ウォシュレットの洗浄水の勢いが弱い?(3)~検証編

昨年2月頃、「ウォシュレットの洗浄水の勢いが弱い?(2)~解決編」を書いたときには、「洗浄水の勢いが強くなった気がする」という感じで書きましたが、今回はそれをデータで検証した話を書きます。

これまでの経緯

昨年の初めまで、我が家の「ウォシュレット」の洗浄水は勢いが弱く、買い替えを検討していました。

それでも、なんとか洗浄水の勢いを強くできないかと思い、常に最強にしていた「水勢」を、一度弱くしたあと、すぐに最強に戻すと、最初より洗浄水の勢いが増したように感じました。

それを、昨年2月の「ウォシュレットの洗浄水の勢いが弱い?(2)~解決編」の投稿に書きましたが、本当に洗浄水の勢いが増したのか、データでの確認ができていませんでした。

今回の投稿は、そのデータ化を消費電力を測定することで行ったという内容です。

それでは次の項に、消費電力を測定した方法と、消費電力から洗浄水の吐水量を推測した方法を書きます。

ウォシュレットの消費電力と吐水量(流量)

まず、消費電力の測定ですが、「節電エコチェッカー」という消費電力を測定する機器を使いました。

もし「節電エコチェッカー」に、例えば1秒毎に消費電力を記憶する機能があって、そのデータをUSBで取り出せればよいのですが、残念ながら消費電力を表示する機能しかありません。

そのため、「節電エコチェッカー」に表示される消費電力の表示をスマホで動画撮影し、少しずつ再生しながら、150秒間の消費電力変化を1秒間隔でメモしました。

とても、地道な作業でした。

次は、消費電力の値から吐水量を計算する方法ですが、長くてちょっと読むのが面倒な感じになりました。

結果だけで良いという方は、次の「実測した消費電力からウォシュレットの吐水量(流量)を算出」の項に進んでいただければと思います。

この計算方法は、「ウォシュレットの洗浄水の勢いが弱い?」にも書きましたが、下のシンプルな関係式を組み合わせて導きました。

①「消費電力の単位:W(ワット)」と「仕事量の単位:J(ジュール)」の関係

$$1W=1J/s$$

※「 \(s\) 」は時間の単位の秒

②「仕事量の単位:J(ジュール)」と「熱量の単位:cal(カロリー)」の関係

$$1 cal \simeq 4.2 J$$

③「温度差:℃」と「水量:㎖」と「熱量の単位:cal(カロリー)」の関係

$$1 cal = 1ml \times 1^\circ\mathrm{C} $$

この関係は、「温度差:\(\Delta T\) 」「水量:\(M\) 」「熱量\((cal):Q_C\) 」とすると、下の式になります。

$$Q_C=M \times \Delta T$$

この式は、あとで使用します。

「温度差:\(\Delta T\) 」については、洗浄水の温度が10℃から40℃に上昇したとします。

測定を行った2月の千葉県の平均気温が10℃弱なので、水道水の水温は10℃とし、洗浄水の温度は体温より少し高めということで40℃にします。

それでは、①に書いた「\(1W=1J/s\) 」から始めます。

この関係は、「消費電力:\(P\) 」「仕事量/熱量\((J):Q_J\) 」とすると、下の式になります。

$$P(W) = \displaystyle\frac{Q_J(J)}{1(s)}$$

次に、②に書いた「\(1 cal \simeq 4.2 J\) 」の関係を式にすると、「\(Q_J(J) \simeq 4.2 \times Q_C(cal)\) 」になります。

ちょっと分かりづらいのですが、「\(Q_C(cal)\) 」に「\(1(cal)\) 」を代入して「\(Q_J(J)\) 」を計算すると、「\(4.2(J)\) 」になるので大丈夫そうです。

この式を上の式に入れます。

$$P(W) = \displaystyle\frac{Q_J(J)}{1(s)}$$

$$ \simeq \displaystyle\frac{4.2 \times Q_C(cal)}{1(s)}$$

「\(J\) 」と「\(cal\) 」の換算比率の「\(4.2\) 」は、小数点の2桁目を四捨五入した値なので、左辺と右辺は「\(\simeq\) 」でつなぎました。

③に書いたように、「熱量\((cal):Q_C\) 」は、「水量:\(M\) 」と「温度差:\(\Delta T\) 」の掛け算なので、「\(Q_C(cal) = M(ml) \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})\) 」を上の式に入れます。

$$P(W) \simeq \displaystyle\frac{4.2 \times Q_C(cal)}{1(s)}$$

$$ \simeq \displaystyle\frac{4.2 \times M(ml) \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})}{1(s)}$$

この式を、吐水量(流量)を表す「\( \displaystyle\frac{M(ml)}{1(s)} \simeq \) 」の形に変形していきます。

$$P(W) \simeq \displaystyle\frac{4.2 \times M(ml) \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})}{1(s)}$$

$$\displaystyle\frac{4.2 \times M(ml) \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})}{1(s)} \simeq P(W)$$

$$ \displaystyle\frac{M(ml)}{1(s)} \simeq \displaystyle\frac{P(W)}{4.2 \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})}$$

