膠原病内科日記

膠原病・不明熱・間質性肺炎に関して勉強します。X:https://x.com/rheumafuoild/

IgG4関連疾患における血清IL-6上昇

IgG4関連疾患(IgG4RD)と多中心性キャッスルマン病(MCD)は臨床的にも組織学的に鑑別がむずかしい。IgG4RDではCRPが上昇しにくいことが鑑別になると考えられているが、その上流であるIL-6に関してはあまりしらなかった。
 
今回IL-6上昇を伴うIgG4RDと考えられる症例を経験したのでIgG4RDでIL-6が上昇するのか考察した。
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①札幌医科大からの報告
・札幌医科大通院中の27人のsystemic immunoglobulin (Ig)G4-related plasmacytic syndrome (SIPS)≒IgG4RDのIL-6(ELISA)を測定→5例で上昇していた。

 

 
岡山大学からの報告
・9人のSystemic IgG4-related lymphadenopathy患者のIL-6を測定
・2人で軽度上昇、1人は上昇していた。

 

③金沢大からの報告
・24人の動脈瘤(IgG4-AA)、8人の動脈周囲炎(IgG4-PA)、10人の後腹膜線維症(IgG4-RF)を検討
・IL-6(ELISA)はIgG4-AAとIgG4-PAで上昇を認めたがIgG4-RFではほとんど上昇をみとめなかった。

・組織のIL-6染色ではIgG4-PAで多くのIL-6発現細胞をみとめ、次にIgG4-AAで多かった。

★(余談であるが)IL-6上昇の多いAA群やPA群ではmonocyte上昇を認めた。
個人的には炎症が上がっているIgG4RDではmonocytosisを伴っていることがある印象があった。

 

Inflammatory features, including symptoms, increased serum interleukin-6, and C-reactive protein, in IgG4-related vascular diseases

 

そのmonocyteはMertk+ monocyteである可能性が推測される。

SAT0011 Mertk+ monocytes are expanded in the peripheral blood of patients with active igg4-related disease and infiltrate affected organs | Annals of the Rheumatic Diseases

またIgG4はM2マクロファージへの分化Fcガンマ受容体Iを介して促進することが示されている。

IgG4 can induce an M2-like phenotype in human monocyte-derived macrophages through FcγRI



 
 
③' 同グループからIgG4-AA vs 炎症性AA vs AAのIL-6を比較

 

Upregulated interleukins (IL-6, IL-10, and IL-13) in immunoglobulin G4-related aortic aneurysm patients

 
④関西医科大からの報告
・43人のIgG4RDの患者がincludeされ、IL-6(CLEIA)の中央値は2.2pg/mLであった。

 

・IL-6を4pg/mLをカットオフで上昇群と非上昇群で分けると10人がIL-6上昇群であった。
IL-6上昇群では年齢が高く、低アルブミン、高CRP、AST上昇が優位に多かった。また腎病変・肝病変・脾臓病変が頻繁にみられた。胆道病変は有意差はないが多い傾向にあった。
非上昇群では唾液腺病変の頻度が高かった。
・再発群と非再発群ではIgG4が高いことは再発と関連があったが、IL-6は認めなかった。

 

*本研究ではIL-6上昇群はステロイド単剤で治療できたことからMCDではなくIgG4と分類しているが、IgG4RDでは非典型的な肝腫大や脾腫を認める患者が全体でそれなりに含まれておりそこがlimitationとなっている。
 
⑤中国から
・56人のIgG4RD患者ELISAのIL-6。
・activeなIgG4RDで血清IL-6とIL-6Rの上昇を認めた。

*本研究ではIgG4RD組織においてIL-6陽性細胞がSMa陽性の筋線維芽細胞であることを同定している。ヒト大動脈外膜線維芽細胞(AAF)を利用したin vitiroの研究もおこなっており、IL6+IL6Rは容量依存的にBAFF、IL-7、IL12、IL23の産生を促進、 JAK1(IL-12)、JAK2(IL-7)、STAT3(BAFF、IL-7、IL12)、Akt阻害薬(IL-7、IL-12)によって部分的に阻害された。
⑤' 札幌医科大からIgG4RDの顎下腺内線維芽細胞にIL-6の発現を認めた研究
IL-6と線維芽細胞、繊維化の機序に関する考察

