さちゅりこん2――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

大方には

もの思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の袖うち振りし心知りきや から人の袖振ることは遠けれど立ち居につけてあはれとは見き 大方には 舞(青海波)を披露した源氏が、はじめの歌を送ると、たまらず藤壺も送ってしまった場面である。恋しくて踊りを舞っている場…

Only the dead have seen the end of war.

Only the dead have seen the end of war.と言ったのはたしかプラトンだったと思ったが、死んだら見えねえじゃねえかよとも思うのである。もっとも、プラトンはわれわれよりも戦争を知っていたのかもしれないが……。 この前、千坂恭二氏の『思想としてのファ…

円成庵内の小祠を訪ねる(香川の神社185)

円成庵は多肥上町。 ここは、木造六字尊立像という密教の仏像(一二世紀)があるというので有名なのだが、いまは見られない。修理中のことである。 左側にお地蔵さんがいる。 その左側に小祠あり。詳細不明。 最近、高松市内では伸びすぎた木を切っているの…

死を解いてください

マーク・オコネルの『トランスヒューマニズム』のなかで知ったのであるが、グーグルへのデモのプラカードの中に「グーグルさん、死を解いて下さい」というのがあったそうだ。 なるほどそういうことか、と一瞬思ったが、――確かに、我々が直面している問題は、…

いろいろ

松井健児氏の「風景和文の変容」など、源氏物語論を読む。考えてみると、小林秀雄を乗り越えようとした吉本隆明、これを乗り越えようとした国文学者たちによって、果たして国文学の世界は我々にとって批評的に身近になったのであろうか、という問題がある。…

普賢菩薩の乗物とおぼゆ。

まづ、居丈の高く、を背長に見えたまふに、「さればよ」と、胸つぶれぬ。うちつぎて、あなかたはと見ゆるものは、鼻なりけり。ふと目ぞとまる。 普賢菩薩の乗物とおぼゆ。 末摘花の鼻をからかった場面であるが、普賢菩薩の乗り物なのだから、別にいいではな…

A2

「A2」は、前作よりも評判がよいのだが、たしかに実際に見てみると、ある意味で〈楽しい〉作品になっているからであろうと思った。オウムが各地で住民から退去運動を起こされている様を描いたのがこのドキュメンタリーで、その様子は一様ではない。なかに…

いとをかしきもてあそび

さかしら心あり、何くれとむつかしき筋になりぬれば、わが心地もすこしたがふふしも出で来やと、心おかれ、人も恨みがちに、思ひのほかのこと、おのづから出で来るを、いとをかしきもてあそびなり 源氏が若紫をかわいがる理由がこれであった。むろん、若紫が…

昔、革命的だった孫たちへ

林信吾氏と葛岡智恭氏の『昔、革命的だったお父さんたちへ』をパラパラめくってみた。だいたい、昔革命的だったひとたち(「団塊の世代」)は、お父さんというよりお爺さんではないかと思うのであるが、出版されたのが2005年だからまだお父さんでもよか…

ラプソディ イン ブルー

George Gershwin - Rhapsody in Blue, ラプソディ・イン・ブルー Maja Babyszka - piano ラプソディ・イン・ブルーは、バーンスタインのピアノとニューヨークフィルを愛聴していたが、どうも万全なアスリートがニューヨークでジョギングしてるみたいな感じが…

東のそらの琥珀が微かに透いて

窓の蘭の葉の形の結晶のすきまから、東のそらの琥珀が微かに透いて見えて來ました。 「七時ころでございませうか。」 「丁度七時だよ。もう七時間、なかなか長いねえ。」 […] 俄かにさっと窓が黄金いろになりました。 「まあ、お日さまがお登りですわ。氷…

男女の間ならばとっくに心中しているか、夫婦になっているか

岩と土とから成る非情の山に、憎いとか可愛いとかいう人間の情をかけるのは、いささか変であるが、私は可愛くてならぬ山を一つもっている。もう十数年間、可愛い、可愛いと思っているのだから、男女の間ならばとっくに心中しているか、夫婦になっているかで…

淋しい年度末

みんな「教科書が読めない」のである

新井紀子の『AI対教科書が読めない子どもたち』を少し読んだ。AIに対抗する以前に我々の多くが教科書を読めない状態であることを告発した本である。が、それはいまに始まったことではなく、小学校を卒業する時点で、かなり多くの人が、国語の教科書の四割…

