは、かなりビックリ。

 

これは流石に飯休憩したら、結構な時間のロスになるぞ...と覚悟していましたが、案の定並んでいるだけで昨日以上に時間がかかりました。朝の早い段階でも人気店は結構な列ができているし、物販の待ち時間もかなり長め。

 

こういう機会でもないとライヴに来れないから、という理由で僕はORANGE RANGEの物販待ちをしていたのですが、早い段階でマキシマム ザ ホルモンの物販は全部売り切れてしまっていました。どこかのインタビュー記事で「ホルモンはフェスに一回出るだけで、トラックいっぱいのマーチャンが売れる」というのを読んだ記憶がありますが、あれは本当だったんだな...。物販でそれだけ売れるなら、そりゃあ新曲も出なくなるよ。

 

そんな人の多さに打ちのめされながらも、BRAHMANを除けばこの日最大のお目当てでもあるライヴを観るため、フロアの方へ入っていきました。

 

 

ORANGE RANGE

このブログでは何度も言及していますが、僕がバンド音楽というものに目覚める最初のキッカケとなったのがORANGE RANGEなんです。僕の音楽人生を語る上で、このバンドの存在は絶対に外せない最重要ファクター。

 

show-hitorigoto.hatenablog.com

 

去年のサマソニでも少しだけ観る機会はあったのですが、あれはかなり遠くから頭2曲を観ただけ。近い距離でしっかりと観るのはこの日が初でした。かつてミュージックステーションやら、うたばんやらで見ていた、テレビの中にしか居なかった存在。そんなバンドのライヴを間近で観られる。それだけで期待に胸が膨らむ。

 

同じ沖縄出身でも昨日出演したMONGOL 800の清作さんと違って、テレビで観ていた時からさほどルックスに変化が無いメンバーが登場。オープニングの電子音が流れた瞬間、僕が小学生の頃(は?マジで?死にそう)に大ヒットしたナンバーである「以心電信」からスタート。

 

もうね、この時点で僕の感情がバーストしてたんですよ。「うわあああ!あの頃にたくさん耳にしてきた曲だ!本物のORANGE RANGEだ!」って。もうこの音には客観的になんてなれません。

 

前方付近では小規模ながらモッシュピットも生まれるほど熱量があり、僕も普通にそこに混ざっていました。だってこの曲聴いたら体が自然と動いてしまいますから。懐かしさと楽しさで、咽び泣きながら飛び跳ねる、そんな不思議な時間帯。

 

「これだけ盛り上がってくれるのは、皆知ってる曲だからだと思うんですよ。新曲でもこれぐらい熱くなってくれますか!?」とHIROKIさんが若干の自虐っぽいMCをこなした後に、今年リリースされた「マジで世界変えちゃう5秒前」「裸足のチェッコリー」を連続で披露。わかりやすいフレーズなだけに、アウェイ感の無い盛り上がりが継続していく。

 

「裸足のチェッコリー」は、最初のワンフレーズだけ歌った後、「こんなんじゃ足りない」とやり直しを要求するクダリを2,3回くらいやったので、そこだけで2曲分くらいの時間が取られたのですが、まあこれはライヴの演出なので許容範囲でしょうな。本音を言えばその時間で「ロコローション」とか「チャンピオーネ」とかも聴きたかったけどさ。

 

中盤にはまさか今になってTikTokでブレイクしているという噂の「おしゃれ番長」を組み込んだメドレーを演奏する時間帯に。いわゆる電波ソング的な、訳わからん楽曲を繋ぎ合わせたもので、ここだけ会場がディスコだかクラブだかになったような派手派手しさに。「DANCE2」なんて20年近く前の曲だけど、普通に今風のJ-POPとして成立してて、古色を帯びた感じがまったくしないあたり、ORANGE RANGEはだいぶ時代を先取りしていたのかもしれない。

 

そして圧巻のフィーバータイムとなったのは、「午前中からアゲろって言われてるのに、まだまだこの程度ではTOSHI-LOWさんから怒られる」という発言から始まる、「上海ハニー」「イケナイ太陽」「キリキリマイ」という、平成を生きた人間にとって感涙ものの流れでした。「上海ハニー」のタイトルがコールされた時点で、一層会場のテンションがブチ上がった(僕も含みます)のを肌で感じました。

 

サークルは発生するはモッシュは止まないわ、"ステージ爆発3秒前!3!2!1!"とフレーズと共に、大量のクラウドサーファーは発生するわで、最大級のハイライトを生み出す瞬間となりました。もともとBRAHMAN以外でモッシュするつもりはなかったのですが、こんな事やられちゃ体が止められませんでした。最高っした。

 

僕の音楽人生の門出となったORANGE RANGE。彼らのライヴでモッシュできたことは、今日イチと言ってもいいほどの多幸感でした。もう感無量です。

 

 

ACIDMAN

ORANGE RANGEでギアを上げすぎてしまったので、後続のライヴはBRAHMANまでに体力を使い切ってしまわないよう、控えめなテンションで大人見をするように努める。せっかくのフェスなのに少々勿体無い気もしますが、長丁場なのでこの判断は間違いないでしょう。

 

そんな訳で飯休憩終わりに後ろの方でゆっくりとACIDMANを観る。後方のLEDに映された幻想的なムービーと、儚くも力強さがある歌声は、ゆっくり聴く分にはなかなか没入感がありました。

 

ガッツリテンションを底上げしてくれるタイプではないし、もうちょっとキャッチーさが欲しいところではあるものの、こういう時間帯もいいな...としみじみ聴いていたのですが、なんと後半で「BRAHMANに敬意を表して、ワンフレーズだけ彼らの曲をやろうと思います」と、「ANSWER FOR•••」をプレイする。

 

BRAHMANの曲が流れるとあらば、ゆっくり棒立ちで観るなんてことが許されるはずもなく、普通に前の方に行って手を振り上げてしまいましたよ。TOSHI-LOWさんもステージ脇から登場して一緒に歌っており、当初の予定に反してグッと高揚させられました。嬉しいサプライズでしたね!

