本読むうさぎ

人間と名乗るには未熟なうさぎ

育休が終わり、仕事に行かなければならない

4ヵ月の育休が終わり、6日から職場に復帰しました。 まだまだ休みたかったのが本音、もう半年くらい、なんならもう1年くらい。 子うさぎの首が据わり、次は寝返りを打とうかというところ。子どもの成長を間近で見ることができないのはつらい。 これから家…

【うさぎの本棚】探偵は帰れない、私たちは戻れない  帰れない探偵 柴崎友香

生きることは感動すること 人は感動がなくても生きていけるが、感動のない人生はつまらない。 人は皆感動を求めている。「おいしい」でも「たのしい」でも「うつくしい」でもなんでもいい。心を揺り動かし、時には涙や笑いを誘うものと出会いたがっている。 …

クリスマスは分断を乗りこえられるのか

クリスマスのミサに参加した。 例年と比べてずいぶんと暖かい一日だったが、ふさぎ込むような曇り空はいつも通りだった。 神父さまが聖書の朗読の前に、「世はクリスマスですが」と語り始めた。 大約すると、クリスマスとは本来、イエスさまの誕生を祝う最も…

芝生に寝転ぶ人

眠気を誘う陽射しが街に染み入るような午後だった。 ときおり吹く風には冬の冷たさが潜んでいたが、風が止み、冷えた肌が陽に温められるとシャツの中が汗ばむほどだった。 ベビーカーを押しながら歩いていると、芝生に寝転んでいる人を見かけた。 風の冷たさ…

それを期待というのではないか

停滞している。 自分の中の何か、大事な部分が。 何かをしなければと焦る衝動と、何もしないでいたい安静がせめぎ合って落ち着かない。 何をしていても「これじゃない感」をぬぐい切れない。本を読んでいたら体を動かしたいと思い、散歩をしていたら食事がし…

晴れに歌えば

冬の大気はぼんやりとかすんでいる。 冷たい風と温かい陽射しがそうさせるのだろうか、街全体が白っぽく、現実でありながら現実から離れているような、心もとなさ。その心もとなさにどこか居心地の良さを感じる。 こたつで温まりながら食べるアイスがいつも…

洗った手をきれいに拭けない

苦手なことはいろいろあるが、なんとかしたいなと思いつつもいまだに改善ができないことがある。 洗った手をきれいに拭けないのだ。 パンなどを食べる前や、トイレの後などに手を洗う。タオルまたはハンカチで手を拭くのだが、どんなに拭いても拭き残しがあ…

新しい靴で歩く

新しい靴を買った。 歩きたくなった。 新しい靴に足を通し、靴ひもを結ぶ。 いつもなら気にもかけない数十秒。 その数十秒に色がつく。 空を見上げた。 青が目に痛いほど晴れている。 あてもなく歩く。 側溝を流れる水。 階段の隅に溜まった落ち葉。 くすん…

まだ見ぬ明日なんてない

年末が近づき、この1年を振り返ることが増えた。 去年のうさぎに、「来年のお前は職場が片道20分のところから1時間のところへ替わり、住む場所が変わり、第2子が生まれるぞ」 なんて言っても信じないだろう。 なんてことない1年だと思っても、節目節目…

「考察する」についての一考察

三宅香帆氏の新刊『考察する若者たち』が人気だそうで、You Tubeでも対談とかインタビューの動画がよく流れる。そのうちの一つを見て考えたこと。 なぜここ近年考察が人気なのか。考察自体は昔からあったが、最近の傾向として、考察自体に娯楽性が与えられた…

雑感 雨にうたえば

なんか今年はいたるところで「アドベント」という文字を見る気がする。 雑貨屋にアドベントカレンダーが置いてある。 仮面ライダーではない。 小休止 カフェに寄った。 代金を支払い、飲み物を貰って席に着くと、横に本棚があることに気づいた。 アウトドア…

白くまぶしい

うさぎの住む街でもっとも大きな駅は、海の近くにある。 南北に出入り口があり、北側に出るとロータリーの奥にこんもりとした山が座っているのが見える。北口からロータリーまでは広いスペースとなっており、たまにイベントが開かれる。平日でも大きなバッグ…

他人の靴を見る

オシャレは足元から、とどこかで聞いて以来、人の服装を見るとき、靴から見るのが癖になった。 横断歩道で待っているとき、階段を上るとき、歩いているとき、視線はつい靴を見るのだが、見ているうちに気づいたことがある。 多くの人、それも女性に多いのが…

【うさぎの本棚】昔ばなしに老人が登場する理由  『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』大塚ひかり

はじめに 「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがいました……」と始まる昔ばなし。なぜおじいさんとおばあさんが登場するのか、疑問に思ったことはないだろうか。 大塚ひかり著『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』を読んで、「昔ば…

トイレの奇妙なお札

我が家のトイレには奇妙なお札がある。 便座に腰を下ろしてふとドアに目を向けると、ちょうど目の高さに「ありがとう」と書かれたテープが貼ってあるのだ。妻うさぎの仕業である。 妻うさぎはよく紙に目標を書いてはコンロの壁とか勉強机の脇とかに貼ってい…