 

Mechanism of fibrogenesis in submandibular glands in patients with IgG4-RD



 
信州大学から
・4人のIgG4RD肺疾患の患者の血清IL-6と組織のIL-6を染色。
・IgG4LDでは血清IL-6の発現はなかったが、主に間質にIL-6陽性細胞を認めた。

 
<impression>
日本からの報告が多かった。IgG4RDにおいてIL-6が上昇する一群(とくに腎臓・肝臓・脾臓病変を伴うもの あるいは大動脈瘤や動脈周囲炎)が存在していそうということがわかった。またIL-6は線維芽細胞からの供給が考えられ、病態的にも合致する印象。
幸い治療が大きくはかわらないためまず線維化病態を伴っている場合にはIgG4RDよりの治療をして、治療抵抗性であればMCDよりの治療を乗せていく形で臨床的には対応できるだろう。

Pubmed検索式&メールアラートの作成

今回は趣を変えて、研修医の先生や後期研修医なりたての先生方向けに私が毎日論文をよむソースとなっているPubmedのメールアラートの作成方法と日々収集・作成したpubmedの検索式を共有さえていただければと思います。内科ですごい知識あるな、って人はほぼ全員やっていると思うのでぜひGW中に設定してみて、フレッシュな気持ちで連休を明けていただければ幸いです。

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メールアラートの作成

①NIHアカウントの作成

メールのアラートを作成したり、検索式を保存するにはNIHアカウントを作る必要があります。

右上の Log inをクリックして作成します。

②アラートの作成

アカウントを作成したあとに、新しいジャーナルが出版された際にアラートして欲しい疾患やジャーナルを入れて検索します。

今回は腎臓系トップジャーナルを検索しています。すると検索boxの下に"Cleate alert"というボタンがあるのでそこをクリックすると設定画面が出現します。

あとは自分の好みに合わせて設定してください。個人的にはreport styleはabstractがおすすめです。

③アラートの確認

作成されたアラートは"Dashboard"から確認できます。

ここをクリックしていただくと"My NCBI"に切り替わります。


"Saved searches"で確認することができます。

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検索式については以下をコピペしてください。自分で作成したものもあるので間違っていれば改造してつかってください!教わったものも多いのでもしほかのいいのがあれば教えていただけると嬉しいです。

 

①内科系

5大内科ジャーナル
((N Engl J Med[jo]) OR ("Lancet"[jo]) OR (BMJ[jo]) OR (JAMA[jo]) OR (Ann Intern Med[jo])) 
 
7大内科ジャーナル
((N Engl J Med[jo]) OR ("Lancet"[jo]) OR (BMJ[jo]) OR (JAMA[jo]) OR (Ann Intern Med[jo]) OR (JAMA Intern Med[jo]) OR (CMAJ[jo]))
 
②各科トップジャーナル
"Annals of the rheumatic diseases"[Journal] OR "arthritis rheumatology hoboken n j"[Journal] OR "Arthritis and rheumatism"[Journal] OR "the lancet rheumatology"[Journal] OR "rheumatology oxford england"[Journal]
 
呼吸器
"eur respir j"[Journal] OR "chest"[Journal] OR "thorax"[Journal] OR "lancet respir med"[Journal] OR "am j respir crit care med"[Journal] OR "respirology"[Journal] OR "tanaffos"[Journal] OR "respiration"[Journal] OR "Respiratory Medicine"[Journal]
 