 

 

マキシマム ザ ホルモン

右往にてThe Birthday待ちをしている中に観るのは、今回最もヘヴィなサウンドを出すホルモンの登場。ここ最近はあまり熱心に追う事はなくなったものの、中高生の頃はトップクラスに好きだったバンドだけに、僕の青春時代の記憶を色濃く蘇らせてくる存在です。

 

そして今回のセットリストは、そんな僕の青春時代を彩ったアンセムが目白押しでかなり美味しい。名盤『ぶっ生き返す』のオープニングを飾る「ぶっ生き返す!!」〜「絶望ビリー」の流れはマジで熱い。

 

初日のBRAHMANの同期たちが目白押しだった時、ナヲさんも楽屋裏にいたらしく、「先輩ばかりでかなり恐縮しきりだった」とか、かつて赤坂BLITZBRAHMANのライヴを観た時「TOSHI-LOW骨折してる!」と、松葉杖をつきながらステージに立つ姿を見て面食らったなど、かつては自分たちも、僕らと同じライヴハウスキッズだった過去を語っていました。そんな人たち30年経って共演できるってどんな感覚なんだろうな〜。

 

まあ、ダイスケはんは「TOSHI-LOWさんは本当に優しくて、以前対バンした時はベルトを忘れてきた俺に、ベルトを貸してくれたんだ」と言ったものの、バックのLEDにはTOSHI-LOWさんがベルトでダイスケはんの首を絞めている写真を載せていたので、だいぶ過激な可愛がられ方をしたんだろうと察せましたけどね(笑)

 

 

前日にヌンチャクが「3コードで悪いか」をプレイしたことに触発されて、「ロックお礼参り 〜3コードでおまえフルボッコ〜」なんて、聴く機会に恵まれなかった曲が聴けたり、よりダンスミュージック的なアレンジが加わって、もはや別の曲かと思うほどに変貌を遂げた「ビキニ・スポーツ・ポンチン」を聴けたりと、全編通して楽しめました。

 

 

The Birthday

絶対的フロントマンを喪いながらも、残されたメンバーで活動しているThe Birthday。もちろんチバさんを観たい気持ちはありますが、彼らの勇姿も結構楽しみにしていたのです。

 

広いステージに3人のみが並び、LEDには何の映像も流れない非常に簡素なステージ。そこへ同じく飾り気のないシンプルなロックを、残されたメンバーで紡いでいく。

 

ガレージロック的な荒さはあれど、そこまで曲調もステージングもアグレッシヴな感じではなかったのですが、「Love Rockets」に差し掛かるとわかりやすくオーディエンスの反応も活発になってきて、目に見えて熱量が上がりました。『THE FIRST SLAM DUNK』に大感動した身としては、やはりチバさんの歌で聴きたかった気持ちがどうしても芽生えてしまうな。

 

チバさんが亡くなった後に出演したフェスなどでは、曲によってはゲストヴォーカルを迎えたりしていたようですが、今回はそういった特殊な演出はなく、メンバー3人のみで実直に演奏に徹している。先ほどのホルモンがガンガンにアクションし、ヘヴィさ満載のハードコアサウンドを提示しただけに、その落差でちょっと地味に感じた印象は確かにあります。

 

ただ、このバンドは渋みのあるロックンロールを繰り出すのが、カラーに合っている気がしますね。フェス中盤の節目として良いアクセントだったと思います。

 

 

この後は少し休憩時間にして、キッチンカーの方へと並ぶ。ちょっと気になっていた砂糖とバターしか使わないというクレープをチョイス。見た目も味も直球極まりないですが、シンプルゆえに普通に上手い。疲れた体に素朴な甘さが沁みますわい。

 

 

G-FREAK FACTORY

休憩後は再び右往へと行き、レゲエを軸に取り込んだロックバンドで、メンバーの見た目もバンドマンというよりは確かにレゲエミュージシャンっぽいな。

 

まず驚いたのがオープニング。先ほどのACIDMANと同様に「ANSWER FOR•••」のイントロを演奏しだしたのです。「おい!カバーの選曲が被っちゃったぞ!大丈夫か!」という気にさせられるも、やっぱり名曲なだけにテンションが上がってしまう。

 

ただ、歌のパートまでは入らずに前奏だけでストップ。ヴォーカルの茂木さんがMC...というか口上のような事を言い出すのですが、これがまるでラッパーかのごとく早口で捲し立てるもので、初っ端から圧倒されることに。

 

これだけ早口でよくここまでハッキリと言葉を並べられるよな...と、昨日のRHYMESTERTHA BLUE HERBのラップを聴いた時と似たような感銘を受けました。もし彼が違った音楽の出会い方をしていれば、ラッパーになる人生もあったのかもしれない。

 

そして茂木さんが本来はゲストヴォーカルとして参加している、BRAHMANの「最後の少年」のカバーからスタート。トリのBRAHMANでもプレイされるであろう楽曲を、まずここで予習がてら聴けることに。

 

こういったサプライズも嬉しいものですが、個人的にそれ以上にグッときてしまったのは、後半にプレイされた「ダディ・ダーリン」でした。ゲストとしてTOSHI-LOWさんを迎えて、ツインヴォーカルでのパフォーマンスとなったのですが、二人の声がゆったりと温かいサウンドに包まれて、会場に広がっていく様がとても美しく映えていました。元来の曲のメロディーの切なさと相まって、思わず涙腺にキそうだったぜ。

 

正直ここがハイライトとして完璧すぎたので、その後にプレイされた曲があまり印象に残らなかったのですが(笑)、あの瞬間、ここに居られて良かった...と感慨深い気持ちになっていました。

 

 

10-FEET

この手の日本の音楽フェスには、もはやド定番ともいえるポジションになった彼らがトリ前を務めます。右往のBRAHMAN待ちをしながら観ていました。

 

このバンドもホルモンと同様に、青春時代に聴きまくっていたバンドですが、当時から考えると、このバンドがまさかアニメやら映画やらのタイアップを取りまくり、紅白歌合戦に出演することになるなんて、想像すらできなかったなぁ...と、まさかのウマ娘の主題歌になった「スーパーシンドローマー」を聴いてて思いました。

 

