「おちび」
1761年、スイスの田舎町に産まれたマリー(小柄なため おちび と呼ばれる)が主人公です。
移り住んだ
フランス革命期の パリ を、懸命に生きぬく彼女のたくましさに圧倒されました。

やっと戦争から帰ってきたお父さんは、大けがをしており、すぐに亡くなってしまいます。
幼いマリーとお母さんに残されたのは、
赤貧 のみ。
家政婦の職があるという話を頼りに、
スイスのベルンに行く二人でしたが、雇い主である医師、クルティウスは、病院の依頼で蠟で人体の模型を作る人で、
死者の体の一部が家に運び込まれ、部屋には、
得体のしれない物体が入ったガラス瓶が置かれ、不気味な人体のパーツ(内臓)模型が置かれ、奇妙な道具が置かれ、、、、
手伝いを求められた
お母さんは、なじめず、突然、自殺してしまいます。
マリーは毛布をかぶって泣きます。
でも、思いつきます。自分の鼻がお母さんそっくりだということを。
この鼻があれば、お母さんを思い出すことができる。誇らしい、と。
マリーは、クルティウス医師を助けながら、蠟でほんものそっくりの臓器や人形を作る技術を身に付けて行きます。
しかし、その後も、これでもかこれでもかと、
マリーに不幸が舞い込みます。
経済的に困窮したクルティウス医師と一緒にパリに移り住むも、大家の未亡人に徹底的にいじめぬかれ
頼みのクルティウス医師は、未亡人に心奪われ、かばってくれないし、
好きになった人は、未亡人の策略で、他の女性と結婚し、
クルティウス医師の蝋人形が評判になったことがきっかけで王宮に移り住むも、人間扱いされない、扱いをされ、
革命期の騒動に、スイス人であるとかどうとか、わけわかんない理由で逮捕され、
あわや処刑されそうになり、
こんだけ不幸の連続であったら、人間性が破壊されてもおかしくないと思うのですが、マリーは、けっして卑屈にならず、いつも堂々としているのです。権力に媚びないし、生きるためにであっても自分を偽らないのです。ぶたれても、面と向かって自分の意見を言います。お見事。
ラストの方で、物語が突然早くまわりはじめ、無理やりまとめられた感はあったのですが、なかなか楽しめました。
エピソードいろいろの
ダイナミックな猥雑さが半端ないのよ。
心に残ったひとつが、マリーアントワネットの最初の出産のシーン。王妃の出産は、当時の習慣により公開で、大勢に見られるのですが、マリーもどさくさに紛れて見に行きます。押し合いへし合いで大勢が押しかけ、出産が見えないので、マリーは戸棚の上によじ登ります。そして、
見ます。卑猥で騒々しい様子がリアルで、今では考えられない習慣が不気味でしたが迫力でした。
それと、マリーが逮捕されて、幅6メートル、奥行き9メートルの牢に女ばかり20名ほどと一緒に牛のように閉じ込められて処刑を待つシーン。いつ名前を提示され、ギロチンにかけられるかわかりません。(結局は免れるのですが)
それを
「わたしたちにはありあまる時間があった。
わたしたちには一刻の猶予もなかった。」と表現しています。なんという緊張感か。なんという客観か。皮肉か。
掃除洗濯なんてとんでも無理。排泄には、皆で一つのバケツを使う、家畜のような状況。でも、マリーは負けません。屈しない精神的強さは、恐ろしいほどで、クルティウス医師が作る、内臓の模型や、医師に蝋人形を作ってもらうために持ち込まれる死体を想像するより寒気がします。
マリーの生き様が、美しいのか醜いのか、と言われると美しいのですが、何が美しくて何が醜いのか、頭ぐるぐるで迷宮に迷い込んだ気持ちになりました。文章の混沌としたパリの雰囲気に酔ったようです。
ああ、炭酸飲料飲んで スッキリ したい。
↓ 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
ランキングに参加しています。
よろしければワンクリックお願いします。

ジャンル : 本・雑誌
テーマ : 感想