消化器
"Gastroenterology" [Journal]or "Hepatology" [Journal] or "Gut" [Journal] or "J Hepatol" [Journal] or "Am J Gastroenterol " [Journal] or "Aliment Pharmacol Ther" [Journal] or "Liver Int" [Journal] 
 
"Neurology"[Journal] OR "Lancet Neurol"[Journal] OR "Brain"[Journal] OR "JAMA Neurol"[Journal]
 
腎臓内科
"J Am Soc Nephrol"[Journal] OR "Am J Kidney Dis"[Journal] OR "Nephrol Dial Transplant"[Journal] OR "Kidney Int"[Journal] OR "Clin J Am Soc Nephrol"[Journal]
 
"the lancet infectious diseases"[Journal] OR "Clinical microbiology reviews"[Journal] OR "clinical infectious diseases an official publication of the infectious diseases society of america"[Journal] OR "Open forum infectious diseases"[Journal]
 
Nature review
"Nat Rev Endocrinol"[Journal] OR "Nat Rev Neurol"[Journal] OR "Nat Rev Microbiol"[Journal] OR "Nat Rev Immunol"[Journal] OR "Nat Rev Genet"[Journal] OR "Nat Rev Nephrol"[Journal] OR "Nat Rev Dis Primers"[Journal] OR "Nat Rev Rheumatol"[Journal]
 
*普段使わない内分泌と循環器は作ってません。。。すいません。

 

免疫チェックポイント阻害薬使用時の併存する自己免疫性疾患に対する免疫抑制剤の考え方 参考: Ann Oncol . 2020 Jun;31(6):724-744.

・化学療法中のリウマチ患者の治療に関してはほぼ定まったものがないのが現状であるが、一般的に従来の抗がん剤治療(殺細胞薬)が使用される場合、血球減少などの副作用もあり免疫抑制剤や生物学的製剤は中止される傾向にあった。
参考:あなたも名医! ピンチを乗り切る関節リウマチ診療
・実際のところ悪性腫瘍をともなう関節リウマチ患者の治療推奨もさまざまである。
 
・しかしこのような治療法は主に殺細胞薬+免疫抑制剤時代の風習を踏襲したものであり、がんの治療において免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が登場し、いささか状況がかわりつつある。
・ICI使用時の自己免疫性疾患の加療は2020年に出版されたESMOのReviewに基づいて診療されることも多いと思われる。Oncologist中心のレビューであるが膠原病科医にも参考になるため、要点をまとめた。
 
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・まずbio全盛のいま、各国の膠原病関連のガイドラインをみてみると、BSR2019では悪性腫瘍患者では新規のbDMARDやJAKiの開始は推奨されていない。ほかの免疫抑制剤に関しては明確な推奨はない。
・またACR2021関しては推奨の言及はなく、EULARのpoint to considerでは自己免疫性疾患のICIの投与は禁忌ではないが免疫抑制剤レジメンは可能な限り低用量にとどめるべきとしている。
・2024年に発表されたJCRの関節リウマチガイドラインでは"悪性腫瘍を治療する主治医と連携し、十分な説明による患者同意のうえ、bDMARDを使用することを推奨する"となっている。

 

 

*Nature review rheumatology(Immune-checkpoint inhibitor use in patients with cancer and pre-existing autoimmune diseases)の推奨:

 

こちらも今回紹介するレビューを踏襲したものとなっている
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・前置きがながくなったがここからESMOのレビューについて要点をかいつまんで紹介する。
 
ICIは自己免疫性疾患の再燃を増やすのか?
・123人の自己免疫性疾患がSRされた研究。
>46.2%の自己免疫性疾患患者は活動性あり。
>20.8%はステロイド≦10mg/day、12.9%はcsDMARDs、1%にbDMARDs、4%に免疫抑制剤が使用されていた。
>41%の患者が再燃を経験し、25%にde novo irAEs、9%で両方が発生した。
>自己免疫性疾患の再燃はPD-1/PD-L1 薬で多く(62% vs 36%)、de novo irAEsはipilimumabで多かった(42% vs 26%)。
>高用量のステロイドは62%の患者で必要であり、他の免疫抑制剤は16%で必要であった。

