『ひらやすみ』を傑作にした人生の“痛み” 岡山天音が演じたヒロトの“強さ”を忘れない

1月1日、2日のお正月に一挙再放送されるNHK夜ドラ『ひらやすみ』。最終回を迎えて、物語が終わってしまった寂しさを感じつつも、どこか温かい気持ちになったが、見返してみると、意外と彼らの人生には“痛み”がかなり強くリアルに描かれている。でも、そんなところも、このドラマを好きな理由としてどうしようもなく大きいのだ。
山形から美大に通うために上京し、いとこ・生田ヒロト(岡山天音)の平屋で一緒に暮らすことになった小林なつみ(森七菜)は、美大に入ったのはいいけれど、周りのキラキラ同級生たちとなかなかなじめない。新歓パーティで酔いつぶれても、誰も助けてくれないなんて、想像するだに心細い。漫画を描いていることを異様に気にするなつみは、そのことを同級生たちに知られることも嫌がっている。

なつみの不安は、横山あかり(光嶌なづな)という友人ができたことや、新歓コンパでおいていかれたキラキラ同級生の中心人物・中島(福室莉音)たちとも交流ができるようになったことで消えることになるが、あかりにもときどき、何かを思っているような表情が見える。このドラマでは、誰もがちゃんとそこはかとない不安や“痛み”を抱いていて、そこがいいのである。
ヒロトはなつみから、悩みがなくていいなと思われていて、自分もそれを認めてはいるが、過去には大きな“痛み”を抱えていた人物である。かつて俳優をしていたヒロトは、表向きは好みのタイプの女性俳優とのラブシーンで何度もNGを出してしまい、それで自分が向いていないと思って俳優をやめてしまったと言っているが、実際には、俳優の忙しさと、競争が求められるところに疲弊して辞めてしまったのである。そのとき、ヒロトは高校時代からの親友・野口ヒデキ(吉村界人)から「俺はお前が俳優とか関係なく大事でさ」と言われて救われているのである。

ヒロトのかつてのシーンはつらいが、もっとつらいのは、辞めるヒロトを励ましていたヒデキである。いつもはちょっと強引で調子に乗っているような部分が見えるヒデキであるが、ときおり見せる表情は暗い。特に、車を運転しているときのヒデキの真顔からは、何か彼がすごく大きなものを抱えているような様子がうかがえて、それを観るだけで何があるのかわからないのに胸が締め付けられた。そのときの無音の演出が印象に残ったのである。
後になってわかるのは、ヒデキは妻との間に子供が生まれ、家事と育児にも奮闘しながらも、勤め先の家具店では“無能”扱いされてしまっていたこと。特に後輩からのパワハラは、観ているこちらが胃が痛くなるくらいにリアルであった。






















