経産省が指摘する、音楽業界の課題──“J-POPの海外ブーム”の実現に必要なもの
2025.10.21
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アメリカで最も権威のある音楽チャート・Billboardの日本版であるBillboard JAPAN(ビルボードジャパン)が12月5日に発表した2025年の年間ヒットチャート。
Mrs. GREEN APPLEの楽曲が、総合ソングチャート「Japan Hot 100」のトップ10において、1位の「ライラック」含む5曲がランクイン。
アーティスト・チャートでも史上初となる2年連続制覇を成し遂げ、まさに“ミセス無双”とも評せるランキング結果は大々的に報じられた。
しかし、Billboard JAPANがヒットチャートを通して伝えたいのは、そういったランキング上位の華やかさだけではない。
「ランキング下位の動きにも注目してほしい」──多様なヒットの在り方を表現し、“新しい音楽との出会いの場”を提供するべく、チャートの運営側が新たに導入した「リカレントルール」の真意と、音楽を越えた挑戦に迫る。
目次
- 「2025年もMrs. GREEN APPLEの年だった」ミセス無双の要因
- ストリーミングによるヒット曲の固着化と「リカレントルール」の導入
- 「リカレントルール=Mrs. GREEN APPLE対策」は誤解である
- Mrs. GREEN APPLE以外にもヒット曲は存在する
- 日本のコンテンツ産業全体を可視化する──Billboard JAPANの壮大な展望
「Mrs. GREEN APPLEの『ライラック』が総合ソングチャート『Japan Hot 100』年間1位を獲得したのは、やはり(前年に続いて)2025年もミセスの年だったのが、一番大きな要因だと思います」(渕井実香)
ビルボード事業本部 研究・開発部の渕井実香さんはそう語る。
2025年Billboard JAPAN年間チャートにおいて、グループとして5部門を制したMrs. GREEN APPLE。加えて、バンドの中心人物である大森元貴さんが、作詞家/作曲家チャートの2部門で3年連続1位という史上初の快挙を成し遂げている。
その大成功の要因は、6ヶ月連続の新曲リリースやベストアルバム『10』のリリース、アニバーサリーライブや5大ドームツアーの実施、音楽フェスへの出演など、桁違いの活動量と露出にあった。
特に新曲を連続リリースする施策については、アーティスト・チャートで初めて1位に輝いた2024年にも実施されており、2年連続で実施されるのは異例なことだという。
楽曲の良さ・パフォーマンス力の高さ・親しみやすさといった総合的なアーティストとしての人気や実力──いわばアーティストパワーを極限まで発揮した結果が、今回の“ミセス無双”に繋がったのではないかと、渕井実香さんは分析している。
【ビルボード 2025年 年間総合ソング・チャート“Hot 100”】
1位 Mrs. GREEN APPLE
2位 Mrs. GREEN APPLE
3位 ロゼ & ブルーノ・マーズ
4位 米津玄師
5位 Mrs. GREEN APPLE
6位 HANA
7位 サカナクション
8位 Mrs. GREEN APPLE
9位 Mrs. GREEN APPLE
10位 米津玄師 pic.twitter.com/d97feDHCsK— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) December 4, 2025
「特に、プロデューサーをつとめる大森元貴さんは、『自分たちをどう見せるか』『どういう人が自分たちの楽曲を聴いてて、そこにどう届けるか』をすごく考えてらっしゃる印象です」(渕井実香)
今回、Billboard JAPANの年間チャートの発表にあたり、“ミセス無双”と並行して、2025年下半期に導入されたストリーミング指標における「リカレントルール」にも再度注目が集まった。
Billboard JAPANの総合ソングチャート「JAPAN Hot 100」では、CDセールスやダウンロード数、ストリーミング数、ラジオ放送回数、動画再生回数、カラオケで歌われた回数など複数の指標に、それぞれ重みをつけて合算し、楽曲の“社会的浸透度”を算出している。
しかし、そのうちの音楽サブスクリプションサービスについては、ヒット曲が固着化しやすいという構造的課題が存在していた。
そもそも、日本に限らず音楽ストリーミング視聴の傾向として、旧譜を聴き続けるリスナーが多い。
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