
高齢化が進む日本では、認知症などにより判断能力が低下した時「誰が財産管理や契約を行うのか」は重要な問題となっています。その解決策の一つが成年後見制度ですが、「手続きが難しそう」「そもそもの仕組みが分からない」と不安を感じる人も少なくありません。
今回は、成年後見制度の手続きに焦点を当て、全体の流れ、必要書類、費用、相談先までを分かりやすく見ていきます。将来への備えとして、ぜひ参考にしてください。 100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、LIFEBOOK(R)を提唱する独立系ファイナンシャルプランナー藤原未来がわかりやすく解説します。
成年後見制度の「手続き」全体像を知る|まず何から始めるか
成年後見制度の手続きは、いきなり家庭裁判所に行けば完了するものではありません。「本当に制度が必要な状態なのか」「どの後見類型に該当するのか」「誰が申立人になるのか」など、事前にいくつか整理すべきポイントがあります。
そのため、まずは制度の基本について理解し、次に申し立てまでの流れを把握することが重要です。ここでは、成年後見制度の概要と、手続き開始までの基本的な考え方を見ていきましょう。
成年後見制度とは? 後見人が必要になるケース
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分な人を法律的に支援する制度です。本人に代わって、または本人を支えながら、財産管理や契約行為を行なう「後見人」が選任されます。具体的には、以下のような時に後見人が必要になります。
・認知症が進行し、銀行での手続きや不動産の売買ができない
・悪質な訪問販売や詐欺被害が心配
・本人が理解せずに販売者に言われるままに契約する可能性がある
・相続手続きや遺産分割協議を進められない
後見には判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」という3つの類型があり、家庭裁判所が判断します。
<図表1>後見・保佐・補助の違い

家庭裁判所に申し立てるまでの基本の流れ
成年後見制度の手続きは、家庭裁判所へ申立てをすることから正式に始まります。大まかな流れは次のとおりです。
1.本人の状態や支援の必要性を確認
2.後見類型(後見・保佐・補助)の検討
3.申立人の決定(本人・配偶者・親族・市区町村など)
4.必要書類の収集・作成
5.家庭裁判所へ申立て
6.裁判所による調査・審問
7.後見人選任の審判・確定
特に時間と手間がかかるのは、書類準備と判断能力の確認です。
判断能力の確認と「診断書」の役割とは
成年後見制度では、医師による診断書が極めて重要な役割を果たします。家庭裁判所は、本人の判断能力を医学的・客観的に確認するため、診断書を重視します。
診断書には所定の様式があり、
・病名
・判断能力の程度
・後見類型の参考意見
などが記載されます。この内容によって、後見・保佐・補助のどれに該当するかが大きく左右されるため、成年後見制度用の診断書作成経験がある医師に依頼するといいでしょう。

手続きは「どこで」する? 相談先・窓口・代行者を整理
成年後見制度は家庭裁判所の制度ですが、いきなり裁判所に相談するのではなく、事前相談の窓口を活用することで、手続きの負担を大きく減らすことができます。ここでは、相談先や代行者を整理して解説します。
手続きの窓口は家庭裁判所と市区町村|場所別の違い
以下は場所の違いになります。
<家庭裁判所>
正式な申立先です。本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行ないます。
<市区町村>
事前相談の相談先として有効で、高齢者福祉課や地域包括支援センターに相談します。特に高齢者の場合、地域包括支援センターが制度説明や専門家紹介をしてくれるケースも多くあります。
司法書士・行政書士・弁護士など代行可能な専門職
成年後見制度の手続きは、専門職に代行依頼することも可能です。
<図表2>専門職による主な対応内容の違い

状況に応じて専門職を選ぶことで、精神的・時間的な負担を軽減することができます。
ケアマネジャーや施設職員が関与する場合の注意点
ケアマネジャーや施設職員は、制度の「相談役」にはなれますが、申立代理人にはなれません。また、後見人候補になる場合は、利益相反が問題になることもあります。専門職との役割分担を意識することが重要です。
成年後見制度の「費用と期間」|準備から完了までの目安
手続きにあたって気になるのが、どのくらい費用と時間がかかるのかという点です。事前に目安を知っておくことで、無理のない準備ができます。
申立書作成〜審判確定までのスケジュール感
一般的には、申立てから審判確定まで2〜4か月程度かかることが多いようです。書類不備や調査内容によっては、さらに時間がかかることもあります。
手続きにかかる費用|申立費・報酬・診断書作成料など
主な費用は以下のとおりです。
・申立手数料:1万円前後
・診断書作成料:5,000円〜1万円程度
・専門職報酬:5万〜20万円程度(依頼内容による)
・後見人報酬:月2〜6万円程度(家庭裁判所が決定)
自分でやるor代行依頼でどう変わる?
自分で手続きをすれば費用は抑えられますが、時間と労力の負担は大きくなります。一方で、代行依頼は費用がかかる分、ミスややり直しを防げるメリットがあります。
必要書類と準備物|手続き前に揃えるべきもの一覧
成年後見制度は、書類の正確性が非常に重要です。ここでは代表的な必要書類を見ておきましょう。
申立書・診断書・財産目録…どんな書類が必要?
主な必要書類は以下のとおりです。
・成年後見開始申立書
・診断書
・本人の戸籍謄本・住民票
・財産目録・収支状況報告書
財産目録の内容は、預貯金・不動産・保険などを細かく記載します。
親族が申立人になる場合の同意書など注意点
親族が申立人になる場合、他の親族の意見書や同意書を求められることがあります。親族間の認識のズレが、手続きに時間がかかる原因となることもあるため注意が必要です。
書類不備でやり直しになるケースも多いため要確認
記載漏れや添付忘れは、差戻しの原因になります。申立書類を提出する前にチェックリストを作り、慎重に確認しましょう。
任意後見制度との違いとは? 自分に合った制度を選ぶために
成年後見制度を検討する際、任意後見制度との違いも理解しておくことが重要です。
成年後見制度と任意後見制度の基本的な違い
成年後見は「判断能力が低下した後」に利用する制度であり、任意後見は「元気なうちに契約しておく」制度です。
<図表3>成年後見制度と任意後見制度の違い

元気なうちに備えるなら「任意後見」も視野に
将来に備え、自分で後見人を選びたい場合は、任意後見が有効です。公正証書で契約する点が特徴です。
後悔しないための制度選びチェックポイント
将来の財産管理について、万一判断能力が低下した場合でも、自分の意思ができるだけ反映される形で支援を受けたいのであれば、元気なうちから家族と話し合い、任意後見制度や家族信託などを検討しておくことが重要です。制度選びにあたっては、次のポイントを基準に考えると良いでしょう。
・現在、判断能力は十分にあるか
・財産管理や契約を、誰に任せたいか
・財産の内容や管理が複雑かどうか
これらを整理した上で、自分の状況に合った制度を選ぶことが、安心して将来に備えるための大切なポイントです。
まとめ
成年後見制度の手続きは複雑ですが、正しい知識と準備があれば決して難しいものではありません。早めに情報を知り、適切な相談先を選ぶことが、本人と家族を守る第一歩です。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行なわれています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか?
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。ご自身のライフプランを考える時には、生命保険や金融商品の販売をせずに中立的な立場からコンサルティングに徹する独立系のファイナンシャルプランナーへの相談をお勧めします。
●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)











