【マスコミ調査】公的年金2025年度2Q運用実績は絶好調 なぜマスメディアは年金財源が大幅に増えた事実を報道しないのか
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公的年金の積立準備金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は2025年11月7日に、2025年度第2四半期運用実績を公開しました。
#GPIF は、2025年度第2四半期運用状況(速報)を公表しました。 #2025年度第2四半期 #運用状況
— GPIF (@gpiftweets) November 7, 2025
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◆2025年度第2四半期(2025年7月~9月)
収益率: +5.52%
収益額: +14.4兆円
運用資産額: 277.6兆円(2025年9月末)
◆市場運用開始以降(2001年度~2025年度第2四半期)
収益率: +4.51%(年率)
収益額: +180.2兆円(累積)
簡単にいえば、2025年度第2四半期は「絶好調」でした。収益率は +5.52%、収益額は ++14.4兆円という結果でした。累積収益額は +180.2兆円(累積)、収益率も +4.51%(年率)とこちらも「絶好調」に推移しているというのが全体像です。(なお、GPIFの運用目標は中期で年率賃金上昇率+1.7%)
収益がマイナス時には張り切って「年金叩き」を行う傾向があるマスコミ各社、短期収益が絶好調だった今回の対応はどうでしょうか。調べてみました。
Googleニュースで各メディアのネット報道内容をチェックします。チェック項目は過去の調査と同様、(1)収益額、(2)収益率、(3)運用開始からの累計実績、とします。
公的年金の運用実績(2025年度第2四半期)に対するマスコミ各社のネット報道状況
| (1)収益額 | (2)収益率 | (3)累計実績 | 備考 | |
| 日本経済新聞 | ○ | × | × | 金額のみ記載で程度不明の不適切報道 |
| 朝日新聞 | × | × | × | 報道なし |
| 毎日新聞 | × | × | × | 報道なし |
| 読売新聞 | × | × | × | 報道なし |
| 産経新聞 | × | × | × | 報道なし |
| 共同通信 | ○ | △ | ○ | 収益率の記載がなく、運用総額の記載から読者が計算しなければならない |
| 時事通信 | ○ | ○ | × | |
| ロイター | ○ | ○ | ○ | |
| ブルームバーグ | ○ | ○ | × | |
| NHK | ○ | ○ | ○ | |
| 日本テレビ | × | × | × | 報道なし |
| TBS | × | × | × | 報道なし |
| フジテレビ | × | × | × | 報道なし |
| テレビ朝日 | × | × | × | 報道なし |
| テレビ東京 | × | × | × | 報道なし |
ひとことで言えば、2025年度第2四半期の運用実績は「絶好調」だったにもかかわらず、メディア報道は軒並みレベルダウンしていました。
メディア別に見ると、テレビは報道内容が最低でした。NHK以外全滅で報道すらありませんでした。
NHKだけは引き続き、(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績のフル項目が掲載されわかりやすい報道内容でした。
次に、新聞メディアも報道内容がレベルダウンしていました。日経以外全滅で報道すらありませんでした。
その日経も(1)収益額だけを記載して、収益率や運用総額を伏せたままプラス金額の大きさだけを騒ぎ立てる構成になっており、不適切報道でした。過去数年にわたり日経は最低限(1)(2)は記載していたのに、ここへ来て不適切報道にレベルダウンしてしまいました。
次に、通信社はまずまずな報道内容でした。
ロイターは(1)収益額、(2)収益率、(3)累計実績のフル項目が掲載されわかりやすい報道内容でした。共同通信も(1)収益額、(3)累積実績が報道されています。(2)の収益率はないのですが運用総額が報道されているので、視聴者が自分で収益率を計算することは可能でした(不親切ですが)。ブルームバーグ、時事通信は(1)収益額、(2)収益率掲載で合格点。
たとえ短い文章でも、情報の要素をしっかりと押さえて報道すれば、読者は運用状況を理解できます。通信社は地方新聞などに記事を配信しているので、お粗末報道をしてしまうとそれが拡大再生産されてしまう一方で、高品質な報道をすれば正しい情報を効率よく国民に届けることができます。今後も情報の要素を押さえた報道と配信をしてほしいと思います。
全体を通じて、運用は絶好調であったにもかかわらず、報道レベルは大幅にダウンしていました。運用の好調により、公的年金の財源が大幅に増えた事実をいっさい伝えないメディアはそれでよいのでしょうか。報道しないというのは、公的年金運用に無関心なメディアであると言われても仕方がない。年金は多くの国民にとって最大級の関心事であるはずなので、メディアの記者が興味を持っているときだけ煽り立てる報道をして、別のネタにご執心のときには報道自体がなくなるというのはよくないと思います。
そして、(1)収益額だけを表記して、収益率や運用総額を伏せたままマイナス(あるいはプラス)金額の大きさだけで騒ぎ立てるメディアが久々に登場してしまったことも残念です。それも天下の日経新聞がそれでは先が思いやられます。
GPIFの運用総額は278兆円と超巨額なので、(1)収益額の金額自体が大きいのは当たり前です。(2)収益率、もしくはせめて運用総額を記載しないと、(1)収益額が、大ごとレベルのことなのか、ふつうのことなのか、読者は評価することができません。べつに長文でなくてもかまわないので、読者が状況を理解できる情報の要素を押さえた報道をしてほしいと思います。
公的年金の年金積立金の運用実績というひとつの切り口ではありますが、日頃から国民に正しい情報を届けようとしているのか、ネガティブ報道だけを大々的にやろうとしているのか、メディアの報道スタンスを垣間見ることができます。公的年金に大きな損失が出た時だけ鬼の首を取ったように騒ぎ立て、利益が出ている時は報道しないメディアなど論外ですし、報道する際は、読者が状況を理解して正しく評価できる情報要素を押さえた報道をしてほしいと思います。
公的年金制度に関しては、人口増加を前提とした制度設計であることや、未納問題、過去には消えた年金問題、マクロ経済スライドの未実施等、多くの課題を抱えていることは事実です。
しかし一方で、年金積立金の運用については真面目に行われており、情報公開も進んでいるというのが、運用をウォッチしている私の認識です。これらの公開情報は、世界最大級の機関投資家の情報として、個人投資家の資産運用にも大いに参考になるものです。
年金は国民の最大級の関心事のひとつです。マスコミ各社は煽る方向ばかりに張り切るのではなく、良いことも悪いことも含め、きちんと「事実」を伝えてほしいと思います。
P.S
本文にも書いたとおり、ネットで公開されている範囲での情報収集なので、「ニュースサイトには掲載していないが、新聞本紙では掲載している」「○時○分のTVニュースで触れた」等の事情はあるかもしれません。だからといってメディア名を冠したネットニュースには非掲載でよいという理由にはなりません。
▼前回のマスコミ調査記事
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