白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

秋を明るくする、秋明菊。

 

本来無一物(堀内宗匠墨蹟)秋明菊貴船菊とも)

 風炉の季節も終わりに近づく十月のお稽古。名残の花には秋明菊を生けました。冬になるまえに、お庭に咲いているたくさんのお花を生けて、ゆく季節を慈しむということから、名残りの花といわれるかと思いますが、お庭に咲き乱れた(本当にその形容がピッタリです)秋明菊を先輩からお持ちいただいたこの日は、一種のお花をたくさん生ける名残りの花となりました。たくさんの花の種類を生けても、ただ一種の花を生けても、どちらでも素晴らしいことを、お花たちが身をもって教えてくれます。

 秋明菊は、菊とは名付けられていますが、アネモネ科。また、別名、貴船菊とも呼ばれます。この日のお茶室では、秋明菊の名前がよりふさわしいようにも思えます。

 呼べば、そのようにふるまいはじめる、名前とは不思議です。秋を明るくする、なんとやさしい名前かと思います。

 さらに、貴船菊と呼べば、一本の白い花が目の前にすっくと立ち現れてくるかのようです。

 

 季節も移り、長かった夏もいきなり冬を思わせるような一日もありました。

 

 実は、もう三回目になりましたが、年長組の女のこがお母さんとご一緒にお茶を習いに見えることになりました。

 お二人とも、初心者ですが、わたしも五歳のお子さんにお教えするのは、初心者です。

 どこからお教えしようかと、毎回、たのしみでもあります。

 そして、お茶を美味しいと言われ、こんなに嬉しいことはありません。

 

主菓子 錦繍(浦和 菓匠花見製)

中置きの濃茶。茶碗の仮置きの位置について。

タカノハススキと秋海棠と。お軸 菊(酒井抱一画)

 この夏の暑さは、酷すぎました。

 ベランダの草花も、葉っぱが枯れてしまい、息も絶え絶え。人も息絶え絶えの日々でした。

 十月になっても三十度の日があるなんて、、、

 この日は、お花は諦めて、菊の絵のお軸をかけてお稽古をするつもりでしたが、嬉しいお花が到着しました。お持ちいただいたのは、秋海棠とタカノハススキ。先輩のお庭に咲いていたものです。タカノハススキの葉先は暑さと、さっきまで戦ったかのような風情。

 少しヨレヨレですが、そこがこの夏の凄まじさを物語っているようで、神々しく見えました。タカノハススキと秋海棠の愛らしさに元気づけられながら、お稽古をはじめることができました。

 お二人には、細水指を使った中置き(秋点前)をしていただきました。

 お濃茶と薄茶と。だんだんと気温も下がり始める秋の一日、お釜をお客さまの近くに寄せるだけで、暖かさを感じていただけるように、というお点前ですが、この日も冷房をつけてのお稽古となりました。

 このお点前で気を付けたいことは、茶碗の仮置きの位置。

1、茶碗を運び出して居前の位置に座った後、右手で膝前正面に仮置きします。中置きの場合は、この位置になります。

1、水指の蓋をしめた時に、拝見の所望があるので、これを受けて、柄杓・蓋置を建水にたたんだら、右手で茶碗を取り、膝前中央に仮置きします。(右手前→左横→右横と三手扱い)

1、次に、拝見のお道具を出したあと、仮置きの茶碗を右手で取り、客付、茶入れ・茶碗の置き合わせの位置の中央あたりに移します。

(茶碗の右横→左横→右手前と三手扱い)

このあと、柄杓・建水を左手に持ち、水屋に下がります。

また、水指の蓋は、二手で扱います。

 

 

とても暑い一日、道明に行きました。

道明に行きました。

八月の暑い暑い一日、上野に行きました。

ご案内は、上野界隈をご自分のお庭のように熟知している友人です。

道明の帯締めは、一度締めた時から、違う、とわかる。

その格別な締め心地にこころ奪われてしまいます。

とても、高価な印象はありますが、もちろん高価ではありますが、庶民のわたしたちにとり、手の届かないほどの価格ではないようです。

ずっと、道明の帯締めを愛用している友人によると、「このお値段は、何年も前からそんなに変わっていないわね。抑えてくださっている」

と言うことでした。

お店では、カンタン服の女性が対応してくださいました。おそらく奥様かと思いました。畳の上での仕草など、涼しげで、「着物姿もさぞお似合いでしょうね」とお店を出たあと、友人と話しました。

 

 

 

 

カラフルなスカート姿に白いスニーカーの友人。「黄色が入った帯締めもいいわね」と。

洋装も素敵ですが、何度か拝見した着物姿も美しい友人です。

この日は、とても暑かったので、日暮里駅で待ち合わせをしたあと、タクシーで上野まで行きました。道を熟知されている友人ですから、谷中も突っ切り、上野まで。

とんかつの老舗「井泉」には、開店と同時に入り、ロースカツ定食と、ヒレカツ定食をいただき、それから、歩いて道明へ。

友人は、「私にとってはいつもの街だけど、こうしてご一緒すると、なんだか旅をしているみたいな気持ちになれるわ」と、喜んでくださいました。

長く取材仕事をされている友人は、仕事面でもたくさんの体験を伝えてくれます。わたしの大先輩でもあります。ご一緒の時間がありがたく、「また、連れて行ってくださいね」とお願いしています。

左方向に、湯島天神があります。
不忍池では、何も遮るもののない、夏の真ん中で、蓮の花が咲いていました。

七月最後のお稽古の日に。

木槿の親子

主菓子は、団扇(京都・仙太郎)