 
・またbaselineでの免疫抑制剤の併用自体は原疾患のFlare抑制効果はなかったとする研究もある
 
・ICI使用による自己免疫性疾患の増悪は軽症であることがおおくRAのフレアではすべてGrade≦2であった。
 
・疾患ごとのフレア率は以下のようになっている

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36198831/

 
*SITCのガイドラインでは再燃率が50%以上見積もられる場合にはICI以外の治療を考慮をふくむ慎重な治療選択が推奨されている。
 
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▪️免疫抑制剤使用はICIの効果に影響するのか?
・自己免疫性疾患や移植患者は多くのTrialではICIの投与により増悪する可能性が危惧されTrialからは除外されている
・しかし、実際にはメラノーマや非小細胞肺がん(NSCLC) において、免疫抑制剤が投与されていない、あるいは少量投与されいる自己免疫性疾患で原病が増悪した患者は20~40%程度でMinorityあった。
 
免疫抑制剤の中でもselective immunosuppressant(SI)=インフリキシマブ、トシリズマブ、ベドリズマブにおいて小規模な研究でICI併用の安全性と有効性が報告されている。
・また、生物学的製剤はガン既往のあるリウマチ性疾患患者のがん再発率を上昇させることはないことが示されている。

 

 
・しかしステロイドをふくむnonselective immunosuppressant(nSIs)の使用ではnSIsを使用していない患者と比較してICIの奏功率に差が見られた(15% vs 44%)。
 
・特にNSCLCの研究ではbaselineステロイドに関してはPSL≧10mg /日の場合ではoutcomeがわるく、PFSや全生存率も有意に低かった(PFS HR1.31 P=0.03, overall survival 1.66 P<0.001)

 
・ほかにもICI治療開始28日以内に最低でも1日にPSL≧10mgのステロイドが投与されていた場合、Poor outcomeで、PFSやOSも悪かった。
・ベースラインの免疫抑制剤に関しても自己免疫性疾患や移植患者でICIの効果減弱が報告されている。
Ex)

 
・免疫チェックポイント阻害薬と抗インターロイキン抗体のシナジーは注目されており、病態的にICIの効果を高める効果が推定されている

IL6阻害薬に関してはマウスレベルで免疫チェックポイント阻害薬の有効性を増加させるエビデンスもある。
 
・irAEに対して使用されたTNF阻害薬に関してもICIの効果を損なわない、ないしステロイド使用よりも良い効果をもたらす可能性が観察研究からは示されている。

・TNF阻害薬に関してもマウスレベルでのICIとの相乗効果がしめされている。
 
・しかしFDAはTNF阻害薬の悪性腫瘍やリンパ腫発生のBlack box warningを出している。
・乾癬に関してもTNF阻害薬で腫瘍リスク増加が示されている(一方MTXやウステキヌマブは示さなかった)=腫瘍に関してはTNF<IL12/23?
 
・IL17阻害は腫瘍増殖を促進する可能性が指摘されている。=IL17<IL12/23
 
・B cell depletionはPD-1阻害薬に対してnegativeな効果はない。=RTXやBAFFはOK?
 