ライヴ運びはこれまで観てきたフェスとほぼ同様かと思いきや、ちょっと違う。オーディエンスを笑かすような、調子の良いMCなどはまったくなく、矢継ぎ早にどんどんと曲をプレイしていくもので、やや受ける印象が違いました。

 

これは恐らく、曲間のチューニングすらせずに曲をやりまくるBRAHMANのやり方(もっともそれはGAUZEのライヴに触発されたものですが)に敬意を表して、自分たちも同様の手法を取ったものと思われます。ただ、彼らは親しみやすく面白いキャラクターが魅力でもあるので、このライヴ運びがそのまま良さに繋がっているかと言われれば微妙かもしれない。

 

それでも最後には「ピラフマンのスシロー!後は頼んだぞ!」とおフザケ要素をちょびっと入れ込んでくるところは、10-FEETらしいというかTAKUMAさんらしいところでした。

 

 

BRAHMAN

前日と同じく特別仕様のオープニング映像が流れ、ラストのBRAHMANが登場。前日に息も絶え絶えになった反省をまったく活かさず、かなり前方付近にて彼らが出てくるのを迎え撃ちます。オープニングは「初期衝動」。

 

「尽未来祭中日!来てくれた人たち、感謝しかないです。BRAHMAN始めます!」そう宣言してからの「賽の河原」は、もはや完全にBRAHMAN流様式美となった鉄板の運びです。

 

昨日がかなり初期の楽曲に寄せた選曲だったのに対し、今日はメンツに合わせたのか、かなりいつものBRAHMANといった感じで、新旧のバランスが非常に良いセットリスト。それすなわち、フェス慣れした本日の客層にはピッタリということで、昨日に負けず劣らずの地獄のモッシュ、いや、モッシュのような何かに襲われることになる。「雷同」や「BEYOND THE MOUNTAIN」の時には、ロクにステージが見えん!

 

かろうじてステージがチラリと見える瞬間もあり、そこには二日間の疲れがどこへやら、変わらずステージを縦横無尽に動き回る彼らの姿が。50にもなるおっさんがあそこまで渾身のパフォーマンスをしているんだ。俺が負けるわけにはいかん!と、この圧縮地獄を耐え抜く覚悟を決めました。

 

少しそれが落ち着いたのが、「FAR FROM...」「LOSE ALL」というドラマチックな曲が続いた段階です。ここの静かなパートではモッシュが起こりようもないので、じっくりとその劇的な展開に耳を傾けることができる。Tour slow DANCE HALLで使われた時と同じ、古代魚かなにかのイメージ映像が流れ出し、思わずコロナ禍の彼らのライヴに思いを馳せました。

 

彼らのハードコアバンドとしての矜持を短い中に詰め込んだ「警醒」で再び恐ろしいほどのモッシュ地獄が生まれたあと、G-FREAK FACTORYの茂木さんをゲストに呼んだ本家本元の「最後の少年」、そしてチバさんへの想いを黄泉の国へ届けるかのように、「charon」を演奏していく。この流れは本日の出演組を考えれば必然でしたね。

 

最後には前日と同様に、長めのMCにてTOSHI-LOWさんが想いを連ねていく。「昨日は昔からの仲間が裏で酒飲みまくって大変だった。それに比べて今日は...なんて平和なんだ!」と笑いながら喋っており、昨日のバックヤードはどれだけヒドい様相だったのか、ちょっと見たくなってきました(笑)

 

しかし楽しそうに笑っていたのは最初の方だけで、話していくうちに少しずつ、「ずっとこんなふうに楽しい時間が続けばいいと思っている、だけど活動を続ける中で失ってきた仲間も数多い」と少し寂しさを滲ませたような声色になっていきました。

 

「俺たちだけ楽しんでいていいのか、そんなふうに考えると空からあいつらが言うんだ、"迷い続けろ"って。"迷いながら進み続けろ"って」

 

そうして『ANTINOMY』を象徴する名曲「The only way」へと突入。この曲が持つ繊細な叙情性と、それに相反するような攻撃的なシンガロングと突進力。このドラマには体が突き動かされるばかりで、中日を締めくくる彼らのパフォーマンスに応えました。

 

 

ORANGE RANGEマキシマム ザ ホルモンといった、僕のバンド音楽を愛好するキッカケになったバンドで昔の自分に想いを馳せ、そしてラストのBRAHMANで現行の彼らの強さを再認識する1日。当初はこの日が一番ありがたみが薄いラインナップかも...なんて思っていましたが、終わってみれば非常に満足度の高いひとときでした。

 

そして翌日、この3日間でもっとも濃密な時間を体感する最終日へとつながっていきます。

11/22 BRAHMAN 30th Anniversary 尽未来祭 2025 Day 1 at 幕張メッセ

え〜〜〜〜〜、何日ぶりのブログ更新でしょうか...(- -;)

すみませんね。もっと早くにライヴ感想書こうとは思ってたんですけど、どうもここ最近仕事はもちろんプライベートでもやるべきことが多くて、ちょっとバタバタしていました。

 

そのため、先月11月の下旬に行われたフェスの感想を今更ながら記していこうかと。3日間続いたフェスのため、全日しっかりアップできるのはいつになるやら。まあ無理しない範囲で更新していきますので、どうぞよろしく(90°礼)

 

さて、そんな前置きを経ての本題。

 

1995年に結成された、日本のハードコアパンクバンド・BRAHMAN。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在の4人体制になったあと、ただひたすらに日本の音楽シーンで活動を続けてきました。

 

90年代のバンドブームが去り、AIR JAM世代のバンド達の多くが解散や活動休止をしている中でも、このバンドは歩みを止めることはありませんでした。

 

そんな彼らの結成30周年を記念して、幕張メッセで3日間開催される尽未来祭。結成20周年時に行われた第1回から10年経って二度目の開催。1日目はBRAHMANと共に90年代から続くシーンを駆け抜けてきた盟友が、2日目は現在の大型フェスを中心に、J-ROCKのシーンを生き抜くバンドが、3日目は超大物から若手まで多種多様なバンドが結集した豪華パッケージ仕様のフェスです。

 

