(1)「炎立つ」ってどんなドラマ作品?
「炎立つ(ほむらたつ)」は、NHKが制作・放送した大河ドラマで、1993年から1994年にかけて3部構成で放送されました。NHK大河ドラマ第32作目にあたる本作は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての東北地方を舞台に、源氏や藤原氏、奥州の英雄たちの激動の時代を描いた歴史大作です。
通常の大河ドラマとは異なり、「炎立つ」は三部構成という特異な形態で制作されました。1993年7月4日から1994年3月13日まで、全35話構成で、時間をかけて奥州藤原氏の興亡をじっくりと描いています。
最大の見どころは、従来の京都中心の歴史観とは異なる「東北視点」で語られる日本史の裏面です。都から見れば辺境とされていた奥州に焦点を当て、蝦夷と呼ばれた人々の誇り、土地への執着、独自の文化などが丁寧に描写されます。圧巻の自然美と共に展開される壮大なストーリーは、観る者の心に深い余韻を残します。
また、映像美も高く評価されました。ロケ地には岩手県や秋田県など実際の奥州の地が選ばれ、その大自然の中で繰り広げられる人間ドラマは、映像作品としても非常に完成度が高いものとなっています。
(2)「炎立つ」の簡単なあらすじ
物語は、平安時代中期の東北地方、陸奥国を舞台に展開します。中央から「蝦夷(えみし)」と蔑まれてきた人々の中から、後に「前九年の役」や「後三年の役」といった戦乱を経て名を上げていく武将たちが現れます。その中心にいるのが、藤原経清や清衡をはじめとする奥州藤原氏の人々です。
第一部では、平将門の乱や安倍氏の台頭などを背景に、中央との対立が激化していく様子が描かれます。藤原経清という理想に燃える男が、理不尽な権力に抗いながらも、次第に厳しい現実に向き合っていく姿が印象的です。
第二部からは、その息子である藤原清衡に物語の焦点が移ります。父を失い、敵味方が入り乱れる中で、東北の地に独立国家を築こうとする彼の姿には、希望と絶望の両面が描かれます。やがて平泉という理想郷が誕生し、文化と平和の華が咲き誇ります。
第三部では、清衡の子孫たちがどのようにして繁栄と衰退を経験していくかが、丁寧に描かれていきます。戦乱の中でいかに人々が生き、そして何を守ろうとしたのか。その物語は現代にも通じる「地域と中央の関係」や「個人と社会の在り方」に深い示唆を与えてくれます。
歴史の教科書にはあまり登場しない視点から、あらためて日本の成り立ちを見つめ直せる貴重なドラマといえるでしょう。
(3)「炎立つ」を観た当時の視聴者の感想・反響など
「炎立つ」は、当時の視聴者にとっても非常に斬新な大河ドラマでした。舞台が東北であり、しかも蝦夷の視点から語られるという構成に、「これまでの大河とは全く違う」「日本史の裏側を見せてくれた」といった反響が多く寄せられました。
特に東北出身の視聴者からは、「自分たちの土地がこんなにも壮大な歴史を持っていたことに誇りを感じた」「平泉がこんなにも文化的に栄えていたとは知らなかった」といった声が多く聞かれました。観光業にも一定の影響を与えたと言われ、平泉が再注目されるきっかけのひとつになったともされています。
また、戦乱の中でも文化を育み、平和を願った清衡の姿には、バブル崩壊後の混迷する日本社会と重ねる視聴者も多くいました。時代を超えて共感できる「理想を追い続ける人間像」が胸を打ち、多くのファンを獲得しました。
一方で、「難解だった」「人物名や時代背景がわかりにくかった」との声もありましたが、それを補って余りあるストーリーテリングと演出が評価され、今なお「隠れた名作」として語り継がれています。
(4)「炎立つ」の出演者について、それぞれの略歴
「炎立つ」には、多彩な実力派俳優たちが出演し、その演技力で作品に深みを与えています。
まず、第一部の主役・藤原経清を演じたのは渡辺謙さん。後にハリウッドでも活躍する彼ですが、本作では理想に燃える若き経清を熱演。他の出演作としては『独眼竜政宗』、映画『沈まぬ太陽』『ラストサムライ』などがあります。
第二部で主役となる藤原清衡を演じたのは村上弘明さん。『必殺』シリーズや『銭形平次』などで知られていますが、「炎立つ」では一族の悲願を背負う清衡の静かな情熱を見事に体現しました。
さらに、佐藤浩市さん、渡瀬恒彦さん、豊川悦司さんなど、重厚な演技派俳優たちが脇を固めました。
(5)「炎立つ」の放送期間中にあった主なニュース
「炎立つ」が放送された1993年から1994年にかけて、日本は大きな社会的転換期にありました。
まず、1993年には細川護熙内閣が発足し、戦後初めて自民党が政権の座を失うという政治的な大事件がありました。
経済的にはバブル経済崩壊後の不況が続いており、企業の倒産や就職氷河期の始まりといった暗いニュースが目立っていました。
以上、今回は「炎立つ」について解説させていただきました。
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