XRQ技研業務日誌

ものづくりを楽しんでいます。日々の暮らしの中に面白そうなものを探しながら

デルタループアンテナ

V字ダイポールにエレメントを追加して

 V字型のダイポールアンテナを使ってきたが、テレスコープ形状のホイップの先端をワイヤーで結べばデルタループになることに気づいた。デルタループアンテナは1波長のエレメントを三角形などのループ状にしたもので受信性能に優れていると言われている。

shig55.hatenablog.com


 これまで実験してきたV字型のホイップを使うこととして試作した。1波長(λ)を得るためには300÷周波数(MHz)の式で計算できる。直角三角形でこの長さのエレメントにするにはホイップの長さをnとすると(1+1+√2)n=λ になるので√2をおよそ1.4とすると λ ÷ 3.4 = nとなる。
 18MHzではホイップの長さが4.9mほど、21MHzでは約4.2m、24MHzでは約3,5m、28MHzでは約3,1m となる。もっと低い周波数では5m以上になってしまいこのテレスコープ形状のホイップでは対応できない。
 ホイップの先端を結ぶワイヤーの長さはホイップの長さの1.4倍のものを用意すれば全体で1波長のループになるはずである。実際のエレメント長には短縮率などが関係してくると思われるが、そこはテレスコープ形状のホイップは長さの調整はある程度自在である。整合の状況を見ながら調整することとする。
 デルタループの場合給電点のインピーダンスが200Ω程度になるようで1:4のトランスフォーマーを入れる必要がある。トロイダルコアに巻いたものを取り付けて架設してみた。エレメントは樹木の枝に寄りかからせ給電部は地上高すれすれという状態で、周囲の影響を強く受ける設置である。整合の様子はとてもフラットで28MHzの場合はSWRは1に近い値が得られたが、21MHz、18MHzでは2を超える状態であった。

 MLAのような急峻なSWRカーブが出るわけではなく平坦なカーブになっているので結構広帯域なのではと思える。そこで給電部にATUを取り付けてマルチバンドでの様子を試してみた。驚いたことに18MHz用のエレメントで7MHzから28MHzにおいてATUで整合を取ることができSWRはどのバンドでも1に近い値であった。7MHzと10MHzで運用してみたら聞こえは思いのほか良く聞こえた。呼び掛けたときはあまり良い感触ではなく飛びの方はそこそこのようである。それでもQRPでの交信をすることができた。
 このアンテナは大がかりな設営になってしまうので移動運用では設営の条件が厳しいが、設営できる場所であるならATU使用という前提でマルチバンドでの運用ができそうである。試しに28MHzのエレメントでもATUで整合が得られるか試してみたが各バンドで良好なSWR値を得られた。1辺3m程度の直角二等辺三角形のループでも電波が出せそうである。ただし、アンテナの効率という面からの検証は出来ていない。
 無手勝流の実験であるがいろいろ試してみる面白さで、これもアマチュア無線の楽しみ方である。

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謹賀新年 2026

実は少ないが庭のセンリョウ

 こうして新年を迎えることができたことに感謝して寿ぎたいと思う。
あけましておめでとうございます。

 昨年は無常ということをより強く感じた年だった。1月1日の能登半島地震から始まり夏には猛烈な暑さが続き、各地での森林火災、市街地にまでクマが出没し多くの被害が出た。平穏な日常がいかに稀有なことかということを思い知らされた。地殻変動、気象変動、そしてそれに伴う動物や植物などさまざまな変動が起こっている。人間同士が争っている場合ではないのに戦乱が絶えない。こうして生き残れていることには感謝しかない。

 変動の中であっても、変動の中だからこそ人類はその英知を活用して生き残ってきた。これからも様々な試練が押し寄せてくると思うが、そこに対処する術を見い出していけると信じたい。AIに頼るのではなく、知の集積としてのAIを活用し新たな道を見つけていくのだ。心の中の不安は拭えないが、希望を持って進みたいと思う。