出演者すべて、BRAHMANチームにて決められたというこのイベント、間違いなく2025年を代表する未曾有のフェスになる。そう確信した僕は、最速の3日通し券の先行の段階でチケットをゲット。このブログでは何度も書いていますが、僕にとってBRAHMANは邦楽・洋楽、全ジャンルを問わず、最も好きで、最も聴いて、最も敬愛しているバンドです。この3日間、全力で30周年を祝うことに迷いはありませんでした。

 

この日に備えて、前日の金曜日に渋谷のVIZ STORE TOKYOに行って、BRAHMANとVIRGOwearworksのコラボレーションアイテムのうち、カーゴパンツとブーツを購入して(ジャケットの7万はさすがにムリでした)、お祝いするうえでの正装の準備も完了。万全を期して当日を迎えました。

 

初日は快晴。かなり早い段階で会場に到着したため、まだ3日通し券の列の並びも長くない。1時間以上の待機となりましたが、去年の六梵全書の物販に比べればこのくらいどうってこともないですわ(笑)

 

開場時間を過ぎてしまうと、その後の入場はいたってスムーズ。すぐにメッセ内に入り、クロークの購入も素早く済ませることができました。事前抽選に参加していた物販の方へ行き、Tシャツやタオルをさっさと回収。事前に買ったVIRGOのカーゴパンツとブーツと合わせて、凄まじい出費になっているはずですが、なんかもう色々とブッ壊れていたので気にならなかった。お祝いなんだから金のことを気にしていられないんだ。

 

購入した物販と合わせて荷物をクロークにまとめて、身軽な格好になったあとは、比較的時間の余裕が生まれるため、キッチンカーのコーナーを見て回ることに。この尽未来祭はLOUD PARKと違ってフェス飯やブースが非常に充実しており、ラーメン大好きRONZIさんがコラボした店舗や、バターと砂糖のみを使用したシンプルなクレープ、お馴染みのラコスバーガーと桜井食堂と、他にも様々な飲食ブースがあります。

 

ラコスバーガーはTシャツ販売もあってか、ネームバリューもあるだけに開始早々長蛇の列が出来上がっていました。ここで時間を消費するのは惜しいですけど、やっぱり関東住まいでは滅多に食えないラコスは欲しい。ここは迷わずさっと並んでありつくことに。

 

だいぶ前に食べた記憶と比較して、ちょっとジャンクさが控えめになったかな...?という印象を受けました。昔はポテチとか入ってたよね。

 

飲食スペースのすぐ近くには、幡ヶ谷再生大学による震災の復興写真の展示や、記念グッズの販売などが行われています。もともとBRAHMANという存在に惹かれていったのは東日本大震災以降で、彼らの自分達ができることを懸命にやる姿には、何度も感銘を受けてきたので、写真を眺めているだけでも姿勢を正されるような気分に。

 

ちょっとでも活動資金に上乗せができればいいと、幡再のタオルと記念ボトルを購入。ボトルは現在職場の水分補給で大活躍しています。

 

 

メッセの外をひととおり回ったあとは、建物内を回ってみる。幕張メッセのフロアは右往・左往と名付けられた2ステージ。そして背後にはBRAHMANがライヴ時に掲げていた歴代のバックドロップがずらり。これらをマジマジと見られる機会はないだけに、美術館に来た時のようにじっくり1枚1枚見ていました。最近はLEDによる映像も増えていますが、こういうナマモノにも良さがありますよね。

 

ライヴのスタンディングエリアの外では、これまたフードのブースがあるのと、オフィシャルバーとして酒類の提供。さらにはBRAHMANの全アルバムをレコードとして再販する『七梵全書』の展示や、僕も愛用しているファッションブランド・VIRGOwearworksをはじめとした、BRAHMANにゆかりのあるブランドの商品展示と販売、さらには明治ミルクチョコレートのブースに、等身大のTOSHI-LOWさんパネルなんかもありました。

 

VIRGOのブースでは、先日発表されたBRAHMANとのコラボレーションアイテムの試着が可能となっており、多くのファンが詰めかけていました。僕は前述の通り事前購入済みなので、さらっと眺めるにとどめました。

 

そんなこんなでフェスの空気感を味わったあとは、ライヴフロアにてBRAHMANの盟友達の姿を観ることに。

 

 

MONGOL 800

SCAFULL KINGを少しだけ観たあと、最初からガッツリ観るのはモンパチから。比較的前方付近ではありますが、最前ブロックまでには入らないくらいで、モッシュピットなども特に発生せず。ゆっくり鑑賞することができました。

 

序盤から中盤にかけて「あなたに」「小さな恋のうた」という名曲を使うという贅沢なセットリストで、特に後者はモンパチに興味ない層ですら広く知られているナンバーだけに、場内で大合唱が発生。

 

僕も会社の人とカラオケ行った時とかにはよく歌わせてもらっているので、歌詞含めて頭に入っていたからしっかりと歌えました。ただ、この曲ってサビ以外のAメロとかはかなり音程が低いから、そこは結構大変なんだよな。

 

セットリストのうち「少年時代」「TRY ME 〜私を信じて〜」「川の流れのように」とカバー曲が3曲も含まれているのは、僕のような前述した2曲しか知らないようなライト層に配慮してくれたからなのかも。

 

安室奈美恵さんのカバーである「TRY ME」では、メンバー全員が90年代の象徴(?)であるパラパラを踊り、タンクトップに半パンで筋骨隆々のダンサーが登場するという、本日中において特に異様な光景になったのが印象的でした。清作さんは「90年代の空気感だね。安室ちゃんのイントロが流れた時が一番反応が良かった!」とコメントしてたし。

 

ちなみにあのダンサーの人、モンパチのライヴではお馴染みの人なのかはわからなかったのですが、大変失礼ながら初見の僕はチョコボーイ山口を思い出してしまった...

