さちゅりこん2――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

火焚きの宿世

都の使いは三ヶ月かかって武蔵の国に行ってしまった姫君を見つけ出した。でも、姫は「ここはもう気に入ってしまいました。これが私の運命です。この男に命じたから私はここにいるのだ。もう一回言うがこれは「宿世」だ。早く帰り、そう言いなさい」と使いを…

さらば モスクワ愚連隊

授業の準備で、五木寛之の「さらば モスクワ愚連隊」を読み直す。

さるべきにやありけむ――「因縁力」

「言ひつること、いま一返りわれに言ひて聞かせよ」と仰せられければ、酒壺のことをいま一返り申しければ、「われ率て行きて見せよ。さ言ふやうあり」と仰せられければ、かしこくおそろしと思ひけれど、さるべきにやありけむ、負ひたてまつりて下るに、ろん…

峰山の麓

月残りなくさし入りたるに

苫といふものを一重うちふきたれば、月残りなくさし入りたるに、紅の衣上に着て、うちなやみて臥したる月かげ、さようの人にはこよなくすぎて、いと白く清げにて、めづらしと思ひてかき撫でつつ、うち泣くを、いとあはれに見捨てがたく思へど、いそぎ率て行…

月光

まどろまじ

その夜は、くろとの浜といふ所に泊まる。片つかたはひろ山なる所の、すなごはるばると白きに、松原茂りて、月いみじうあかきに、風のおともいみじう心細し。人々をかしがりて歌よみなどするに、 まどろまじ こよひならでは いつか見む くろとの浜の 秋の夜の…

庵なども、浮きぬばかりに雨降りなどすれば

門出したる所は、めぐりなどもなくて、かりそめの茅屋の蔀などもなし。簾かけ、幕など引きたり。南ははるかに野の方見やらる。東、西は海近くていとおもしろし。夕霧たちわたりて、いみじうをかしければ、朝寝などもせず、方々見つつ、ここを立ちなむことも…

一学期折り返して

校正とか収録とか会議とか……暑いし

薬師仏はさびしく立つ

いみじく心もとなきままに、等身に薬師仏を造りて、手洗ひなどして、ひとまにみそかに入りつつ、「京にとく上げたまひて、物語の多く候ふなる、ある限り見せたまへ。」と、身を捨てて額をつき、祈りまうすほどに、十三になる年、上らむとて、九月三日門出し…

雲と電線

雲もいろいろ

電線

その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど

東路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間、よひゐなどに、姉、継母などやうの人々の、その物語、…

睡眠と収録と読書だけ

寝て、授業を収録して、大嶽秀夫『新左翼の遺産』を読んだ。

嘘と人にもあらぬ身の上――「蜻蛉日記」の終わり

今年いたうあるるとなくて、はだら雪ふたたび許ぞふりつる。助のついたちのものども、また白馬にものすべきなどものしつるほどに、暮れはつる日にはなりにけり。明日の物、をりまかせつつ、人にまかせなどしておもへば、かうながらへ、今日になりにけるもあ…

山霞み渡りて、いとほのかに心すごし

歸りて三日ばかりありて賀茂に詣でたり。雪風いふかたなう降りくらがりてわびしかりしに、風おこりて臥しなやみつるほどに、しもつきにもなりぬ。しはすも過ぎにけり。十五日なびあり。大夫の雜色のをのこどもなびすとて騷ぐを聞けば、やうやうゑひ過ぎて、…

九月になりて、まだしきに格子をあげて見いだしたれば、内なるにも外なるにも川霧たちわたりて、ふもとも見えぬ山の見やられたるも、いとものがなしうて、 ながれての床とたのみてこしかども 我がなかがははあせにけらしも とぞいはれける。 夫婦仲は絶えな…

二人の心

さてれいのもの思ひは、この月も時々同じやうなり。二十日の程に「遠うものする人にとらせむ。この餌袋の內に袋結びて」とあれば、結ぶほどに出で來にたりや。「歌を一重袋に入れ給へ。こゝにいとなやましうて、え讀むまじ」とあれば、いとをかしうて「のた…

神社の効用

おほやけには、例の、そのころ八幡のまつりになりぬ。つれづれなるをとて、しのびやかに立てれば、ことにはなやかにていみじう追ひちらすもの来。たれならむとみれば、御前どもの中に例みゆる人などあり。さなりけりと思ひてみるにも、まして我が身いとはし…

だんだん忙しくなってきた

暑いし

リアリティの種類

思ひそめ物をこそおもへ今日よりはあふひ遙になりやしぬらむ とてやりたるに、さらにおぼえずなどいひけむかし。されど、又、 わりなくもすぎ立ちにける心かな三輪の山もとたづねはじめて といひやりけり。大和立つ人なるべし。かへし、 三輪の山まち見る事…

孤児を泣く帰趨

聞きつる年よりもいと小さう、いふかひなく幼げなり。近う呼び寄せて、「立て」とて立てたれば、丈四尺ばかりにて、髪は落ちたるにやあらむ、裾そぎたるここちして、丈に四寸ばかりぞ足らぬ。いとらうたげにて、頭つきをかしげにて、様体いとあてはかなり。…

「太刀とくよ」とあれば

あくれば二月にもなりぬめり。雨いとのどかにふるなり。格子などあげつれど、例のやうに心あわただしからぬは、雨のするなめり。されどとまるかたは思ひかけられず。と許ありて、「男どもはまゐりにたりや」などいひて、起きいでて、なよよかならぬ直衣、し…

不愉快今昔物語

また、つごもりの日ばかりに「何事かある。騒がしうてなむ。などか音をだに。つらし」など、果ては言はむことのなさやらむ、さかさまごとぞある。今日も、みづからは思ひかけられぬなめリと思へば、返りごとに、「御前申しこそ、御いとまのひまなかべか めれ…

月と電信柱

きそのかわ

なにもなし

授業の収録つかれてきましたね