同名異物

生成AIに画像を作ってもらったのですが。

 言葉は奥が深い。同じ名前でも異なることを指す場合が多々ある。本来言葉によって意思を疎通するのだが、特定の範囲の人にしか通じない言葉もある。同じ言葉でも異なることを指す場合があるのだ。
 私たちが普段何気なく使っている「パドル」もその一つだ。アマチュア無線をしている人ならモールス符号をエレキーで生成するときに使うスイッチを指すのだが、一般にはボートやカヌーなどを漕ぐときに使う櫂を指すことが多い。先日自作をしていて、パドルについて先人たちが作ってきたさまざまな工夫を知りたいと思い検索を掛けた。しかし、そこに出てくるのは漕ぐためのパドルがほとんどだった。検索に複数の条件を付けなければなかなかアマチュア無線のパドルにたどり着けない。私たちが使っている「パドル」は限られた範囲でした通用しないようだ。

 最近の生成AIは凄いことになっている。ネットでも気軽に使えるということで試してみた。言葉で画像のイメージを伝えるだけでそれを生成してくれる。「冬の朝、森の中で女の子が電信で交信をしている。近くの木からEFHWのアンテナを伸展し、パドルを使っての交信をしているそんな画像を作ってください。」とAIにお願いした。生成された画像は雪の振る森の中で交信しているかわいらしい女の子の画であった。背景の静かな森の様子や人物の服装、椅子の配置やテーブルの上の無線機、傍に置かれたバッグなど、イメージとしては依頼したものに即した画像になっている。数秒のうちにこのような絵柄を作ってしまうとは恐ろしい能力である。
 しかし、どこか違和感がある。じっくり見ているとパドルで交信しているのとは違うようだ。スマホを眺めているようにも見える。よくよく見てみると手に持っているのは小さなパドルである。小さな櫂を片手で持ち、もう一方の手で操作しているのだ。生成イメージを伝える際「片手に持ったパドルをもう一方の手で操作して電信を打っている」ということを伝えていた。AIはその通りに画を作っていたのだ。
 初対面のAIだったので私がアマチュア無線という世界にいることはわかっていない。そのため一般的な解釈で「パドル」を理解したのだろう。アマチュア無線をしているという全体的な状況からパドルを解釈してくれなかったようだ。面白いと感じたと同時にAIを使うにはそれなりの設定をしなければならないのだと思った。

 言葉の奥は深い。それぞれの人がそれぞれの言葉を持っている。同じ言葉でもその意味合いは自分と同じとは限らない。それにしてもアマチュア無線という趣味はマイナーなんだなぁ。

V字型ダイポール

5m長のホイップを2本使ってV字ダイポール

 このアンテナの弱点は大がかりになってしまうことだ。しかし大きいからこそ効率が期待できる。コンパクトであることとは別のメリットも生まれてくる。
 5m長のテレスコープ形状ホイップを組み合わせたダイポールを作った。水平に2本のエレメント設置するのが本来のダイポールで、左右を合わせて半波長の長さになる。通常、地上高を稼ぎ給電点を上げるためにポールなどを使わなくてはならない。しかし、広い展開場所が必要である。容易に設置できるようにV字型のエレメントにして給電点を低く、エレメントの伸展の広がりを押さえるように作ることにした。
 エレメントをV字型に保持するためにアクリル板を使っている。ホイップの仕舞長は50cm程で重さは2本合わせても600g程なので荷重に耐えられると判断した。しかし、伸展すると保持している部分には結構なモーメントが掛かかっていた。これを支えるしっかりした機構が必要になるので補強材を入れた。このアクリル板を設営するには倒れないように頑丈に固定する必要がある。スタンドなどを加えるとますます大がかりなものになってしまう。何とか手軽に設営できる方法はないか模索した。
 三脚などの固定具を使うことは避けたい。そこで吊り下げることで自立させる方法を考えた。左右に伸びたアクリル板の上部にパラコードを取り付け重心を給電部の近くなるようにすれば自立するはずである。手の届く枝先を想定して2.5m程に吊るして試してみた。ホイップを伸ばさない状態なら自立しているのだが、ホイップを伸ばしていくと徐々に重心が上に上がっていき上下が反転するように不安定になる。エレメント長が24MHzや28MHzなら吊り下げ形式でもバランスが取れて自立させることができた。それより長くなるとやはりトップヘビーになり倒れてしまう。でも少しの保持があれば自立させることは可能である。エレメントの先端部分を枝先などに触れさせておくことでも自立する。支えが必要である。
 こうして設営したV字型ダイポールの給電点に1:1のバランを挿入して測定してみると14MHzから28MHzまでSWRはほぼ1に整合していた。テレスコープ形状のホイップは長さを容易にに変えることができるので複数のバンドに対応できるのだ。