 

BACK DROP BOMB

特にBRAHMANとの交友が深いであろうミクスチャーバンド。サックスの音色も含みつつ、ラップを取り込んだスタイルで、スカのノリとミクスチャーのノリがごった煮になった感があります。

 

SCAFULL KINGと比べるとポップだったり能天気なムードだったりは比較的抑えられていましたが、それでもやっぱり僕の好みからはちょっとズレたタイプかな。せめてもうちょっと歌メロがキャッチーであれば。背後のLEDにイメージ映像をデカデカと映し出している影響もあり、華々しさはここまでで一番ありましたが。

 

後半に披露された「Who's got」において、さまざまなラッパーが登場してコラボレーションする一幕があり、僕は大半が知らない人だったのですが、最後になってLOW IQ 01こと市川昌之さん、そしてBRAHMANTOSHI-LOWさんが登場して、ステージ上をフロントマンが大挙して扇動する光景に。ある種今日イチの迫力だったかもしれない。

 

 

RHYMESTER

BRAHMANを除けばこの日一番観たかったのがRHYMESTER。こんな機会でもない限り、ライヴを観るチャンスなんて恵まれないでしょうから。

 

僕と同様の考えだった人も多かったらしく、近くで「ヒップホップのライヴなんて見たことない。今日初めて」と会話している人もいました。

 

ど真ん中にターンテーブルが設置され、宇多丸さんが「尽未来祭!こんなヒップホップはどうですかー!」と叫ぶと、フロアをクラブのような雰囲気に変えていく。

 

大変失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、初めてライヴを観て「すごくまっとうなJ-RAP/HIP-HOPをやってるんだ!」と思ってしまったのです。いや、門外漢の僕からすれば、どうしても宇多丸さんって"映画を中心にかたるラジオパーソナリティー"のイメージが強くてですね。堂に入ったヒップホップをやってるイメージがあんまりないの。これが本業だっていうのに。

 

「尽未来祭のハードなメンツの中で、俺らが一番まったりしてると思うけど、その中でも特にまったりした曲」と称して、「梯子酒」が披露される。この時僕はオフィシャルバーで買ったIPAを飲んでいたので、乾杯するのにちょうどいい。

 

後半には「俺らにとっては後ろにいるDJばバンドなんだけれど、この場ではハードなバンドも欲しい」とMCで語り、BRAHMANのメンバーが全員登場。ラストの「耳ヲ貸スベキ」ではTOSHI-LOWさんもヴォーカルとして登場し、RHYMESTER×BRAHMANというなんともレアなステージを観ることができました。

 

 

EGO-WRAPPIN'

本日最も静かだったのがこの二人だったはず。これまでバンド形式でステージを広々と使っていたアクトが多かったのに対し、男女1組が向かい合って佇んでいる。この時点で不思議な雰囲気が漂う。

 

必ずやってくれるだろうと思っていた「Speculation」のカバーでスタート。原曲の持つダイナミズムを静かな中でも発揮し、それでいて極限まで美しく聴かせるアレンジを施した名曲です。

 

まず驚いたのが、ヴォーカル中納良恵さんの歌唱力と表現力ですね。単純に歌が上手いってのは大前提で、凛とした力強さと、フッと消えてしまいそうな儚さ、歌い終わりのエコーを自力でかける技と、じっと聴き入るしかできないような見事な歌を響かせていく。陰陽座の黒猫さんの歌を初めて聴いたときと、似たような衝撃を受けてしまいました。

 

そこはかとなく漂うダンディズムに、派手さがなくとも見つめていたくなる森雅樹さんのギターの厳かさもあって、ここだけフェスではなくコンサートホールになったかのように錯覚してしまう。モッシュはもちろんのこと、フィストハングすら満足に起こらず、みんな棒立ちで観ているだけの時間帯だったのですが、それが退屈さ・つまらなさに一切繋がっていないのは、あの場にいた全員が感じ取ったことでしょう。

 

ロックフェス然とした空気感を中盤にして一変させてしまった、本日一のアクセントとも言えるアクトでした。「有名アーティストだし観ていくか」と軽い気持ちだったのですが、すっかり聴き入ってしまいました。

 

 

THA BLUE HERB

先ほどのRHYMESTERが親しみやすさ溢れるヒップホップだったのに対し、今度はかなり硬派一徹のヒップホップ。札幌平岸出身のTHA BLUE HERBの登場。札幌の高校でバスケ部だった僕としては、「平岸」って地名は練習試合でボコボコにされたイメージが先行してしまう。バスケ部強かったんだよあそこ。

 

ILL-BOSSTINOさんのラップは、今までBRAHMANのライヴでちょっと聴いたこともありましたが、やはり性急な勢いに満ちていて圧倒される。必死に言葉を紡ぎ続けて、目の前のオーディエンスに痛烈なメッセージを伝えていく姿は、観ているだけで押しつぶされてしまうかのよう。これぞレベルミュージック。

 

歌のようにわかりやすいフレーズというわけでもないのに、よくここまで怒涛の勢いで言葉を並べることができるのか、日常会話ですら若干の迷いが生じたり噛んだりするような僕には理解不能

 

それでも「未来は俺等の手の中」と希望を語りかけ、さらには同郷のハードコアパンクスであるSLANGのブルゾンを着用するなど、ポジティヴで温かい空気が伝わる瞬間もあって、ただ大上段にメッセージを叩きつけるだけではない側面も感じ取れました。

 

 

黒夢

ここでキッチンカーでソラノイロンヂに並び、RONZIさんに敬意を表する意味でもラーメンを食う。黒夢はこないだのサマソニで観たから、まあ多少見逃してもいいだろうという風に思っていました。思っていたんですが......

 

通路の端っこでラーメンを啜っていると、恐ろしく聴き覚えのあるイントロが流れ出す。「!?」と体が震えてしまいましたよ。

 

なんと初っ端にBRAHMANのSlow Danceのカバーを投下。民族音楽由来の音階に、祭囃子を彷彿させるリズム、疾走ハードコアと揃った名曲に一気に全身が興奮。これはのんびり飯食ってる暇はない!!

