私の大学生時代からの友人が、この度Amazon Black Fridayにてビデオキャプチャーを購入しコンシューマーのゲーム配信を始めたのでその配信に参加した記録としてのエントリーとなります。

万全の体勢で瞬きもせず配信画面を凝視し続ける准将
正確には私が未プレイのゲームを視聴のみで観終えた感想のような形です。
私は通常「買わずに視聴だけ」というのはあまり好きではないですし、面白いゲームならフルプライスで購入しても良いので自分の手で時間を掛けてプレイしたいのですが、今作は色々と経緯があって視聴のみとなっています。(まとめの最後に理由有り)
今回配信で眺めたのはヴァニラウェアの「十三機兵防衛圏」です。
ざっくりと物語説明
一言で言うと「15人の少年少女がロボットに乗って街に攻めてくる怪獣(機械)と戦うSF作品」です。
物語はそれぞれのキャラクターの物語をプレイヤーがある程度任意の順番で選択して埋めていく形になるので、最初はパズルのようなピースだった物語は進むにつれて徐々に真相が明らかになっていくような、プレイヤー主導型のヴィジュアルノベルのような感じのゲームなのですが、その中で怪獣(機械)と戦う場面ではSLGになってロボットで戦う場面が度々入ってきます。(SLGがメインではない)
ヴァニラウェアは小規模な開発体制ながら、リリースする作品は毎作ある程度のセールスとなっているのでそれなりにファンも多いことから、今作も発売当時の2019年にはコロナ禍でのインドア需要も追い風になりそれなりの評判を得ていたように思います。
私の知人でもプレイしている人が多い作品といった印象です。
配信を見ていて思ったこのゲームの良いところ
一般的にヴィジュアルノベルの作りとして、物語の主人公の視点となってそのテキストを最初から最後までただ眺めるだけのゲームになりがちですが、それに対してこのゲームではプレイヤー自身がそれぞれのキャラクターを任意の順番で選択し、能動的にキャラクターを操作して物語を追体験することによってより深く作品の真相に関わっていくような作りになっています。
また、物語を順を追って進めるのではなくパズルのようにある程度プレイヤーに物語を埋める順番を任せることにより、考察する要素をプレイ中に多く残すような作りになっている点についても一般的なヴィジュアルノベルでよくある「物語を進めていく途中で中だるみする」ような事を発生させ辛くしています。
キャラクターが全員魅力的でかつ個性的なのも高評価になる大きなポイントでしょう。
配信を見ていて思ったこのゲームの悪いところ
これは人によるとは思いますが、良かったところが一転して悪いところになってしまっているようにも見えました。
特に、プレイヤー主導のゲームになった弊害からキャラクターが台詞を喋るだけで、テキストをプレイヤーが自身で噛み砕くような行為が皆無なので、一般的なヴィジュアルノベルと比較して「引き込まれるような文章」や「脚本家特有のどんどん読ませるような展開」が無くなっていて、これは
と、
とを完全なトレードオフした形になっており、前者を無くして後者を立てた事によってテキストを読む事を厭うライトユーザーを多く獲得することには成功しているのですが、その反面、
- キャラクターの台詞を聞き流すだけ
- さして意味のないキャラクター移動とボタンでの選択を行う作業
に終始するゲーム内容になっています。
このキャラクター操作や選択肢はいくつかの分岐があるのですが、分岐のパターンに対してプレイヤーの機転や発見で大きく物語が変化するような箇所が無いのも操作する意味をあまり感じられないポイントでしょう。
(サクラ大戦のLipsの分岐の方がまだプレイヤーに選択を委ねている感じがある)
まとめ
現在の若者でも文字を読まずに楽しめるようになったヴィジュアルノベルの発展型、ただし通常のヴィジュアルノベルのプレイが苦ではないプレイヤーには文章としての面白みが皆無なので苦痛だけが残るシステム、という感じでしょうか。
「アニメは継続視聴が出来るけど原作文庫は読めない」というようなプレイヤーにはこちらの手法が効果的になるのだと思います。
私は一般的なヴィジュアルノベルもプレイしていますし、活字の小説なども読む方なので正直なところこれを自分でプレイしたいとは全く思いませんでした。(動画視聴だけで良かった)
当作品は発売当時「あのヴァニラウェアから新作が出る」と大々的に宣伝されていたのでこのゲームをプレイした人が多く、また同時に高評価する人も多く、そういった人たちから私もオススメされていたのですが、今作をオススメしている人たちの多くはEver17やXenogearsなどの90年代後半から2000年代に発売された隠れた名作をプレイしていません。
そもそも昔のゲームなので今となっては遊べるハードも限られる上に全体の物語が長く難解な部分も多いので、今の若者にこれをプレイして!というのはなかなか難しいのですが、どちらの作品も世界観やシナリオ面では他と一線を画すレベルでインパクトが大きいので、最低でもこの2作をプレイしているならば今回の「十三機兵防衛圏」のシナリオに大きな衝撃は受けない筈です。
そして言わずもがな私はこれらの作品をプレイしていたので今回の十三機兵防衛圏は「凡作とは言わないまでも傑作ではない」という評価になります。
正直なところ、印象に残っているのは「丁寧に作られている」ことが伝わってくる部分くらいで、
- 場面ごとにプレイヤーがキャラクターを動かす
- プレイヤーが能動的にキーワードを選択する
- プレイヤーが任意でそれぞれのキャラクターの進捗を進める
といったこれらの要素については殆どがトリックや何か特別な仕掛けがあるわけでもなく総当たりで選択するだけなので意味があるのかな?と疑問を呈する部分でした。
また、怪獣(ダイモス)と戦闘になるSLGゲームパートも、こういったゲームが苦手な人でも遊べるように作ってあるのだと思うのですが「これ、プレイヤーがやる意味ある?」と思わずにはいられないくらい大した戦略や創意工夫を必要としない内容になっています。
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私はカプコンから発売されているアーケードゲームのD&Dが好きなのですが、ヴァニラウェアからドラゴンズクラウンが発売されると知ったときはヴァニラウェア経営層には当時カプコンのD&D制作に少しだけ関わっていた人物も居るという話だったので、カプコンのD&Dを上回る作品が世に出るのかと期待していました。
しかし、世に出てきたドラゴンズクラウンは期待を上回るどころか結果はカプコンのD&Dの良い部分を何一つ継承していないばかりか、繰り返し遊ぶゲームとしての面白さを微塵も感じられない惨憺たる内容で、しかも完全版商法までする有り様でヴァニラウェアには大きく裏切られている(キャラデザの人だけは応援したい)経験をしている(と感じている)ので、あれ以来私はヴァニラウェアから発売されるゲームを今後絶対に購入しない事に決めています。
私はこういった事情があるのですが、現在でもヴァニラウェアの熱心なファンは多い(カプコンのD&Dを未プレイの人はドラゴンズクラウンすら評価する有り様)ようなので、せめてそういったファンは裏切らないクオリティーの製品を出し続けて欲しいです。