ずっとヴィーガン暮らし

菜食と薬草のおうち歳時記

イタリア栗粉で作る秋のケーキ

デパートのイベント会場でイタリア展をやっていた。英国展や北欧展はよくあるけど、イタリア展は珍しいなと思って覗いてみると、オリーブオイルやフォカッチャ、チーズ、パスタなど、いろんな食材が並んでいて楽しそう。美味しそうな実演販売もあってにぎわっていた。

 

そんな中で目を惹いたのが、「栗粉のフォカッチャ」だ。小麦粉じゃなくて栗粉で作ったものらしい。物珍しさにさっそく購入しようとすると、すぐ隣に栗粉も置いてあったのでうれしくなった。

 

実は長年見ているNHKの「グレーテルのかまど」というお菓子作りの番組で、以前イタリアトスカーナ地方の栗粉ケーキ「カスタニャッチョ」を紹介していたのだ。木の実やドライフルーツがたっぷり入った素朴な山のケーキで、バターや卵も使わないところが私好みですごく気に入った。作ってみたいなぁ、栗粉さえあればなぁとずっと気になっていたのだ。

 

そんなわけで、今回偶然手に入った栗粉を使って、カスタニャッチョを作ってみることにした。イタリアはヨーロッパ有数の栗の産地で、栗粉を使ったお菓子も多いそうだ。なかでも「カスタニャッチョ」は秋ならではのお菓子だというので、今の季節にぴったりだ。

 

番組ではヘンゼル役の瀬戸康史さんが上手に作っていた。2011年に始まってから、あらゆる世界のお菓子を作り続けている瀬戸さん、本当に手先が器用ですっかりベテランのパティシエだ。レシピは公開されているので、それに沿って作ってみよう。私にとっては初めてのレシピで、けっこう驚くことも多かった。

 

www.osarai-kitchen.com

まず用意するのは栗粉130g。なんと粉は栗粉だけで、小麦粉はなしだ。栗粉オンリーでどんなケーキができるのかワクワク。他には、松の実・胡桃・レーズンがそれぞれ20gで、あとはローズマリー、炭酸水、オリーブオイル。

なんといきなり栗粉に炭酸水90gを混ぜる。こんなの初めてだ。生地を膨らませるために炭酸水を入れるらしい。なるほど、ベーキングパウダーのような便利なものは入れないんだな。古くから伝わる郷土菓子なので、きっと作り方も伝承されてきたものなのだろう。

 

シュワシュワと泡だって面白い! 

そこに水110gを様子を見ながら少しずつ加えていく。泡だて器で混ぜ、流れ落ちるぐらいのゆるめの生地にする。さらに、塩少々、松の実・胡桃・レーズン・ローズマリーを加えて混ぜる。

さらにオリーブオイル10gを加えて混ぜる。オイルの量少ない! 西洋のケーキってバターや卵がたっぷり入るイメージだけど、こんな伝統菓子もあるんだ。それになんと砂糖もなし!

丸型に入れて、分量外の松の実、ローズマリー、クランベリーをのせ、180℃で40分焼いたらできあがり。

番組によると、栗は古代ローマ時代にはすでに栽培されていたという。イタリアでは「栗は大地の恵み」として大切にされ、栗の文化はずっと続いているそうだ。栗の実は栗粉に、栗の葉はベッドのマットレス作りに、木は家を建てる木材に使われる大切な存在で、山の恵みに感謝する「栗祭り」まであるという。

 

特に山間の人々にとって、栗は小麦粉に代わる貴重な栄養源で、栗の木は「パンの木」と言われたそうだ。だから今でも小麦粉とか混ぜないで、栗粉だけでこの特別な伝統菓子を作り続けているのだろう。

 

さて、私にとって初めてだらけの栗粉のケーキが焼きあがった。栗尽くしにしたいと「イタリアの栗」もトッピング。ちょっと欲張りすぎたかな。

いい色に焼き上がりました。表面がひび割れて見えるけど、ウィキペディアの写真もこんな感じなので、合ってるみたいだ。小麦粉も卵もバターも砂糖も入らない、農民発祥の素朴な郷土菓子カスタニャッチョ、果たしてお味のほうは?

切り分けてみると、全然ふわふわしてなくて、ナッツやフルーツがぎっしり詰まった重たいケーキのようだ。主食として食べられていたというのも納得できる。水切り豆乳ヨーグルトクリームを添えて。

予想通り「素朴」という言葉がぴったりの味だった。甘栗をつぶしてペーストにしたようなホクホク感、食べているとナッツが出てきたり、レーズンが出てきたりして楽しい。甘くはないけど、ほっとするような栗の甘みも感じられ、そこにローズマリーが効いているのが粋だ。

 

カスタニャッチョを検索してみると、AIによる概要として「イタリアトスカーナ地方を代表する、栗の粉を使った素朴な焼き菓子」とあり、「かつては貧しい人々の主食としても食べられていた歴史がある」と出た。そして「現代では、グルテンフリーや乳製品不使用のデザートとしても注目されています」だって。まさにそう、これはヴィーガンスィーツなのだ。

 

国も食文化も違うのに、食べるとどこか懐かしい気持ちになる不思議な栗粉ケーキ。子供のころ食べた田舎のおやつみたいで、ほっとする。定番の栗ご飯や渋皮煮に、新しくイタリアの栗粉ケーキが仲間入りだ。秋の楽しみがまたひとつ増えたようで、なんだかうれしい。

 

retoriro.hateblo.jp

 

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