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2011.10.13
北風と太陽→ゴミを散らかすのを止めさせた貼紙に書かれた魔法の言葉
共働きで昼間は誰もその家にいないから、その家の駐車場がいつしか子供たちのたまり場みたいになった。
夜になって家主たちが帰ってきたときには駐車場には誰もいないが、食べ散らかしたゴミ、食玩だけを抜いて捨てられたチョコレートなどなど、誰かがここにして、何をしているかはよく分かった。
家主たちは毎晩遅く帰ってきて、それから駐車場を掃除した。
しかし次の日には、また同じようにゴミが散らかっているのだった。

「貼り紙をしようと思うの」
「『ゴミを捨てるな!』ってか?」
「それも考えたんだけど、昼間誰もいないし、やっぱりコトバだけだとどれだけ強烈に書いても、すぐに気にならなくなると思うのね」
「ああ。迷惑駐輪に腹を立てた店の人が、どんどんコトバをエスカレートさせて、最後には
『ここに停めたら殺す』とまで書いたけど、3日も持たなかったそうだよ」
「で、〈北風と太陽〉だと思ったのよ」
「……具体的にはどうすんの? 真逆で『ゴミを捨てろ!』とでも書くか?」
「あ、それ、もらうわ」
「冗談だろ? ゴミの山ができちまうぞ」
「集めて山にしてくれるなら、むしろ掃除が楽ってもんよ。これっでどう?」
「『わたしゴミ箱。いっぱい入れてね』……。」
「ダンボール箱をだしておいて、これを貼っておくの」
「ご近所中の生ごみを集めて来られたらどうすんだよ?」
「面倒臭がりの今の子がそこまで根性見せて嫌がらせするかしら? ま、幸い明後日はごみの日だから、明日帰ってきてゴミの山ができてても、なんとかなるわ」
次の日、家主たちが帰ってくると、相変わらずゴミは散らかったままでした。
「な、やるだけ無駄だろ?」
「無駄っていっても、箱を出して貼り紙しただけだもの、大したコストじゃないわ。それにまんざら失敗でもないみたい」
「どこが?」
「ほら、ダンボール箱の中。ジュースの缶が1本入ってる」
「2つっきりだろ」
「そうね。これが〈偉大な第1本〉にならないって誰に言える?」
「何言ってるんだか」
「さて、こう書き足すわね」
「『ありがとう。また入れてね』……」
家主たちはダンボール箱だけをからっぽにして、駐車場の掃除はやらずに、貼り紙を貼り直しました。
次の日、家主たちが帰ってくると、相変わらずゴミは散らかったままでしたが、ダンボール箱にはジュースの空き缶3本とお菓子の空き袋1つが入っていました。
その次の日も、その次の日も、ダンボール箱にはジュースの空き缶や空き袋、それから別のゴミが入っていました。
「おい、あれから駐車場って掃除したか?」
「私たちはしてないわね」
「ゴミが減ってると思わないか?」
「ダンボールの中には増えているわ」
「あいつらが片付けてるのか?」
「会ったことないけど多分ね」
「どうしてまた?」
「片付けてるって意識してるかどうかは分からないけど、ダンボール箱の中にゴミを入れるのが習慣になってきたのかしらね」
「……こんなにうまくいくと思ってたのか?」
「まさか。ただ悪い方に転がる〈軍拡競争〉じゃない手は何かないかって思っただけ」
「〈軍拡競争〉って?」
「今の場合は、一方は悪いことをしたらひどい目に合わすぞと脅す。もう一方は、おどしに反発してさらに悪さをする。その繰り返しで拍車がかかっていくこと」
「それがまずいのは俺にも分かってたさ」
「やったのは、私たちから『ありがとう』って言える何か小さなことが生まれる機会をつくって、起こった小さなことを拾い上げていっただけよ」
「『ゴミを入れてくれてありがとう』か。それ以外は散らかしていても」
「その他に悪いことをたくさんしていても、ね」
夜になって家主たちが帰ってきたときには駐車場には誰もいないが、食べ散らかしたゴミ、食玩だけを抜いて捨てられたチョコレートなどなど、誰かがここにして、何をしているかはよく分かった。
家主たちは毎晩遅く帰ってきて、それから駐車場を掃除した。
しかし次の日には、また同じようにゴミが散らかっているのだった。

「貼り紙をしようと思うの」
「『ゴミを捨てるな!』ってか?」
「それも考えたんだけど、昼間誰もいないし、やっぱりコトバだけだとどれだけ強烈に書いても、すぐに気にならなくなると思うのね」
「ああ。迷惑駐輪に腹を立てた店の人が、どんどんコトバをエスカレートさせて、最後には
『ここに停めたら殺す』とまで書いたけど、3日も持たなかったそうだよ」
「で、〈北風と太陽〉だと思ったのよ」
「……具体的にはどうすんの? 真逆で『ゴミを捨てろ!』とでも書くか?」
「あ、それ、もらうわ」
「冗談だろ? ゴミの山ができちまうぞ」
「集めて山にしてくれるなら、むしろ掃除が楽ってもんよ。これっでどう?」
「『わたしゴミ箱。いっぱい入れてね』……。」
「ダンボール箱をだしておいて、これを貼っておくの」
「ご近所中の生ごみを集めて来られたらどうすんだよ?」
「面倒臭がりの今の子がそこまで根性見せて嫌がらせするかしら? ま、幸い明後日はごみの日だから、明日帰ってきてゴミの山ができてても、なんとかなるわ」
次の日、家主たちが帰ってくると、相変わらずゴミは散らかったままでした。
「な、やるだけ無駄だろ?」
「無駄っていっても、箱を出して貼り紙しただけだもの、大したコストじゃないわ。それにまんざら失敗でもないみたい」
「どこが?」
「ほら、ダンボール箱の中。ジュースの缶が1本入ってる」
「2つっきりだろ」
「そうね。これが〈偉大な第1本〉にならないって誰に言える?」
「何言ってるんだか」
「さて、こう書き足すわね」
「『ありがとう。また入れてね』……」
家主たちはダンボール箱だけをからっぽにして、駐車場の掃除はやらずに、貼り紙を貼り直しました。
次の日、家主たちが帰ってくると、相変わらずゴミは散らかったままでしたが、ダンボール箱にはジュースの空き缶3本とお菓子の空き袋1つが入っていました。
その次の日も、その次の日も、ダンボール箱にはジュースの空き缶や空き袋、それから別のゴミが入っていました。
「おい、あれから駐車場って掃除したか?」
「私たちはしてないわね」
「ゴミが減ってると思わないか?」
「ダンボールの中には増えているわ」
「あいつらが片付けてるのか?」
「会ったことないけど多分ね」
「どうしてまた?」
「片付けてるって意識してるかどうかは分からないけど、ダンボール箱の中にゴミを入れるのが習慣になってきたのかしらね」
「……こんなにうまくいくと思ってたのか?」
「まさか。ただ悪い方に転がる〈軍拡競争〉じゃない手は何かないかって思っただけ」
「〈軍拡競争〉って?」
「今の場合は、一方は悪いことをしたらひどい目に合わすぞと脅す。もう一方は、おどしに反発してさらに悪さをする。その繰り返しで拍車がかかっていくこと」
「それがまずいのは俺にも分かってたさ」
「やったのは、私たちから『ありがとう』って言える何か小さなことが生まれる機会をつくって、起こった小さなことを拾い上げていっただけよ」
「『ゴミを入れてくれてありがとう』か。それ以外は散らかしていても」
「その他に悪いことをたくさんしていても、ね」
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