 

清春さんのヴォーカルはTOSHI-LOWさんに比べて、噛みつき、吐き捨てるようなシャウトの色が濃く、屈強な男らしさと野太さを見せる原曲とはまた異なる勢いを生み出しているのが良いですね。バックの演奏がタイトなのもあり、非常に楽しめるカバーでした。

 

これだけでも充分嬉しいサプライズなのですが、なんとさらに2曲目に「Silent day」のカバーまで飛び出す。この曲はMVこそ作られてはいるものの、なかなかにコアな楽曲で、ライヴでは六梵全書くらいでしか聴いたことがない。かなり通な選曲なのですが、この独特の怪しく仄暗いムードがハマったのかもしれません。

 

このままBRAHMANカバー曲を連投する流れになるのか...!?と思いましたが、出だしの2曲のみで、その後は普通に自分達のオリジナル曲をプレイする流れに。ここからの印象はサマソニで観た時とほぼ同じ。

 

この尽未来祭、ラインナップの傾向として初日はBRAHMANとともに90年代を歩んできた盟友、2日目には現役でフェスなどに出演しているバンド、3日目にV系を含むレジェンドや大物というラインナップなので、黒夢のカラーとしては3日目の方が合うはず。

 

それなのにあえて初日に出ているのは清春さんの要望らしく、曰く「アウェイの場にこそ飛び込んでいく選択を今までやってきた」からであり、この日の出演もその流れに則ったものらしい。ベテランであってもこういうチャレンジングな姿勢は好感持てます。

 

 

SECRET ACT

そんな黒夢のステージを、僕は逆側の左往のフロアで観ていました。お目当てはこの後に出てくるシークレット。BRAHMANとゆかりのあるバンドで、かつシークレットにする意義があるバンドということで、いろいろな予想が立てられていました。

 

僕としては、TOSHI-LOWさんが世界で一番好きなバンドと語るNUKEY PIKES復活とかだったらアツいな、と思っていました。とはいヴォーカルがはなまるうどんの商品開発部の偉い人になっているだけに、さすがに厳しいでしょうけど。

 

そして舞台が暗転し、暗がりの中メンバーが登場すると、ステージ脇のモニターにバンドのロゴが映し出される。その瞬間僕は「うおおおおっ!?」と叫んで前の方へ詰めていくことになったのです。

 

 

ヌンチャク

柏シティハードコアの伝説的存在・ヌンチャクがシークレットアクトとして堂々登場。僕の周りでも半狂乱になったオーディエンスが拳を振り上げ、絶叫する。

 

まさかこのバンドのライヴを生で観られることになるとは思わず、「都部ふぶく」から早速ハードコア野郎たちによるモッシュが炸裂。BRAHMANのライヴまでモッシュは温存しておこうかと思っていましたが、ヌンチャクが相手ならそんな甘いことは言ってられん。この人波に飲まれていこうじゃないか。

 

ハードコアでありながら非常にタイトにまとまった演奏力、タイプのことなるツインヴォーカルの絶叫という、ヌンチャクのアイデンティティはステージ上でもバッチリと発揮されている。フロントマンの向さんはkamomekamomeと同様のTシャツ半パンスタイルで、もう一方のクニさんは上下共に迷彩柄で顔を隠し、まるでテロリストのような見た目。フロント二人のルックスが違いすぎるというのが、バンドとしてかなり異様。

 

ベースの小島さんなんて福岡のIT企業の社長をやってるほどの立場なのに、この日までバンドのリハーサルやらなんやらをやっているとは、いったいどうやって時間を捻出しているのか、仕事術を教えて欲しい。ついでにIT企業でクラウドやってるなら、AWSについての知識とかも教えて欲しい。Kinesis Data StreamとかRDSのクロスリージョンレプリカとか、マジでもうわからんっす。

 

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クラウド云々はさておき、ライヴについてですが、落ち着いたMCをちょっと挟みつつも、どの楽曲もハイテンションで、はっちゃけたパフォーマンスもあり、とても以前のライヴからブランクがあるとは思えない。まあ向さんはkamomekamomeやってるけれど。

 

僕が一番好きな「アナル窒息」は残念ながらやってくれませんでしたが(やってたらBRAHMAN前に喉がヤられていたでしょう)、ヌンチャクを代表する名曲の一つである「3コードで悪いか」を聴くことができたのは一生モノの財産になりましたね!ハードコアに生きる奴らの魂の叫び、これを本人たちと一緒に叫ぶことができたというのは本当に嬉しい。

いやーやっぱ音楽はーーー!プログレ速弾きぃーーー!!

 

「改めてやってみて思ったけど、何なんだよこの歌詞。てめえで書いたくせに」と笑いながら言っていた向さんですが、その訳わからん歌詞が僕は大好きなんですよ。本当にありがとう。

 

 

Riddim Saunter

右往のステージのラスト。失礼ながら今回の出演が決まるまで全く知らないバンドでした。前のヌンチャクで思いっきりモッシュもしたし、この後にBRAHMANが控えるということもあり、そのまま隣のフロアからのんびり様子見することに。

 

どうやら2011年に解散したオルタナティヴロック/ポップロックで、トランペットやフルートを取り入れるサウンドが特徴的。

 

バンドが現れた際に、やや黄色めな声援が飛んだだけあり、バンドメンバーみんな爽やかで、先ほどヌンチャクが下世話なハードコアをプレイしたというのに、一気に空気が洗われました(笑) 今日イチ爽やかな時間帯だ。

 

「再結成すると発表した時に、いろいろな人に言われました。"脅されたの?"って。でも、人を脅して動かそうとする人だったら、30年もバンド続けられないですよ」と笑みを浮かべながらMCをする姿も、スタンディングフロアに降り立ってオーディエンスに身を乗り出すのも、もう本当に爽やかなオーラがプンプン。ヌンチャクとBRAHMANの間にこれを挟むというのがカオスだ。

 

もうちょっと歌メロのキャッチーさが欲しいけれど、パフォーマンスや煽り含めて普通に良いバンドだなと思いましたね。ちょっとスカっぽいリズム感を演出するドラム(途中立ちながら叩いてた?)が特に良い感じ。

 

 

BRAHMAN

さあいよいよ真打登場。30年の歴史を飾る1日目、過去のライヴ映像やモノクロでたたずむメンバーショットを使った映像とともに、お馴染みのSEでメンバーが登場。

 

KOHKIさんが1stアルバムの幕開けとなる「THAT'S ALL」のイントロを弾くと、もうこの時点で興奮したオーディエンスが前に詰めかけ、クラウドサーファーまで現れる始末。いきり立つのはわかるけど早えよ(笑)

 

