やさしい義眼のつくりかた How to make artificial eye and prosthesis

顎顔面補綴という仕事を通じて身につけた義眼やエピテーゼの製作技術やその背景をご紹介。 あまり広く認知されていない技術ですが、どこかで誰かの役に立てればいいですね。 フィギュアなどの趣味にも生かせるように、なるべく特殊な材料や 道具を使わない方法も お伝えできればと思います。 How to make artificial eye and prosthesis.

How to make artificial eye and prosthesis.

CADCAM

技工士さん向けのはなし

どうやらこのブログに来てくださる方の多くは技工士さんのような・・・

エピテーゼの技術に一番近い人達ではなかろうかと思います。
かくいうわたしもちゃんと日本の技工士免許を持っています。

一回なくしたけど・・・

なくしたというのは不始末をしでかして免許剥奪されたということではなく、日本からフィリピンに引っ越してくる頃にどさくさで免許証を紛失してしまいました。

ちゃんと再発行してもらいましたけど、厚生労働大臣の名前がかわってました。
オリジナルは誰だったか、いまは思い出したくても最初から知らないんだった。

そんないい加減な人間ですが、フィリピンでも技工をやることがあります。
・・というか普段は技工所勤めですけどね。

フィリピンというと日本人から見ると後進国のイメージがありませんか?

実際にそんなイメージを持ってフィリピン視察に、日本から来られる歯科関係の方も多くいらっしゃいました。 そういえば最近なくなりましたね・・・

わたしも漠然とそんなイメージを持っていましたが、フィリピンには意外な面もあって・・・

というのはフィリピン人の新しもの好きの気性なのか、外国からの物が入ってきやすい環境にあるためか、意外に日本より進んでいるところがあります。

最近でいうと歯科用のCADCAMシステムがそう。

日本だと保険適用とかいろんな制約があるんだとおもいますが、その前にシステム自体が高価なためなかなか大きなところでなければ導入できないのではないでしょうか?

フィリピンは意外にこの導入率が高く、少人数のラボや歯科医院単位でも導入しているところが結構あります。

もちろん中にはローンが払えなくなってどうしたこうした、というのもよく聞くはなしなのですが・・・


というごくざっとしたフィリピンの現状を紹介しつつ、CADCAMの他にインプラントもいまではかなりの数の歯科医師がやっています。

ただ、技工物の受け皿としてのラボにかなり制限があるようで、これは主に技術的なことですが、
うちのラボに結構な症例が集まってきます。

インプラントの大きな症例だと、結構設計に自由度がありますし、このあたりは技工士のセンスの見せ所でしょうか。

症例の中に、はとりあえずたてられるところにインプラントたてました、あとはお願いね!という症例も多いわけで、こういう症例のほうがわたしにとっては楽しいかもしれません。

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こんなあとさき考えて立てたのか?というのもあります。

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こういうのをつじつま合わせつつ、なんとか実現可能なものに持っていきます。
 
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最終的にブリッジとしてデザインしたものがこれだったはず。
黄色の棒はインプラント体にネジ止めするために、ドライバーを突っ込む穴の方向をあらわしています。

穴がいくつか前歯で見えるところを貫通してしまうため、そこは2重に冠をかぶせる設計にしたり、別のネジでまた止める方法をとったり・・・

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こっちは別の症例ですが、前歯にネジ用の穴がでてこないだけまだマシですね。

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これが最終的にデザインしたブリッジの形。
これからジルコニアで削り出して仕上げていきます。

削り出しは歯科用のCADCAMシステムのミリングマシーンを使います。
付属して3Dスキャナーとデザインソフトもあります。
CADの部分ですね。

ただ、こういった症例にはわたしは専用のデザインソフトを使っていません。

わたしがエピテーゼや金型のデザインにもよく使っているMeshmixerというソフトを使っています。

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頑張ればメタルフレームのデザインも出来ます。
歯科のソフトだと追加のモジュールを数十万出して買わないといけないんじゃなかったかな?

ただ、クラウンやブリッジをデザインするには、歯の形のライブラリーが必要です。
昨年のロックダウンで自宅軟禁状態のときに頑張って作りました。

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Meshmixerで開いたところはこんな感じ・・・

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このライブラリーさえ作ってしまえば、フリーソフトのMeshmixer がデンタルソフトになります。


・・・あいかわらずぐだぐだと長い前置きの末、何がいいたいかというと・・・
ただのソフトでできるのですから、ちょっと覚えておいて損はないかなとおもいます。

歯科の仕事にしても、CADCAMシステムは導入できてもデザイナーがいなかったり、というのが他の国では問題になっていたり。
そのため、模型のスキャンはラボでやってデザインは他の人に 外注するとかという形態がでてきています。