 
免疫抑制剤使用に関するまとめ:
生物学的製剤とICIの併用は問題なくむしろプラスの効果がある可能性がある。
そのなかでIL6阻害薬やIL12/23阻害薬はTNF阻害薬と違い脱髄疾患を増悪させず、IL17阻害薬とちがってIBDを増悪させない→irAEが起こりうる状況でも使用しやすい根拠となっている。
→以上より筆者らは"nonselective immunosuppressant(nSIs)をselective immunosuppressant(SI)にICI導入2~4週前に置換し、ICI治療中もSIを継続する"アプローチを提案している。
2つの大きな利点:
①最適なICIの効果
②severeな自己免疫性疾患の増悪を予防
具体的にはステロイドMMF、AZA、MTX、Taclolimus、CyA、CYC、JAK阻害薬は中止し、各疾患ごとに推奨されるSelective immunosuppressant(SI)に変更する。
*このStrategy自体は専門家のもとで実施され、今後データが蓄積されるべきではある。
 
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<各疾患ごとの治療アルゴリズム>

*抗ARS抗体症候群に関してはRTX+IVIGへの切り替え推奨、強皮症はRTX baseあるいはTCZ baseの治療レジメンへの変更推奨

*この文献の治療戦略はASCO2021にも採用されている。
 
 

コメント:

ICI+殺細胞薬ではまた話が変わってくるので注意が必要。殺細胞薬使用時は従来通りステロイドメインの治療に切り替えていくのが無難だろう。今後のエビデンス集積が期待される!

 

RAの分類基準

Classification of rheumatoid arthritis: is it time to revise the criteria? | RMD Open

を読んだ。

 

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▪️関節リウマチ(RA)の診断基準
ACR/EULAR2010はACR1987の欠点である早期診断(つまり関節破壊が起こる前の、小関節なら1個以上、大関節であれば2個以上の時点での関節リウマチの診断)を行うために開発された。
ACR1987
1. 朝のこわばり:改善に1時間以上かかる
2. PIP、MCP、手、肘、膝、足関節、MTPの左右で計14のうちから同時に3領域以上の関節炎
3. 手、PIP、MCPの少なくとも1領域の関節炎
4. 対称性の関節炎
5. リウマトイド結節
6. RF陽性
7. X線上の手/指関節の骨びらん、近傍の骨萎縮
4項目以上をRAと分類
*1から4は6週間以上持続
ACR/EULAR2010
A.罹患関節
 大関節 1ヶ所 0
 大関節 2~10ヶ所 1
 小関節 1~3ヶ所 2
 小関節 4~10ヶ所 3
 1ヶ所以上の小関節を含む11関節以上 5
B.血清学的検査
 RF-,ACPA- 0
 RFまたはACPA低力価陽性 2
 RFまたはACPA高力価陽性 3
C.急性炎症反応
 CRP正常かつESR正常 0
 CRP異常またはESR異常 1
D.罹患期間
 6週未満 0
 6週以上 1
6点以上をRAと分類
 
感度は上昇したが、特異度は低下した。
 
とくに超早期炎症性関節炎コホート(SAVEコホート)での検証では誤分類された患者の20.5%はRF、またはACPAが陽性であった。大部分がRF陽性であるのに対しACPAが検出される可能性は低かった。
 
→RFとACPAが同じ重み付けなのが原因では?
 
▪️実際の早期関節炎コホートでのRF/ACPAとRAの診断
・SAVEコホートのデータではACPA+/RF+は非常に高い特異性を有していた。*力価に依存なし
・ACPA単独陽性に関してもnon-RAは3/193であり非常に特異的であることがしめされた。
・対照的にRF単独陽性は高力価であってもRAと非RAを区別しなかった。

Application of the 2010 ACR/EULAR classification criteria in patients with very early inflammatory arthritis: analysis of sensitivity, specificity and predictive values in the SAVE study cohort

 
→RFとACPAがおなじ点数なのはどうか?第7回International Congress on Controversies in Rheumatology and AutoimmunityでRFとACPAの重み付けに関する話合いが持たれた。
 
▪️ACR/EULAR 2010の修正案
  1. ACPA- RF低力価陽性はRAに特異的ではない
  2. ACPA- RF高力価陽性はRAを示唆するが特異的ではない
  3. RF- ACPA陽性はRAに非常に特異的
  4. ACPA+RF+のdouble positiveはRAに高度に特異的でACPA単独陽性より特異的
以上をもとに下記の様に提案された。