渋柿地蔵を訪ねる(香川の地蔵40)

渋柿地蔵は、中野町。渋柿寺の住職の釋鉄雄氏による由来書に拠れば、ここらに戦国時代末期、香西氏の臣下の吉田玄蕃の城があって、彼の死後墓所となったらしい。東側の中央通りは昔香東川であった。いつも氾濫してこまったので江戸期に埋め立てられてしまっ…

お花もらいました

ありがとう

ねむい

様々なことが眠すぎる

その言葉につい惹かされて

「複雑精緻をきわめた美しい六花」という言葉が、昔から使われて来た。そしてその言葉につい惹かされて、六花以外の「美しくない」結晶の方が、つい度外視される傾向にあった。 ――中谷宇吉郎「雪」 考えてみると自然科学でさえ、「言葉につい惹かされ」るこ…

働き方改革における光源氏――藤壺との密通を中心に――

いかがたばかりけむ、いとわりなくて見たてまつるほどさへ、現とはおぼえぬぞ、 わびしきや。 管見では、光源氏と藤壺の密通が、以上の記述ですまされていることは有名である。これに比べると、『東京大学物語』なんか、ベッドシーンに何巻もかけているくら…

雪が降っておる

高松のくせに積もるなと……。近所の犬が跳ねている。

「涙ぞ落つる」考

つらつきいとらうたげにて、 眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざし、いみじううつくし。「 ねびゆかむさまゆかしき人かな」と、目とまりたまふ。 先生、このおにいさんが、覗いてます。はやく逮捕して下さい。 さるは、限りなう心を…

夕顔の非現実性

我にもあらず、あらぬ世によみがへりたるやうに、しばしはおぼえたまふ。 源氏が夕顔と遊んでいたところ、生き霊があらわれる。で夕顔は卒倒して死ぬ。源氏はあまりのことにこそこそと家に帰ってくるのだが、ここの世間体と夕顔の死へのショックで混乱する描…

多肥下町の地神さんを訪ねる(香川の神社38-2)

冬でも地神さん。わたくしは、もうこういうものが横綱の土俵入りに見えてきている。もうすぐなんだかわからん何かの境地に達するに違いない。 この地神さんのとなりにはおいしいパン屋がある。

雪灯りの散歩路2019

【公式PR動画】木曽福島雪灯りの散歩路2018 ああ寒寒

かのをかしかりつる灯影ならば

君は入りたまひて、ただひとり臥したるを心やすく思す。 床の下に二人ばかりぞ臥したる。 入るなよ…… 衣を押しやりて寄りたまへるに、 寄るなっ ありしけはひよりは、ものものしくおぼゆれど、 思ほしうも寄らずかし。 一晩で太るわけはなかろうが……。はやく…

Etude in C major Op. 10 No. 1

Natalie Schwamová – Etude in C major Op. 10 No. 1 (first stage) この曲は大学の時に、音楽棟でときどき練習してみたが、そのときにわたくしの頭にあったのは、アシュケナージやポリーニの鋼鉄特急みたいな演奏だったので、わたくしの演奏はガタピシガタ…

「受け身」ということ

「よし、あこだに、な捨てそ」 とのたまひて、 御かたはらに臥せたまへり。 若くなつかしき御ありさまを、 うれしくめでたしと思ひたれば、 つれなき人よりは、 なかなかあはれに思さるとぞ。 帚木の最後のところの贈答はあまり好きじゃないが、かたくなに源…

一緒になって字を書く

ペン先がインキにこう言いました。 「お前位イヤなものはない。私がいくら金の衣服を着ていても、お前はすぐに錆さして役に立たなくしてしまう。私はお前みたいなもの大嫌いさ」 インキはこう答えました。 「ペンは錆るのが役目じゃない。インキはなくなるの…

「ネオナチの少女」雑感

まだ全部読んでないが、上は最近出た翻訳である。少女は生まれてからすぐナチエリートとして育てられた。しかし、同志との結婚、妊娠の過程でそこから抜け出す。翻訳者の後書きでは、彼女が新しい生命を生み出し、新たな人生が開かれる段になって彼女が自分…

あはれもまさりぬべし

すべて、よろづのことなだらかに、怨ずべきことをば見知れるさまにほのめかし、恨むべからむふしをも憎からずかすめなさば、それにつけて、あはれもまさりぬべし 源氏物語は長くて文脈をきちんと追っていないとよく分からなくなってしまうのであるが、上の左…