適切なリスクを取った投資を行う必要があるのは、英国も日本も同じ
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シュローダー・インベストメント・マネジメントのWebサイトに、「これからの『リスク』とは? なぜキャッシュの保有は株式投資よりもリスクが高いのか」というレポートが掲載されています。英国の個人資産の状況について書かれたレポートですが、既視感のあるものでした。
日本はあいかわらず預貯金偏重
日本銀行の資金循環統計によると、2023年3月末時点で日本の個人金融資産における現預金の比率は約50%となっています。これは、アメリカの約13%と比べて圧倒的に高い状況が続いています。一方で、株式・投資信託の比率は約15%程度と、アメリカの約51%と比べて著しく低いのが現状です。この現預金偏重による日本人の「逸失利益」は決して小さくありません。
英国でも投資を推奨する人は少ない
上記のシュローダーのレポートによると、英国でも投資を推奨する人は意外に少ないとのことです。これは日本だけの問題ではないということでしょう。まさに日本のメディアでも見慣れた光景ですね。「投資の結果、価値が上がる可能性があると同時に下がる可能性もあり、元本を割る可能性もあります。」これは、株式型ISAの開設を検討する個人が目にするものです。強調されているのはマイナス面であり、慎重な人々にとっては、不安を煽るだけの内容といえます。
また、新聞やオンライン・メディアなどで多くの支持を集める人々が、株式投資については沈黙を守る一方で、預金型ISAへの投資の利点について頻繁に語り、積極的に勧めています。そして、特に残念なケースでは、株式投資について明確に否定的な意見を述べることさえあります。例えば、株式市場の下落リスクや変動性に焦点が当てられ、上昇の可能性については言及されません。
(シュローダー・インベストメント・マネジメント「これからの『リスク』とは? なぜキャッシュの保有は株式投資よりもリスクが高いのか」より引用)
日本では英国のISA(個人貯蓄口座)をお手本に、NISA(少額投資非課税制度)が導入されました。2014年のスタートから、つみたてNISA、ジュニアNISAを経て、2024年からは新NISAがスタートし、より多くの方々が投資に参加できる環境が整いつつあります。
「投資なんかおやめなさい」という時代遅れのオバハンが何十年もTVメディアで重宝されているようですが、インフレ時代の国民の逸失利益を考えればそろそろご勇退いただきたいところ。メディアが投資に後ろ向きで、せっかく国が用意した非課税制度が十分に活用されていないのは、英国も日本も似たようなものかもしれません。
「リスク」を取る必要性
日本ではデフレの時代が過去のものとなり、「金利ある時代」「インフレ時代」に再び突入しています。ここで私たち個人投資家が考えなくてはならないのは、インフレによる購買力の低下、つまり「何もしないリスク」ではないでしょうか。現金は名目上の価値は保たれても、実質的な購買力は確実に目減りしていきます。いままで以上に、これからは適切なリスクを取った投資を行う必要性が高まっていると考えています。
「適切なリスク」とは何か。それは自分のリスク許容度の範囲内のリスクのことです。リスク許容度とは何か。自分の年齢、収入、家族構成、将来の目標などを総合的に考慮し、年間で何円(何パーセント)までの損失であれば耐えられるかという目安のことです。
全資産を株式に投じる必要はありません。株式と債券・現金を組み合わせて、保有資産全体のリスクが自分のリスク許容度の範囲内におさまるようにすればよいのです。しかし、全資産を現預金で保有することも、見方を変えれば大きなリスクを取っていることになります。
個人が投資する必要があるのは英国も日本も同じ
英国人も日本人も、誰だって自分が働いて稼いだお金を株式や債券の価格変動で減らしたくはありません。その気持は十分にわかります。しかし、現金は価格変動がないように見えても、インフレが価値を着実に削いでいきます。バランスの取れたポートフォリオづくりが、私たち個人投資家が目指すべき方向性だと思います。個人がリスク・リターン・インフレ等について少し勉強して、適切なリスクを取った投資を行う必要があるのは、英国も日本も同じようですね。
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