「来てくれた人たち、感謝しかないです。尽未来祭初日、BRAHMAN始めます!」と、過去からしたら信じられないほど素直な感謝の気持ちを述べたTOSHI-LOWさんが開幕を告げると、さっそくモッシュピットが炸裂!...するのだが。

 

これがヤバかった。

90年代のバンドブームを生きてきた猛者が集うこの日だからか、この時のBRAHMANモッシュの圧はとんでもなく強いもので、全身を360°から押しつぶされ、一切の身動きが取れず、絶え間なくクラウドサーファーが頭上に突撃し、狂喜乱舞したハードコア野郎が笑顔っぽくもどこか死気が宿ったような、真剣な表情で体をぶつけまくってくる。マジで死ぬほどキツい。生命の危機すら感じる。

 

今までキツいモッシュピットといえば、Baitfish AttitudeのツアーでのSHANK、VIVA LA ROCKでのBRAHMAN、Douwnload FestivalのARCH ENEMYあたりが思いつくんですが、冗談抜きで過去イチの強力さだったかもしれない。もう序盤の段階で息絶え絶えのグロッキー状態。し、死ぬ......!

 

この日のメンツに合わせたセットリストは、潔いほどの初期曲仕様。共演者とのコラボレーションを除けば、一番新しい曲ですら「Speculation」で、その他は全て1st・2ndアルバムの曲のみという、明確に焦点を絞ったもの。昔からのファンは当然過去曲の方が体に染み付いているから、さぞかし熱狂していたのでしょう。このモッシュの勢いはそれが原因か。

 

いや、もはやモッシュじゃないな。将棋倒し寸前の事故現場だこれ。モッシュって体をぶつけ合う行為でしょ?俺、身動き取れないままボコボコにされたんだけど。

 

BRAHMANのライヴはもう何度も観てきているだけに、変に慣れてしまって「今回も最高のモッシュができるぜ!」なんて息巻いてた僕に、強烈なカウンターパンチを見舞ってくれた感じです。BRAHMANのライヴは戦場。これを忘れてはいけなかったのだ。

 

そんなわけで序盤から中盤にかけては、バンドのパフォーマンスを満足に観ることすら叶いませんでしたが(まあBRAHMANのライヴはいつもそうか)、それが少し緩和されたのがEGO-WRAPPIN'をステージに呼び寄せての、「WE ARE HERE」を披露した時。この曲はそこまでモッシュするタイプではないため、少し落ち着いた状態で観られる。

 

EGO-WRAPPIN'の2人が登場した時、TOSHI-LOWさんは非常に柔和な笑みを浮かべて「よっちゃんは相変わらずMCが下手だな」「可愛いな〜ハッハッハ」と、ライヴ中は鬼神のごときパフォーマンスを繰り返し続けてきた男とは思えないほどの姿が見られました。こんな姿は、昔からのライヴではお目にかかれなかったでしょうね。

 

THA BLUE HERBが出演しているため、当然ながらILL-BOSSTINOさんを迎えての「ラストダンス」も披露。ここまではある種予想通りの展開ながら、さらに今回のステージがスペシャルなものになったはその後。

 

1999年にSHAKKAZOMBIEというヒップホップアーティストとコラボした「KOKORO WARP」を、RHYMESTERの二人も呼んだうえで披露するという、この日だからこそ観られたような瞬間。僕のすぐ後ろでは「マジかよ〜!」と感激したような男性の叫びが聞こえました。バックのLEDスクリーンには、まだSHAKKAZOMBIEのBIG-Oさんが元気にステージに立っている映像が流れていて、当時をリアルタイムで経験していた人たちには感涙ものだったのではないでしょうか。

 

これだけのスペシャルなライヴを経験した後、TOSHI-LOWさんによる、この日を総括するようなMC。「10年前一度きりやるつもりだった尽未来祭。10年後にまたやるとは思っていなかった。このままずっと40周年も...やれるとは限らない。明日俺がここに立てているかもわからない」と、丸一日を過ごした疲労感をまざまざ感じさせる言葉を吐きつつ、90年代のバンドたちと共に歩んできた想いを綴っていく。

 

「あの時は何をやっても下手くそだ、つまらないと色々言われてきた。それでもここまでやってこれたのは、ただ"懸命にやる"ってこと。懸命にやっていれば、それは他人から否定されることはない。これからも懸命に、懸命に、懸命に」

 

まだ今ほど音楽が多様化していなかった時代。BRAHMANは通常のパンクロックとは異なる音楽性を標榜し、ハードコアながらも商業的な成功も経験したことから、周囲から色々な口出し・意見・批判などを受けてきたであろうことは想像に難くない。それでもなお自分達の音楽を貫き、30年もの間続けてこれたのは、この曲のタイトル通りに懸命に、命をかけて続けてきたからに違いありません。

 

たくさんの仲間に見守られながら、バンドの生き様を貫いたステージを展開してくれたBRAHMAN。もうこの時点で充分すぎるほどの満足度ではありましたが、30周年のお祝いはここで終わらない。ここから怒涛の二日間へと続いていきます。

PassCode 『INSIGNIA』

  • 先行シングルを多く挟んだ現体制最初のフルアルバム
  • ポップな歌モノとしてのメロディーが潤沢に存在
  • やや画一的ながら完成度はどの曲も高い

 

僕も足を運んだ日本武道館ライヴ(コロナ禍真っ只中だったなぁ...)前に、メンバーの交代劇が発生し、LADYBABYでの活動歴がある有馬えみりさんを迎えたPassCodeのフルアルバム。現体制になってから結構経ち、シングルもそれなりに出していたのですが、意外にもアルバムは初めてです。

 

このグループについては、1stアルバムを出してた時点でもう方向性・芸風が固まっているために、メンバーチェンジを経た本作においても、大筋はまったく変わっていません。デジタルな加工を施したヴォーカルやEDM的シンセのバッキング、ヘヴィロックからの影響が大きいバンドサウンドを織り交ぜ、キャッチーな歌とシャウトが交錯していく。これまでのサウンドが好きな人であれば文句は出ないでしょう。

 

