私は家具屋さんで働いている。
ただし、経営母体は建築会社で、新築をやっていたり、リフォームをやっていたりする会社だ。
だから、職場の周りには、家具を売る人だけじゃなく、営業さん、設計さん、工務さん、いろんな立場の人たちがいる。
そういう人たちを、仕事ぶり込みで、ずっと見てきた。
今回、中古マンションを買って、リフォームをする、という一連の流れの中で、「あ、これ知っててよかったな」と思うことが、意外とたくさんあった。
たぶん、この仕事に携わっていなかったら、分からないことだらけだったと思う。
もっと悩んで、何が正解なのか分からなくなって、決めること自体がしんどくなっていたかもしれない。
そう考えると、建築業界に片足突っ込んで生きてきたことって、実はすごく良かったんだな、と思う。
じゃあ、具体的に何が良かったのかというと、派手な知識じゃない。
住宅ローンの仕組みとか、諸費用に含まれる登記や手数料の話とか、ローンを組むときに必ず必要になる火災保険のこととか。
「それが何なのか」
「どういう選び方があるのか」
最低限の基準を、最初から持っていた、というだけ。
でもそれが、想像以上に大きかった。
どの銀行にするか、どの保険会社にするか、最終的には悩むし、取捨選択は必要になる。
それでも、「よく分からないから不安」ではなく、「分かった上で悩んでいる」状態でいられたのは、かなり楽だったと思う。
今回は、仕事の立場ではなく、完全に「お客さん側」として選ぶ経験ができた。
それもまた、良かったなと思うポイントだった。
リフォームに関しても同じで、何も知らずにお願いしていたら、理想と現実のギャップに、がっかりしている自分が容易に想像できる。
でも、現場を見てきたし、流れもある程度分かる。
「まあ、こんなもんだよね」
って、いい意味で想像がつく。
だから、期待しすぎないし、落胆もしすぎない。
その距離感を保てるのは、やっぱり経験のおかげなんだと思う。
正直、何も知らずに、全部一から調べて、決めて、進めている人たちのことを、私は心から尊敬している。
知らないままでも、ちゃんと前に進める人は、それだけで強い。
私はたまたま、知っている側だっただけ。
それだけの話だけれど、それでもやっぱり、「知っててよかったな」と思うのだ。