 もっと低いバンドでも使えないかと給電部にローディングコイルを挿入して試してみた。ローディングコイルは同じホイップを使ったバーチカルアンテナで使用したものと同じ仕様のトロイダルコアを使ったものである。SWRは1.5程度と少し高くなってしまったが整合を得ることができた。7MHz、10MHzでもこのV字ダイポールが使えそうである。
 実際に運用したところ10MHzで4エリアの局と14MHzで5エリアの局と交信することができた。QRPでも電波が飛んでくれているようである。
 嵩張るアンテナなので徒歩での移動の場合は難しいが車を使った移動なら手軽に設置して使用できるアンテナになっている。本体は枝などに吊るしてエレメントの先を枝の間に入れて自立させる運用である。撤収もホイップを縮めるだけの簡便さだ。ダイポール形状なのでホイップなどよりも多少の効率が期待できる。状況に応じて使い分けるアンテナである。

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色取月

まさに色とりどりの落ち葉

 旧暦9月の異称で木々の葉が色づく月を言うのだそうだ。今の暦でいえば10月から11月だろうか。勤労感謝の日の振り替え休日、穏やかな天候に誘われて川沿いを散歩した。春先には豪華な花で楽しませてくれたところだが今は色づいた葉が水面を流れ、絨毯のように地面を覆っている。水の底に沈んだ葉も水面のきらきらする反射の中にさまざまな色を楽しませてくれている。
 たくさんの花に覆われていた時にはその迫力に個々の花の美しさよりも絢爛たるその存在に圧倒され春の到来を楽しんでいた。季節が廻り青々と茂っていた葉が徐々に色づき、ひらひらと風に舞う季節になった。木々のまとまりとして見ていたのだが、足元の落ち葉を見ていると葉の一枚一枚はどれも個性的なのだ。紅葉の景色として美しいのだがその一葉一葉はみな違っている。その個性に惹かれ、ついきれいな葉を探してしまう。グラデーションでさまざまな色を含んでいる。その絵模様はあまりに変化に富んでいてなかなかお気に入りに出会えない。紅の濃いもの、黄色味の強いもの、まだ瑞々しさを残しながら色の変化が見られる。暑い日差しに照らされ、強い風に翻弄され、虫や鳥たちの餌になり、大きさも虫食いの状態もさまざまである。一つとして同じ落ち葉はない。これまでの生きざまを持っている。一葉一葉が異なる存在として枝先から舞い落ちてくる。
 きれいな葉を見つけようとしたのだが無理のようだ。一つ一つに美しさや面白味がある。そしてさまざまな葉が混在しているところにきれいさがある。
 
 人間もひとくくりに「ヒト」と呼ばれるのだが、一人一人違った存在である。外見も感じ方も、思いも、表立った能力も、一つ一つの言葉の理解の仕方もさまざまである。それぞれの個性が共存するからこそ面白い。互いを尊重し刺激しあうからこそ新たな自分の発見がある。自然は個を保ちながらも移ろう。諸行無常とはよく言ったものだ。

 散歩中、緑の葉の上に舞い落ちた色づいた葉を見ていて「こんなに違うんだ」と感嘆した。自然の彩に心を癒され、晴れやかな気持ちになれたひと時だった。

Whip & Vertical Ant 

バーチカルとホイップを切り替える

 ランダム長のエレメントとしてテレスコープ形状ホイップをチューナーで整合させて使ってきた。しかし、この長さがあるのなら1/4波長の垂直アンテナとしても使えるのではないかと考えた。14MHzならば5m程度の長さになる。それ以上の周波数帯ではエレメントがテレスコープ形状なので自由に短縮して1/4波長を得ることができるはずだ。
 1/4波長の垂直アンテナではほぼ整合回路なしで給電点に同軸ケーブルを接続できる。さっそく、テレスコープホイップの基台を作り、同軸ケーブルと直接繋げるようにした。グランド側はカウンターポイズを伸展するようにバナナジャックを取り付けてある。エレメント側の接続もチューナーを使っての使い方もできるようにコネクタを使って接続した。
 SWRがどの程度になるか測ってみた。14MHz、18MHz、21MHz、24MHz、28MHz帯でほぼSWRは1に収まっている。給電点がほぼ地面に接している状態でエレメントが低い位置になってしまうので周囲の影響を受けやすい。
 パラコードを使って3方向からエレメントを支える構造にすればエレメントを自立させることができる。エレメントを非導通の柵などに凭せ掛ける方法もある。運用して気づいたのだが、樹木の脇に腰を下ろし、テレスコープ形状のエレメントを枝の間に伸ばすとその状態で自立させることができた。装備がコンパクトになり持ち物が少なくなるのは移動運用時には大きなメリットである。
 7MHzや10MHzでもこのバーチカルアンテナを使いたいと考えた。ローディングコイルを追加すれば整合を得られるはずだ。中空コイル用いるのが定石だが、簡便さを重視してトロイダルコアにコイルを巻き、付加することにした。エレメントと同軸ケーブルの接続点に挿入する。トロイダルコアへの巻き数を調整してそれぞれのバンドでSWRが下がるようにした。整合は得られるもののローディングコイルの挿入によりエレメントの短縮率が大きくなるのでアンテナとしての効率はあまり望めない。