前作『STRIVE』は、前半が少々トリッキーな曲展開が目立ち、僕が求めているようなキャッチーな歌メロに少々物足りなさを感じたのですが、本作においては先行シングルのM3「SKILLAWAKE」を筆頭に、前半の段階から歌の充実度が高く、聴き始めの印象が良くなっているのが嬉しいところ。

 

M6「One Time Only」やM9「WILLSHINE」あたりの曲は、ラウドでアグレッシヴな基本線を守りながら、歌モノとしてもポップでキャッチーなセンスがしっかりと活きている。こういう曲がやっぱり僕のツボに一番ハマりやすい。

 

前任者の今田夢菜さんと比べて、より低音域が豊かでディープなシャウトができる有馬さん加入効果もあり、ヘヴィパートの説得力がしっかりとあるのは、ライヴで暴れたいキッズにとってもポイントでしょう(今田さんのヒステリックな高音もあれはあれで魅力でしたが) M2「MIRAGE WALKER」やM10「FLAVOR OF BLUE」などはそれが顕著に出ています。

 

ちょっとコミカルさが出ているというか、風変わりな曲調を見せるM4「VIRIVIRI」、M8「A certain motor -Heart is not working right!」が、それぞれ前半と後半に位置しているのも、アルバムのスパイスとしての効果があって面白い。

 

まあ風変わりといっても、他の曲と比べればという話であって、PassCodeのスタイルから大きくブレている訳ではないです。アルバム通して少々画一的なきらいはあり、全体の起伏はあんまり大きくないかな。これでメロディー面の充実度が低かったら、平坦で物足りない作品になってたかもしれない。コンポーザーの平地さんありがとう。

 

あと僕はさほど気にならなかったものの、既出シングルの収録曲が結構多いので、これまでの作品に付き合ってたファンの人はありがたみが薄いかもね。

 

J-POP的な歌のキャッチーさは充分に備え、それでいてアイデンティティーである、デジタル加工を施したヘヴィサウンドもしっかりと冴え渡る、期待通りの作風を高く安定したクオリティーで聴かせてくれるアルバムでした。

 

しかし、この手のいわゆる「ピコリーモ」なんて呼ばれてた音楽、僕が高校〜大学くらいの頃はかなりシーンが活況していたと記憶してますが、今や一部の実力者を除いてすっかり見なくなりましたね〜...。十年一昔というヤツか。

 

個人的に本作は

"ポップでキャッチーなメロディーの充実度を高く保ち、ヘヴィなサウンドとディープなシャウトでアグレッシヴな側面も損なわない、安定感抜群の作品"

という感じです。

 


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BATTLE BEAST 『Steelbound』

  • 80年代ポップス的なアレンジをさらに増強
  • 曲によってはメタル以上にポップスの側面が強いものも
  • 全体の骨格はちゃんとメタルしてる

 

超強力なパワーシャウターであるノーラ・ロウヒモを看板とし、北欧はフィンランドを代表する正統派メタルバンドのポジションを築き上げた、BATTLE BEASTの最新作。来年には本作リリースに伴う来日公演も決定しています。

 

初期〜中期における、現BEAST IN BLACKのアントン・カバネン在籍時は、ダンスミュージックや近未来的シンセサウンドを取り入れつつ、ACCEPTやPrimal Fearにも通じるような鋼鉄サウンド出していましたが、アントン脱退後は正統派メタル路線はそのままに、かなりポップな質感を強めるようにもなっていました。

 

そして本作においてもその路線はしっかり推し進められており、曲によってはもはや「ヘヴィメタルバンドがやるポップな曲」というよりも、「ポップスアーティストがHR/HM的なサウンドの要素を取り入れた」とすら言える曲も目立つほど。ジャケットはめっちゃメタルなのに。

 

アルバムタイトルを冠し、"Steel"なんて語が入ってるにも関わらず、まるで80年代海外ポップのようなシンセが目立つM3「Steelbound」なんかは、そんなサウンド志向を如実に示すものです。

 

さすがにここまで80年代ポップスじみた感じになると、僕の感性の閾値を超えてきてしまいそうなんですが、ノーラの強靭なメタルヴォーカルによって、最低限引き締まった印象を与えてくれるのが嬉しいですね。ノーラは僕にとってのありがたい防波堤です(笑)

 

その後に続くM4「Twilight Cabaret」は、今聴いてるアルバムがヘヴィメタルバンドのものなのか疑わしくなるほど、やたらファンキーなイントロが飛び出して面食らうレベル。もし80年代のHR/HM全盛期にメタルバンドがこういう曲やったら、ボロクソにバッシングを喰らってたりしたのかなぁ。

 

2025年の今では、ヘヴィメタルにも様々なサブジャンルが登場し、一つのジャンルにおいてもあらゆる多様性が見られるようになったので、本作の方向性もまた「一つのメタルの姿」になるのでしょうね。

 

ただ、バンドの場合はどれだけポップに傾倒しようとも、サウンドの根底にはちゃんと「正統派ヘヴィメタル」があるのが嬉しいところ。アルバムの幕開けとなるM1「The Burning Within」はJudas Priestのようなメタルリフと速弾きからスタートする正統派ナンバーで、メタルバンドであることを高らかに宣言してくれるのが頼もしい!

 

M7「Blood Of Heroes」はヒロイックなメタルならではの勇ましさを表現するメロディーが豊富だし、それに続くM8「Angel Of Midnight」もキラキラしたシンセが目立ちながら、骨格は王道のHR/HMを踏襲したスタイルで、サビもひたすらにキャッチー。

 

ポップに行き切っていそうでありながら、それでもなおしっかりと根底にヘヴィメタルの血肉を感じさせる、なかなか他のバンドには見られないバランス感覚が活きたアルバムです。王道のHR/HMサウンドを愛するメタルヘッズはもちろんですが、あまりメタリックなサウンドにこだわらないポップスリスナーにも響くものがありそう。まあそんな人は「BATTLE BEASTのアルバム」なんて物に手を出さないだろうけど(笑)

 

 

個人的に本作は

"80年代型のポップス要素をさらに突き詰め、非常にキャッチーにまとめあげたアルバム。曲の根幹とノーラのヴォーカルは変わらずメタル"

という感じです。

 


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