 

→これを上記のSAVEコホートに適応すると誤分類が79%から47.4%に減少した。
*改良されたスコアリングは関節炎がなくても6点を満たす場合があり注意が必要(基本的には滑膜炎が必要)
 
おまけ
▪️@ risk患者
この患者層はすでに2013年に抗体ごとに層別化されたスコアリングが作成されている。

A prediction rule for the development of arthritis in seropositive arthralgia patients

 

(コメント)

臨床的にはRFとACPAの重み付けがことなり、ACR2010は参考程度になっていたが、ACPAとRFのポイントが異なればより実臨床に近いスコアになるだろう。RF単独陽性の場合最低でも小関節4関節以上、あるいは小関節を1個以上ふくむ11個以上の関節腫脹がない場合RAへの分類が難しくなり、それでいいのかはさらなる検証を待ちたい。

巨細胞性動脈炎の拡散強調像での簡便な診断方法に関する研究

巨細胞性動脈炎(GCA)の診断においては側頭動脈生検と超音波検査がゴールドスタンダードとされており、その代替として造影血管MRI(3テスラ、T1-BB)が推奨されており、感度80%、特異度100%と報告されている。
今回拡散強調画像を用いて簡便にGCAを診断する方法が報告されているので紹介する。
 
先行報告
①大動脈病変においてMRIの拡散強調がPET集積と一致していた研究

②上記の研究を受けて側頭動脈をDWIで評価:DWI scalp dot sign

*T1BBとDWIのdot signの診断能が同程度であることを示した研究
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そして今回ゲシュタルトによる診断:DWI scrolling artery sign(DSAS)”
スクロールするときの血管の印象(皮下組織内のDWI高信号)を左右の前頭、後頭で評価
 
スケールで2以上を高信号と定義
0:なし
1:わずかに動脈が見える(slight)
2:著明に動脈が見える(prominently)
3:明るく動脈が見える(brightly)

 

GCA患者(87人)のうちDSASを持つ患者は3~4領域:33人、2領域:14人、1領域:17人(計64人,73.6%)であった。
コントロール(PMRや一次性頭痛、AIONなど)の患者では69人中4人で陽性であった。
DSASはT1BBと比較して、GCAの診断に関して感度 73.6%、特異度 94.2% (専門家)、59.8%、特異度 95.7% (初心者) を示した。

 

(コメント)

確かに当院のGCA患者で見てみてもDWIで高信号があり、病理結果とも一致している印象であった。側頭動脈ができない or 結果が早く知りたい状況だが、超音波検査を当てられないシチュエーションでは参考になる所見と思われる。

NSAIDsに対する反応性で慢性腰痛患者の中からaxial SpAを区別可能か?

今年に入りARDでリウマトロジストの慢性腰痛患者におけるaxial SpAの診断率に関する論文が出版されたが、その中で慢性腰痛の中からaxial SpAを見分けるポイントとして"NSAIDsの反応性"が抽出されていた。
以前よりaxial SpAの診断においてNSAIDs反応性は強調されてきたが、今回axial SpAにおける慢性腰痛に対するNSAIDs反応性の診断的有用性に関する研究が出版された。
結論として、少なくとも長期罹患したxSpA患者においてはNSAIDs反応性で鑑別することは困難なことが示唆された。
 
 
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前向き研究
P:45歳以前に発症したNRS4以上の慢性腰痛を持つAxSpA疑いで三次病院に紹介された患者
→結果的に233人が研究に組み入れられた( axSpA (29%)、非特異的慢性腰痛 (25%)、変性性腰痛 (46%))
*椎間板ヘルニアなど他の原因がある場合には組み入れの段階で除外

 

axSpA患者(ASAS criteriaに則って経験豊かな臨床医の診断)
・平均年齢は42.7歳(SD 10.7)
・腰痛の平均症状継続期間は15.1年(SD 11.1)年
・57.4%が男性
・平均 BASDAI は 5.5 (SD 1.8)
・平均 BASFI は 4.5 (SD 2.5)
・IBP(ASAS) 61.8%
・平均NRS 5.9
 