連日の暑さに、お稽古にみえた方にはまず冷たいお水でノドをうるおしていただくところから始まります。

 

ベランダに咲いてくれた木槿。ところが、すぐそばに小さな蕾(お稽古の途中から開き始めましたが)があり、切り落とすのもかわいそうなので、そのままお茶室へと連れてきました。

まるで、おんぶしているかのような風情です。

主菓子は、団扇。中はこしあんが入っています。

干菓子は、琥珀(柚子のゼリーです)。

平水指のお点前で、濃茶と薄茶を点てていただきました。

もう少ししたら、続き薄茶のお稽古ができるかとおもうと、たのしみです。

なにごとも基本が大切。

濃茶とお薄ができるようになれば、続き薄茶。

一歩一歩すすんでいきたいと思います。

 

夏を味わう

お稽古の朝、咲いてくれた木槿とタカノハススキと。

ちょうどのタイミングで咲いてくれたことの有り難さをおもいます。

白い木槿の凜とした佇まいは、茶室を茶室に、亭主を亭主に目覚めさせてくれるようです。

ものいわぬ茶花に導かれているような時間に、その都度、心洗われます。

先輩茶人のお二人には、平水指を使ってのお稽古を。

平茶碗を使っての薄茶点前では、絞り茶巾で客人に涼しさを伝えます。

この日の平茶碗は、夕顔を使いました。

 

二日後のお稽古では、朝、木槿の姿は見当たらず。

ガマとタカノハススキを活けました。

この日のお稽古は、このところ続けている長緒のお点前をしました。

一文字にお茶をはいたあと、仕覆の緒を結ぶ準備から始まります。

この日は、夏の間だけの平水指を使うこともあり、

あれもこれもは自信がないということになり、平茶碗の絞り茶巾は省略しました。

いっぺんに頭に覚えるだけでなく、手にも覚えることになり、

一対一で、三時間という密度の濃さですから、疲れてしまうのだともおもいます。

長緒での休め緒も挑戦しましたが、集中の、つづきは、今度のお稽古のときにとなりました。

薄い紙を重ねていくごとく、つづけることで一歩一歩進んでいくことができるのだとおもいます。わたし自身がそうだったように。

 

主菓子は、笹餅。

干菓子は、琥珀などゼリーが多い夏のお稽古です。

 

お稽古の朝咲いてくれた木槿

別のお稽古の日のお花、(ガマ、タカノハススキ)

朝顔のうちわのゼリー。目で味わい、手でもち、口にする涼。柚子の寒天ゼリー。

 

滝のそばで、ただ在る

 夏になると、このお軸もたいていのお茶室に掛けられるようです。

 滝 直下三千丈 

 このお軸の前にすわり目を閉じていると、不思議なことに、滝からの勢いのよい水しぶきが感じられます。わたしはお茶室を抜け出して、滝の落ちる、風にそよぐ緑の木蔭にいます。

「在る」のです。ただ、在る。それは瞑想のひとときとも通じます。お茶の時間は、わたしにとって、ただ、在るを何度も実感できる、特別な時間です。

きょうはガマとドウダンツツジを活けてみました。

 水指は、平水指。割蓋の扱いに少しだけ気持ちを向けて、水指のなかの、たっぷりとした水を味わい、夏を味わいます。

 平水指を使って、濃茶と薄茶のお稽古をしていただきました。

夏のお軸(滝 直下三千丈 大徳寺藤井誡さま墨蹟)

平水指(緑地金襴手)

干菓子(琥珀=仙太郎 あづさい)

ガマ、ドウダンツツジ

 

夏のお花 夏のお軸 夏の主菓子

ベランダに咲いてくれた木槿

「清風在竹林」(堀内宗匠墨蹟)

ベランダで咲いてくれた日日草 

七夕(川越 亀屋紋蔵製)



(お稽古日に活けました。かわいい日日草と、すくすく育ったタカノハススキ)

 

 このところ、続けてお稽古がありました。

 お花は、ベランダに咲いてくれた白い木槿、赤と白の日日草、タカノハススキがかろやかで、凜々しく、また、かわいらしくありがたかったです。

 お軸は「清風在竹林」(堀内宗匠墨蹟)。この「風」という文字で堀内宗匠の「風」を感じることができるようにおもいます。いろんな方の書かれる「風」がありますが、堀内宗匠の「風」からは、自在な「風」の姿を見せていただけるような気がします。

 

 「七夕」(川越 亀屋紋蔵製造)という主菓子は、三日間限定ということで、お稽古にみえる日がその日に当たることを確かめて、わざわざお持ちいただいたものです。「このお菓子をぜひ先生とご一緒にいただきたかったのです」と。ありがたさに、頭が下がるおもいがいたしました。そのお気持ちにまずは、感謝いたします。そして、その美しさ、美味しさにこころ奪われました。幸せなひとときをありがとうございました。

 

 この間のお稽古は、お二人に長緒。お二人に、続き薄茶をしていただきました。

 

 そして、手に入らなくなった抹茶には、この先、どうなるのかと心配になってしまいます。いつも使っていた抹茶は、まったく流通していない様子ですし、いつ入荷するのかもわからないという事態に。また、その金額も二倍になったとうかがいました。

 外国人の人たちに人気があるということでしたが、ただただ美味しい一服をいただきたいわたしたちとしては、異常な事態としかいいようがありません。