Interview

  • 2025.12.15

チャート席巻のMrs. GREEN APPLEが背負うもの──Billboard運営が分析する2025年の音楽業界

チャート席巻のMrs. GREEN APPLEが背負うもの──Billboard運営が分析する2025年の音楽業界

アメリカで最も権威のある音楽チャート・Billboardの日本版であるBillboard JAPAN(ビルボードジャパン)が12月5日に発表した2025年の年間ヒットチャート。

Mrs. GREEN APPLEの楽曲が、総合ソングチャート「Japan Hot 100」のトップ10において、1位の「ライラック」含む5曲がランクイン。

アーティスト・チャートでも史上初となる2年連続制覇を成し遂げ、まさに“ミセス無双”とも評せるランキング結果は大々的に報じられた。

しかし、Billboard JAPANがヒットチャートを通して伝えたいのは、そういったランキング上位の華やかさだけではない。

ランキング下位の動きにも注目してほしい」──多様なヒットの在り方を表現し、“新しい音楽との出会いの場”を提供するべく、チャートの運営側が新たに導入した「リカレントルール」の真意と、音楽を越えた挑戦に迫る。

目次

  1. 「2025年もMrs. GREEN APPLEの年だった」ミセス無双の要因
  2. ストリーミングによるヒット曲の固着化と「リカレントルール」の導入
  3. 「リカレントルール=Mrs. GREEN APPLE対策」は誤解である
  4. Mrs. GREEN APPLE以外にもヒット曲は存在する
  5. 日本のコンテンツ産業全体を可視化する──Billboard JAPANの壮大な展望

「2025年もMrs. GREEN APPLEの年だった」ミセス無双の要因

「Mrs. GREEN APPLEの『ライラック』が総合ソングチャート『Japan Hot 100』年間1位を獲得したのは、やはり(前年に続いて)2025年もミセスの年だったのが、一番大きな要因だと思います」(渕井実香)

ビルボード事業本部 研究・開発部の渕井実香さんはそう語る。

Mrs. GREEN APPLE「ライラック」MV

2025年Billboard JAPAN年間チャートにおいて、グループとして5部門を制したMrs. GREEN APPLE。加えて、バンドの中心人物である大森元貴さんが、作詞家/作曲家チャートの2部門で3年連続1位という史上初の快挙を成し遂げている。

その大成功の要因は、6ヶ月連続の新曲リリースやベストアルバム『10』のリリース、アニバーサリーライブや5大ドームツアーの実施、音楽フェスへの出演など、桁違いの活動量と露出にあった。

特に新曲を連続リリースする施策については、アーティスト・チャートで初めて1位に輝いた2024年にも実施されており、2年連続で実施されるのは異例なことだという。

楽曲の良さ・パフォーマンス力の高さ・親しみやすさといった総合的なアーティストとしての人気や実力──いわばアーティストパワーを極限まで発揮した結果が、今回の“ミセス無双”に繋がったのではないかと、渕井実香さんは分析している。

「特に、プロデューサーをつとめる大森元貴さんは、『自分たちをどう見せるか』『どういう人が自分たちの楽曲を聴いてて、そこにどう届けるか』をすごく考えてらっしゃる印象です」(渕井実香)

ストリーミングによるヒット曲の固着化と「リカレントルール」の導入

今回、Billboard JAPANの年間チャートの発表にあたり、“ミセス無双”と並行して、2025年下半期に導入されたストリーミング指標における「リカレントルール」にも再度注目が集まった。

Billboard JAPANの総合ソングチャート「JAPAN Hot 100」では、CDセールスやダウンロード数、ストリーミング数、ラジオ放送回数、動画再生回数、カラオケで歌われた回数など複数の指標に、それぞれ重みをつけて合算し、楽曲の“社会的浸透度”を算出している。

しかし、そのうちの音楽サブスクリプションサービスについては、ヒット曲が固着化しやすいという構造的課題が存在していた。

そもそも、日本に限らず音楽ストリーミング視聴の傾向として、旧譜を聴き続けるリスナーが多い

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