フィリピンでも外国のラボからスキャンデータを受け取って、クラウンやブリッジをデザインしてデータで送り返す。
そのデザインデータをもとにラボで削り出して完成、というビジネス形態が出来ています。

こういった歯科のデザインは、コンピューターのスキルが有ればできるというものではなく、歯科の知識がなければ出来ません。

ITの方が技工を覚えてやるよりも、技工士さんがソフトの使い方を覚えてやったほうが早道のはずです。

 
 

最近技工士してます

コロナの影響で患者さんをうけいれるのが難しいので、エピテーゼのケースはお待ちいただいています。

教材を作る途中なのですが、3Dプリンターが息子に独占されてしまっています。
プリンター5台あるんですが、息子の新しいプロジェクトのためすべて24時間フル稼働状態。

もうしばらくプリンターは使えそうにないですね。

マニラはいまだ隔離状況が強められたり、弱められたり・・・

歯科技工所にはほぼ毎日通っていますが、この隔離状況によって歯科医院の方からの受注量も変わるため少しいま落ち着いています。

しばらく大きな症例とかあったので結構忙しかったのですが、落ち着いた今の状況を利用してメッシュミキサー用のライブラリーを作りました。

エピテーゼの仕事でもここずっと活躍しているのがメッシュミキサーというフリーの3Dソフト。

彫刻に近い作業がデジタルでできるので、エピテーゼの仕事には都合の良いソフトです。

歯をデザインする歯科用のCADソフトも技工所に2システムあります。

歯科の用途には専用なので使いやすいのですが、大きな症例とかになるとデータが重くなりエラーやフリーズが起こりやすくなります。

この辺はパソコンのスペックに左右されるのでしょうけど・・・

別のことをやるにはまた高い追加料金を払ってモジュールを購入しないといけなかったりします。

ソフト自体が単体で50万円ほどするんじゃなかったかな?

メッシュミキサーに歯の形のライブラリーがあれば、この用途に使えるためここのところずーっと歯科の仕事にもメッシュミキサーを使っていました。

ライブラリーも自分の好きな形態と内容でイチから作りました。

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前回のせたこのジルコニアのブリッジも、メッシュミキサーと新しいライブラリーで作ったものです。

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インプラントの症例ですが、この写真はメッシュミキサーでデザイン途中のスクリーンショット。

歯科医師にスクリーンショットを送って打ち合わせに使ったものです。
相手がわかりやすいように模型の部分と歯茎の部分に色を付けたりしています。

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棒が刺さっていますが、これはインプラントの固定用ネジのためのアクセスホールの方向。
ドライバーを差し込むための穴ですね。

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デザインが終わったあとのデータがこれです。
このデータをミリングマシーンに送ってジルコニア材を削り出します。

その後基本的な着色をしてシンタリングという焼結作業、これには10時間以上かかります。

それからポーセレンを盛り上げたり最終の色合わせや艶出しをして完成となります。


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これはライブラリーのパーツを適当に並べてみたもの。

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おまけでバーチャル咬合器のデータと、矯正用の平行模型に使う土台のデータも入れています。

Youtubeにもちらっと動画を出していますのでよかったら・・・



CADが楽しい

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歯科用のCADCAMシステムや3Dプリンタ、スキャナが今の会社にあります。
新しい歯科用のデザインソフトも導入したりで勉強しているのですが、結構色んな所に応用できることに気づき始めてちょっとハマっています。

写真はある試作品をデザインしているところ、ほぼ一日時間がたつのを忘れて作業に没頭するのは久しぶりのことかもしれません。
気づけば夜中の1時過ぎでした。

目的のための専用のソフトではないのですが、ベースとなる動きは同じようなものなので、工夫次第で十分使えます。

クリアボタンの金型を作ってみようかと思いつつ、CAMのほうが限られた材料になってしまいます。

ジルコニアで作ってみようかと出勤途中ずっと考えていました。



ジルコニアの歯

たまには歯科技工士としてのアイデンティティーを保つためにそれらしい話題も少し。

フィリピンもインプラントをする歯科医師が増えてきました。

歯科用のCADCAMもそれなりに増えてきているし、どうかすると普及率は日本より高かったりするかもしれません。

昔の日本は歯科医院の中に技工士さんがいるところも多かったようですが、最近は珍しいんじゃないでしょうか。

フィリピンの場合は結構あるようで、歯科医院単位でCADCAMを導入するところもちらほらあります。

まだオペレーターが少なく、IT出の若い人を雇ってやらせたりしています。
ただ、やはり歯科技工の知識と技術経験がなければある程度のところまでしかできないし、教え込むのも大変と思うんですけどね。

車は運転できるけれどどこに行くのか知らない人に車を与えて、「さあ行け」といってるようなもんです。

どこに行くかわかっている人に車の運転を教えて行かせるほうがやはり良いのでは?

いつの間にかフィリピンも進んできています。日本の技工士さんこっち来ませんか?

