2025年を振り返ると、「成果」よりも先に、「考える時間」が多かった一年だったように思う。
研究、教育、講演、編集業務、そして国際的なやり取り。
それぞれは断片的に見えても、実際にはすべてがつながっていた。
研究は、論文だけで完結しない
研究者として仕事をしていると、論文を書くことがゴールだと思われがちである。
しかし実際には、論文は「結果」であって、「過程」ではない。
データをどう解釈するか。
誰に、どの言葉で伝えるか。
その研究が、社会や現場とどう接続するのか。
2025年は、そうした問いに向き合う機会が多かった。
国際的なやり取りが教えてくれたこと
この一年、海外の研究者とのやり取りも自然に増えていった。
スペインの University of Deusto との国際共同研究が正式に始まり、
オーストリアの University of Graz からは、過去の論文データについて問い合わせを受けた。
こうしたやり取りの中で実感したのは、
「研究は発表した瞬間に終わるものではない」ということだ。
論文は、誰かの研究の出発点になる。
数年後、まったく別の国から連絡が来ることもある。
研究とは、そうした静かな循環の中で生き続けるものなのだと改めて感じた。
教育と現場の距離をどう縮めるか
2025年は、大学での教育に加え、専門職向けの講演も行った。
研究成果を、専門家ではない人にも伝える。
その難しさと重要性を、何度も考えさせられた。
知識を並べるだけでは、伝わらない。
相手の立場や現場を想像しながら、言葉を選ぶ必要がある。
研究と教育は別物ではなく、
「どう伝えるか」という一点で深くつながっている。
2026年に向けて
2026年は、新しいことを増やす年というよりも、
これまで積み重ねてきたものを、より整理し、深めていく一年にしたいと考えている。
研究者として、何を大切にしてきたのか。
どのように社会と関わっていくのか。
その問いを忘れずに、また一歩ずつ進んでいきたい。
🧠 安田智洋(Tomohiro Yasuda)
聖隷クリストファー大学 教授/理学博士
専門:運動生理学・公衆衛生学・健康教育
世界トップ2%科学者(2024.2025/Stanford/Elsevier認定)
PLOS ONE編集委員/Sigma Xi正会員









