「これ1本でAIの未来に投資できるETF」(愛称:ベストAI)に組み込まれた罠?

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「iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF」(愛称:ベストAI)というETFが、9月10日に東証に上場されました。証券コードは 408A です。

ベストAIはいわゆるアクティブETFで、「これ1本でAIの未来に投資できるETF」との触れ込みです。ブラックロックのiシェアーズシリーズで、1,000銘柄から厳選した40銘柄前後の企業に集中投資するとのこと。かなりエッジがたったアクティブETFだと思います。

私はアクティブETFは、アクティブ運用であるにもかかわらず低廉な運用コストがポイントだと考えていて、当ETFも信託報酬が年0.847%(税込)と、アクティブにしては低めに感じます。

面白いかもしれないなと思い目論見書を読み進めていくと、「ん?」という記載が。ちっこい字で「2026年6月30日までは年0.847%(税抜0.77%)程度の報酬が適用されます。2026年6月30日以降は、年0.99%(税抜0.90%)程度の報酬が適用されます」と書かれているではありませんか。

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は? どういうことですか。最初の1年は安めの0.847%という信託報酬を見せて顧客を集め、たった1年後に約1%程度まで値上げすることが予め決まっていると? 信託報酬年1%ならそこらへんの投信会社のアクティブファンドでもふつうにあるレベルで、低廉な運用コストとまではいえません。

純資産残高の積み上がりに合わせて、信託報酬を徐々に引き下げていくインデックスファンドやETFは存在します(バンガードなど)。近い将来、信託報酬を値上げすることが、予め決まっているETFというのは見たことがありません。

しかもよく見たら、「ベストAI」はもともと米国市場に上場されている「iShares AI Innovation and Tech Active ETF」(ティッカー BAI)に投資するだけの国内ETFのようです。しかも、BAIの経費率は年0.55%と、値上がり後のベストAIの約半分。それでいて名前も中身はほぼ同じ。

ちなみに、S&P500に投資するETFである「SPY」は米国市場に上場されているものと、東証に上場されているもの(1557)の運用コストは同じで年0.0945%です。重複上場とは通常こういうものです。

まだまだ発展途上の東証のアクティブETFの世界は、低コストでフェアなETFの世界と、高コストで隙あらば投資家から手数料を取ろうとするアクティブファンドの世界がせめぎ合っているカオス状況のように私には見えます。

かつて「日本人にはピークを過ぎたB級商品を高く売ればいい」という海外運用会社の搾取構造が日本の投信業界で15~20年前にはよく見られました。程度は多少お行儀が良くなっているものの、この構造自体、私はあまり良い気分はしないし、この商品を積極的に追っていこうとは思いません。

アクティブETFで東証を盛り上げていこうという意気込みを東証からは感じていましたが、肝心のETF銘柄にこんな搾取構造が組み込まれているのは心配です。東証はいったいどのように捉えているのだろうか?
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