 もう一つの7,10MHzへの対応のアイディアは1/4λバーチカルに拘らず、ホイップとしてこのエレメントを使いチューナーで整合を取ればいいというものだ。言わばハイブリッドである。基台の中にチューナーを組み込み、バーチカルとして使う場合にはチューナーをスルーさせればいい。2回路2接点のスイッチを加えて切り替えができるようにした。ホイップとしての7MHz、10MHzの場合はチューナーで整合が得られるもSWRが下がらない場合があった。その場合エレメントの長さを調整することでSWRの改善が見られた。

 庭先に設置して運用した。7MHzで移動局に呼びかけたところレポートは良くないものの東北と近畿、関東の局と交信できた。10MHzでは近畿と東海、北海道、東北の移動局と交信した。こちらは2W程度の出力での運用である。小さなアンテナながら電波は出てくれているようだ。
 このテレスコープ形状のホイップを2本使ってダイポールにしてみるのも一案である。ただし取り付け強度など機構的な課題は多い。また、Vの字型に設置して先端部分にワイヤーを渡して1波長にしてデルタループとしても活用も考えられる。まだまだ遊べそうである。

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お気に入りのデザイン

小さな装置ですが、なかなか便利です。

 自作の楽しみの一つに自分なりのデザインがある。回路は同じでもどのようなケースに収めるか、どのように配置をするか、大きさや色はどうするか、などさまざまな選択肢がある。
 写真にある機器はパワーインジケーターである。送信機からの出力が出ていることを示す。アンテナシステムなどに異常があったりトランシーバ自体に不具合があった場合電波が出ない。正常に出力されているときにはLEDが点灯してそれを表示する装置である。トランシーバーとアンテナシステムとの間に挿入し、出力電力の一部をピックアップしてLEDが光るようになっている。これを挿入することである程度の損失が起きてしまうのでこのような装置を使わなくても良いのだが、動作の異常を感知するために使っている。
 これまでプラスチックの箱に入れたり、アクリル板で囲みを作ったりなどさまざまなものを作ってきたが、お気に入りがこの写真のものである。
 細長いアクリル板を折り曲げて三角形のようなケースにしている。側面はむき出しである。BNCコネクタの♂と♀をを90度に向かい合うように取り付け、その接合部分にピックアップ用のトロイダルコアを挿入した。表示回路自体は小さいので熱収縮チューブの中に収めて取り付けてある。透明なアクリル板を使ったことで中の様子を見ることができ機能的な美しさが味わえる。

 自作は自己責任が原則である。自分で作ったものはどこが壊れやすいか、どこが危険か、取り扱いに注意するところはどこかなど自明である。今回の装置も側面が開いているし、細いアクリル板を曲げた形状もしっかり固定されている訳ではない。もし他の人が使うのならすぐに壊れてしまうだろうし、高電圧部に触れてしまう危険もある。自分で使うものだからこそ許されるデザインである。万人に優しいユニバーサルデザインではないが、自分で使うものとして作る楽しさはこうした許容範囲の広さにもあるのだろう。
 PL法(製造物責任法)を持ち出すまでもなく、ものづくりにはそれなりの覚悟が必要だ。自分で使うものを自分で工夫して作るという範疇なら割合自由にものづくりが楽しめる。もし、他の人にも使ってほしいというものに仕上がったらさまざまな対策を施してユニバーサル化して完成に近づけていけばよいのだ。アマチュアは挑戦することが許される。痛い思いをしないよう事故を起こさないように十分配慮して、アマチュアであることを生かしたものづくりを楽しみたいと思う。

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