洗浄水の温度は10℃から40℃に上昇するとしたので、「\(\Delta T = 30 (^\circ\mathrm{C}) \) 」を上の代入します。

$$ \displaystyle\frac{M(ml)}{1(s)} \simeq \displaystyle\frac{P(W)}{4.2 \times \Delta T(^\circ\mathrm{C})}$$

$$ \simeq \displaystyle\frac{P(W)}{4.2 \times 30(^\circ\mathrm{C})}$$

$$ \simeq (0.008 \times P) (ml/s) $$

「\( \displaystyle\frac{M(ml)}{1(s)} \) 」は洗浄水の「流量:\(F(ml/s))\) 」なので、上の式は下のように表せます。

$$ F(ml/s) \simeq (0.008 \times P) (ml/s) $$

以前の投稿で流量は、「1秒」ではなく「1分」当たりに流れる水量で表しました。

それに合わせて、上の式の水量を「1秒」当たりから、「1分」当たりに変更して、「流量:\(F(ml/min))\) 」に変更します。

「1分間」は「60秒間」なので、上の式に「\(60(s/min)\) 」を掛けると「流量:\(F(ml/s))\) 」が「流量:\(F(ml/min)\) 」になります。

$$F(ml/min) = F(ml/s) \times 60(s/min) $$

$$ \simeq (0.008 \times P) (ml/s) \times 60(s/min) $$

$$ \simeq (0.008 \times P \times 60) (ml/s \times s/min) $$

$$ \simeq (0.48 \times P) (ml/min) $$

「消費電力:\(P(W)\) 」から、「流量:\(F(ml/min)\) 」を計算する式がやっと求まりましたが、ちょっと回りくどくなってしまいました。

実測した消費電力からウォシュレットの吐水量(流量)を算出

下の画像は、ウォシュレットのリモコンですが、「水勢」は「弱~強」まで、「①~⑤」の5段階あります。

基本的に、我が家のウォシュレットの「水勢」は常に最強の⑤設定なので、そこをスタートにして「水勢」の設定を、2分30秒の間どのように上下させたかを下に示します。

〔1〕0:00~0:19:洗浄開始前(便座ヒーターなどの消費電力確認)

〔2〕0:20~0:50:「水勢」⑤設定で洗浄

〔3〕0:51~0:53:「水勢」を⑤→③→⑤

〔4〕0:52~1:10:「水勢」⑤設定で洗浄

〔5〕1:11~1:12:「水勢」を⑤→③→⑤

〔6〕1:13~1:38:「水勢」⑤設定で洗浄

〔7〕1:39~1:58:「水勢」を⑤→③→⑤(4秒待ち)⑤→①→⑤(2秒待ち)⑤→③→⑤(1秒待ち)⑤→②→⑤(2秒待ち)⑤→③→⑤

〔8〕1:59~2:30:「水勢」⑤設定で洗浄

上のように設定を変えたときの消費電力の変化を表したのが、下のグラフです。

このグラフは横軸が時間、縦軸が消費電力なので、時間経過:0分00秒~2分30秒の間に、消費電力がどう変化したかを表します。

ただ、グラフが細かく上下しているので、5回分のデータを平均し、5秒で移動平均した線(青色の線)を追加しました。(元の赤線は色を薄くしました。)

まぁ、少し見やすくなったかなという程度ですが…。

このグラフを使って、「水勢」の設定を変えたときに、消費電力がどう変わるかを見ていきます。

まずは〔1〕➡〔2〕の洗浄開始直後ですが、一時的に800W近くまで消費電力が増えているので、水温を10℃→40℃に上げるために、最初はかなり頑張ったように見えます。

その後、消費電力は500Wくらいで安定しました。

このときの「流量」は、前の項の計算式から「240㎖/分」程度と思われます。

次は〔3〕➡〔4〕で、一度「水勢」を下げ/上げした後の消費電力です。

消費電力が、少し増えると期待しましたが、残念ながら増えませんでした。

もう一度、同じことを繰り返したのが〔5〕➡〔6〕です。

先ほどと同じように、「水勢」を下げ/上げしたのですが、今度は消費電力が100W増えて600Wになりました。

「流量」は、「240㎖/分」から「288㎖/分」くらいまで増えたと考えられます。

もっと「流量」が増やせないかと思い、〔7〕で「水勢」を何度も下げ/上げして、消費電力を確認したのが〔8〕です。

そうすると、消費電力がさらに100W増えて700Wになりました。

「流量」は、「288㎖/分」から「336㎖/分」くらいまで増えたと考えられます。

今回検証した結果、うまくいかない場合もありましたが、「水勢」の下げ/上げで「流量」が増えることが確認できました。

今回確認した「流量」は、最初の「240㎖/分」から「336㎖/分」に増えているので、ノズルから噴き出る洗浄水のスピードは1.4倍になっていると考えられます。

そうすると、洗浄水の運動エネルギーは「\(mv^2\) 」なので、洗浄水の速さが1.4倍になると、「\(m \times (1.4v)^2=1.96 \times mv^2\) 」と約2倍になるので、それだけ洗浄力もアップしていると思います。

このウォシュレットの仕様には、「ヒーター電力:1200W」「洗浄水の吐出量:430㎖/分」と書かれているので、もっと「流量」が増やせるのかもしれません。

ただ、今回の検証の目的は「水勢」の下げ/上げで、「流量」が増えるかの確認だったので、ここまでとします。

実はこの測定は、前回の「ウォシュレットの洗浄水の勢いが弱い?(2)~解決編」を書いた頃に行いましたが、なかなか画像をデータにする時間がとれず、1年半以上経過しました。

これで、ウォシュレットの投稿は完結にしようと思います。

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