年3%のインフレ下でインデックス投資はどう対応すればよいか
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(画像著作者:freepik)
ここ数年、日本ではインフレが続いています。とくにエネルギー価格や食料品などの値上がりが顕著で、いわゆる「コストプッシュ型インフレ」の状態が長引いています。
日本のインフレ率は足もとで年3%に達しており、米国の2%台を超えています。私自身、スーパーでの買い物のたびに、じわじわと生活コストが上がっているのを実感しています。
こうしたインフレの環境では、資産運用の「常識」も少しずつ変化していくものです。今回は、インフレ下でインデックス投資家がどのように対応していけばよいのかを、無リスク資産とリスク資産の両面から整理してみたいと思います。
無リスク資産:銀行預金と個人向け国債の「差」
まずは無リスク資産から見ていきましょう。従来、生活防衛資金や短期的な資金の置き場として「銀行預金」や「個人向け国債(変動10年)」を使うのが定番でした。
現在、銀行預金の金利は年0.2%程度です。かつての0.01%に比べれば改善しているとはいえ、インフレ率が年3%前後の環境では実質的な目減りが大きく、インフレに対してまったく太刀打ちできていません。
一方で、個人向け国債(変動10年)の利率は年1%程度まで上がってきています。銀行預金よりはインフレに対する防御力があります。現在、日本は金利上昇局面であるため、変動金利型で金利上昇にある程度自動追随してくれる「変動10年」がますますフィットしてくるといえるでしょう。それでもインフレ率を上回るには力不足というのが正直なところです。
「遊ばせる」余裕資金はなるべく減らす
インフレが続く環境では、日々出し入れがある生活費を大きく上回る資金を、低金利の銀行預金に遊ばせておかないことが基本的な対応策になります。また、金利がつかないポイントを長期間ため込むのも、実質的には目減りしていくのと同じです。今後もインフレが続くと考えるなら、ポイントで必要な物やサービスを早めに購入してしまうほうが合理的な判断になるケースもあるでしょう。
「ポイント投資」も話題にはなっていますが、数百円~数千円のポイントを運用したところで、生活費の足しになるほどの効果は期待しにくいのが現実です。それなら、ポイントを利用していま必要なものを少しでも安く買うほうが実利があると考えています。
決して、「ポイ活」自体を否定しているわけではありません。今までよりも積極的にポイントを使っていこうという話です。
リスク資産:基本方針は変えなくていい
一方で、株式などのリスク資産については、大きく戦略を変える必要はないと考えています。たとえば、全世界株式インデックスファンド(いわゆる「オルカン」)のように広く分散された株式市場に長期で投資していれば、インフレ率を上回るリターンが期待できると考えるのが基本です。何か新たな商品を追加購入しないとインフレに対抗できないと考える必要はないでしょう。
ただし注意したいのは、インフレによって実質的な期待リターンが低下している点です。名目リターンが仮に6%でも、インフレ率が3%なら実質3%しか残りません。この「実質」の感覚を持っておくことはとても重要です。

株式比率を上げるかどうかは「リスク許容度次第」
私は現在、株式と債券の比率を8:2程度で運用しています。もし読者の方の中で、ご自身のリスク許容度にまだ余裕があると感じる場合は、実質的な期待リターンの目減りを補うために、資産配分における株式比率を少し高めて期待リターンを高めるという判断も選択肢のひとつになるかもしれません。
もちろん、株式の名目期待リターンは理論的にはインフレ率を加味したものになっているということにはなっています。しかし、インフレ率上昇に応じて名目期待リターンも自動的に上昇して、「実質的な期待リターンは変化なし」というほど現実は単純ではないのが実態です。実質的なリターンを上げるには、株式比率を上げる必要があります。
ただし、資産配分における株式比率を高めることは当然ながらリターンと同時にリスクも高めるということです。どんな理由があっても「自分のリスク許容度の範囲内で投資する」という大原則は変わりません。これはインフレ下であっても同じです。
足りないのは投資リターンではなく「手取り額」
それでも「生活がインフレに負けてしまいそうだ」と感じる場合、それは資産配分の問題ではなく、手取り額の問題かもしれません。生活費の見直しによる節約、副業や本業での収入アップ、あるいはその両方を組み合わせて、手取り額を増やすことがもっとも確実で効果的な方法です。生活は安定するし、将来に向けた投資もより効率的にできるでしょう。
インフレは相場ではなく現実の生活に直撃します。運用の工夫だけで何とかしようとするより、家計全体での対応が重要になります。
「デフレ脳」ではインフレ時代を乗り切れない
そもそも、適度なインフレは資本主義経済成長にとって必要なものです。いつまでも物やサービスを買わず、貯金をため込むだけの「デフレ脳」のままでいると、生活も投資もうまくいかなくなるのは自然な流れでしょう。これからは、「名目」ではなくインフレ調整後の「実質」を今まで以上に意識して、適切に行動することが求められます。
まとめ
- 銀行預金はインフレ率に追いつかない
- 個人向け国債(変動10年)は防御力はあるが決定打にはならない
- リスク資産は大きく戦略を変える必要はない
- 実質期待リターンを意識しつつ、リスク許容度に応じた資産配分を
- 生活費の不足分は投資リターンの向上ではなく「手取り増」で補う
インフレ下でも、長期・分散・低コストというインデックス投資の基本方針は変わりません。焦って何か新しいことに手を出すのではなく、自分の家計全体とリスク許容度を見つめ直し、家計と資産配分の微修正で十分対応できると考えます。
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