2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
老人は二た言目には「今の若い者は」を口にして、西洋かぶれのしたものは何に限らずダークのあやつりと同じように腰がきまらない、うすっぺらだと云ってしまう。尤も老人の言い草には常に多少の掛け値があって、一と昔前はそう云う御自身が歯の浮くようなハ…
わたしは異国の人としてイギリスに滞在しており、友だちづきあいの炉がわたしのために燃えることもなく、歓待の扉も開かれず、また、友情のあたたかい握手が玄関でわたしを迎えてもくれない。だがそれでもわたしは、周囲のひとびとの愉しい顔から、クリスマ…
曇りがちであった十一月の天気も二三日前の雨と風とにすっかり定って、いよいよ「一年ノ好景君記取セヨ」と東坡の言ったような小春の好時節になったのである。今まで、どうかすると、一筋二筋と糸のように残って聞えた虫の音も全く絶えてしまった。耳にひび…
芸術の鑑賞は芸術家自身と鑑賞家との協力である。云わば鑑賞家は一つの作品を課題に彼自身の創作を試みるのに過ぎない。この故に如何なる時代にも名声を失わない作品は必ず種々の鑑賞を可能にする特色を具えている。しかし種々の鑑賞を可能にすると云う意味…
わしの庭を占拠していた百日草の大群を人間様の私が殲滅したら、蛙や芋虫や蝗虫の皆様が日が当たるようになりましたありがとうみたいな態度であった。 城上繁下矢石沙炭以雨之薪火水湯以濟之。審賞行罰以静爲故從之以急毋使生慮。若此則雲梯之攻敗矣。 墨子…
誰がそのもっともらしいことを言っているか注意せよというのは、大人の常識であるが、肝心なときにその常識を思い出さずに、そこはそういうことにしとけよみたいなことに対してだけ思い出す。――そういう人間が社会の空気を制圧するといまみたいな感じになる…
僕はいつか苛立たしさを感じ、従姉に後ろを向けたまま、窓の前へ歩いて行った。窓の下の人々は不相変万歳の声を挙げていた。それはまた「万歳、万歳」と三度繰り返して唱えるものだった。従兄の弟は玄関の前へ出、手ん手に提灯をさし上げた大勢の人々にお時…
世継『よしなきことよりは、まめやかなることを申しはてむ。よくよく、たれもたれも聞こし召せ。今日の講師の説法菩提のためと思し、翁らが説くことをば、日本紀聞くと思すばかりぞかし』と言へば、僧俗、『げに説経・説法多くうけたまはれど、かく珍しきこ…
今有一人、入人園圃、竊其桃李、衆聞則非之、上為政者得則罰之。此何也。以虧人自利也。至攘人犬豕雞豚者、其不義又甚入人園圃竊桃李。是何故也。以虧人愈多、其不仁茲甚、罪益厚。至入人欄厩、取人馬牛者、其不仁義又甚攘人犬豕雞豚。此何故也。以其虧人愈…
大犬丸をとこ、『いで、聞きたまふや。歌一首つくりてはべり』と言ふめれば、世継、『いと感あることなり』とて、世継『うけたまはらむ』と言へば、重木、いとやさしげにいひ出づ。『あきらけに鏡にあへば過ぎにしも今ゆく末のことも見えけり』と言ふめれば…
雖至天下之為盜賊者亦然、盜愛其室不愛其異室、故竊異室以利其室。賊愛其身不愛人、故賊人以利其身。此何也。皆起不相愛。 なんじの敵を愛せよ、どころではなく、盗賊に他人の家を愛せよと述べるのが墨子である。しかし、盗賊としては他人の家も自分も家も好…
『いでいで、いといみじうめでたしや。ここらのすべらぎの御有様をだに鏡をかけたまへるに、まして大臣などの御ことは、年頃闇に向ひたるに、朝日のうららかにさし出でたるにあへらむ心地もするかな。また、翁が家の女どものもとなる櫛笥鏡の、影見えがたく…
院にならせたまひて、御目を御覧でざりしこそいといみじかりしか。こと人の見奉るには、いささか 変らせたまふ事おはしまさざりければ、そらごとのやうにぞおはしましける。御まなこなども、いと きよらかにおはしましける。いかなるをりにか、時々は御覧ず…
雨は歇まない。 初め家へ上った時には、少し声を高くしなければ話が聞きとれない程の降り方であったが、今では戸口へ吹きつける風の音も雷の響も歇んで、亜鉛葺の屋根を撲つ雨の音と、雨だれの落ちる声ばかりになっている。路地には久しく人の声も跫音も途絶…