ここ数日、臨床例の合間にサンプルを作っています。
先日のデンタルショーにホントは間に合わせたかったのですが、結局今日完成。


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黄色のものは石膏模型で上の顎、歯が全然ない人にインプラントを入れて、その上にブリッジを作ろうというテーマです。

専門家の方から見ると突っ込みどころあると思いますが、サンプルに免じて・・・

手持ちの余ったパーツから作りましたが、一応6本インプラントが入っていることになります。


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土台というかコネクター部の金属パーツを取り付けて、スキャン用に白いパウダースプレーをかけています。


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光学式のスキャナーですね。

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スキャンされてコンピューター上に取り込まれた状態です。
この上にブリッジをデザインしていきます。

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デザインが終わったところ。

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正面から見たところです。

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無精なのであまり手間がかからないジルコニア100%のためのデザインです。
色とか自然感にこりたい場合は表面にスペースを作っておいて、あとからセラミックスを調合して焼き付けるということもします。

このデザインしたものを削り出しの機械、ミリングマシーンに送り削り出します。


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ジルコニアの生材を削っているところですが、だいたいこういうサイズのもので4時間ほど削り出しにかかりました。

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削り出したところです。まだ生材ですので落としたりすると粉々になります。

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これに基礎色となるピグメントを塗布して、ある程度のキャラクタライズをしてシンタリングという焼成に入ります。

1500度以上の温度で、トータル10時間以上の焼成スケジュールです。


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シンタリングが終わった状態。
シンタリングでは20%ほど収縮しますので、生材を削り出すときはその分大きくなっています。
シンタリング後本来の大きさになります。

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今回はサンプルで比較のために半分だけ仕上げています。
表面にセラミックスを焼き付けて色と艶を出します。

コネクターの金属パーツをレジンセメントで取り付けておしまい。

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口の中には小さなチタン製のネジで、骨に埋まったインプラントの土台に取り付けます。

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本来なら総入れ歯ですが、いわゆる取り外ししないブリッジになりました。

口の中でネジを締めて取り付けたあとは、ネジのための穴歯レジンで塞ぎます。

メンテナンスなどで必要に応じて歯科医師はネジを緩めて取り外しすることができます。




3D スキャナー

歯科のほうですがCADCAMのコンベンションに参加するために、シンガポールに行ってきました。

会場は以前よりもせまくなり、参加企業も少なくなってはいるものの、逆にスキャナー、ミリングマシン、3Dプリンターは多く展示されていました。

大体スキャナーはシェアを大きく持っているメーカーがOEMであちこちに出しているのが目に付きました。

もはや時代の主流になりつつあるので、各企業自社開発より手っ取り早いOEMで間に合わせているんじゃないかと勘ぐってしまいます。

機会があれば前からやってみたかったのですが、口腔内で使うスキャナーがありまして、これを顔面補綴の型どりに使えないかと・・

以前にも触れたような気がしますが、眼窩を含むエピテーゼなどでは、似せるべき反対側が、型どりのときには目を閉じた状態になってしまいます。

そのため石膏模型上では写真を参考にしながら、ある程度のところまでワックスで造形し、最終的な調整は患者さんの顔の上で近づけていきます。

ここでかなりの時間と冷や汗を消費してしまいますので、3Dスキャナーでコピーできればと常々思っていました。

反対側を反転してプリンタでプリントすることができれば、造形も楽になります。

ということで展示されている口腔名内用のスキャナでシレっと自分の指をスキャンしてみました。

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ちゃんと色まで出てくるのでかなり使えるのではと思います。

問題は価格ともう一つ、眼窩の型どりの代わりには今のところ難しいようです。
というのもスキャン時に出てくる光がかなり強いので、正常な目のほうには型どりの間開けておくことが不可能のようです。

今回現物の展示はありませんでしたが、顔全体をスキャンするスキャナもあるので、こちらならいけそうですね。

ただ、義眼のためのソケットの型どりにはやはり従来の型どり法じゃないとダメですね。

型どり材である程度粘膜や軟組織を押しのけて採る必要がありますから。

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写真は3Dプリンタでプリントした歯型と、黄色いのは金属で鋳造するときの原型になるもの。

プリントする材質をワックスなどに変えられれば、エピテーゼのワックス造形はかなり楽になります。

まだまだツボどころは経験と勘が幅を利かせていますが、いずれこういうのが応用されるようになって、患者さんの負担が減ればいいですね。

まだしばらくかかりそうかな・・・



顔面補綴マニュアル  やさしい義眼の作り方 How to make artificial eye
How to make Ear Prosthesis 英語版
エピテーゼのつくりかた 耳
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村井 さむ

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日本でのプレッシャーを逃れフィリピンに移住してはや10年、まだ生きてます。やさしい義眼の作り方

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