内田理央の“怪演”に注目? 不倫&復讐ドラマ『略奪奪婚』は地上波で原作をどこまで再現するのか

内田理央主演『略奪奪婚』ドラマへの期待

 近年の深夜ドラマは、不倫や復讐、ゆがんだ愛情といった“濃い人間ドラマ”を題材にする作品が増えているが、2026年の冬ドラマでその路線を突き進むのが、内田理央主演ドラマ『略奪奪婚』だ。原作は山田芽衣による同名コミック(ぶんか社刊)で、電子配信をきっかけに話題を呼んだ人気作の実写化となる。

『略奪奪婚 ~デキた女が選ばれる~』①(山田芽衣/ぶんか社)

 本作が放送されるのはテレビ東京系「ドラマチューズ!」枠。『夫を社会的に抹殺する5つの方法』『夫の家庭を壊すまで』『夫よ、死んでくれないか』など、愛や怒りなど視聴者の強い共感を呼んできた不倫・復讐ジャンルにおいて、さらなる心の奥底をえぐる刺激的ドラマが誕生しそうだ。

 物語の主人公は、夫・司(伊藤健太郎)と結婚して数年が経つ千春(内田)。子どもを望みながらもなかなか授からず、不妊治療に通い、夫の生活を支え続けてきた。しかしある日、司の元患者で資産家の娘・えみる(中村ゆりか)が「司の子どもを妊娠した」と告白する。突然の裏切りにより千春は離婚へと追い込まれ、多額の慰謝料だけを手に一人取り残される。失意と屈辱、そしてどうしても子どもが欲しかったという喪失感――その感情がしだいに形を変え、千春は“奪い返す”という復讐心に目覚めていく。ここから、愛情と嫉妬が絡み合うスパイラルサスペンスが始まる。

 原作コミックの持ち味は、ヒロインの心が壊れていく過程のリアリティだ。「母になりたい」という願いが、いつしか理性の境界を侵食し、倫理観さえ揺さぶっていく。

 主演の内田は、これまでも“安全圏”に収まらない役柄に挑み続けてきた。ドラマ『来世ではちゃんとします』では、5人のセフレを抱える主人公として、SM好きの恋人に縛られながら食事をする体当たりシーンを含め、恋と性に翻弄される女性像を等身大で表現。『向かいのバズる家族』では、穏やかなカフェ店長でありながら、ナマハゲの仮面を被って迷惑行為を糾弾する動画を匿名で投稿する“裏の顔”を持つ女性を演じ、SNS時代の二重性を浮き彫りにした。

 さらに映画『血まみれスケバンチェーンソー』では、ふんどし姿で悪と戦う破天荒な不良学生という強烈な役どころで、ギャップのある怪演を披露。クセや大胆さを伴う役を恐れず引き受けてきた経験が、本作で描かれる千春の「壊れていく心」にどう反映されるのか。本作の説得力を左右する怪演に期待したい。

 一方で懸念もある。妊娠・不妊・略奪婚というテーマは極めてセンシティブで、描写次第では強い賛否を呼びかねない。原作には、妊娠が復讐の道具のように扱われるシーンも存在し、その衝撃性こそが魅力である半面、地上波での表現には一定の配慮が求められる。もし描写が“安全運転”に寄り過ぎれば、原作が持つ痛烈さが薄れる可能性もあるが、逆に人物の内面を丁寧にすくい上げる方向へ舵を切れば、単なる過激ドラマでは終わらない深みが生まれるはずだ。

 「ドラマチューズ!」は、社会の暗部や欲望に切り込む挑戦的なラインナップで支持を広げてきた枠でもある。『略奪奪婚』は、その中で“略奪”の連鎖の先に何を描き出すのか。いびつな三角関係の行方に、救いは訪れるのか。千春の選択は、視聴者にどんな感情を残すのか。

 「登場人物、全員ヒール」との予告編では、内田が鬼気迫る顔で「ふざけんな、クソが!」と絶叫する場面も見られた。冬のドラマ界隈をにぎわせる一作として、SNSを中心に話題を呼びそうだ。

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