坂出で仕事があったので帰りに和霊神社に寄ってみた。雨が降っていた。 神社には全てではないが、いろんなものに屋根がついている。雨が降っていると、たしかに雨からいろいろ守られているのが分かるのであった。 鳥居は雨が降っていると雨宿りもさせてくれ…
花山寺におはしまし着きて、御髪下ろさせ給ひてのちにぞ、粟田殿は、「まかり出でて、大臣にも、変はらぬ姿、いま一度見え、かくと案内申して、必ず参り侍らむ。」と申し給ひければ、「我をば謀るなりけり。」とてこそ泣かせ給ひけれ。あはれに悲しきことな…
さて、土御門より東ざまに率て出だしまゐらせたまふ に、晴明が家の前をわたらせたまへば、みづからの声にて、手をおびただしく、はたはたと打ちて、「帝王おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。まゐりて奏せむ。車に装束と…
以前、オールナイトニッポンで中島みゆきが容姿が悪いとひどいいじめを受けている女の子が「みゆきさんのコンサートの日には、今の私でない私になってみようと思います。」と手紙を書いてきたのに対して、次のように答えたことがあったらしい。 日本中で今の…
で過ぎ去った。 ホモソーシャルと言われようとも、おれは安部公房の顔が好きだったのだが、朝ドラ女優に横恋慕されてたことが発覚して以来、人生は大概こんなもんだと思っている。 この前書庫でマクルーハンを瞥見したが、むかしかなり読み違えてたことが判…
この世はじまりて後、帝はまづ神の世七代をおきたてまつりて、神武天皇をはじめたてまつりて、当代まで六十八代にぞならせたまひにける。すべからくは、神武天皇をはじめたてまつりて、次々の帝の御次第を覚え申すべきなり。しかりと言へども、それはいと聞…
オンラインでいろいろと学ぶ
伝てに承れば、法華経一部を説き奉らむとてこそ、先づ余教をば説き給ひけれ。それを名付けて五時教とは言ふにこそはあなれ。しかの如くに、入道殿の御栄えを申さむと思ふほどに、余教の説かるると言ひつべし』など言ふも、わざわざしく、事々しく聞こゆれど…
この本鈍器だなとか枕だな、とか言っている人でも実際に鈍器や枕にした人は少ないに違いない。わたくし、『文学的絶対』を昨日枕に、朝起きた後、幼いGを圧死させたことを告白しますありがとうgざいました。ゴジラはトカゲじゃないからいいのであろうが、一…
『そこにおはするは、その折の女人にやみでますらむ』と言ふめれば、繁樹が答へ、『いで、さも侍らず。それは早や失せ侍りにしかば、これは、その後相添ひて侍る童なり。さて閣下はいかが』と言ふめれば、世継が答へ、『それは侍りし時のなり。今日もろとも…
唯我は子產むわざもしらざりしに、しうの御使にいちへまかりしに、又わたくしにもぜに十貫を持ちて侍りけるに、にくげもなきちごを抱きたる女の、これ人にはなたむとおもふ、子を十人までうみて、これはし十たりの子にて、いとゞさつきにさへ生れてむづかし…
繁樹と名のるが方ざまに見やりて、「『いくつといふこと覚えず。』と言ふめり。この翁どもは覚えたぶや。」と問へば、「さらにもあらず。一百九十歳にぞ、今年はなり侍りぬる。されば、繁樹は百八十におよびてこそさぶらふらめど、やさしく申すなり。 一九〇…
おぼしきこと言はぬは、げにぞ腹ふくるる心地しける。かかればこそ、昔の人はもの言はまほしくなれば、穴を掘りては言ひ入れ侍りけめとおぼえ侍り。かへすがへす嬉しく対面したるかな。 いいたいことを我慢するのは腹に異物があるようでいやですねえ、と語る…
虫の生命を助くるは 神の心を持った人 みんな仕えよ神様に 御礼申せよ神様に こんな歌がどこからともなく晴れやかに聞こえて来ましたので、勘太郎は不思議に思って眼を開きますと、自分はいつの間にか見事な寝台の上に寝かされて、傍には大勢の美しい天女が…
今日は「地域と白鳥園の集い」というのにお邪魔した。帰りに、麦縄の里によって弁当を食べた。 以前、授業で、みなさんにとってバブルなんて江戸時代みたいなもんでしょう、と言ってみたら、一斉に頷かれたので、私の授業は何か間違っている。とにかく、われ…
休復。吉。 むかし、自称外国語苦手な安部公房が外国語ができる人ってちょっとおかしいんじゃないかみたいなこと言っており、中1のわしはいいこと言ったとか思ってそれ以来英語の勉強をサボってしまった。でも、なんか外国語にすごく情熱を持てる人はなにか…