名優・仲代達矢、逝く!

一条真也です。
11日、大阪から小倉に戻りました。帰りの新幹線の車中、仲代達矢さんの訃報に接しました。92歳でした。大好きな俳優さんでした。心より御冥福をお祈りいたします。


ヤフーニュースより

 

仲代さんは、1932年(昭和7年)東京都目黒区生まれ。劇団俳優座出身。無名塾主宰。1952年に俳優座養成所に入所。映画全盛期から斜陽時代以降までの映画界を支えてきた代表的俳優です。出演映画が米国アカデミー賞と世界三大映画祭(カンヌ・ヴェネツィア・ベルリン)の全てで受賞しており、森雅之山形勲と並び四冠を達成しています。彫りの深い顔立ちと重量感ある演技で注目され、小林正樹監督の大作人間の條件シリーズでスター俳優の地位を確立。

 

五味川純平の同名小説の映画化作品である「人間の條件」は、原作小説の全6部を3本の映画作品としたトリロジー構成で、1959年から1961年にかけて公開されました。主人公の梶(仲代達矢)と妻の美千子(新珠三千代)を通して戦争における人間性を描いた作品です。当時の多くのスター俳優や女優をキャスティングした大作であり、特に主演の仲代さんは小林正樹監督も感服する演技を見せ、本作以降はさまざまな名監督たちと組んで活動することになりました。

 

その後、仲代さんは日本映画史上最高の巨匠・黒澤明監督の作品で存在感を示します。「用心棒」(1961年)、「椿三十郎」(1962年)で三船敏郎演じる用心棒と壮絶な一騎打ちを繰り広げる敵役を演じています。特に「椿三十郎」のラストでの決闘シーンは今も心に鮮明に焼き付く名場面でした。また、「天国と地獄」(1963年)では、誘拐犯を追いつめる警部役を好演。カンヌ国際映画祭の最高賞受賞作「影武者」(1980年)や大作「乱」(1985年)に主演し、国際的にも評価されました。

 

テレビでもNHK大河ドラマ「新・平家物語平清盛役で主演したほか、大地の子」「風林火山などで存在感を示しました。令嬢ジュリー」「ハムレットなど多くの舞台にも主演。1975年に妻の宮崎恭子さんと「無名塾」を創設し、役所広司さんら後進の育成に努めるとともに、シェークスピア作品などを上演しました。でも、わたしにとっての仲代達矢はやはり黒澤映画での個性の強烈な登場人物の印象が強いです。ブログ「『七人の侍』新4Kリマスター版」で紹介したように、三船敏郎志村喬をはじめ、黒澤映画の名優たちはほとんど鬼籍に入りました。

 

今回の仲代さんの死去によって、残るは「天国と地獄」で仲代さん演じる警部から追われる犯人役を演じた山崎努さんだけになりました。山崎さんにはブログ『「俳優」の肩ごしに』で紹介した著書がありますが、同書の中で「天国と地獄」の撮影時に黒澤監督が「丸太ん棒のような演技が良い」と発言したそうです。ずかずかと入ってきて、無造作にゴロンと丸太ん棒を投げ出すような演技が良いというのです。黒澤監督は「風呂敷包みからおもむろにとり出し、得々と並べてみせるような、いわゆる芸の披露」は苦手だったようですが、その演技論は三船敏郎にも仲代達也にも通じるように思います。現在88歳である山崎さんは「影武者」でも仲代さんと共演しました。仲代達也さんのご冥福をお祈りするとともに、山崎努さんのご健勝をお祈りいたします。


ヤフーニュースより

 

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2025年11月11日  一条真也