バランスよくなんて生きられない

高校生の頃、「中庸」という概念を学んだ。 Wikipediaによると、「常にその時々の物事を判断する上でどちらにも偏ら」ないとある。要は物事を判断するときに、白か黒か、右か左かと一方に振り切れるのではなく、白でもあり黒でもある(白でもあり黒でもない…

なんて、言い聞かせてみる

「生きづらいなあ」と心の中でため息をつくことが増えた。 自分の思うようにならないことがあるのは当然だし、そのことに対して「どうしてうまくいかなんだ!」と腹を立てているわけではない。 問題は、自分で自分を満足させる術を知らないことだ。 自分は何…

【うさぎの本棚】 『民俗学で考える』新谷尚紀・岸澤美希

世の中には本当のような嘘があり、嘘のような本当で溢れている。事実はねじ曲げられ、尾ひれがつき、さながら怪談のように広まっていく。 超情報化社会と呼ばれ、いつでもどこでもあらゆる情報にアクセスすることができる現代を生き抜くためにリテラシーの重…

金木犀の悲しさ

夕方、風に金木犀が香った。 辺りを見回してみると、民家の石塀から顔を出している金木犀を見つけた。 そこは民家の影になっていて、色をなくしていく景色の中でも一段と暗いところだった。暗緑色の葉に隠れるようにオレンジの花が覗いている。 ああ、あそこ…

【うさぎの本棚】タイトルに惹かれる本 『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか』細馬宏道

表紙が顔だとすると、タイトルは目だ。 「目は口程に物を言う」の言葉があるように、タイトルは実に多くの情報を教えてくれる。 タイトルが素敵だなと思った本を紹介したい。 ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史 細馬宏道 1906年、世界初…

ココアの苦さ

めっきり寒くなったので熱々のココアを飲もうと思った。 ココアパウダーを入れたマグカップにお湯を注ぐ。湯気と甘い香りが立ち上ってくる。胸いっぱいに吸い込むと頭の奥で幼い日の記憶がカメラのフラッシュのように瞬く。そのままにしておくとすぐに消えて…

【うさぎの本棚】 動物が活躍する本 3選

動物が活躍する本を3冊ご紹介します。 1.少年と犬 馳星周 東北地方を襲った震災から半年、男は駐車場で一匹の犬と出会う。守り神として行動を共にするようになったが、犬はいつも南を向いていた。 南を目指す犬を中心に、ほとんど関わることのない7つの…

【うさぎの本棚】差別の目は変わらない 『破戒』島崎藤村

他人を見下す悪癖 人は常に誰かを見下さないと生きていけない生き物なのかもしれない。 SNSは罵詈雑言や誹謗中傷で溢れて溺れてしまいそう。 そう言いながらも炎上する様子を見てしまう自分がいる。 他人を見下してしまう悪癖はここ数年で生まれた新しい問題…

【うさぎの本棚】違法薬物は対岸の火事ではない 『テスカトリポカ』佐藤究

目を閉じて、深呼吸をした。海の底に深く沈み、そして浮かび上がった。 つらい現実と向き合って戦って、疲れ果ててしまったとき、あなたならどこに逃げるだろうか。 ギャンブル、酒、ゲーム、そして、薬物。 そんなものに手は出さないと誓っていても、終わら…

じゃがいもと梨

家庭科の授業のことだった。 先生は生徒にじゃがいもを渡すと、包丁で皮をむくよう指示を出した。 皮をむく前と後のじゃがいもの重さを量り、できるだけ可食部を減らさないようにするという条件だった。 調理場に別れた生徒たちはじゃがいもを手に皮をむき始…

傷つけることから目を逸らさない

少し思い出話をしよう。 高校生の頃、友人からおすすめのバンドを紹介された。 粗削りだが、歌詞の奥に熱い何かを感じさせる曲に心惹かれた。高校生にして初めてCDを自分で買ったのもそのバンドだった。 別の友人から、おすすめのシンガーソングライターを紹…

変わらない人々 島崎藤村『破戒』

鼻につく一点があるだけで、ほかのすべてまで悪く見えてしまうのは、誰もが持っている避けがたい習性なのでしょう。 偏見による憶測、邪推、妄信は分断と対立を生みだします。SNSに溢れる数限りない炎上の一因には、人間の悲しい習性もあるのかもしれません…

歩けなくさせているのは何?

体力は大事だと誰でも知っている。ストレスフルな現代社会を生き抜き、健康で文化的なで充実した生活を送るために体力は欠かせない。体力をつけるのにはなにも特別な設備も才能もいらない、身一つでできる。 歩けばいい。 歩くことの効果はすでに様々な実験…

絵本の思い出

読書の最初の思い出は何だろうと記憶をたどっていくと、母の声に行きつく。 せがむ息子のために枕元で読み聞かせる母。二段ベッドの下段。 常夜灯を背に受けているため母の顔は見えない。声が降りそそぐ。 いろいろな絵本を読んでもらった。 モーリス・セン…

しかたないとわかっていても…

我が家にはもうすぐ一ヶ月を迎える次男(以下次うさぎ)がいる。 家で次うさぎと二人きりになるときがある。この時ほど自分が無力だと感じる時はない。 寝ていた次うさぎがうめきだす。はじめは寝ぼけたように「ふにぁ」と繰り返していたが、次第に勢いづい…