非 SpA 腰痛患者
・平均年齢は 49.3 (SD 11.1) 歳
・腰痛の平均症状持続期間は 14.6 (SD 11.9) 年
・19.4% が男性
・IBP(ASAS) 46.7%
・平均NRS 6.3

 

 

E:48時間のwash out期間を経たあとNSAIDs (最大量 種類はなんでもよい)を組み入れ2時間後から開始
セレコキシブ 63.5%、ナプロキセン 20.2%、アセメタシン 12.9%、イブプロフェン 3.4%
前年に最大用量のNSAIDを使用した患者は除外
 
結果:
・NSAIDs に対する「何らかの反応」は、NRS が 2 単位を超える腰痛の改善として定義され、「良好な反応」はベースラインと比較して 50% を超える改善として定義された

 

 
sub group
①IBP→差なし

 

CRP→差なし

 



(コメント)

NSAIDsの反応性は教科書的には重要視されているが実臨床ではそんなんで区別つくのか?と思っていたが案の定の結果だった。(4週時点では差があるようにも見えるが非SpA群も反応性あるためこれだけの鑑別は困難)

キャラクターに目を向けるとCRPやHLA B27も顕著な差はないため、診断は難しい印象。

発症早期のaxial SpAの研究が待たれるところ。

Fever of unknown origin (FUO) と Inflammation of unknown origin (IUO)の違いに関するSR/MA -FUOとIUOで最終診断は異なるか?-

最近ばんばん不明熱研究を出版しているUniversity Hospitals LeuvenのAlbrecht Betrains先生の新作。

Comparison of diagnostic spectrum between inflammation of unknown origin and fever of unknown origin: A systematic review and meta-analysis

 

今までの研究:

rheumafuoild.hatenablog.com

rheumafuoild.hatenablog.com

 

FUOとIUOの違いのMA/SR
2009/7~2023 /12
サンプルサイズが20以上のFUO(簡単にいえば原因不明の炎症+、発熱+)とIUO(原因不明の炎症+、発熱-)双方を含む研究
*HIV関連、院内関連、免疫不全関連(IgG≦750 or 好中球≦500)、16歳以下を対象とした研究は除外
**FUO/IUOはPetersdorf-Beeson criteria , Durack-Street criteria, De Kleijn criteria のどれかを満たす

→IUO vs FUOでIUOに関して
感染自己炎症性疾患(AOSDやシュニッツラー、FMFなど)の可能性を下げる
・逆に血管炎RA/SpAの可能性を上げる

 

また、同グループからFUOとIUOのPET-CTの診断寄与に関して以下のような報告があるHigher diagnostic yield of 18F-FDG PET in inflammation of unknown origin compared to fever of unknown origin
2009~2019年にPET-CTを受けたFUO/IUO患者を後ろ向きに検討
患者604人のうち、439人(73%、平均年齢56歳、女性43%)がPET-CTを受け、うち349人(79%)がFUO、90人(21%)がIUOに分類された
 
・FUOとIUOではIUOにおいて診断にPET-CTが寄与する割合が高い(aOR 2.21 [95% CI 1.31-3.72]; P = 0.003)
・特にIUOではGCA(IUO 25% vs FUO 12%)PMR(IUO 17% vs FUO 1%)の診断が多かった
・また、PETCTは再発パターンすでにCTを撮像している場合には診断に寄与する可能性は有意に低くなった

まとめ:

不明炎症患者(炎症はあるが熱が確認できない患者)では特に血管炎を念頭に鑑別を進めるといいかもしれない。

(が、実臨床では患者の背景や病歴に合わせて一例一例考えるべきだろう、あくまで目安や肌感覚として知っておく程度にとどめておこうと思う)